ドラえもん・オリジナル大長編:新・のび太の海底鬼岩城(予想)その2
待ちに待ったキャンプ当日、いつもの空き地にみんなが集まった。
ドラえもん「それじゃ、みんなそろったね。ただいまより、海底探検キャンプをはじめます。まずはみんな手を出して」
みんなが手を出すと、ドラえもんがテキオージェルを手にかける。
しずか「これって、体を保護するのね」
ドラえもん「もちろんさ、それじゃ行こうか」
と、どこてもドアを出して、近くの海岸へと移動する。
スネ夫「ところで潜水艦はどこ」
ドラえもん「潜水艦、そんなものいらないよ」
しずか「それじゃあどうやって海に入るの?」
ドラえもん「もちろんこの車さ」
ドラえもんが先の水中バギーを出す。
ジャイアン「なんだって、このまま海に潜るってのか」
ドラえもん「さっきジェルで体包んだでしょ。これで海の中はへっちゃらだよ」
スネ夫「ほんとかなあ」
のび太「いいからいいから」
ドラえもん「それじゃ、しゅっぱーつ!」
と、みんながバギーに乗り込んだところで海へと入っていく。ドラえもんとのび太くんの2人に対し、おっかなびっくりの3人だったが、やがて水の中でも息ができることに気が付いていく。
しずか「・・・ほんと、水の中でも息ができる」
のび太「でしょ」
ドラえもん「ジェルの力で息ができるし、口や鼻からも水が入らないんだよ。ちょうどジェルが潜水服みたいになってるんだ」
スネ夫「でも海って深く潜っていくうちに暗くなるんじゃない」
ドラえもん「これもジェルの力でちょっとは明るく見られるんだよ。それからこのバギーは海底を走るだけじゃなく、水の中なら浮かんで進むことだってできるのさ。へたな潜水艦よりはよっぽど手軽さ」
こうして一行は海底の平原にたどり着く。
ドラえもん「ちょうどいい時間になったことだし、お昼にしよう」
と、帽子のバッジのボタンを押す。するとそこからジェルの泡がみるみるふくらんで大きな広場を作っていく。
ドラえもん「この帽子は『海底キャンプセット』で、キャンプ生活に必要なものがそろってるんだよ」
のび太「でもわざわざ空気の中なのはどうしてなの。僕たちはジェルで水の中は大丈夫なのに」
ドラえもん「実際のキャンプ生活で水の中じゃいろいろ不便だからね。たとえば・・・・・」
ジャイアン「お、おれ、おしっこ」
スネ夫「ぼ、僕も・・・・・」
と、ジャイアンとスネ夫がトイレに行きたくなったのだ。
ドラえもん「この帽子の中にトイレがあるから」
ドラえもんが帽子を地面に置くと、みるみる大きくなって小屋みたいになる。ジャイアンとスネ夫がそれの扉に入っていくのだった。
のび太「なるほど、水の中じゃまざっちゃうからね」
ドラえもん「うん、ほかにも食事やらお風呂やらも空気中じゃないとね」
しずか「ねえドラちゃん、あの帽子にお風呂もあるの」
ドラえもん「もちろんさ、この帽子が宿泊小屋みたいになってるんだ。それじゃ僕らも入っていこう」
みんなが帽子の中に入り、中央の広間で昼食をとることにした。
ドラえもん「みんな好きなメニューを言ってみて、テーブルから出てくるから」
のび太「じゃ、僕ハンバーグランチ」
しずか「私クリームシチュー」
スネ夫「レアステーキ」
ジャイアン「おれ海鮮丼」
それぞれメニューを述べてから、テーブルから料理が出てきた。
ドラえもん「これは『海底グルメテーブル』といって海中のクロレラやミドリムシやらを培養して、タンパク合成などから料理をつくるんだ」
のび太「クロレラ、ミドリムシ?」
しずか「それで料理をつくったの」
スネ夫「どうみても本物みたい」
ジャイアン「どっちでもいいや、うまけりゃなんだって」
と、みんなミドリムシとクロレラの料理に舌鼓を打つのだった。
食後みんながくつろいでいるうちにジャイアンが立ち上がる。
ジャイアン「さあてお腹いっぱいになったところで・・・・・」
高らかにジャイアンが何かを告げんとするも、スネ夫が何かに気が付いた、というか危惧したかのごとく、ひとつの話を語りかける。
スネ夫「あ、みんな、今思い出したんだけど、とっておきの、海のふしぎなお話、聞かせてあげようか」
のび太「え、なになに」
しずか「どんなお話」
スネ夫「それは昔々のお話で、航海中に突如として姿を消す船が相次いだ海域があってね。そこに入れば一切の方角も分からなくなって、迷ったあげくにやがては沈んでいくんだ」
淡々と語り出すスネ夫に誰もが聞き入る中、ジャイアンが割り込むように聞き出した。
ジャイアン「で、それってどの辺りなんだ」
スネ夫「ちょうど大西洋、アメリカの南東部、事故が起きた場所を三角に取り囲めることから、そこを魔の三角地帯と呼んでるんだ」
しずか「それって、前に本で読んだけど」
スネ夫「そうなんだ、これから僕たちでその謎を解決に行かないかい」
と持ち掛けるスネ夫に対して、
ドラえもん「だめ、その三角地帯ってのは大西洋じゃないか。だいいちそんな遠出なんて時間がないし、あんな危なっかしい所なんか行かないよ」
スネ夫「いやいや、そんな固いことを言わないでさあドラえもん」
ドラえもん「僕も責任を持ってみんなをキャンプに連れているんだからね」
とスネ夫の提案を退ける。そこにしずかちゃんが別の提案を持ち掛けた。
しずか「それじゃあ深海魚ドライブはどうかしら。深海魚は図鑑でしか見られないから、ドライブしながら見つけて調べるの」
のび太「そりゃいいや、しずかちゃん」
スネ夫「ちえっ、まあいいか」
ジャイアン「でも行きたかったなあ」
ドラえもん「それじゃ、キャンプ地まで深海魚ドライブに行こう」
キャンプセットのハブルを縮ませてセットをしまい込んで小屋も帽子に戻し、ドラえもんたちはバギーで次の目的地に向かうのだった。
ドライブ中、行く先のナビゲートのためにコンピューターを起動させ、自動航行に切り替える。バギーでのドライブはまばらながらもいくつかの深海魚を見つけることができた。ところがこのバギーのコンピューターはしずかちゃんには優しく答えるが、他の4人にはいくぶん冷たかった。さらには大抵の深海魚の名前までもインプットされていない始末。
ドラえもん「どうもこのコンピューターは性能が良くないな、せっかくドラミが買ってくれたのに」
さておき途中深海魚が密集する地点で一旦車を止め、自由行動を取ることにした。
のび太「ここにはいっぱいいるね。深海魚って見た目はこわいけど、案外かわいいとこあるんだなあ」
ドラえもん「あんまり遠くへ行っちゃダメだよ」
その時、辺りの地面が盛り上がったかと思えば、魚たちが一斉に逃げ出し、突然土煙が舞い上がる。
ドラえもん「なんだろう、まさか海底火山、みんな、急いで戻ろう」
ドラえもんの呼び掛けでみんながバギーに戻り、この場から去ろうとする。
ドラえもん「まずいな、泥が舞い上がって視界がきかない。ナビゲーションをお願い」
バギー「ショウガナイナ」
と、バギーのコンピューターによる自動操縦で運転を任せていく。
のび太「大丈夫、こんなポンコツコンピューター」
ジャイアン「しっかり頼むぜ」
バギー「バカニシナイデヨ、ボクダッテブツカッテコワレタリシタクナイカラネ。ミンナシッカリツカマッテヨ」
バギーが勢いよく飛び跳ねる。するとのび太くんが奇妙な触手みたいなものを見かけるが。
のび太「わっ、何だありゃ」
ドラえもん「どうしたののび太くん」
のび太「なんかタコだかイカだかの足が」
スネ夫「まさか、イカにしちゃ大きすぎるよ」
のび太「いたんだよ、ちょっと引き返して」
バギー「悪イケドオ断リダネ、早ク安全ナ場所ニ移動シナキャ」
スネ夫「のび太の見間違いじゃないか、まったくそそっかしいんだから」
のび太「ほんとだってばあ」
ドラえもん「さあ、急いでキャンプ場へ行こう」
こうして一行を乗せたバギーは目的地の海底山地へと向かっていく。
しかしその物影は、ゆっくりとその後を追っていく。さらにそれを見守る船がいた。
船の中では乗組員がこんなやり取りをしていた。
「地上人のようだな」
「まさか、そんなこと考えられない。やつらが海底を自由に行動できるほど文明水準は」
「信じられないようだけどこれは事実だ」
「まずいことになったな、シルビイを捕まえようとしてこんなことになるなんて」
「まあ、なるようになるさ」
「お前、呑気だなあ」
と、しばらくたった後でドラえもん一行を追うようにこの場を去るのだった。
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