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ザ・ドラえもんズオリジナル:怪盗ドラパン編・セリーヌととらわれの館(その1)

さてみなさん、今回のドラえもんズのオリジナル小説は、少し趣向を変えて原作本編のどちらかというと敵役の怪盗ドラパンをある程度のヒーロー性を醸し出すためにアレンジしたものですが。あとドラパンを支える、あるいは張り合う関連キャラクターもあわせて紹介します。
 
セリーヌ(しずかちゃん・イメージ的にはエスパー魔美のマミかチンプイのエリ):ドラパンが厄介になってるアパルトメントに住む少女。かつて中世の時代、魔女狩りにあいそうになるもタイムパトロールに助けられた少女の子孫にあたる。イメージボイスはゆかな女史といったところで。
ソフィー(スネ夫・といってもパーマンのガン子に近い):大地主の娘で裕福な自分をいつも鼻にかけているが結構面倒見がいい。イメージボイスは小桜エツ子女史か。
マイア(ジャイアン):恰幅がいい雑貨屋の娘、両親と数人の弟と妹たちがいる。いささか強引なところもあるがみんなを引っ張っていくリーダー顔。イメージボイスは根谷美智子女史か。
ピエール(のび太くんだがある程度出木杉くんのイメージも):フランス警備隊の隊員でみんなの憧れの的。イメージボイスは緑川光氏か。
あとドラパンの宿敵として、
マルマール隊長:フランス警備隊の隊長でピエールの上司。主にパリの裕福な家々の依頼により美術品等のお宝の警備を任されている。責任感が強いがどこか間が抜けているのが玉にキズ。イメージボイスは茶風林氏か。
といった面々がお話を彩っております。はたしてどのようなお話が繰り広げられることか。それでは、ごゆっくり。
 
時はフランス革命が過ぎ、ナポレオン三世の時代、パリ郊外のアパルトメントに住んでいるセリーヌという一人の少女。そこに住んでいる大きなネコみたいな若者というか大きな雪ダルマのような生き物がいた。その名はドラン(イメージボイス:鈴村健一氏か)。みんなは大きなセリーヌのペットだというが、人の言葉を話すので奇妙がりつつもいつもは働き者ながらも受け入れられていた。しかしてその実態は、近頃世間を騒がす怪盗ドラパンだったのだ。
しかしそんなある日、住んでいるアパルトメントの大家さんがセリーヌの部屋を訪れた。
大家「ちょっとセリーヌ。そろそろ家賃の方を支払ってもらわないとねえ」
セリーヌ「あの大家さん、今少し待っていただけないかしら」
大家「そう言われてもねえ、あたしの方も生活が苦しいからねえ。あんたたちだけを特別扱いするわけにもいかないんだよ」
セリーヌ「はあ・・・・・」
大家「こちらも悪くすればあんたに部屋を引き払ってもらわなきゃいけないんだ。それだけは覚えておいておくれ」
大家もひとまずは遠慮気味に告げ、部屋を後にする。それを申し訳なさそうに頭を下げつつ見送り、ややあって後ろで昼寝をしているドランをにらみつける。
セリーヌ「ちょっとドラン、あんた今の大家さんとの話、聞いていたわね」
ドラン「え、どうしたんだセリーヌ」
とぼけて応えるドランに、頭を掴みつつにじり寄る。
セリーヌ「とぼけないで、最近不景気なので何とか働き口を見付けなきゃいけないのに、あんただけ怠けてばっかだから」
ドラン「そ、そんなこと言ったって、僕の方も毎日家事ばっかりで」
セリーヌ「家事の手伝いばかりじゃちゃんとした仕事にもならないわよ。仕事しておカネをもらわないと意味ないでしょ」
頭を掴んでゆすり続けるセリーヌだが、じきに疲れてへたり込む。
セリーヌ「ううっ、ここ何日もろくなもの食べてないから、余計にお腹すいちゃった」
そのうちに外がやけに騒がしくなってきたので、とりあえず顔を出すのだが。
人だかりの中心を除きこむと、そこにはとある興行主がある勝負を持ち掛ける。
「さあさあお立ち合い、この牛乳缶ひとつ丸々飲み干した者には銀貨10枚を進呈しよう。さあ我こそはと思う者はいないか」
牛乳缶は約10リットル、大人の男でも飲めるか飲めないかの量である。しばらく眺めやってなかなかに名乗り出る者がいない。
「さあどうした、銀貨10枚だよ、10枚」
そのうちに何とセリーヌが名乗り出るのだった。
セリーヌ「この勝負、私が乗ってみようかしら」
興行主「おやおやお嬢ちゃん、そんな細い体で挑戦しようってのかい。失敗したら銀貨5枚払ってもらうからね」
ドラン「ちょっとセリーヌ、やめた方がいいよ」
セリーヌ「ううん、よく見たら私もやれそうな気がしたの」
ともあれセリーヌの牛乳のチャレンジが始まった。おもむろに牛乳缶を両手で持ち、ゆっくりと牛乳を口に流し込む。心配げなドランとその周りの興味本位と半ば失敗を期待している周りの人々。そしていくらかの期待に胸を躍らせる興行主。
しかしやがて牛乳缶がみるみる持ち上がり、わずかなざわめきもやがて歓声に代わり、そしてセリーヌは缶の牛乳をすべて飲み干してしまったのだ。
セリーヌ「うっぷ、これで全部かしら。とりあえず約束の銀貨10枚を・・・・・」
興行主「いや驚いたよ、お嬢ちゃんがこれほどやれたとはね、ほら、これが約束の銀貨だよ」
ドランに支えられ、賞金の銀貨を手渡されるセリーヌ。民衆の拍手喝采の中。一台の馬車が後ろを横切る。フランス警備隊の隊長のマルマールと部下のピエールだった。
マルマール「何というバカ騒ぎだ。まったくこんな大変な時期だというのに」
ピエール「あれはセリーヌ、彼女が何かやったのかな」
マルマール「油を売ってる暇はないぞ、まったく。本部に戻れば仕事が山積みなんだ」
ピエール「はっ」
と、馬車はこの場を離れるのだった。
アパルトメントに戻りその足で大家のところに向かい、賞金を手渡すセリーヌたち。
大家「大変だったねセリーヌ、これで当分は大丈夫だよ。でもやっぱり不景気なのは変わりはないからねえ」
とまあ当面の家賃を支払い自分の部屋に戻る二人、大家の言う通りここ最近町は不景気でロクな働き口がない。それでいて裕福な家々はますます発展し、時の政府高官とも通じているものさえあるのだ。
自分の部屋に戻るドランとセリーヌ。とたんに顔立ちも鋭くなる。
セリーヌ「それで、次の仕事はどこにする」
ドラン「さしあたり、1丁目のガストン卿の家にしよう。あそこはたんまりと財産をため込んでいるというから」
セリーヌ「それじゃあ決まりね・・・・・」
そこに誰かが階段を駆け上がる音がした。二人は警戒をしつつドアをにらみつける。入ってきたのは少し背が低い少女だった。
セリーヌ「なんだ、ソフィーじゃない」
ソフィー「なんだじゃないわよ、やっとお仕事のつてが入ったというから伝えようとしたのに」
ソフィー「それで、どんなお仕事なの」
セリーヌ「それが、1丁目のガストンさんとこで家事全般のお仕事よ」
ドラパン「へえ、あそこは結構景気がいいからいい仕事ができそうだな」
ソフィー「あまり当てにしないほうがいいわよ。ガストンさん結構ケチだからね」
セリーヌ「まあ、やれるだけやってみるわね」
ソフィー「頼むわよ、明日家の前で待ってるから」
と、ソフィーが部屋を後にする。それに合わせて、ドランとセリーヌがお互いにうなずき合うのだった。

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