ザ・ドラえもんズオリジナル・トラえもん編:こーちゃんとダメな子奮戦記(その2)
さてみなさん、今回のザ・ドラえもんズオリジナル小説は、大阪のトラえもんにて、ドラえもんでもおなじみの多目くんとこーちゃんが張り合う中で頑張る姿をお送りする運びです。それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回の記事はこちらです。
トラえもん編:こーちゃんとダメな子奮戦記(その1)
それでは、あらためてごゆっくり。
えらく不機嫌で学校から帰ったこーちゃんは、めずらしくトラえもんに文句をたれる。
こーちゃん「まったくおもろないわ、僕だっていろいろがんばったけど、なんで多目くんばっかチヤホヤされるんや」
トラえもん「まあまあこーちゃん、こういうの目立ったもんの勝ちやで、ほな、これで機嫌直してや」
と、ポケットからまた道具を取り出す。
こーちゃん「今度は何なのトラえもん」
トラえもん「この前東京のドラえもんから借りた“配役いれかえビデオ”や。これで今日のこーちゃんと多目くんの活躍をこうして入れ替えて、と」
こーちゃん「またドラえもんから無断で借りてんの、あんまり迷惑かけちゃダメだよ」
こーちゃんにたしなめられつつトラえもんがビデオのスイッチを入れる。ビデオには今日のこーちゃんと多目くんの活躍を、多目くんをこーちゃんに、こーちゃんをゆうちゃんにと入れ替えて映し出される。
トラえもん「どうこーちゃん」
こーちゃん「どうって、見とるうちなんだか自分がさらに情けなくなっちゃうなあ」
トラえもん「そうかなあ、ほなこれなんかはどうかな・・・・・」
と、さらに画面を切り替えようとした時、
こーちゃん「あれ、何これ、多目くんと、あれって東京ののび太くんやなあ」
トラえもん「ああ、昔記録したもんやな」
もちろんこの映像もオリジナルが記録されていて、それをもとにのび太くんとスネ夫を入れ替えた映像を編集したのだ。
こーちゃん「トラえもん、他にものび太くんの映像ない、そのままのやつでいいから」
トラえもん「うん、いいけど」
こうしてのび太くんと多目くんがいろいろ活躍した映像をみて、さっきまでの不機嫌さから次第に心苦しさを覚えていく。
こーちゃん「こうして見とると、なんだか僕の方が恥ずかしくなってきたなあ。あれ、これは・・・・・」
そしてジャイアンとスネ夫に責められる多目くんをかばうのび太くんの映像が映し出される。
こーちゃん「そうか、多目くんががんばれたのはのび太くんのおかげだったのか、それに引き換え僕はほんと情けないなあ」
トラえもん「まあまあこーちゃん、次がんばればええよ」
こーちゃん「いや、僕の方がいままで少し怠けてたんや。その次に備えてもっともっとがんばらなきゃ」
トラえもん「えらい、さっすがこーちゃんや」
というわけで、こーちゃんも元気を取り戻したのだった。
次の日体育の授業、ドッジボールの練習試合が行われる運びとなった。
くしくもこーちゃんはいさむとゆうちゃんの味方チーム、多目くんは相手側のチームに分けられていた。
先生「それじゃあ、みんなで元気にドッジボールいきましょ、あとやりすぎないように気を付けて」
とみんなでドッジボールの試合に取り組むことになった。
はじめこーちゃんと多目くんは投げられたボールをまずまずよけ続けたが、やがて少し甘めに投げられたボールを多目くんが受け止め、それをなぜかこーちゃんに投げつけ、自分に向かって投げられたボールをこーちゃん胸で受け止める。
こーちゃん「やったな、多目くん」
こーちゃんも半ば本気で多目くんに投げつける。はたして投げたボールが多目くんの顔面に当たり、その後で転げ落ちたボールを両手で受け止める。
顔面にあたったショックでしばらく止まっていたが、気を取り戻してからやはりこーちゃんに投げつける。
これもこーちゃんの体にあたるもなんとか受け止め、こーちゃんも多目くんに、多目くんもこーちゃんにボールをぶつけ続ける。
そんなやり取りをトラえもんが見守り、というよりも前もって仕掛けた人間コントローラーで二人をあやつっていたのだ。
トラえもん「昨日のことで分かったけど、こーちゃんも多目くんも頑張っとるから、僕もこうやって背中を押して」
しかしそんなトラえもんをなぜかこーちゃんのお父ちゃんが現れた。
お父ちゃん「おいトラ、いくら頑張っとるといって、いらんことしたらあかんで」
と、コントローラーのスイッチを切るようたしなめるのだった。
しかしこーちゃんも多目くんもコントローラーを切ったにもかかわらずボールを投げるのを終業のベルが鳴るまでやめなかった。そのベルが鳴るのを機に、
「お、終わったぁ・・・・・」
と、二人ともその場に倒れこむのだった。
ちーちゃん「大丈夫、こーちゃんも多目くんも」
いさむ「ようがんばったなあ、功太のくせに」
これにはちーちゃんはともかく、ゆうちゃんといさむも感服せざるを得なかったのだ。
こーちゃん「た、多目くんもがんばっとるから、僕ももっとがんばらなあかんと思うて・・・・・」
多目「う、うん、先の学校でのび太くんが親身になって僕のこと見守ってくれたから、僕もがんばらなきゃって思って・・・・・」
こうしてお互いの健闘をたたえ合い、二人の仲も一層深まった。
しかし一月後多目くんはお父さんの都合でまた広島の方に引っ越さなければならなくなったのだ。
多目「この一か月こーちゃんたちと一緒にいて本当に楽しかったよ。思えばトラえもんが東京のドラえもんとお友だちだこともあって、のび太くんと同じく付き合えたのはよかったよ。さようなら、きみのことも忘れないよ」
こうしてこーちゃんたちの見送りで大阪を後にするの多目くんだった。
しばらく見送った後でこーちゃんも多目くんと過ごした日々をしばらく思い起こす。
「こうやって思い起こすと、多目くんもようがんばったんだな。今になって僕も顔から火い出るくらい恥ずかしくなったわ」
その時、こーちゃんの顔面が勢いよく燃え出したのだった。
こーちゃん「わっ、何、なに・・・・・!」
ちーちゃん「ど、どうしたのこーちゃん。あ、トラちゃん、またなにかやったの」
トラえもん「またこーちゃんが元気なかったからこの“ソーナル錠”を飲ませたんや」
こーちゃん「ええっ、ちょっとトラえもん、なんとかしてえな」
トラえもん「ええからええから、最後は楽しくしたほうがいいんよ」
ちーちゃん「もう、トラちゃんたら」
こうして最後も大騒ぎの大阪の下町だった。
| 固定リンク | 0
「ドラえもん」カテゴリの記事
- ぼくは、ロボット番外編:のび太としずかのお人形あそび<本当は怖いドラえもん>(2023.10.18)
- お正月の科学<本当は怖いドラえもん>(2025.01.08)
- 序章:起承転落の理(ことわり)<本当は怖いドラえもん>(2023.09.20)
- ドラえもんにおける病気とお薬<本当は怖いドラえもん>(2023.08.23)
- ドラえもんとゆかいな仲間たち:宇宙からのオトシ玉<本当は怖いドラえもん>(2023.07.26)
コメント