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ドラえもんオリジナル・しずかとミノタウロスの皿(その3)

さてみなさん、今回のドラえもんオリジナル大長編は、しずかとミノタウロスの皿の第3回のストーリーをお送りいたします。
原作のお話は当時よりかなり問題がありいろいろと制約がある中、できるだけその魅力を引き出せられるかに心を砕いたつもりです。
はたしてズン類たちの儀式に供せられるしずかちゃんたちをのび太くんたちはいかに助けるか乞うご期待といったところで、それでは、ごゆっくり。

ちなみに前回までのお話はこちらから。
しずかとミノタウロスの皿(その1)
しずかとミノタウロスの皿(その2)
というわけで、あらためてごゆっくり。

突然の事態に戸惑うばかりのしずかちゃんたちに、ズン類の一人が近付いてきた。
しずか「あの、これは一体どういうことなんですか」
麗子「というより、これでは私たちがごちそうみたいじゃないですか」
するとそのズン類はやけに穏やかな口調で応える。
「そうだよ、君たちこそ僕らのためのごちそうなんだ。それためのこの“ミノタウロスの皿”なんだよ」
その言葉に誰もが信じられない表情をあらわし、それでも彼の言葉を理解しようとするしずかちゃんは憮然と、麗子は内心の怒りを込めて彼の言葉を聞き続けるのだった。
「前にも言った通り、僕らの星のウスは絶滅しちゃって、僕らズン類も衰退の一途をたどりつつあるんだ。それでも食用の植物を育てて食いつなぎながら今まで生き延びてきたんだ。
しかしそれでは僕らもいずれ滅び去る運命にあるかもしれない。そこで僕は他の星でスバラシイ技術を学んだんだよ。
それは体の一部分を同じ材料で創り出す技術なんだ。つまりは君たちの手足や頭、そして胴体を寸分たがわぬコピーを創り出して、僕たちの宴に供するんだよ」
そのうちに立花さんと乙梨さんは気を失い、そんな中しずかちゃんたちがすべての勇気を振り絞って抗議する。
しずか「そんな、それじゃあ私たちは・・・・・」
「もちろん君たちはケガをするわけでも、まして死ぬわけでもないよ、僕たちの宴に参加して君たちの体のコピーを提供するんだ」
麗子「それでも私たちを食べるのには変わりはないじゃないですの」
「分からないなあ、痛みはないって言ってるだろう」
まるで考えそのものが違うことについて、もはや二人は何も言えない。
しかしその時である。
「おい大変だ、空から何かが近付いてくるぞ」
「なんだと、どういうことだ」

少し話を戻して警備隊の宇宙船の中、ドラえもんのポケットの中から何やら警報が鳴り響く。
のび太「うん、どうしたのドラえもん」
ドラえもん「まずいな“虫のしらせセンサー”が鳴って、しずかちゃんたちの危機を伝えてる」
のび太「ええっ、それじゃあしずかちゃんたちは・・・・・」
リイナ「どっちにしても急がなきゃいけないみたいね、今から飛ばすからしっかりつかまってね」
二人「あ、はい・・・・・」
こうして宇宙船はアルデバランに突っ込んでいく。

その宇宙船はまっすぐミノタウロスの祭壇に突っ込み、ミノアの像はそのまま倒れていく。
それからややあって宇宙船からリイナが現れる。
リイナ「私は宇宙警備隊のリイナ、アルデバランのズン類一党、あなたたちを誘拐の現行犯及び宇宙医療法違反の容疑で逮捕します」
「ええっ、何で宇宙警備隊が、僕たちはズン類の復興に力を注いだだけなのに」
リイナ「医療目的以外での部分的クローンは禁止されているはずよ。ともかくおとなしくしなさい」
手にはショックガンが握られていたこともあり、たちまちズン類たちはおとなしく手を上げて降伏していく。
そのうち警備隊の宇宙船が続々降りてきて、ネズミ型の捜査官たちがズン類のクローン装置を押収していき、ブタ型の捜査官もズン類たちを確保していく。
のび太「でもしずかちゃん大丈夫かな」
ドラえもん「とにかく助けに行こう、でもその前に、祭壇に突っ込んじゃったから上の像も倒れちゃった。ここは“復元光線”で」
ドラえもんが復元光線で祭壇を修復し、あのミノアの像ももとの姿に戻っていった。
のび太「でもこの女の人の像。本当にきれいだなあ、ってそんなこと言ってる場合じゃない。急がなきゃ」
こうしてドラえもんとのび太くんは山車にのぼり、しずかちゃんたちのもとにたどり着いた。そこにはしずかちゃんたちがぐったりと座り込んでいた。
ドラえもん「大丈夫しずかちゃん、ってこれは恥ずかしい格好だなあ」
のび太「手足が鎖でつながれちゃってる。カギをさがさなきゃ」
ドラえもん「待って、こういうときは“ゴマロック”これで鎖を外すんだ」
ドラえもんとのび太くんがこの道具で手かせ足かせにタッチして「ひらけゴマ」ととなえると、はたして手かせ足かせは外れ、しずかちゃんは自由の身となった。
「しずかちゃん、だいじょうぶ」
しかし気が付いたしずかちゃんは、目の前ののび太くんを「いや~!」と押しのけてしまった。それをすかさずリイナが受け止めたのだが。
リイナ「あらあら、今度はのび太くんが助けようとしたのにね」
しずか「えっ・・・・・」
しかしそこにすかさず、前もってドラえもんに助けられた麗子がのび太くんのもとに飛び込んでいく。
麗子「のび太さぁん、助けに来てくれたのねえ」
しずか「ああっ、もう麗子さんったら」
こうしてミノタウロスの皿事件はひとまず解決し、しずかちゃんたちはもちろん地球に帰されることとなった。立花さんと乙梨さんはワルいユメを見たのだと言い聞かせることにして、麗子としずかちゃんもそれぞれ自分を落ち着かせることはできた、のだが。

後日麗子はひんぱんにのび太くんのもとを訪れるようになる。先のお礼ということでデートに付き合わせることとなったのだ。
麗子「・・・それで敵の只中にのび太さんたちが飛び込んで牛のズンルイたちをなぎ倒して・・・・・」
のび太「ああ、しずかちゃん」
しずか「どうぞ、ごゆっくり」
当面は麗子に付き合わなければならなくなったのび太くんだった。

しかしもうちょっとお話を述べることにして、しずかちゃん家でバーベキューに呼ばれたのび太くんたち。焼き上がったお肉をみんながおいしそうに頬張る中、何故かしずかちゃんはお肉を口にするうちに涙が流れ落ちていく。
のび太「あれ、どうしたのしずかちゃん」
しずか「うん、なんだか食べてるうちに涙が止まらないの、でも、大丈夫だから・・・・・」
そんなしずかちゃんの様を誰もが見守って気づかいつつ、みんなバーベキューのお肉を楽しむのだった。

おわり

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