ガンダム

第11話:望まれし子(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよセイラとミネバの会談の手はずを整える一方で、この物語の根幹をなすであろう一人の少女の存在が明かされ、それが今後にどう影響するのか、そしてのちの物語のキーパーソンたる一人の少年のご登場とも相成ります。はたしてそれらを含めてどう帰結するのか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)
第2話:生きるということ(その1)
第3話:継ぐものたち(その1)
第4話:月で待つもの(その1)
第5話:ガンダム、行きます!(その1)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
第9話:リッド奮戦
(その1)
(その2)
(その3)
第10話:宿敵の刃
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。

 

今回の話の数か月前、舞台はインドのムンバイで始まる。
その郊外に一人の女性が白いMSドムに乗って訪れ、それを現地の村人が迎え入れ、彼が乗るジープでとある村に向かう。そこで一人の女の子が待っているという。
「本当にこの子でよろしいのですか」
その女性、アストライア財団のエージェント“伍長”が問う。
「はい、もともとこの子の母親は彼女を産んですぐ亡くなり、父親もその後病で亡くなりました。その上で村人こぞって面倒を見たのですが」
「それが最近になって彼女の身に何かが起こったと」
“伍長”の問いに、村人は軽い咳払いの後に応える。
「はい、最近になってこの子がその、村に起こる悪い出来事を言い当てるようになりまして、はじめ我々も気休めではありましたが備えを行ってから、やがてあの子の言う通りになり、以後この村や村人に起こること、すべてあの子の予言通りとなったのです」
「予言、ですか」
「そしてそのうちに、近々自分を迎えるものが来るとも言い出し、今日にいたってあなたが訪れたのですが」
「そうですか、それならまずその子に会うことにしましょう」
と、村人に促されるまま“伍長”は村の一軒家に足を踏み入れるのだった。
 
一連のアフリカでの任務を終え、TWはまずシャイアンの連邦軍本部にとどまっていた。
ここ最近のテロや叛乱の鎮圧の報告と、セイラことアストライア財団総裁アルテイシアの関しての交渉の承諾を取り付けるためである。
「・・・以上の事情により、ミネバ姫殿下とアルテイシア総裁との会談が、今後の情勢を打開する上で重要と判断しました」
会議室にて居並んだ連邦の高官は軽いどよめきとともにひとまず問う。
「それはそうとして、君が直接女史の交渉に臨む必要があるのかね」
「はい、たしかに公私混同の非難は受け入れます。交渉の場である財団の本部は非常にデリケートな場所で、かくいう私もまた軍人ということもありまして」
「よく分かった、我々としても今の状況を打開したい気持ちは変わりはない。本日はご苦労だった、下がってよろしい」
「はっ」とキッカは敬礼とともに退出する。その直後高官たちは口々にキッカに対する感慨を述べる。そもそも高官の大半はキッカとは知らぬ仲ではなく、かつてWB時代のブライトやフラウを通じて顔を見知っている仲でもある。
「しかしあの幼子も今では大した女性になったものだ」
「しかもセイラ=マスと負けじと重き荷を背負わんとはな」
あえてWB時代の名前で呼んだのもひとまずの好意の表れであろう。
「ともかく我らも協力を惜しむべきではないな。もっともさらに上の連中がどう動くかも注意すべきだが」
というわけで、高官たちもキッカとセイラの交渉を承認するに至る。
 
後日TWはシャイアンからナイメーヘンへとその機体を移し、かねてから予定していた任務にかかることにした。
まずブリッジにて任務の概要をキッカが説明する。しかしキッカの出で立ちはなぜか平服であった。
「今回の任務はアストライア財団本部において、アルテイシア総裁と今後の会談における交渉を行います。なお今回赴く場所の関係上、私服での任務とします」
軽くうなずくノックスとトーレス。そういえばクムとアレンもまた私服であり、今回の任務においてキッカと同行するのだ。
「しかし戦災孤児院とは、たしかに軍人たる我々もそうそう立ち入るのもはばかられるな」
「今でも予断は許されないが、そうそう警戒はしなくてもいいかな、でも気を付けて」
「そうね、それでは、行くとしましょう」
「はっ」とクムとアレンが財団本部運営の戦災孤児院へと赴くことになった。
 
南仏の郊外に位置するこの施設、近隣の戦災孤児並びに混乱によって困窮する10歳未満の子供とその家族を保護している、孤児院としては大規模でもあるこの救済施設、別名を『望まれし子の家』と呼ばれていた。
ここにキッカ、クム、アレンの3人が訪れた。まずはキッカにとっての懐かしい人物が待ち構えていた。
「・・・お久しぶりです、せんせい・・・・・」
「・・・まあ、キッカさん、本当にお久しぶりねえ」
その壮年の女性はかつてのジャブローにて一時キッカたちを預かった元育児官だった。
「お騒がせをして申し訳ございません。今回の件において前々から告げている通りです。ところでセイラさんは、まだ居合わせていないようですが」
「ええ、急用で東欧の方に赴いているとか」
「東欧、か・・・・・」
ふと多くの想いがキッカの脳裏をよぎる。それをクムたちも感慨をもって見守っていた。
そこに多くの子供たちが施設の建物から駆けつけてきた。
「わあ、キッカ大佐だ」
「すっげえ、本物だ」
「でもガンダムはいないよ」
「何言ってんだ、ここが戦場になるわけないだろう」
「それに軍人の制服じゃないね」
「ばっかだなあ、軍人さんも休暇が必要なんだぞ」
「本当にそうなればいいですね」と、アレンがキッカに小声で述べ、キッカも「そうね」と応える。
「はいはい、キッカ大佐もお仕事があるからみんなも中に入りなさい」
「はーい」
と先生が子供たちに言いつけ、中に入る子供たちとともにキッカも建物の中に入る。
当然のことながら外にいた子供たちより中の子供の方が多かった。彼らの中には外に出た子のようにキッカに好意的ではいられず、むしろ警戒心をあらわにするものも多い。
部屋に向かう中、一人の女の子が胸に抱えていた大きなぬいぐるみ、それはまさに幼き日のキッカ自身の姿そのものだった。
「あら、これって子供の頃の私よりかわいいわね、この子を大事にしてね。あなたたちのことは、私がきっちりと・・・・・」
「キッカ大佐ですね」
唐突に声を掛けた少年がいた。なぜか黒いサングラスをかけたその少年に、キッカは何やら後ろ暗い気を感じた。しかしそれを感じてかその少年が応える。
「はい、生まれつき片目が不自由なので。このメガネが必要ですが」
「うん、そうなのね」
自分が気にしているのはこうではないのだが、ひとまずキッカもこう応えるしかなかった。
「カガチ君、こっちはいいからそっちをお願い」
「あ、はい」
先生に言い渡されこの場を離れる少年。ふとキッカも彼のことを訪ねる。
「あの、先生、あの子はどういった・・・・・」
「ええ、フォンセ=カガチ君といって、あの子も孤児の一人なのよ」
「そうですか」
それ以上キッカも言い出せなかった。たしかにその少年についてどこか後ろ暗い所があったが、今のところはこれ以上の詮索はできない。
ひとまず彼のことは後回しにして、談話室に腰を落ち着かせる。
ややあってセイラ=マス、ジオン=ズム=ダイクンの娘にしてシャア=アズナブルことキャスバル=レム=ダイクンの妹、アルテイシア=ソム=ダイクンが姿を現した。
「キッカ、前はあんなに小さかったのに、よくここまで大きくなって」
「セイラさんも、お変わりなく」
「ううん、私も変わったつもりだけど」
お互い感慨とともに再会を喜んだ。その上でこれからの会談の手はずを整えるのだ。

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企画立ち上げ:機動戦士ガンダムSEED CRISIS

さてみなさん、今回のホームページ更新は、今やもう一つのガンダムSEEDとして製作したDESTINY REVENGEの続編的作品『機動戦士ガンダムSEED CRISIS』を概要ながらお送りいたします。
REVENGEの結末に先立ち、ひとまず立ち上げる運びとなり、本格的なストーリーはまた日を置いてお送りする予定ですのであしからずお願いいたします。
というわけですので、それでは、ひとまずごゆっくり。
 
ちなみに指定ページの行き方は、ホームページから
ENTER>アニメ・テレビ番組・映画>機動戦士ガンダムSEED CRISIS
となっております。

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第14話:女神再臨<機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回のオルフェンズDAWNは、いよいよGHとの対峙を控えた暁たち鉄血隊。
かつて宿敵ともいえる彼ら。その試練を受けねばならぬ身としてまずはGHの英雄の一人ジュリエッタとの対面に臨まなければなりません。はたして彼女は暁にどのような裁定を下すことか乞うご期待ということで、それでは、ごゆっくり。
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
 
第1話:暁に立つ
 
第2話:汚名
 
第3話:世界を知れ
 
第4話:アステロイドの猫
 
第5話:テイワズの息子
 
第6話:マクギリスの遺産
 
第7話:散る命、守る命
 
第8話:鉄血の志
 
第9話:クアールのガンダム
 
第10話:再び赤き星へ
 
第11話:出会いと再会と
 
第12話:復讐こそ我がのぞみ
 
第13話:明日への誓い
 
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
 
 
アーブラウでの一件から一月あまり、あらためてライドが先の件と合わせ、ここ最近の事件についての対策を練ろうと持ち掛ける。
まずジュニアが反乱軍の再結成についてのいきさつを語る。そもそも“事件”において落ち延びた旧マクギリス派の残党を核に、この十数年において火星木星の圏外圏の海賊たちをはじめ、ノブリス派やジャスレイ派などの不穏分子をも取り込んだ末に指宿が、巧妙な計略をもって自分に都合が悪い因子を排除し組織の統一を図ってGH、ひいては自分たち鉄血隊に対するのだ。
続いてライドが自身の推測を踏まえて述べる。指宿らについておそらくGHでも懸案となっているだろうと踏み、おそらくはマクギリス以上の策士だろうとも踏んでいる。
その論拠に先の“事件”についてはマクギリス自身の計画事態が単純だったのでラスタルも簡単に対処できたとのことだが、ここ最近の事件の巧妙さはやはり侮れない。
いずれにしても彼らとの本格的な抗争は結局攻防逆で“事件”同等もしくはそれ以上の争乱に巻き込まれんとするだろうが、それについてはひとまず覚悟は決めている。
そして彼らの主力について、いくらか縮小化したとはいえGHに対して兵力が乏しい指宿派はいくらかの搦め手、そしてダインスレイヴ等の禁じ手までも主力にするだろうと踏み、それにも対しなければならぬと告げるが、それはあくまで表向き。下手をすればGHとの撃ち合いになるのでこうなれば指宿も不利となるのは百も承知。それならば切り札がかつての機体となるだろう。ともすれば厄災戦の再来ともなりかねない。それは極力防がなければならず各位あらためて気を引き締めんとする。
そうこうしているうちに日が改まり、夜明けの散歩がてらに暁は今後訪れるだろうジュリエッタについて、同じく散歩に加わったライドに聞かんとする。父三日月のバルバトスを倒した人物だとは聞き及んでいるが、聞かれたライドも感慨を込めて、
「彼女もまた真の戦士だった。俺たちはまんざらではないが、彼女に敵対する者はこう呼ぶだろう、悪魔を喰らう鬼・・・・・!」
突如ライドの背後に飛び掛かって羽交い締めにしたのは他ならぬジュリエッタだった。
「誰が鬼ですか」
「・・・いや、鬼という者もいるが女神という者もいるって言いたかったんだ、当然俺たちもそれなりに・・・・・」
「私は鬼はともかく女神ではありません、私は私ジュリエッタ・ジュリスなのです」
このようなやり取りの中、駆け付けた雪乃になだめられるままようやく落ち着きを取り戻したジュリエッタも、あらためて会談を、近くの木陰で座り込んでの話し合いを持ち掛けるにいたる。
まずはライドたち鉄血隊をGH本部に招聘し、今までの行動と今後の状況を踏まえての対策を話し合いたいということだ。
それに続いて“事件”のことに話が移る。
後半の戦闘でマクギリスの特攻の後に彼が討ち取られ、ジュリエッタが鉄華団殲滅にあたる。その実は仲間を逃がすため、バルバトス、グシオンがGHの大軍を食い止める防備戦であった。
それを踏まえ、戦闘の早期終結のためにあえてダインを使用したラスタル。それでも最後まで踏み止まらんとした三日月と昭弘。途中タービンズの仇とばかり昭弘がイオクを討ち取り、ジュリエッタも満身創痍のバルバトスを食い止めんとし、最後に力尽きたバルバトスを討ち取った。
回想とともにジュリエッタの真意が語られた。
「この私、ジュリエッタ・ジュリスはかのバルバトスルフスレクス・三日月・オーガスを討ち取った者として謳われてきましたが、今こそ真実を語りましょう。
かつての殲滅戦に先立って何度か彼と対戦したことがありますが、どれも圧倒され続け、時には彼に殺されかけもしました。そして殲滅戦に至り、ラスタル様の援護もあっても手負いに至るにすぎず、辛うじてその動きを封じるのがやっと、やがてその動きを止め、その首をとったに過ぎないのです」
ジュリエッタの感慨にライドも続ける。
「その隙に俺たちも逃げおおせ、今に至ったわけだ。周知のとおり俺は無茶をやらかしたが、普通の生活に落ち着いた以上、監視をとどまらせて生かされたってことだがな」
「・・・みんな、苦労したんですね」
三日月が感慨めて応える。その言葉に敵意がないことにジュリエッタが驚きとともに返す。
「私などの苦労など、取るに足らぬものです。まして私はあなたの父、三日月を・・・・・」
「いや、父さんもあなたたちに討たれることを覚悟でみんなを逃がしたんです、その結果母さんも助かって後に俺が産まれて、いずれにしても俺たちもGHとことを構えることはないです。ただこれからの働きで名を上げて、父さんたちの名誉を回復できたら」
その言葉に失望とも安堵ともいえぬ表情で、ジュリエッタは肩を落とす。
「ずいぶんと、望みは小さいのですね、やはり私は、あの三日月には遠く及ばなかった・・・・・」
「それでも、何というか、そうだ、あなたはサムライでしたよ」
ジュリエッタも力なく礼を述べ、ライドもまた感慨を述べる。
「あの時あんたたちに秩序を守る大義があったように、俺たちチンピラも仲間を明日を守る大義があったってわけだ。結果あんたたちの大義が勝ったが、負けた俺たちも犠牲付きだが仲間と明日、そして大義は守られた。完全じゃないものの俺たちチンピラとGHもうまくいけるだろうが、あとはエリオン公の胸先三寸だな」
「そのラスタル様については、いえ、私がとやかく申すまでもないでしょうが・・・・・」
そこに現れたのは一人の女性士官を引き連れたアルミリアだった。久しぶりですねと呼び掛けた彼女に暁も「そういえばあなたへの落とし前もまだだったね」と返す。
それに対しアルミリアもおもむろに暁に近付き、軽く腹を打つ。
「落とし前ならば兄上がつけてくれましたから、私もこれで精一杯です。先の戦い、私の負けは負けです」
アルミリアもひとまずの手打ちと相成り、つづいて件の女性士官もライドに近付き、
「私はかつてあなた方に対したアイン、ダルトンの従兄弟の娘、マノン・ダルトン。アイン叔父と同じく名を上げんと、そして先の戦いで負った汚名を晴らさんがためにこの地球に降り立ちました」
と切り出し、かつての戦いにて三日月とクランク二尉とのこと、アイン自身の戦いのことを踏まえ、先の鉄華団、今の鉄血隊に敵意も怨恨もないとも告げる。
その言葉にライドも、結局マノンもアルミリアもサムライであったと改めて感じ入った。
そんなライドたち、ことに暁にマノンが、何とラスタルとの対面を望んでいると告げる。
かつて本当の意味で父三日月を倒したラスタルとの対面、暁にとってある意味最大の試練が待ちうけるのであった。

 

次回 機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズDAWN
ラスタル・エリオン
今こそ俺も、俺たちも世界を知ることになるんだね、父さん。

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第10話:宿敵の刃(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよキッカとヤザンとの決戦を繰り広げる運びとなりました。はたしてその帰結するものやいかに、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第10話:宿敵の刃
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
ニュープラスの武装は基本サーベルと換装を終えたフィンファンネル3基のみだった。しかし緊急事態とばかりに彼女に言わせれば不完全な状態で出撃しなければならなかった。
というわけでキッカとヤザンとの対戦が始まり、まずはヤザンが突進する。それをスラスターを駆使して受け流し、そのまま投げ飛ばす。
ヤザンも投げ飛ばされるままに自機の姿勢を整え攻勢に転じんとする。
続いて両手のカノンで砲撃するもこれも回避しつつ受け流す。それに続いてバイアランの蹴りが放たれるもこれもひとまず受け流す。そこで虎の子のファンネルを展開する。そもそもフィンファンネルはキュベレイ等のファンネルよりは機動性に劣り、まして重力下では、ファンネルもそうだがヒットアンドアウェイの砲撃もままならず、結局無人戦闘機として運用ぜざるを得なかった。
ともかくファンネルでの砲撃をもヤザンはかわし、やがてそのうちの1基を撃ち落とす。
「やはり小細工も通用しないわ。それだったら」
と、キッカはファンネルの機能を停止し、残りの2基も地面に落ちる。その後でサーベルを構えるヤザンに立ち向かわんとする。
「フッ、ここからが本番か」
ヤザンもサーベルを構えるキッカを迎え討つ。
こうしてニュープラスとバイアランの剣劇は繰り広げられる。クムたちも加勢に加わらんと思うも、二人の対戦の熱さにとても入り込む余地はなかった。
「ヤザンの奴め、これほどに戦いを楽しんでいるとはな」
「それでも、追い詰められているわけじゃいけれど」
TW内のトーレスとノックスもやはり見守るしかなかった。そんな中通信が入る。
「こちら本部、やはり終わっていない、ようですね」
「ええ、まずは安全のために引き続き待機をお願いします」
とノックスが司令に告げ、再びモニターに視線を移す。
2機の剣劇はなおも続いている。しかしニュータイプが脚部スラスターを駆使して何とか喰らい付くも、バイアランの推進力もあってヤザンに一日の長があった。
そのうちバイアランの蹴りが繰り出され、たまらずニュープラスも転倒する。すかさず体勢を立て直さんとするとろ、バイアランがサーベルを突き立て襲い掛かる。
その時であった。
突き立てたバイアランの右腕は一筋のビームを受け爆散し、左胸にはニュープラスのサーベルが突き刺さっていた。
「・・・まさか、ファンネルを持って砲撃するとは・・・・・」
先に倒れてからの起きざまに、フィンファンネルを拾い、簡易的なハンドガンとして活用したのだ。
「とっさに思い付いたけど、この点でも、私はハマーン=カーンにも及ばなかった・・・・・」
「この俺としたことが、最後で詰めを誤ったとはな・・・・・」
ヤザンの声に気負いと後悔はなく、むしろ安堵感さえ漂わせた。
「いずれにせよ、俺も納得がいく負けを得ることができた、しかし・・・・・」
突如バイアランの背部から脱出カプセルが射出される。そこからさらに巨大な車輪状のコックピットが展開する。
「俺も、まだ戦いをやめるわけにはいかん。縁があったらまた会おうぜ。それから、カミーユとジュドーによろしく言っておいてくれ」
と、一目散に戦場を後にする。
キッカも一時呆気に取られたが、すぐさま我に返り、両手で頬を叩き全軍に告げる。
「どうやら終わったようね、みんな、被害状況を報せて」
「こちらライエル、装甲の損壊は軽微です」
「サザビーも被害は軽微です」
続いてアレンたちも被害は大したことがないと告げる。
「作戦は成功のようですね、兵士の大半は脱出しましたが敵基地は制圧いたしました」
「分かりました。こちらも順次撤収いたします」
司令からの通信を受け、すっかり平静さを取り戻したキッカも返す。
ともかくも宿敵ヤザンとの決戦をかろうじて切り抜けつつ、一つの戦いは終わった。
 
そんな折、戦場近付いていく一台のキャリアーがあった。それが前方の一輪バイクとすれ違う。その乗り手がキャリアーに通信を入れた。
「よお、戦いは終わったぜ。さしあたってお目当てのキッカ大佐も無事だ。あとはゆっくりとやってくれ」
「ヤ、ヤザン大尉・・・・・」
そのキャリアーの乗り手、実は“財団”のエージェント、人呼んで“兵長”に緊張が走ったが、相手のヤザンが走り去ったので、そのまま緊張を解きつつ戦場近くのTWに向かう。
 
そのTWにて事後処理の傍ら、誰が切り出したわけでもなく、反省会が行われていた。
「今回の作戦は中盤までは順調だったが、ヤザンの出現も予測しなかったわけじゃなかった。それを踏まえて一つ教訓としてくれ。いずれ来るだろう本当の使命って奴のために」
「はっ」
トーレスのひとまずの説教にそれぞれが応える。そこに一人の来客の訪れを告げられる。
それは先のキャリアーの乗り手たる“兵長”だったのだ。
「よく参られました、情報の提供はともかく総裁の動向について教えていただけますか」
単刀直入にキッカが問い、兵長も軽い咳払いの後に告げる。
「総裁と姫様との会談についての手筈は私どもと先方との連絡を通じて調整を行っていて、近日中には取り行われる運びです。詳しいお話は直接話したいとのことです」
「分かりました、当方も近日中に赴くことにします。しかしセイラさんもいろいろと事情があるようでそう表立っての行動ができないようですね」
「申し訳ありません。ですが一つ告げてほしいことがあるとのことです」
「と、申しますと」
兵長はあたりを見回すようなしぐさの後に再び話を切り出す。
「実は、とある子供を最近保護し、財団本部の孤児院でかくまっております。彼女のこともあらためて紹介したいと思います」
「・・・それは、どういったものですか」
ひと通りの事情を放したのち、兵長は艦を後にする。
それを見送りつつ、キッカはひととき物思いにふける。
「新たな時代を築きだろう“望まれし子”か・・・・・」
そしてその想いに軽くうなずきつつ、ブリッジへと向かう。きたるセイラとの会談のため今後の日程をノックスたちと調整するのだ。
 
財団本部を訪れたキッカたちは、そこの孤児院にてなつかしい顔と再会する。更に身を置いていた一人の少女。彼女の存在はキッカに何をもたらすのか。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『望まれし子』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

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第10話:宿敵の刃(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは旧ティターンズ系が立てこもる敵基地を攻略する際に、かつての宿敵と刃を交え始める様をお送りいたします。
そういえば最近ガンダムエースにてキッカがジャーナリストとして活躍するコミックが連載されていますが、今作品もまあ今となっては可能性のひとつとしてご了承を頂ければとは思っておりますが。
といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第10話:宿敵の刃
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
旧ティターンズ系の反乱部隊が立てこもる基地に到着したキッカたち特務隊。
一閃を交えねばならぬとの覚悟の上で、まずは基地に投降を呼びかける。
「こちらは地球連邦軍特務隊、キッカ=コバヤシ。
貴官たちのこれまでのいきさつは承知しております。
当方としても上層部への呼び掛けを検討しています。
今より投降を希望するものは武装を解除して当艦に・・・・・」
突然基地よりバルカンの斉射が放たれる。投降の拒否の表れだとひとまず理解する。
「やはり、戦うしかないな」とトーレスも軽く肩をすくめる。
「そうですね、それでは、全機発進!」
指令が下され、ライエル、クム、そしてアレンたちMS部隊が逐次発進していく。
 
特務隊の任務は反乱部隊の鎮圧で、まず敵MS部隊の無力化を前提とするものだった。
しかし敵もそれを承知の上でキッカたちと対峙するのだ。
「ジオンももはや無きに等しいことは俺たちも承知している。そして俺たちも戦う意義はもはやない。その上でキッカ大佐もなるべく生け捕って取り押さえんとするだろう。なればこそあえてそれに甘えた上で抗わせてもらおう」
誰かがそう独語した上で迎撃にあたった。
 
敵MSの攻勢は、ハイザック、マラサイ、バーサムからなる陸戦用の機体が中心でやはり現代風の性能に準じてリチューンされていた。
しかしこちらも最新鋭に近い性能で数でかからんとする相手にそう引けは取らないだろう。
まず先陣を切ったライエルのジOが数機がかりでかかってくる敵機のサーベルをこちらもメイン、サブのアームでのサーベルで受け止め、その上でクムのファンネルで手足を落とし無力化する。
その中の1機のパイロットがコックプットからはい出し、おもむろに銃を取り出すが、自らに向けられたバルカンを確認して、手に持った銃を投げすて両手を挙げ降伏する。それに倣い他のパイロットも銃を捨て投降せんとする。
抵抗した上での降伏だから罪は重いと思うのだが、これも軍人の矜持だろうと、ひとまずキッカも納得の上で受けた勝負である。
「先陣は華々しく戦って降りたか、せめて俺たちは全力で戦い華々しく散って次代への礎となろう。たとえ徒花であろうともな」
第2陣が対するはアレンたちのリ・ガズイ隊である。もともと空中戦に長ける機体に見えるだけに、敵もそれなりの対処をしてきたようだが、アレンたちもひとまずは格闘戦で当たることにした。
グリプス戦役からのつわものぞろいなだけにその戦闘力は折り紙付きで一旦は押され気味だったが、アレンたちも伊逹に訓練を受けたわけではなく、一瞬の隙を見計らい、それぞれが要所を突いてやはりなるべく無力化する。
そして誰もが「ここまで、だな」との想いで投稿をしていく。
そして第3陣が出撃し、続きてアレンたちと対峙していく中のことだった。
 
「3時の方向から何者かが急速に接近してきます」
オペレーターの報告から数瞬の後、それが交戦中のアレンと敵機との間に接近し、サーベルの一閃で機体を切り裂いた。しかしアレンはすんでのところで飛びさがり、斬撃を免れた。
「これは、まさか・・・・・」
その光景を目の当たりにしたクムは驚愕とともに機体を見やった。それはまさにグリプス戦役で猛威を振るったバイアランであった。
そういえばこの機体も最近まで改良版の機体が開発されていたが、この機体はところどころにチューンアップが成されていて、今でも通用する性能だとか。
ともかくもこちらも状況を見極めなければならない、と特にキッカ自身がそう思ったが。
 
一方切り裂かれたバーサムを足元に、そのバイアランから声が響く。
「ほう、ついてたな。しかしこれくらいはカミーユなら朝飯前だ」
その声に幾人か、かの戦役を戦い抜いた者たちは確信した。そのバイアランのパイロットが誰あろう、ティターンズにその人ありといわれた、言うなれば自分たちにとっても宿敵ともいえる存在、ヤザン=ゲーブルであると。
「それから下の貴様、死にたくなければとっとと失せろ」
ヤザンの呼び掛けに腰部を切り裂かれかろうじて爆散は免れたバーサムのパイロットも急いでこの場を離れる。
そこにすかさずTWからキッカの通信が入る。
「気を付けて、この人はただ者じゃないわ」
その言葉に全機があらためて気を引き締める。
「ほう、キッカ=コバヤシ。カツの義妹、いや今やWB最後の勇者と呼んだほうがいいな」
あらためて全機に緊張が走る。しかしわずかな動揺からのMSの動きをヤザンは見逃さなかった。まず身じろいたウィルのリ・ガズイに狙いを定める。ウィルも果敢に応戦するが、最後にはサーベルをはじき落とされ、肩の装甲からの体当たりでぶっ飛ばされる。
「まずお前も、違うな・・・・・」
続いてアレンとギルダスが同時にかかっていく。しかしその2機もヤザンのたくみな操作であしらわれ、ギルダスを蹴り飛ばしてからアレンの右腕を斬り倒す。
「やはりお前らはカミーユのゼータとは大違いだ」
そう言うや、今度はライエルに襲い掛かる。こちらも4本の腕でのサーベル裁きを駆使しつつ応戦し、ひとまずの剣劇を繰り広げたりもしたが、やはり熟練度を生かしてヤザンがサーベルをはじき落とし、突撃からジOの機体ごと基地の岩盤に押し付ける。
「ウラキ博士もよくやってくれた。だが同じジOでも、この程度じゃシロッコの足元にも及ばん」
そして狙いをクムに定め、クムもまたサザビーにて構えの態勢に入る。
かの反乱戦にてのニューと同じく最新鋭の機体だっただけにその性能も引けを取らず、クム自身もエースと謳われただけあってよくよく攻撃を受け流していく。
「やっぱりこの人も戦いを楽しんでいる。だからこそ私もここで倒されるわけにはいかない。大佐のため、そして私自身のため」
しかしそんな自身の気持ちを呼んでか、次第にあしらわれている感じを覚える。実際ヤザンも手応えのある相手に多少のは楽しもうといった想いで戦いを運んでいた。
そしてこれまた一瞬の隙をついて、クムのアクスを弾き飛ばす。
「大した娘になったものだお嬢さん。だがもう少し楽しませてもらおうか」
と、ヤザンも最後のとどめとばかりに飛び掛かり、怯んでから体勢を立て直した矢先のクムも一瞬死を覚悟した。
しかしすんでの所でシールドをかざしてサーベルの斬撃を防いだのは、キッカのニュープラスだったのだ。
「大佐!」
「ごめんクム、この戦い、私たちの負けみたい」
そんなキッカにヤザンが呼び掛ける。
「やはりおいでなすったかキッカ大佐。その負け仕合を勝ちに転じてみるか」
その挑戦に受けて立つと言わんばかりにキッカもシールドを投げ捨ててからサーベルを構える。
しかし未だニュープラスの性能は十分に発揮されてはいなかった。

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第13話:明日への誓い<機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回のオルフェンズDAWNは、何者かにさらわれたタカキを救うため、また当のタカキ自身も自らの過去に向き合い明日へと進んでいく様を描く運びとなります。そしてその行きつく先やいかにといったところで、それでは、ごゆっくり。
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
 
第1話:暁に立つ
 
第2話:汚名
 
第3話:世界を知れ
 
第4話:アステロイドの猫
 
第5話:テイワズの息子
 
第6話:マクギリスの遺産
 
第7話:散る命、守る命
 
第8話:鉄血の志
 
第9話:クアールのガンダム
 
第10話:再び赤き星へ
 
第11話:出会いと再会と
 
第12話:復讐こそ我がのぞみ
 
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
 
 
予備選挙を前に何者かにさらわれたタカキ。救出作戦に乗り出さんとするライドたち鉄血隊。
まずは場所の特定を割り出さんとするが、いくつかのいくらか特定しているがそれらをしらみつぶしにすることはほぼ不可能である。肝心の予備選まで時間がなく、一つ場所を調べるうちに賊が別の場所に移る危険性もあり、それだけタカキの身にも危険が及ぶからだ。
そうこうとライドがしばらく思案をめぐらせるうち、一人の子供が心配で顔を出してきた。それはかつての仲間の面影によく似た子で、ふとライドも彼の面影を思い起こす、しかしそのうちに彼が命を落としたかつての闘いをも思い起こすうち、一つの場所を思い出す。それは奇しくもかつての戦いを指嗾した者たちの潜伏場所でもあった。
「そうか、そういうことだったか。たしかにあの場所は“あの男”にとっても絶好の潜伏場所だったからな」
会心の笑みに戸惑う子供に親指を立て「大丈夫、先生がいる場所を友達が教えてくれたんだぜ」と子供を安堵させ、作戦の骨子がまとまったと一同を集めた。
ライドが特定した場所を第一候補とし、そこから順番に最短コースで調べ、見つけ次第ライドを救出するといったものだった。もっとも第1候補の場所以外はライドの当てずっぽうで、それは雪乃と陽日はいくらか察知していたが二人はあえて言及しなかった。彼女たちとしても他に手段を見いだせなかったからだ。
ともかくも救出作戦が実行に移された。
一方GHの本拠の一室にて何やらの資料を目にしたガエリオは、早急なる対処を指示した。
 
出撃して程なく、とある廃ビル街にたどり着く。それは厄災戦で荒廃した旧市街を中心にした廃墟であった。そこに乗り込んだライドたちも、わずかに反応した温度センサーを頼りに反応があったビルに乗り込まんとする。
ビル内で賊との銃撃があったが、その都度テーザーで退ける。そんな中陽日は襲い掛かる敵を組み手で押さえつけたりもした。
そうこうとしていくうちに屋上にまでたどり着き、そこには誘拐犯のリーダーとフィオーラ、そして二人にとらわれたタカキがいた。そのうちに飛んできたヘリで脱出を試みようとした途中で会った。
駆け付けんとしたライドに応えたのはなんとタカキ。
「どうして来たんだ、俺にもしものことがあってもこの国や世界の情勢は変わらないはずだ」
そう告げてライドの救出を謝絶するも、
「そうつれないことを言うな。たしかに今お前が歩む路は俺たちと違えど、ここでお前を放ってけば、あの時死んだアストンに合わせる顔がない」
しかし、と言葉を詰まらせるタカキに、リーダーもお決まりの「少しでも動けばタカキ候補の命はないぞ」と威迫する。そのうちに脱出のヘリが近付いてくる。
しかしライドの表情は不敵そのもので、近付いてきたヘリがいずこかの狙撃を受けバランスを崩して屋上の一角に墜落していく。事前にライドから指示され遠方から狙撃したフラウロスによるものだった。
動揺するリーダーはともかく、吹き飛ばされたフィオーラは足を踏み外し屋上から落ちんとする。しかしそれを止めたのはタカキだった。
「どうして、私を助けようとするの」
「そうだ、たしかに君の父を撃ったのはわたしだ。かつて敵に内通して団を裏切り、結果多数の犠牲を強いた。その落とし前で撃たれるのは分かり切った。それで彼を守るために・・・・・」
「ええ、それだけを知れば十分です。本当を言えば父のことは知らなければよかった。でも知ったからには私なりに納得がしたかった。それで本当のことを分かればもう十分です。だから・・・・・」
「ダメだ、ここで手を離したら、今度こそ俺は人ではなくなる」
「よく言った、タカキ」
と、ライドのもとに駆け付けんとするライド。それを阻まんとするリーダーは暁のテーザーに撃たれて気を失う。
「俺も容赦しないよ。でも少し出力を下げたから死なないはずさ」
しかし駆け付けたライドはそのままタカキたちとともに屋上から飛び降りる。しかし飛び降りた先は前もって飛行機能を備えたMW。それを駆るのは雪乃だったのだ。
MWの天井から張り出したエアバッグで三人を受け止める。
こうしてタカキ救出は成功し、誘拐犯の身柄は先に通報した治安部隊に任せ、一路エドモントンに向かう鉄血隊だった。
その際にライドは陽日にあることを指示する。
 
こうしてエドモントンに舞い戻ったタカキは、一路議事堂へと向かう。その議事堂では何やらの通報を受け激しく動揺する議員がいた。タカキの政敵ともいえるシャルル・フリュウ上院議員。かつて蒔苗老の政敵、アンリ・フリュウの息子である。
どよめきとともに現れたのはタカキとその傍らの陽日だった。
まず演壇に立ったのはなんと陽日、手には1通のレポートが握られていた。
まず自分が蒔苗のひ孫であることを告げ、ギャラルホルンから贈られたレポートを読み上げる。そこにはタカキ誘拐事件の首謀者がフリュウ議員であること、無論指宿のことはあえて書かれなかったがそのバックには“事件”よりの反乱分子であることも書かれていた。そして決め手として登場したのがGH議長顧問でもあるボードウィン公ガエリオだったのだ。
狼狽するフリュウははじめ無実を訴えるも、証拠をもとに拘束され、自分勝手な理論でタカキらを危険人物と訴えつつ、議場の外へと連れ出される。
呆然とする議員をよそに、あらためてタカキは自らの方針についての演説を始める。それはガエリオも感心するほどの堂々としたものだった。
その後フィオーラは当局に連行されることになり、その一方で誘拐犯に同行していただけで、事件には積極的には関与していなかったこともあり、2、3年の懲役刑となる運びとなる。
そもそも父ラディーチェもジャスレイに言い渡されるままに鉄華団に参加したこともあり、その後の身柄をテイワズに任せるとジュニアも告げる。
「先の出来事で私も生き返ることができました。勤めを終えた後、やり直すことができれば」と告げた後で、護送車に乗せられるフィオーラ。感慨とともにタカキが見送るのだった。
一方ライドたちは報道を差し控えているものの、タカキを救ったサムライと誰もが称するに至る。
そしてガエリオもGH本島で会おうと告げ、ひとまず別れを告げるのだった。
その後、お忍びでライドのもとを訪れたタカキはライドと一緒にグラスを傾ける。もはや機会がないかということでひとまずは旧交を温めんとするのだった。
 
次回 機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズDAWN
女神再臨
今こそあなたの未来への資質、図らせていただきます、暁・ミクスタ・オーガス。

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今更ながら閃光のハサウェイを前知識ながら語る。

さてみなさん、今回は近日公開されるガンダムシリーズの問題作『閃光のハサウェイ』について語りたいと思います。
この閃光のハサウェイ、主なあらすじはUC93年のシャアの反乱から10数年後、ブライトの息子ハサウェイがテロ組織マフティーを名乗り地球連邦に対して反旗を翻す、というもので。たしかに編者が述べられるのはネタバレの関係もあってここまでにとどめるけれど。心情的に無情的なストーリー展開なので述べる気がしないのが本音でもある。しかしながらその後のF91からVのリリースを鑑みて、これも“歴史”なのかなといった想いもしないでもない。とはいえこれにも抵抗があるのもまた事実。その最たる要素はΞガンダムをはじめとする、ゼオライマーで有名な森木センセイのデザインである。これがどうやってUC、NTからF91に繋げるのかの疑問をもたげるのは編者だけではないはず。
その他述べるべきものもいろいろあるけれどひとまず置いて、結局ストーリーの舞台背景、特に政治状況に関してはVガンダムまでの考慮もあれど、やはりばかばかしさをも感じられる。結局はその当時の富野カントクの心情が左右されてしまったことも最大の要因なれど、それから頭を切り替えてかのF91以降のリリースを描いてしまったのも今となっては正解かもしれないし、少し無責任であることも否めない。
あと挙げたいのはこの作品がガンダム40周年ということでひとまずの映像化を試みたということで。やはり他になかったのかなといった想いもやはり抱いていた。といったところで編者の意見としてはこんなところか。

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第10話:宿敵の刃(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよティターンズ系の組織との抗争の末、かつての宿敵との対戦をいずれお送りする運びとなりました。はたしてその行きつく先は。そしてこのお話もひとまずどのような展開と相成ることやら、といった編者個人の不安を込めて、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)
第2話:生きるということ(その1)
第3話:継ぐものたち(その1)
第4話:月で待つもの(その1)
第5話:ガンダム、行きます!(その1)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
第9話:リッド奮戦
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
話は月グラナダのアストライア財団支部から始まる。
元WBクルーの一人、セイラ=マスことアルテイシア=ソム=ダイクンが創設したこのアストライア財団は、はじめ戦災孤児の保護育成から始まり、やがては旧ジオン軍将兵の社会復帰と人材確保を目的とした非政府組織NGOであった。
しかし後者についてはかつてのデラーズ戦役~近年再議論がなされ始めた~とグリプス戦役後期に台頭したネオジオン軍の台頭により事業を停滞させることとなる。さらには総裁のアルテイシア:セイラの身にも危機が迫っている事態にも陥っていた。
支部を訪れたカミーユは、支部長のリイナと、元旧ジオン兵で本部のエージェントである“曹長”を交えて会談が行われた。
「ジオン兵の帰順についてはわたしが今更言うことはない。先のトリントンに惨劇が彼らの旗色を決めたのも事実だ」
まずカミーユが話を切り出す。
「それでも、いまだ“袖付き”残党をはじめネオジオン派が総裁を狙っているのも気がかりなことです」
「やはりミネバ様の件もありますが、それについてはキッカ大佐にお任せするしかありませんね」
返した“曹長”の言葉に支部長のリイナが応えつつ、肝心の話題について語り出す。
「ところで先の事件に合わせてか、連邦の不穏分子、いわばティターンズを中心とした反乱が活発化しています」
「・・・・・」
カミーユも沈黙で応えるも、リイナはあらためて懸念を伝える。
「でも、ネオジオンはともかくティターンズは、依るところはないはずなのに」
「そう、もはやジャミトフもシロッコもいない今、一部脱走してそのまま群を抜けた者を除いて彼らが依るところはない。かといって原隊にも戻れず今に至った。俺が言うのも何だが彼らの妄動には責任もある。それに関してはあらためてウォンさんと相談してみるよ」
リイナも“曹長”も重くうなずく。
「こうなってしまえばキッカ大佐に頑張ってもらわなければ・・・・・」
言葉を詰まらせつつ“曹長”が告げるのを、了承の意を表情で伝えつつカミーユは場を外し会談は終了する。
 
連邦軍の臨時宿営地に到達したTW。
第2次ネオジオン抗争より再び活性化した旧ティターンズ系の動乱は欧州、アジア、そしてここアフリカと各地で勃発し、軍もその鎮圧に奔走させられるも、示し合わせられたかのごとくアフリカへと撤退をしつつ集結していったのだ。
ジオン系とは違い勝手知ったる間柄なだけに、というよりもそもそもグリプス戦役がアナハイム系列の出来レースだった要素も関わり、ラプラスの動乱にも乗らずに動向をうかがってきたのだ。
そんな状況の中でキッカたち特務部隊の介入と相成ったのだ。
 
「それでは、全体的にお互いに戦力不足でこう着していると」
「はい、そんなところで」
宿営地の司令官に状況を聞くキッカ。たしかに停滞していったのは事前に聞いていたが、こうも深刻だとあきれるどころか同情すら感じている。しかし任務が任務なのである程度収めなければならない。
「分かりました。こうなれば我が部隊が善処いたしましょう」
「はっ、ありがとうございます」
お互い敬礼を交わしキッカは司令部を後にする。
 
一方で残党軍の方も。
「我々の方もいずれケリを付けねばならない。今更ジャミトフ閣下や、シロッコ大尉への義理は薄い。かといって原隊に復帰するにしてももはや遅きに失している。もはや徒花となった我らの最期の部隊に恥じぬ戦いをするしかない。補給の件に関しては感謝にたえない」
残党の筆頭格の男が今回補給物資を送った“スポンサー”に告げる。そのエージェントの男も軽くうなずき了承の意を伝える。
「これで俺たちも英雄なり悪党なりと歴史に名を残すことができる。ましてや相手があの最後の勇者どのだ。はるかグリプスで散った英霊どもに恥じぬ戦いをしようではないか」
筆頭の言葉に他の仲間も完成で応える。それに対しエージェントも皮肉と同情を込めての笑みとともに、一礼の後この場を後にするのだった。
「彼らに対する仕事はこれで済んだな。これも新たなる時代への架け橋に、はたしてなるかな」
荒野をかける地上車とすれ違いに、一機のMSが飛び去っていく。さしものエージェントも軽い戦慄を覚えずにはいられない。
「あれは、バイアラン。トリントンの新型とは違う改造型の奴だな。まさか今回の件を察知してか・・・・・」
ひとまずの懸念をよそに地上車は荒野を走り去っていくのだった。
そして件のバイアラン、そこに搭乗していたのはこれからティターンズ残党軍に対するキッカたちにとってまさに宿敵ともいうべき男であった。
 
それと同じ頃、月のグラナダではアナハイム本社の一室でたたずむカミーユが映し出された地球を見やりつつ独語する。
「やはりお前も、戦いつづけているのか、ヤザン=ゲーブル」

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第9話:リッド奮戦(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、リッドのジオングとギルダスたちのリ・ガズイとの追撃戦が繰り広げられ、そこに1機のMSが介入する戦いの運びをお送りいたします。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第9話:リッド奮戦
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
リッドのジオングに近付いてくるのは3機の戦闘機。これには見覚えがあった。レトーやジョアンが対峙したあの戦闘機に可変するMS、リ・ガズイだったのだ。
「あれってリ・ガズイじゃない、てことは、キッカ大佐の」
先の戦いの教訓もあってか、すかさずリッドも逃げに入る。たしかに改良バーニアの効果もあり、大気圏内中でも十分な推力と飛行性能があり件の3体の機動力にも引けを取らない。加えて火力等の戦闘力もかの一年戦争で猛威を振るったシャア大佐の機体を凌駕している。しかし先の事情からひとまずは離脱せんとするのだが。
「あれ、こちらに気付くなり逃げてったぞ」
「敵の斥候かな、だったら落とすなり捕まえるなりして出鼻をくじくのもいいかもしれないな」
「まあ大丈夫だよね、こちらは3機だから」
というわけでギルダスたちも追撃に入る。
 
「リ・ガズイ3機、目標を補足」
オペレーターの報告をブリッジで受けるキッカ、すでに配備についているノックスとトーレス、加えてクムもひとまずブリッジに上がっている。
「・・・あれ、あの機体の感じって」
「なにか、感じたのか」
ノックスがクムに問う。
「はい、先に対した敵と同じ感じがしたのです」
「そういえば、先に対したザクのパイロットは子供だって言ってたわね」
「はい・・・・・」
クムの応えにキッカも一旦考え込んでからオペレーターに告げる。
「出撃してすぐだからすぐに帰還もできないでしょう、たしかにクムの言う通りの相手なら、勝ち目なしとみれば逃げに入るはずかもしれません。ここは頃合いを見計らって対処します」
ひとまずそう告げて正面モニターをじっくりと見守るのだった。
 
キッカの読みは当たり、リッドははじめから逃げの態勢に入る。しかし相手は3機、3方向からリッドを包囲せんとする。
対するリッドもやはりNTの感からか、3機の軌道を読んでジオングの動きをコントロールしていく。
しかしそれはギルダスたちも読んでいたか、MS形態とMA:ウェイブライダー形体と可変を繰り返しなんとかリッドについていこうとしたのだ。
もちろん砲撃を交えてのことだが、ギルダスたちはあくまで威嚇、対するリッドも応戦一方でやはり本気で当てる気はなかった。
「やっぱ読み合いはこちらが上か、しかしこちらも本気の上だ、捕まえるか、撃ち落とすかはたまた、いずれにしても覚悟を決めなきゃな」
「こうなることは覚悟していたけど、まだ戦争は終わったわけじゃなかったな。こうなったら一刻も早く離脱して兄貴たちに報告しなきゃ」
ギルダスとリッドの想いが交錯する中、ジオングとリ・ガズイの追撃はなおも続いていた。
 
一方の地上では、上空の4機の追撃戦を目の当たりにしたレトーのドムが岩陰から見守っていた。
「えっと、やっぱキッカ大佐の部隊かな。だったらこちらもなんとか援護して・・・・・」
レトーも乗り出さんとするのだが、
「引っ込んでろ」
と、いつの間にか姿を現した1機のMSがレトーを制する。それはグリプス戦役に猛威を振るった機体バイアランだった。そういえば先のトリントン戦のカスタムに比べ、そちらは旧型をリチューンした感があった。
ともかくもそのバイアランは飛び立っていく。その間レトーもそれから発した一種のプレッシャーに押されてか、身動きが取れないでいたのだった。
「あれ、大丈夫、かなあ」
いずれレトーも見守るしかなかったのだ。
 
ギルダスたちとリッドの追撃戦はなおも続いていた。しかし小一時間続いた追撃はいずれもスラスターの燃料が底をつきかけてきた。
「わっ、もうすぐ燃料切れだ、このままだと地上に落ちちゃって、下手したらやっぱり捕まっちゃう」
「こちらも燃料切れか、何とか追い詰めればいいけどな」
そんな折、ギルダスにTWからの通信が入る。それはジオングの機体構造だった。
「・・・これは、何だって、敵のコックピットは頭部にあって万一撃っても頭が脱出できるんだな、それを早く言ってくれよ。でもこれで戦いやすくなるかもな」
といったところで最後の攻勢にかけ、ギルダスが追い詰めんとするのだが。
突然一筋のビームが、続いて1機のMSが飛来して割って入る。それはレトーを制し飛び立ったあのバイアランだった。
しかもそのバイアランから発せられたのか、それのパイロットのプレッシャーを感じてか一瞬リッドもギルダスたちも怯んでしまう。
そのうちバイアランはジオングと接触する。
「・・・わっ、捕まっちゃった」
しかしバイアランから通信が入る。
「大丈夫か坊や、助ける義理はないが、さしあたりここは逃げるとしよう」
「あ、え、うん・・・・・」
と、スラスターを全開するバイアランとともに戦場を離脱するリッド。
あまりの手際の良さにあっけにとられつつ、TWからの信号弾を確認するギルダスたち。
「ひとまず作戦終了か、仕方がない」
ひとまずギルダスも帰還の途につくのだった。
 
「申し訳ございません」
帰還してすぐにブリッジに上がり、代表でギルダスがキッカやノックスに謝する。
「相手が相手だからね。たしかに深追いは戒めるべきだから。しかし信号弾に気付いてくれてよかったよ」
「はっ!」
返すノックスに3人が応える。続いてキッカも意見を述べる。
「でもジオングだけじゃなくてバイアランも来たとはね。トリントンで活躍したものとは違う。前々からの機体に手を加えたものというから、それに関して気を付けなきゃいけないわね」
そしてトーレスが結ぶ。
「前にも言ったが、こちらも小言はここまでとして、君らも反省すべきは反省だけるだけ良しとしよう。それから次の任務に活かせればいい」
「はっ」
トーレスが頷いて後、キッカが告げるのだ。
「うん、それではそれぞれ自室に戻ってよろしい。本当にお疲れ様」
「はっ!」
こうして3人はブリッジを後にする。自らに厳しさを心がけつつ、穏やかながら重いキッカの言葉に3人もあらためて身を引き締めるのだった。
「でもバイアランのあのプレッシャー、あれほどの荒々しさ、あれが敵に回ればどうなるか・・・・・」
そういえば傍らのクムの内心の動揺、やはりただ事では済まされないことをキッカは悟った。
「大丈夫、クム」
「あ、はい、あの、大佐・・・・・」
「ええ、私も大丈夫。ここはいいからゆっくり休んでいて」
「はい・・・・・」
自分の想いも読んでいると踏みつつ自らの懸念を呑み込みながら、重い敬礼の後でクムもブリッジを後にする。
 
一方で通常移動で大地をかけるドムとジオング。
「無事でよかったな、リッド」
「うん、どうなるかと思ったけど、でもキッカ大佐の部隊だったなんてね」
「まあ、兄貴の言葉じゃないけどあの人たちとは因縁ってのがあるかもね」
「そういやあのバイアランの人は途中飛び去ったけど。もしかすると大佐の部隊と戦おうとするのかな」
「いずれにしてもただ事じゃないかもしれないからな。こいつは兄貴と相談しようか。おっとその前に」
「うん、データを言われた場所に届けなきゃね」
というわけで、リッドとレトーはこの場を去っていく。
 
こうして大いなる任務の前のささやかな戦闘は終わった。
 
今や叛乱の徒となったティターンズ部隊。それを収めんと乗り出したキッカたち。
しかしその前にかつての宿敵が立ちはだかるのだ。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『宿敵の刃』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

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第9話:リッド奮戦(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、アフリカにて戦線を張っているティターンズ残党に対するために赴くキッカたち。一方かつての宿敵ある男と隠された英雄との邂逅の様を描く運びとなっております。
はたしてこの先どう転ぶというのか乞うご期待、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第9話:リッド奮戦
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 とあるダイナーにてひとりの男が食事をとっていた。そこに後に入ってきたもう一人の男が少し間を取りつつも隣の席に腰を下ろす。
彼らはお互い知らぬ仲ではなかった。否、この二人の素性を知っていればある種の緊張を覚えずにはいられなかった。
「・・・ああ、あんたか・・・・・」
そんな周囲の雰囲気をよそに、先の男は食事を続ける。その言にはいささかの警戒もなかった。
「俺も最近何かと要りようになってな、そういえばそちらも随分羽振りは良くなったとみえるが」
そんな周りの雰囲気を読みつつ、後の男も話をこう切り出すと、
「これでもそれなり肝を握られるからな、それなりの報酬はもらっているが」
と、先の男のコウも返す。
マスターもおそるおそる後の男に注文をたずね、男は「いや酒はいい、ソーダだ」と応える。続いて、
「丸焼きかステーキか、肉なら何でもいい」
と不敵な口調でマスターに告げてからコウの方に向き直る。
「そういえば“あいつら”も最近の争乱に合わせて動き出してると聞いたが」
そんなコウの問いに男も面倒くさそうに返す。
「やはり“姫君”からか、それともウラキ博士か」
「さあ、どっちかな」
コウもはぐらかしつつも男の応えを否定はしなかった。
「いずれにせよ俺自身は今さら関わりたくはないがな」
「そうだな、俺としてもあんたと戦わないに越したことはない」
男の率直な応えにひとまずの満足を覚えたか、コウもさりげなく後にする。
「今度会う時もこうやってメシを食いたいもんだ。それよりも親父、注文したものはまだか」
「は、はい、ただいま」
と、マスターが先に焼き上がったローストポークを差し出す。
やはりこの男について、下手に関わればどうなるか分からないので、誰もがひとまず距離を置こうとする。それですらも男は楽しんでいるきらいがあった。
その男、ヤザン=ゲーブルも切り分けた肉塊を頬張りつつ、一人物思いにふける。
「とはいえ、あの嬢ちゃんには今更ながら興味がわいてきたな。さてどうしようかな」
 
今回の任務、旧ティターンズ系の反乱分子の取り締まりについて、主要なメンバーでのミーティングを開くことになった。比較的大規模な作戦になると踏んでのことである。
とはいえ作戦の骨子は半ば決められていて、そこから各自の意見を聞き、各員の配置と作戦行動等の詳細を決定するのだ。各自活たつなる意見を述べるようとトーレスが告げ、まずはアレンが切り出すことになるのだが、
「我々が対するのはティターンズ系の残党が中心となっていると聞きますが。今や連邦の反乱分子という・・・・・」
キッカもうなずきつつ軽く指をさし、言を途切れさせ恐縮するアレンに対し軽い面持ちで指を引き、アレンの言を肯定して返す。
「そうね、でも実を言うと私もそのティターンズについてはそうそう敵意はないのよ」
キッカの言にトーレスも腕を組みつつ軽い口調で付け加える。
「まあ、彼らも悪く言えばジャミトフやバスクに唆され、かといって復隊もできずに今に至ったということだな」
なぜかミウも居合わせて軽くうなずく。多少なりの関係者ということでノックスに勧められた。もちろんキッカの了承も得てである。
「そうですね、あの時のことはともかく私も大佐と同じ意見です」
続いてクムが自らの気持ちを述べ
「ともかくも今から対する彼らについては、やはり反乱分子として処理するしかないか。とはいえなるべく穏便に済ませよう」
司令官の薫陶が著しいのか、ひとまずトーレスが話をまとめるが、艦内に警報が走る。
『未確認飛行物体が当艦付近で飛来しております、映像、こちらに出します』
ルームのモニターに映し出されたのは一機のMS、下半身が巨大なスカート形状で脚部は見受けられない。
「・・・これって、ジオングじゃない。先のネオとかいうジオングもどきとは違う・・・・・」
軽い驚愕とともにキッカが述べ、誰もが軽い戦慄を覚えた。たしかにラプラス事変等で猛威を振るったネオジオングのこともあり、やはり警戒せずにはいられない。
クムの「・・・どうします、大佐」との問いに、
「もちろん対処するしかないわね。かといってここで足止めするわけにはいきません。そこで調査等の対処の為に、リ・ガズイ3機に任せます」
キッカの指示にアレンたち3人が「はっ!」と立ち上がり応え、直ちに部屋を後にする。
「くれぐれも気を付けてね」
とのキッカの呼び掛けに去り際で礼をしつつ準備を整えんとするアレンたちだった。
 
話を少し戻して、
中央アフリカの荒野、そこに一機のMSジオングが、巨大なスカート部分のスラスターを駆使して大地を駆けていた。
「すごいな、ザクより一回り大きいけど小回りがきいてて楽しいや」
かれこれ小一時間経ったか、リッドはいずこかへと連絡を取る。
「走行データはこんなものかな、それじゃあこれから飛行テストに入ります」
「了解」
こうしてスラスターを全開にして天高く飛び上がる。
「やっぱり宇宙もいいけど、飛ぶんだったら地球の大空だな、これも風を受けて気持ちよさそうだからね、って・・・・・」
モニター脇のレーダーの何かに気が付くリッド。
「いけない、飛んでいるうちに何かに近付いたんだ。連邦の機体だったらどうしよう、って・・・・・」
すかさず地上に連絡を取ろうとする。しかしレーダーからさらに三つの反応が現れる。
「そんな、こんなに速く近付いてくるなんて」
やがてその反応の主、三機のリ・ガズイが使づいてきたのだ。

 

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