ガンダム

第9話:リッド奮戦(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、セイラとの会談に先立ちアフリカの争乱の平定を要請され次の戦場へと向かうキッカたち。その一方でアルセス一派の新たなる力を得るいきさつを描く運びとなります。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者
(その1)
(その2)
(その3)
第2話:生きるということ
(その1)
(その2)
(その3)
第3話:継ぐものたち
(その1)
(その2)
(その3)
第4話:月で待つもの
(その1)
(その2)
(その3)
第5話:ガンダム、行きます!
(その1)
(その2)
(その3)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
月のアナハイム本社、その近くのカフェにてカミーユとニナ、そしてアルが会談を行っていた。その内容がアルのフロンティア社が手掛けたスラスター関連であった。
もともとMSの開発について一年戦争時代の連邦、ジオン間のMS開発会社の競合からそれ以降のアナハイムのほぼ独占状態の中傘下の各社が水面下で研究開発の競争を繰り広げていた。
かくいうアルも苦学の末、月で小さな整備工場を開き、その手際の良さをカミーユに見初められ、やがてはニナ、そしてウォンらと知己になり、現在のMS開発に協力することとにもなった。その一方でかつてサイド6にての事件を体験譚として著した著書から反戦主義者とも目されるが、先のカミーユ達、そしてキッカとも、傍目から見れば奇妙な関係を築くにいたったのだ。
さておき会談もある程度進み、新性能の従来型MSについて話が進む。これは先のキッカとアルセスの会戦を居合わせたバナージがカミーユに伝えた事案から開かれたものだったが。
「やはり君たちの他にも新型のスラスターの研究が進められたというのか」
「たしかにそのようです。実際問題で僕の社がリードをする形となりますが。これはアナハイムの力添えがあってこそです。もし他の競合社にそれなりの資金と技術があれば」
「フロンティア以上のスラスターの開発、ひいては新型のMS開発も困難ではないということですね」
カフェの一室でカミーユ達が肩を並べて話し合う。その周りをアナハイムのエージェントが守りを固めているが。
「しかし他社はともかく、アナハイムの方でも新型のMS開発が進められている。もっとも僕に言わせればスラスター頼りのものだが」
「懸念すべきはサイコフレーム関連のものですね。フェネクスの件もあって非人道的なニュータイプの研究はほとんど凍結されました。しかしその分」
「スラスターの強化につながりましたか。今更いえばいたずらに性能を強化しても意味がないと思いますが」
「まったくその通りだ。今更ながら俺も戦いたくて戦ったわけじゃなく、これ以上の戦いも好ましくないのには変わりはない。やはり頼みの綱はミネバ姫とダイクン女史、そしてキッカ大佐だな」
カミーユの言葉で一応の結論が導かれた。それにニナが応える。
「そうですね、今はあの人たちに任せましょう。それに・・・・・」
ニナの言葉が途切れるも、二人が沈黙で応答する。かくして会談を終え席を離れる。
 
TWはオデッサを発ち、現在北アフリカの大地を飛んでいる。
先に基地の司令が病室を訪れ、反乱部隊の鎮圧を要請してきたのだ。たしかにキッカとしても今後の会談のため、セイラのもとを訪れなければならなかったのだが。大局的には急ぎの用でもないと判断し、傍らにいた財団のエージェントたる“伍長”の了承を得てこの場を後にする。
「それでは、こちらも総裁に伝えておきます」
「ええ、こちらもよろしくお願いします」
「体には気を付けろよ、もちろん俺も気を付けるから」
「はい、そうですね」
といったところで次なる任務にあたるキッカ。クムたちの会話を交えて帰路につく。
「少し残念でしたね」
「そうかしら、これも任務といえばそうだけど、たしかにセイラさんの件もあまりのんびり構えられないけどね」
アストライア財団の総裁として本名のアルテイシアを名乗っているが、キッカにとっては“セイラ・マス”の名で通していた。そんな彼女にクムも想いを馳せつつ、つい言葉をもらす。
「それにしても先の戦乱でセイラさんも肩身が狭い想いをしていますよね・・・・・」
「そうね、たしかにあれ以来行動を控えていたけれど財団も陣容が厚いからそれなり動いているのよ」
「やはり・・・“あの人”が関係、している、でしょうか」
「・・・・・そんなところねえ」
クムの言葉が詰まり気味になったのは、やはりセイラ:アルテイシアの兄キャスバル:シャアあるいはクワトロのことだろうとキッカも察したのだ。
「まあいずれにしても、今の任務をこなしてから臨むことにしましょう。ここは早速先輩やトーレスさんにも連絡を」
「ええ、そうね」
ライエルの言葉にキッカとクムが頷き、TWへと向かう。
 
変わってアルカディアの“CLUB EDEN”
手痛い敗北を喫しながら、キッカの特務隊との対戦で高評価を得て、アルセス一党の装備の充実、ことに大破したザクの代わりのMSを配備することとなる。
「僕の新しいMSをくれるというけど、どんなものになるのかな」
率直なリッドの問いに、スポンサーのエージェントが傍らの端末を見せる。
「こういったものになりますが」
端末のディスプレイに映し出されたのは、リッドはともかくアルセスですら見知っている造形のMSだった。それを見てリッドは一言、
「足ないじゃん」
失望というにはそっけない言のリッドに、ひとまずはなだめるようにアルセスが告げる。
「たしかに当時は未完成品だったが、今と製造スペックから違うからな。これでも十分に完成品なんだ」
「本来は宇宙戦用に開発されたものでしたが、大気圏内でも十分に活動できるように当方でも調整いたしました」
「でも、これって最近同じような名前の奴がいたよね」
「あのバケモノとは一味も二味も違うさ。先のア・バオア・クー戦と同じようにこいつで大空を縦横無尽に飛び回れる」
むしろリッドを励ますように告げるが、当のリッドもひとまずは冷静に応える。
「それもそうだけど、ひとまずは兄貴の言うことには従うよ。それで、次どうするの」
先の宇宙での戦闘もそうだったが、こういう新装備の受理には何やらの依頼が伴うが常なのだ。
「あ、いえ、アルセス氏がおっしゃった通り、大空を駆け巡るだけで結構です。文字通り大気圏内での飛行性能を測りたいのです」
「ふーん、そうなんだ。まあ兄貴の手前もあるけど僕もそう文句はないよ。どんな形でもMSに乗るのは楽しいし」
「うん、リッドがよければいいが、俺としてもこの手のタイプとしてはやはり旧型だからな。何せこれを発展させたものが最近でも暴れ回ったじゃないか」
実はアルセスが言っていたのは、トリントンでジオン残党軍を押し返したバイアランのことである。たしかに今回のMS、ジオングもそれに比べればいまいち見劣りの感もあるのだが。
しかしこの場を取りまとめんとエージェントに告げる。
「とにかくだ、受け取ったからには俺たちも仕事はこなす。マイツァー氏にそう伝えてくれ」
ブッホのエージェントもそれに頷き、続いてリッドにも告げる。
「今回の任務の一切はお前に任せるが、くれぐれも無理はするな」
「うん」
リッドもしっかりと応える。こうしてリッドによる、受領した新装備のMSジオングでの機動及び飛行訓練が執り行われることになるのだが。

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第8話:老兵は語らず(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、成り行き対することとなったキッカとマツナガ。その勝負の行方と戦後の処理に奔走する人の様をお送りできればと思い今回の記事といたしました。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第8話:老兵は語らず
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
ジオン残党軍、というより元ジオン軍兵士の子弟の愚連隊たちによるオデッサ基地の襲撃事件は、それを止めんとしたシン=マツナガ元大尉の介入の後、なし崩し的にキッカとの一機討ちという事態に陥った。傍から見れば単なる私戦に過ぎなかったが、何せ相手が相手、いずれかが挑むでもなく成り行き上そうなったのだ。かくしてキッカのニュープラスとマツナガのザクⅢとの対戦が始まる。
はじめ両者ともフィールドへと歩み、その周りをクムたちが囲む。万が一キッカが不利な状況になればいつでも援護できるように。それこそキッカの敗北が決まっていたが。
(まあ、はじめから負けを意識しても意味はないけれど・・・・・)
まずは両機ともビームサーベル・ビームアクスを繰り出し、剣撃戦に持ち込む。はじめ形式に則り、次第に相手に実力を図りつつ自身の技量で勝負する。実際問題銃撃戦に持ち込まんとすると周囲の施設の被害を被ってしまう。それはマツナガも同じで無駄な被害は出したくないのが正直なところ。
それでも勝負はいたって真剣そのもの老練なマツナガに対しキッカも果敢に受け返す。
ちなみにいえば最新鋭のニュープラスに対し、ザクⅢは第一次ネオジオン抗争の頃、すなわち10数年前の機体だが、その後のチューンナップとカスタマイズで現在にも通用する性能となっていた。
勝負は10分以上にわたって続けられ、お互い互角に仕合が運んだかに見える。たしかに機体の性能は全性能を解放していないとはいえニュープラスが上だが、経験と年季は圧倒的にマツナガが上だろう、しかしマツナガに言わせれば「機体の性能を引き出せるのもパイロットの能力だ」という。
「・・・見事です・・・・・!」
キッカも思わず感嘆の声を発する。
「いや、貴官の実力もこれほどとは、やはり貴官も戦士だったか」
「身に余る、光栄ですね・・・・・」
そして再び剣撃を繰り広げる。しかし争乱そのものはかたが付いたが、この一戦は未だ続いている。誰もが酔狂と知っていながらこれを見守らずにはいられない。しかしこんな戦いもいつかは終わる。しかし問題はその終わり方だ。どちらかが倒れれば済むことだが、それはあまりにも単純すぎ、傷も小さからぬものだろう。しかしその想いすらも目の前の勝負で描き消えるかに見えた。
 
その時、銃砲音が鳴り響く。それにいち早く反応したのはTWのトーレスだった。
「今、誰が撃った!?」
周囲を見渡してもクムやアレンたちは一歩も動かなかったことが分かった。そのうち撃ったのは基地から離れた場所、遠方からの信号弾と判明した。おそらく今回の関係者(らしきもの)が頃合いを見計らって撃ったものだろう。
実際ニュープラスもザクⅢもお互いの腹をサーベルとアクスでとらえたが、一瞬寸止めでとどまった。これが信号弾と前後したのは幾人か気付いたのだろうか。ともかくも2機は互いの刃を収めてから間合いを放していき、ついにはマツナガが基地を後にせんとした。
「ここの勝負はひとまず預けよう。貴官も小官も未だやるべきことがある。この戦いで命を落とすはあまりに愚劣。それから同胞諸君、貴官らを引き止めるが本来の目的なれどこれも遅きに失したのも事実、ここは潔く退くとしよう。恨みに思われるは勝手なれど悪く思われるな」
といってマツナガのザクⅢは去っていく。その様を捕まった反乱兵の全ては敬礼で送り、ついで確保した基地兵士たちもそれに倣う。そしてキッカたちもコックピットから身を乗り出し、敬礼で送るのだった。しかし、
「それにしても、誰が信号弾を揚げたというの」
と、キッカをはじめ、誰しもが軽い疑問を覚えつつ。
 
その信号弾が揚がった地点、そこには1機のドムが立っていた。アルセス一派のレトーだった。
「しかし兄貴の指示で信号弾を揚げたはいいけど、連中無事逃げられたかなあ。うん、あれは」
レトーが立っていた高台のふもと、何故か白にリペイントされている1機のドムが基地に向かっているではないか。
「あれ、白いドムって珍しいな、誰かは知らないけどやっぱドムは黒だぜ・・・・・」
見ればこの白いドムは白旗らしき布を背部サーベルの柄に括り付けて、こちらに気付いたか、後ろを振り返りつつ敬礼で去っていくではないか。それにはレトーも敬礼で応える。
「あれって何やら交渉のために行くのかな、そういやあの白旗に何か描かれてたけど。あれはナントカ財団の紋章だったな。おっと長居は無用だった、早いとこ帰らないとな」
と、レトーもこの場を後にする。後にあの白いドムに搭乗していたのはアストライア財団のエージェントだと判明するのだが。
 
戻ってオデッサ基地。確保された襲撃犯たちは今回の件での取り調べを受けていた。
「・・・俺たちはかつてのジオン兵の子弟で、親父たちの機体を今の技術で補修し、それなりの装備で主に故郷の警護に当たってきたんだ。
たしかにジオンの自治権の放棄に関してはある程度の想いもある。
今回の依頼もある指示からの依頼だった。それが誰かは先方が明かさなかったから分からずじまいだったが、前金を受け取ったので後戻りができず今回の事態になったわけだ。
家族にはその前金でいくらか潤ったので問題はないから、俺たちはいかなる刑に服しようが構わない・・・・・」
「うむ、長くても1年だが、そういえば財団からエージェントが来て今回の事態にいくらかの保証をするという。しばらくここでの収監の後君たちの身柄を引き受けることになるが・・・・・」
「ああ、いずれにせよ、世話になるよ」
 
件の白いドムに搭乗したアストライア財団のエージェントは、ここ最近の争乱、ことにトリントンの惨劇を受け頻発する旧ジオン軍残党の争乱に対しこれ以上の妄動を食い止めんとすべく近年各地を奔走していたのだ。そんな“彼女たち”はキッカにとってもカイにとっても知らぬ顔ではなかったのだ。
「やっぱりあの人は」
「知ってるんですか、大佐」
クムの問いにわずかな記憶から“彼女”のことを思い出す。
「やはり戦後にセイラさんが引き取ってから今でもそこで働いているんだ。やっぱり今回の件で来たのかもしれない。いずれにしても」
クムに頷きで応じつつ、ブリッジを後にする。
「私自身も赴かなければいけないわね」
続いてノックスもライエルに同じ仕草でキッカに同行させる。
 
そのエージェントについて、今の時点では詳細は差し控えることにするが、かつてのア・バオア・クー戦において何らかの形でホワイトベースに攻撃を加えた後で脱出。仲間と合流したのはいいが連邦軍に拿捕される形でそのまま捕虜にされるも、数か月の勾留の末、アストライア財団を創設したセイラに保護され、そのままそこで働くことになり今に至ったのだ。
このようにキッカ、そして病床のカイにも因縁がある彼女だが、彼女もまた本当の意味での戦乱終結のために働いているので。その縁で直接会おうとするのだ。もっともキッカの立場上副官たるライエルとクムを伴ってだが。
こうして交渉を済ませ、今だ病床にいるカイのもとを訪れた彼女。そんな二人が待ち構える病室を、キッカが訪れてある程度の旧交を温めつつ。セイラの親書を受け取るのだった。
 
セイラのもとへ向かわんとするその前に、新たな任務の要請を受け南へと向かうキッカたちのもと、再びかつての好敵手たる彼らが立ちはだかる。そんな中かつての名の姿もあり、それを駆るのは未だあどけなき少年だった。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『リッド奮戦』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

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第12話:復讐こそ我がすべて<機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回のオルフェンズDAWNは、いよいよ地球に降り立った鉄血隊。そこではかつての旧友タカキが下院議員の予備選挙に臨むためその護衛を担うことになるのだが。そこで待ち受ける事件の顛末までをお送りする運びです。
はたしてその顛末やいかにといったところで、それでは、ごゆっくり。
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
 
第1話:暁に立つ
 
第2話:汚名
 
第3話:世界を知れ
 
第4話:アステロイドの猫
 
第5話:テイワズの息子
 
第6話:マクギリスの遺産
 
第7話:散る命、守る命
 
第8話:鉄血の志
 
第9話:クアールのガンダム
 
第10話:再び赤き星へ
 
第11話:出会いと再会と
 
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
 
 
ドルドでの騒乱もひとまずかたが付き、次なる任務に臨むべく、いよいよ鉄血隊も地球への降下の準備にかかる。
まずは訪れたスーツ姿の紳士がクアールに用があると近付き、ライドの付き添いのもと、数枚の書類の署名の要請をする。
実は紳士はGHの士官で、書類は襲撃事件の始末書とオセの譲渡証明書などがそれで、これでオセが晴れてクアールの乗機となるのだ。やはりこれもガエリオの配慮だろうとライドは踏んだのだが。
その後で今度はジュニアからテイワズ支部に出向くよう言われ。今度は鉄血隊全員の付き添いで、陽日並びにクアールの分の盃の儀式を簡略化ながら取り行うことになる。
先に報されすでに身構えた陽日ははともかく、多少の戸惑いがあったものの先のユージンたちの言葉を思い出しクアールも謹んで儀式に臨むのだった。
こうしてドルドでの準備を全て片付けて、鉄血隊は地球へと降下するのだ。その際にジュニアもエドモントンにある支部の視察を名目に同行するのだが。
地球に降り立った鉄血隊は、かつて蒔苗が亡命時に逗留した別荘地で、その後の騒乱を経てオセアニア連邦の管理のもと、ロウ社を中心に施設の整備を行い今に至ったその別荘にたどり着く。
予備選までにはまだ時があり、数日の間英気を養う形で鉄血隊はこの島に逗留することとなった。
そんな中、水着姿の陽日をはじめ、恥ずかしげに水着に着替えて現れた雪乃とクアールは、春奈に連れられて現れた。それにはラッシュをはじめ暁たちも少し視線を外し気味だった。
それぞれがビーチでの一時を過ごしたその夜、タカキたちが滞在する別荘に一人の男が訪れた。ライドが言うにはタカキの弟、つまりタカキの妹フウカの夫であるタカキの側近の男だった。
少々気負いのある男が言うには、きたる予備選を迎えるにあたり、裏面で不穏な空気が漂っていた。ことにタカキの陣営を中心として裏でよからぬ策動がもたらされていたのだ。
現在アーブラウの政情は次の通りである。
前代表のアレジ氏の死去に伴い、後継には蒔苗老の元秘書の山田氏が選ばれることになり、併せて山田の秘書として働いていたタカキが下院議員として出馬することとなった。年はまだ若いながらも実績と人望は申し分はなく、議員選出は確実なものとなっていた。しかしまったくの問題がないわけではなかった。
まず阿羅耶職の被術者であることは前々から明かしていてさして問題というわけではなく、加えて元鉄華団員というのも“事件”前に脱退していたのでこれまた問題にはならない。
あと残る懸念は彼が手を汚したかどうかだが、戦時中なら仕方がないと誰もが思ったが、ジュニアがもたらした情報は特にライドを驚愕させた。
かつて鉄華団地球支部のお目付け役としてテイワズより派遣されたラディーチェという男がいて、アーブラウの争乱の後に発覚した内通の落とし前のために、あえてタカキがその手にかけたという。
これも戦時中なので仕方がないことになるが、問題はラディーチェに当時幼かった娘がいた。あの戦乱の後、名瀬のはからいで母親とともに生活の保証をしていたが、後の“事件”から程なくその消息は途絶えてしまったのだ。
ラディーチェの件は対外的には戦死扱いとしていて真相は明かされなかったが、それを明かしたものがいるとすれば、その娘が父の仇とタカキを狙わんとすることは十分に考えられる。
心当たりがあるとすれば今までの敵対組織が考えられるか。そんな折腹心の男が一つの情報をもたらした。予備選にはタカキの他に対立候補がいるが、まともに戦えばひとまず勝てる相手ながら、そのバックにはかつて蒔苗と対立したアンリ・フリュウの息子シャルル上院議員がいて何やらの策謀を仕掛けてくるというのだ。かくいう彼もそれを鉄血隊に知らせるため、お忍びかつ命がけで島へと赴いたのだ。
ともかくも彼の警護を兼ねて、後に用意された輸送船にて一路アーブラウ領へと向かうのだった。もちろん暁たちが交代で船の警護にあたって。
 
そしてアーブラウ領のバンクーバーへとたどり着いた一行は、衝撃的な報せを受ける。何と予備選を控えたタカキが何者かにさらわれたというのだ。
ひとまずタカキの陣営近くの小学校を訪れるライドたち。そこにはタカキの身を案ずる、今は学校の先生の職に就いている妹のフウカと、彼女の教え子の子供たちが待ち構えていた。ことに子供たちにはかつての仲間たちの面影を見て感じ入っていたライドに子供たちは「先生の友だちの人ですね、タカキ先生を助けて」と懇願され、己の思いをも込めて「大丈夫だ、今の俺は彼の友だちと呼ばれる資格はないが、頼まれた以上必ず助ける」と応える。その想いは暁たちも同じことだった。
一方どこかの一室で椅子に座らされたタカキ。数人の男女が一室に入ってきて自分が拉致されたと気が付き「何の目的だか知らないが、わたしの身に何かがあっても、今の体勢を覆すことにはならない」とやり返す。
そこで男の一人が「なにも貴方の命を奪う真似はしない。しばらくは大人しくしてもらうだけでいい」と返しつつ、傍らの女性を紹介するしぐさを見せるとタカキはそれに驚愕する。何と彼女こそがかつてタカキが手にかけたラディーチェの娘フィオーラだったのだ。彼女に反応して言葉を閉ざしたタカキに、何やらの失望を覚えたのか、一旦向けた視線をひとまずは外す。
やがて男たちが席を外し、タカキとフィオーラの二人だけとなった。
「まさか君が彼らとともにいるなんて、一体どういうことなんだ」と問うタカキに、フィオーラも、
「別にあなたに恨みはありません。父の死もあなたたちへの裏切りが原因だということも理解しています。私が言えることはそれだけです」
と重い口調で応え、タカキの口を閉ざす。そしてフィオーラもこの場を離れ。タカキの胸中を後悔の念が襲う。
「どんなに世のために働こうとしても、俺の手は、汚れている、か・・・・・」
じっと両手を見下ろしつつ、そのまま椅子に腰を下ろしたまま動かくなった。一方で自室に戻らんとするフィオーラも、
「たしかに私はあの人を憎みきれない。でも今はあなたたちの復讐に身を委ねるだけ。そう、今の私は、復讐こそ全てでしかないのね」と自嘲気味に独語するのだった。
テイワズの地球支部において、前もって配備されたバルバトスをはじめとするMSの整備に余念がない鉄血隊。そんな中で特に暁は。
「今度こそ俺たちは世界に打って出るというのか、たしかに鉄華団はかつて世界に負けたけど、ライドさんの言う通り。今度こそ世界を知って、それに認められなきゃかな」
実際三日月は笑わないだろうが、父に笑われるのを覚悟で、バルバトスを前に心の中で誓う暁だった。
かくして下院議員の予備選に向けてのタカキ救出作戦が始まろうとしていた。
 
次回、機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズDAWN
“明日への誓い”
誰もがスネに傷を持っているか、今度こそ俺も、乗り越えていきたいな。
 
キャラクター紹介
フィオーラ・リロト:かつての鉄華団地球支部の目付け役ラディーチェの一人娘。事件の後も母親とともに静かに暮らしていたが、母親の死後指宿ら反GH現体制派が接近し、父親の死の真相を知らされ、そのまま彼らと行動をともにする。本編において父の仇であるタカキに対する憎悪はそうそう現れないが、はたして彼女の真意やいかに。

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第8話:老兵は語らず(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、オデッサ基地を襲撃する部隊に対するキッカたちに、さらに伝説のジオン軍兵士が成り行き上戦いを挑んでいく様をお送りいたします。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第8話:老兵は語らず
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
オデッサ基地の襲撃の報せを受け、キッカたち特務隊にも正式な出撃の要請が出る寸前に、ある話題がTW内で持ち上がった。曰く「キッカとクムが何やら言い合っていた」とのことだった。
まずライエルがそれを心配してクムに問い合わせたが、グリプス戦役のことを交えて説明をしてひとまずの安堵を得た。
「おそらく私の受け答えが反発に見えたのでしょうけれど」
「そうでしたか、何にせよよかったですが、僕たちもそれなり気を引き締めましょう」
ライエルの応えに合わせ、居合わせたギルダスたちも「はっ!」と応えるのだった。
その一方でトーレスはキッカにひとつ釘をさす。
「それは君が悪いな。グリプスの件といえば、カツのこともある」
それにはキッカも感じ入る。たしかにカツも戦場において、否カミーユや当のトーレスもみな不器用に振舞っていたのだから。あの時斃れた者、生き延びた者、ことに前者については軽々しく口に出していいものではなかったのだ。
「そうね、彼らの奮闘があって今の私たちもいるから。ともかく今回の作戦と合わせて一つずつこなしていきましょう」
トーレスの軽い頷きとともに、キッカも出撃の指示を待つ。
ともかくもオデッサ基地の襲撃部隊が基地のレーダーに反応し、第一種戦闘態勢をとるとともに、TWへ出撃要請を告げる。
そんな中、キッカが整備班のメカニックからニュープラスの装備についての報告を受ける。
「まだ、フィンファンネルの整備が済んでいないのね」
「はっ、通常のファンネルとは違って、地上でのミノフスキークラフトの推進制御が未だ整わず・・・・・」
申し訳なさげに告げるメカニックに、キッカは軽い笑顔で応える。
「他の武装なら大丈夫だから、それほど問題じゃないわね。たしかに慢心も禁物だけど」
恐縮するメカニックをひとまず安堵させ、待機しているクムたちに呼び掛ける。
「レーダーに反応している敵襲はそんなに大規模なものでもないわね。それでも繰り返すけれど、みんなも気を引き締めてね」
一同が「はっ」と応える。この時点では先の言い争いの懸念もほぼ払拭していたが。
(私もそうこだわっていないつもりだけど、それなりに戦い抜くつもりですよ、エマさん、レコアさん、それに、クワトロ大尉・・・・・)
シャア関してはあえてグリプス時代の偽名で呼び掛け、心の中でつぶやくクムだった。
ともかくもキッカたちはまずTW内で待機し、然る後に順次出撃をすることにするのだった。
その襲撃部隊だが、とある筋からの依頼を受け、軍の物資を奪うべく乗り込むのだ。つまりはかつてのトリントンの件とは目的と規模が大違いだったのだ。
しかしある程度部隊が基地に接近していくうちに、遠方から1機の反応が高速で近付いていくではないか。
そして部隊が基地に到達する。
「やはり基地の防備は手薄か、すみやかに物資を奪取する。基地の連中も応戦していくだろうが、なるべく殺すなよ」
隊長が告げ、部隊のMSは散開する。それを見計らってからキッカたちのMSもまた出撃していく。
「何だと、これは連邦の新型か」
「いや、今はそんな余裕はないはずだ」
「するとまさか、キッカ大佐の・・・・・」
そのうちクムのサザビーが部隊に立ちはだかる。
「くそっ、これじゃあ割が合わねえ。何とか切り抜けてずらかって・・・・・」
そこにクムのファンネルが展開する。こちらの推進機能はそれほど複雑ではなかったのだ。
「逃げると厄介だからね。こちらもやらせてもらうわよ」
ファンネルはほぼ襲撃部隊のMSを瞬撃する。とはいえ爆砕した敵はほとんどなく、すべてが手足と武装を撃ち抜いて戦闘不能にしたものだった。
「う、撃つな、直ちに降伏する。俺たちもただある筋から依頼されたものだ」
そこにキッカが告げる。
「それでは、直ちに機体から降り、隊員の指示に従ってください」
と、それぞれがMSから降りて、手を上げつつ降伏の意を伝える。その際にクムからの通信が入る。
「少し飛ばしすぎましたか」
「ううん、ここは出来るだけ早めに済ませたいから、でもまだまだ終わりそうにないわね」
軽く謝するクムのキッカもやはり軽く受け応える。しかしそのうちにもう1機の機体、白いザクⅢが基地に到達する。
「やはり、遅かったか・・・・・」
その出で立ちに、基地の司令官は驚愕を持って口を開く。
「まさか、シン=マツナガ大尉。あの白狼が・・・・・」
その言葉にキッカ自身も軽い戦慄を覚える。
「白狼って、ドズル=ザビの腹心とうたわれたジオンのエースパイロットの一人。まさに伝説じゃないの・・・・・」
その白いザクⅢはキッカたちを見据える。
「うむ、やはりキッカ=コバヤシ大佐か、あのホワイトベース最後の勇者の・・・・・」
その言葉に半ば呆然としていたキッカも多少我に返る。
「たしかに、あのザクⅢのパイロットがそうなら、私などはただの小娘、でも・・・・・!」
と、両手で自分の頬を叩く。
「ここはお互い退くべきだと思うけれど矜持にかけてはそうもいかないみたいだから、まして私自身叩き直さなければならないですね」
「お互い、不器用な生き方だ」
マツナガも自嘲気味に応える。その言葉にはTWのノックスたち、そして基地内の隊員たち。ことにMS部隊のキッカたちには重くのしかかる。
周囲はすでに二機を気にしつつも隊員たちが敵兵を連行していく。それにはキッカやマツナガも気にかけ、それぞれ申し合わせるかのごとく、それぞれの脚を進めんとする。
「これ以上の戦いは無意味だが、相手が相手だ。たしかに先方もそう思っているだろうが」
TWのノックスもこうつぶやく。すでに足組みは解かれ、ことの帰趨をトーレスとともに見守ることになる。
ここに伝説と勇者。キッカに言わせればかつての小娘が伝説に挑むのだ。いずれにしてもある意味時代が描かんとする勝負が始まらんとしていた。

 

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第8話:老兵は語らず(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、続いての任務に合わせてかつてのジオンの名パイロットとの戦闘を機に今一度戦乱の歴史に想いを馳せる様をお送りする運びです。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者
(その1)
(その2)
(その3)
第2話:生きるということ
(その1)
(その2)
(その3)
第3話:継ぐものたち
(その1)
(その2)
(その3)
第4話:月で待つもの
(その1)
(その2)
(その3)
第5話:ガンダム、行きます!
(その1)
(その2)
(その3)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
インド洋上でのカイ=シデンとの接触を経て、ミネバ・アルテイシアの会談が今後の状況の打開に必要不可欠であり、その準備を双方が整っていることを知り得たキッカ。
その接触からほどなく補給のついで、体調を崩したカイの保護のためにオデッサの連邦軍基地に立ち寄った。
もともとがジオン軍の侵略拠点だったオデッサの基地を戦後連邦軍が接収し、以後改修に改修を重ね現在の補給基地と相成ったのだ。
現在のカイの身分は民間人のフリージャーナリストで、基地の医療施設を使用できるわけではなかったが、元軍人ということを活用してキッカ自身が口添えをしたが、何より基地の司令官が好意的だったのが功を奏し、医療施設の使用はすんなりと許可されたのだった。これも長年の人脈の功だとキッカは思ったが。
「カイさんの症状は連日の疲労の末の胃炎からなるものだと言いますから、医師の先生から数日は安静にするようにと。それから1年に1度は診断も受けるようにと言われていました」
「ここ最近はカイさんも一目置かれるようにもなっているから、もちろんいい意味でも悪い意味でも」
基地の医務室を後にし、TWへと戻るキッカとクム。ひとまず本来の任務、というよりもキッカそのものの目的がなきに等しく、ただ彼女の裁量で自由にやっている。ただこれまでの“彼女”との邂逅がキッカの行動の指針となっているのだ。
そんな中、ふとした想いが頭をよぎり、クムに話を一つ持ち掛ける。
「そういえばセイラさんで思い出したけれど。私としてもあの時の、セイラさん、ミライさん、そしてフラウのお義母さんの齢を越えたけど、まだまだ大人になっていないかなと時折思うのよ」
「まあこれも気分の問題だと思いますよ」
クムもひとまず本心で応える。子供っぽいといってもまんざらではないとも思っていたのだ。
「そういえばクムの頃でも女性の兵士の人がいたでしょ。その人たちと比べて・・・・・」
続いて問うたキッカだが途中で口を止める。クムの苦い表情を目にしたからである。実際クムも自分の子供の頃、グリプス戦役での思いに馳せていた。
「・・・そうですね、あの人たちは不器用だったんです。でなければ命も落とさずに、済んだんです」
クムもクムなりに言葉を選んで応えたつもりだった。カミーユやブライトは何も語らなかったが、たしかに激闘といってもグリプスの件は一年戦争に比べれば微々たるものだった。あの戦役も味方の多大なる犠牲のもとでひとまずの勝利をえたと聞いていたのだ。
そんなクムに少し困惑気味でキッカも返す。
「ごめんなさいね、イヤなこと思い出させちゃって」
「いえ、ともかく大丈夫だと思いますよ」
ともかくもお互いに苦い表情を解きつつ、艦への帰途に就く。
 
変わって近隣のダイナーで食事をとる一人の男がいた。齢は50歳前後、それほど老人という外見ではなかったのだが、やはり髪と髭の白さで一見そう見えてしまう。そこにもう一人の男が現れる。今や隠れた英雄ともうたわれるコウ=ウラキだった。
そのコウは男の傍らに座る。
「貴官も壮健のようだな。やはりいい仕事にありつけたのかな」
「いや、相変わらずだよ。ここ最近の後片付けで忙しくってね」
そっけなく応えたコウはふと、自身の近況を語りたくなった心境に陥る。
「実はあんたにだけは話したくなったが、その依頼主ってのは・・・・・」
この後は小声なのでよく聞き取れなかかったが、男の表情も次第に神妙になっていく。
「・・・やはりか、貴官もまた時代に選ばれたということだな」
「いや、俺としてもそううぬぼれてはいない。ただこの時代の徒花だけは摘み取りたいとは思っているけれどね」
静かに深いため息の後、男は感慨する。
「かくいう小官もこの時代の為に命を捨てる覚悟だったが、今は貴官が先んじたか」
「俺としてはその任はあんたの方がふさわしいと思っているが、あんたとしてもそれと名乗ろうにも踏ん切りはつかないか」
「・・・お恥ずかしいことだ・・・・・」
そんな二人のために、マスターがおごりと一杯のコーヒーを差し出す。そのコーヒーで口を潤しながら二人は息を整えあらためて会話に興ずる。
「はじめ俺も、ガトーへの敵対心から戦いを繰り広げ、その後の足踏みを経て連邦に対する鬱屈を抱えつつ自分なりにケリをつけようとしたんだ」
「時代へのケリか、なればこそ小官も踏ん切りをつけねばならないな」
「たしかに時間はそう多くはないかもしれない。いずれにしてもあせることはないかだろうけれど」
と言いつつ、コウは先に席を外す。
「俺もこの時代の行く末を見守りたくなった。その刻(とき)まで生き延びたいな」
「うむ、武運を祈っている」
と、男は背中越しに応えるのだった。
そんな時、マスターが何やらの連絡を受けてメモに書き記した。そのメモを男に手渡すと男は無言でそれを読み返す。
『・・・“国”は消えども“理念”は残る。その理念の為にあえて破壊を望まんか、しかし・・・・・。
カイ=シデン、貴殿の歩みもまた時代を作りしものならば、その歩み、あえて小官が護っていこう。
そして、ミネバ様・・・小官が御身にまみえるに値うか・・・・・』
そして手紙を懐にしまい込み、代わりにポケットからの少ししわが入った紙幣を差し出す。釣りは無用と言わんばかりに静かに席を離れ、ダイナーを後にする。それをマスターが無言での一礼で送るのだった。
 
TWに戻ったキッカとクム、すでに艦内の動きは慌ただしい。二人は申し合わせてからブリッジに上がる。
「何か変わったことはない」
「ああ、ちょうど君らが基地に赴いたのと同じく、近々オデッサを襲撃せんとするものたちありとの情報が入ったんだ。ソースははっきりしないがおそらくカイさんの知人のものなのは間違いない」
と、ノックスが応える。
「となれば、警戒も当然ね、でもこれまでカイさんのやってきたことも形になってきたといえば、あながち無駄なことじゃなかったかな」
ここはひとつ、キッカ自身も指示を出す。半ば自分自身に言い聞かせるものだった。
「ここは現在の状況を鑑みて第二種戦闘態勢を保ち基地との連絡を取りつつ、今後の動向を見守ります」
こうして多くの人々の思惑が入り交じり、オデッサ基地の攻防戦は静かに始まらんとしていた。

 

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ビルドダイバーズ特別編:モモとヒナタの大勝負(仮題)

さてみなさん、先週までのビルドダイバーズRe:RISEのレビューをお送りし、最後のシーンにてのヒナタをヒントに、今回本家ダイバーズのモモと搦めての活躍を描いた運びです。はたしてその活躍の先にあるものやいかにといったところで、それでは、ごゆっくり。
 
エルドラの一件から一月あまり、ヒロトたち新ダイバーズ(呼称)はそれぞれの路を再び歩みだす。
カザミは自らのチャンネルを通じてゴジョウらかつてのメンバーを中心にバトルの修行に明け暮れ、実力はともかく着実に人気を上げていく。
パルウイースはシャプリヤールの指導のもと技術をさらに上げ人間的に成長するのだった。
続いてマサキは相変わらず療養の日々を送りつつ子供たちにガンプラを教えており、ヒロトも相変わらずの放浪の旅を続けているが、その傍らには彼の行先を示すのを建前にメイが同行していた。やはり本音は“彼女”の痕跡をたどってのことなのか。
そして最近ダイバーとしてデビューしたヒナタ。カザミを通じて先に配信された神事の件もあり彼女のエントリー早々に数多くのファンクラブも発足し、今や本家ダイバーズのモモとともにGBNのアイドル的存在となっていた。とはいえあまりちやほやされるのも何なので表立った露出は極力控えつつも、今はビルダーとして自分のガンプラの製作に余念がなかった。
それについてはヒロトとカザミ、パルやメイの協力はもちろんのこと、本家ダイバーズ、ことにモモとアヤメも力を貸してくれ、更には時折顔を出す二人の女性、性格も教え方も違う二人も大いに参考になり、自身のガンプラ製作の大いなる手助けとなっていき、ついには自分のガンプラ、ライジングガンダム(Gガンダム)をベースとした“ディバインライジンクヒナタ(仮称)”を完成させるに至る。
ちなみにモモもヒロトに何やらを頼み込む。もちろんリクにはたしなめられもしたが。
もちろんリアルでの弓道部での活動もおろそかにはしなかったが、最近のヒナタの行動を見越してか、顧問の先生も「弓道は己を磨くもの」とたしなめたりもしたが。
さておきそんなヒナタの機体完成を待ち構えたかのごとく、GBNにおいて女性限定のイベントが開かれる運びとなった。それは女性ランカー1位と2位のエミリアとローズとの挑戦権をめぐり女性ダイバー間のバトル・ロワイアルを開催するのだ。
はじめのうちは乗り気でなかったヒナタだが、モモの熱烈な勧誘で出場することになる。ヒナタ自身も先のガンプラ製作に多大な協力をしてくれた二人に自分のガンプラがどれだけのものかも確かめたいのもあった。
ともかくもバトル・ロワイアルに臨むアヤメとモモ、そしてメイとヒナタ。心配で駆け付けたパルとカザミ、そしてヒロトはもとより、本家ダイバーズのリクたちも不安なのは変わりはないが、ここは成り行きに任せようとマサキが、さらにかつてのフォース仲間のカルナになだめられる。
しかしいざ試合が始まるとモモとヒナタたちに他のダイバーたちが襲いかかってくるではないか。いまや中堅ながらも実力派フォースたる本家ダイバーズのモモとアヤメ最近売り出し中の新ダイバーズのメイ、そしてヒナタ。ことにヒナタにはリアルでのミズキの友人もいて、先の神事での活躍と合わせ彼女と試合をしたいと告げ向かってくるのだ。
ともかくまずはモモやヒナタたちを倒して自分たちの箔をつけんとの目論見だった。のちにこれもエミリアたちの思惑でもあるとアヤメも読んでいたが。
ここは目の前の大群を退けなければならない。それぞれが着実に敵を倒し続け、ことにヒナタのライジンクは的確に射抜いていく。これには誰しも感嘆せずにはいられなかった。
しかしさしものヒナタもこの大群にはくじけそうになるが、どこかしらか「大丈夫だよ」との声が響き、再び立ち上がることができた。そんなヒナタの様にサラが目頭の光るものとともに何かに感じ入ったようだった。
やがて4人を除くすべての敵が撃破され、バトル・ロワイアルのルールにのっとり、それぞれの相手でのバトルを開始する。モモはメイと、ヒナタはアヤメとで。
かつて知ったる者同士での戦いもひとまず熾烈を極めるも、特にヒナタは先の声を思い起こしつつ、己の想いをアヤメに込めて、ついには矢を貫くに至る。
こうして手負いかつ疲労困憊ながらも勝ち残ったモモとヒナタに、ついにエミリアとローズが立ちはだかる。最後の力を振り絞りありったけの打撃をエミリアに叩きつけるモモ。
余力わずかと承知で攻撃を誘うローズに最後の力に想いを込め、さらには先の声の主と心が合わさったと感じて、ヒナタも最後の矢を放つ。
しかしその矢はローズのヤクトの脇腹を貫くも倒すに至らず、さらにモモの猛攻もエミリアにすべてわずかにふせがれてしまった。こうしてバトル・ロワイアルの試合時間は過ぎ、目的のエミリアとローズの撃破には至らなかった。
大会の結果はともかく、もともとが本家のモモと新のヒナタの実力を見極めることご目的だったので、それらは果たされたともいえる。最後に力尽きて倒れ伏す二人にエミリアとローズが立たせて健闘を称えた様から、ヒナタはともかくモモはさらに女子から一目置かれるに至る。
後日カザミのチャンネルを通じて、自分は基本バトルには興味ないが、このGBNにおいてある程度のイベントには参加するつもりだと自分なりの活動を告げるヒナタに、悪態をつきつつ実力を認めるオーガをはじめ誰もが同意するのだった。
そんなヒナタもローズから、サラに似ているもう一人も自分の力だと告げられ、それについてのいきさつをヒロトに語る。その上で“彼女”もいずれは帰ってくるとも伝えられたのだ。その言葉とともにヒロトはヒナ優しく抱きしめる。今はそれだけで気持ちが伝わっていたのだ。
こうして、ヒロトたちダイバーズはふたたび研鑽と探索の日々を過ごすことに、ただ違ったのは、ヒロトの探索に付き添うのはメイの代わりにヒナタが担うことになる。彼女と通じあったヒナタとともにこの広い世界を巡り、世界の風をヒナタと、そして“彼女”とともに感じていくのだ。いつか“彼女”と再び巡り会うために、今日もGBNの空を駆けめぐっていく・・・はずだった・・・・・
しかしほどなく、ヒロトの協力でユニットを完成させたカプルを駆るモモがヒナタを引っ張って各地を巡っていく。
その様に取り残されたヒロトはともかく、一方駆け付けたリクたちも不安さを禁じ得なかったが、ひとまずは大丈夫とキョウヤがたしなめるのだった。その二人を見守っている者がいた。メイとその胸に抱かれているアルスだった。彼女もまたイヴから生まれ出でた者として見守ろうとしたのだ。
その上でまずツカサがすべてのELダイバーの始祖たるイヴもいずれは帰ってくると告げ、続いて先のカツラギとの会談を踏まえて、エルドラの件以上の脅威が起こるかもしれないと語り、そしていずれは世界そのものの均衡を護らんがための戦いが始まり、それに対するために君たちの力が必要だともキョウヤは告げるのだ。
さておきモモとヒナタは
「さあ、世界の果てまで駆けめぐって、イヴちゃんを迎えにいくわよ」
「は、はい・・・・・」
とまあいささか強引な珍道中、いずれ語られることもあるだろうけれど、こうして二人はGBNの大空を駆けめぐっていく。
 
そんなわけで一通りのRe:RISEのレビューをお送りしましたが、この作品もまだまだ語りつくせない物語もあるだろうし、近日ファイターズよろしくバトローグも放映されるだろうからこれも期待したいとは思いますが。
いずれにしてもこのシリーズも機会があればまた楽しみたいと思いますのでこれも気長に待ちましょう。
あとシメの一言として、この作品にかかわった方々に本当にありがとうございます、お疲れさまでした。とお送りしたいです。それでは、いつの日か。

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ep26:Re:RISE<今更ながらビルドダイバーズRe:RISEレビュー>

己の信ずるもののため、エルドラを敵に回して戦うもヒロトたちに阻まれたことに絶望したか、GBNの世界を直接介入せんとしたアルス。しかしそこにはキョウヤたちダイバー有志たちが、マギーの呼び掛けで待ち構えていたのだ。
アルスたちを差し向けたのはクアドルンの思惑だというが、そこにヒロトたちもGBNに帰還しアルスと決着を付けんとする。それには神事を終えたヒナタも見守らんとしていた。
いかにエルドラで猛威を振るっていたアルス軍に対し百戦錬磨の有志連合も負けてはいなかった。しかしアルスの期間の砲撃がGBNサーバーそのものもダメージを与えていく。これはかつての衛星砲の影響を直接与えるようなものか。それには防戦一方の連合に、ヒロトたちも帰還し、戦力を立て直していく。その一方ロンメルも何やらの準備を進めていくが。
衛星砲のメインフレームに着いたマサキとクアドルン。そこを破壊すればアルスも戻れない。意を決してクアドルンが砲火を向ける。
一方でアルス旗艦の主砲が火を噴き、応戦むなしく更なる被害を与え、反撃に転じんとするヒロトだが、パーツをアルスに奪われる。コアシステムをも学習してしまったが故のことか。ともかく絶体絶命の危機の中、マスターやマナミら、そして多くのダイバーたち、さらにはツカサまでも加勢し、GMも世界を修復していく。更にはカザミにもゴジョウらかつての仲間、更にはあこがれのキャプテン・ジオンまでもはせ参じたのだやはりロンメルと関係ありということか。さておきこれにはカザミも奮い立たずにはいられなかった。
そしてヒロトもマスターが持って来たパーツで再びアルスに立ち向かう。そして有志たちも徐々に押し返し、アルスの迷いを読んだパルが再び説得を試み、シャフリとともに戦艦ごと敵機を叩いていく。カザミもキャプテンとともに、説得込みで敵を叩く。メイもまたツカサとともに。そういえばツカサは今ではメイたちELダイバーの世話をしていたとか。
アルスの最後の攻勢をまずサラが防ぎ、キョウヤの攻撃は何とトライエイジを通じてのもの。これもある意味ファンサービスによるものだろうか。その天をも貫くタイタスの一撃が最後の一隻を叩き伏せる。
しかしアルスも最後の力を振り絞り、己の機体を禍々しき姿へと変貌させる。その攻撃によりサラとメイは落とされたが、間一髪ヒロトとリクに助け出される。そして生まれ変われとの最後の説得とともに二人の砲撃によってついに倒れる。その瞬間“彼女”の姿も浮かんできたのをたしかにアルスは見た。そしてかつての民の導きによって、電子の海へとその身を鎮めるのだった。それはエルドラに伝わる宇宙(そら)渡しの儀式そのものだったのだ。
星空の下、一人の赤子が横たわっていてメイがそれを拾い上げる。新たなELダイバーというがアルスとは違う、彼のもともとの願いから生み出されたものだという。自分の上着を赤子に着せ、それから見えたのはかつてヒロトが“彼女”に贈った首飾り。やはりメイも“彼女”の因子を受け継いでいたのだ。その想いを伝わったことを知り、感謝の言葉を送るヒロトにメイも涙を流す。それは哀しみのほかに流す悦びの涙だというのも、もともとが空っぽの存在だったメイにも理解し得たのだ。
ところ変わってリアルの街角で、3人の男女が会話を交わす。一人はGBNチャンプのキョウヤ。そしてトリの女性とGMカツラギ。それぞれのリアルの姿だった。今回エルドラの件で、ELダイバーの顕現がいわゆる古き民だと彼女は仮定するが、キョウヤとカツラギ、二人もそれ以上の詮索をせずただ成り行きに任せるということでまとまったが。
マサキも退院し、これからも一ビルダーとしての活躍が期待され、ヒロトの父も今回ヒロトの件を小説にすることになった。
そして戦乱が終結したエルドラは復興にかかり、そこに住む民もようやく平和の訪れを享受しはじめた。
そこにヒロトたちが訪れる。そこにヒナタもヒロトたちの一員として訪れていた。いずれ彼女の活躍する場もあるだろうけれど。
ヒロトたちの想い、そして彼女たちの想いを胸に皆が勝ち取った平和を一陣の風が舞う空にヒロトはあらためて誓うのだった。
その一方でサガリのもとに現れたヒトツメの生き残り、しかしサガリもそれを受け入れひとまずはついていく。ともかくもまだまだ問題がありそうだが彼らにとってはさしあたり案ずることはないだろう。
ともかくもこのRe:RISEの物語。GBNからエルドラの騒乱を通じてのヒロト、カザミ、パルらの“再起”の物語でもあった。そしてこれから描かれるエピソードにもつながりそうかもしれないがこれもまたの機会に譲りたいといったところか。

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第7話:古き友来たる(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、逃走のカイを助けんと奔走するライエルたち。その後もたらされた情報とともに現在のカイの状況を知ることになるでしょう。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第7話:古き友来たる
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
海上のカイを中心に、やはり海上のジO、そして海中の敵機と、絶妙な配置での追討戦がまさに繰り広げられんとした。カイはひとまず敵味方の位置を把握して後、お互いの間合いを見計らって、時折閃光弾を投入しつつボートを進めていく。
それらの様をTWのブリッジにてキッカとノックスらが見守っていく。そんな中、カイの舵さばきをノックスがつい感嘆する。
「敵を翻弄しつつライエルをよくよく導いていくな、流石はカイさんだ」
「ええ、でもまだ予断は許せないから」
キッカの不安に誰もが同意する。そうこうしているうちに敵の増援も近付いていくのだ。無論それらの対策の為にアレンたちのリ・ガズイが当たっているが、いかんせん敵は海の中、すべてを倒しきれるわけではない。
カイも無論ニュータイプではない。しかし一年戦争の後に軍から離れもっぱら取材等で世界を転々としているうちに、いわゆる勘が鋭くなった。戦術等はブライトに~もっともブライト自体も戦術に長けていたわけではないが、操縦等はかつての連邦軍内ではひとまずの実力ながらもアムロたちに劣るが、人生の年季がカイを鋭くしたのだ。先にノックスが評した通りにそのボートさばきで戦況を導き続けていく。
そしてカイにとっては戦術上重要な要素も備わっていた。すなわち戦場の引き際というものを。
「やはり逃げきれるものじゃないな、こいつは。しかしどこかでターニングポイントも現れるだろうからな」
やはり水の流れと盛り上がりから、はるか前方に敵の機体が現れるだろうとかいは踏んでいた。
はたして前方1キロを切った時点で、敵のズゴックが浮上してきた。
「こちらカイ=シデン。キッカからは俺が言っておくから、できれば回収してくれ」
と近くのライエルに向けて通信を送った後にカイはボートから飛び降り、残されたボートはそのままズゴックに突っ込んで爆散してしまう。
「カイさん!」
ブリッジにて思わずキッカが叫ぶ。対してトーレスが指令を下す。
「すみやかに敵を排除しつつカイさんを救出せよ」
トーレスが代わりに指令を下したことで、キッカも落ち着きを取り戻す。
その指令をあらためて受け、ライエルも周囲の状況を図りつつ戦略を立てる。
「敵が動揺している。やはりそちらもカイさんの確保が目的のようですね。こちらも、カイさんの動きに気を付けながら敵にあたって下さい」
「了解!」
ライエルの指示で、水中の敵をミサイル等実弾系の武器で応戦しつつ敵を着実に撃破していく。
そうこうしていくうちにアレンのリ・ガズイがカイに近付き、ワイヤーを降ろしていく。カイがそれに足をかけてしがみつく様を見届けてから引き上げる。
それを見届けてか、未だ残っている敵機もあきらめたのか、撤退を始める。
一方でライエルのジOもエネルギー切れか、徐々に海中に沈み始めていく。
「エネルギーが少なくなっております。しばらくは浮いていけますが、出来れば早く回収をお願いします」
「了解」
応答の末、ライエルもリ・ガズイ2機に引き上げられ帰還の途に就く。
 
TWのデッキへと帰還したアレンのリ・ガズィは掌に乗っていたカイをゆっくりと降ろす。そこにキッカたちが駆けつけてくる。
「おお、久しぶりだ、キッカ」
「お久しぶりですカイさん。でもあまり心配をかけないで下さいね」
キッカの敬礼に、カイもまた指二本の敬礼で応える。
「ああ、そうだな、でもあのチビすけが大きくなったなあ」
かつてブライトに投げかけられたのと同じような言葉にキッカも恐縮しながらも応える。
「さしあたってお部屋を用意していますので、落ち着いてから話をしましょう」
「うん、そうだな」
と、下士官の案内であてがわれた部屋に案内される。
30分後、ミーティングルームに集まった一同を前に、まずカイはアレンやライエルたちに目を向ける。
「そういえばこれがお前の部下かキッカ、みんないい面構えじゃないか」
カイが彼らに目を向け、代表でギルダスがやや緊張した面持ちで応える。
「恐れ入ります!」
「いや、本当のことだ。当時の俺たちとは大違いだ。よくキッカを助けてるじゃないか」
「いえ、まだまだですよ。それよりもご用件のほどは」
「おお、そうだったな」
こうして、ようやく本題に入ることになった。
「ラプラスやフェネクスの件でも分かるように、今地球圏は政治形態を統一化するか、ある程度の自治を認めるかで意見が分かれている。無論火星木星の移住計画も立てられているが、今の状況ではその開発自体も過酷なものだ。ましてそこに居住するとなれば」
「アクシズの二の舞になりかねないということですね」
「そんなところだな、無論前者にしても後者にしてもスペースノイドには負担のない、いや住まう場所によっての格差で新たな混乱を起こさないための条件を整えないといけない」
「そのためのスペースノイドとアースノイドの和解に向けての会談が必要だと」
キッカが代表でカイの意見に応え。頃合いを見計らってカイも結論を述べんとする。
「その会談に必要なのが、ミネバと、セイラさんだ」
スペースノイドとアースノイドの会談の要員たるミネバ=ザビ、そしてセイラ=マスことアルテイシア・ソム・ダイクン。この二人を会わせること、それによっての新たなる世界がより良きものとする。
それこそがある意味キッカたちの目的であるはずだ。
「先にキッカ。お前は“彼女”と出会い、会談の了承を得たといったな」
「ええ、あとはセイラさんの了承を得るのみですが」
キッカの言に、カイも軽く息を整えてから言を続ける。
「そうだな、彼女の方も異存はない。ただ俺の件でも気づいた通り、それを快く思わない者たちもいる」
カイの言葉は重い。キッカもそれに重く頷くのだ。
「もちろん“彼女”の方にも自衛の術はある。しかしセイラさんの方、すなわちアストライア財団はその自衛について心もとないのもまた事実だ」
「・・・そうですね、その“敵”の中に、いえ私たちの本当の“敵”がいるのか。それも見極めなければいけません。これは“彼女”たちがめぐりあうよりもいささか困難なことかもしれません」
そう言ってから一息つき、ふと周りを見渡す。皆が強い意志でキッカとカイの言葉に聞き入っていたのだ。
「望むところだ、と言いたそうだな。これから先は何が起こるか分からないが、お前さんたちなら大丈夫だろう」
と、ライエルたちに告げつつ、ひとまず自室に戻る。
しかし少し足取りが重いことにキッカが、おなじくノックスも気にしていた。
「大丈夫かな、カイさん」
「ええ、逃走の疲れもありますが」
「うん、大丈夫だと、思うけれど・・・・・」
誰もがカイの心もとなさを感じずにはいられなかった。
そんなカイも自室に戻るや、胸の違和感を覚えずにはいられなかった。
そしてそれを吐き出すようにせき込む。当てた手にはわずかに血が付いていた。
「・・・こいつは、ヤバいな。今までがむしゃらに働いた結果がこれか。ここで医者に診てもらわないとな」
少し息が落ち着いてから。ベッドに身を置く。
「・・・いずれにしても、俺はそうそうくたばらないよ、ミハル・・・・・」
カイは見上げた天井を見越して、かつて心を通わせた少女の姿を思い浮かべたかに見えた。
 
戦線を渡るキッカたちのもと、一人の傭兵が立ちはだかる。
それは、かつてジオンの猛将の片腕と称された男だった。対峙するキッカはあらためて戦争の歴史の重さを思い知る。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『老兵は語らず』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

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ep25:僕が描く未来(あした)へ<今更ながらビルドダイバーズRe:RISEレビュー>

その日の朝、ヒナタは弓神事のために、ヒロトは彼の地へと赴くために家を出る。それぞれが違う目的ながらもなぜか通じ合っている感があった。そして彼の地、エルドラでは決戦に臨みフレディとクアドルンがヒロトたちを待ち構えていた。
エルドラに戻ったヒロトたち。必要最低限の支援で、自分たちは最大限の装備でアルスに臨むのだ。一方で出撃に先立ち、マイヤや子供たちとの一時を過ごす。あらためてカザミも無力だった自分から今に至ったことを語り、それで励まされる。また先に難色を示したムランもこの時に際しヒロトの作戦の支持をすることに。今までのヒロトに対しての信頼がここに現れたということか。そしてフレディ。今回の作戦に同行することになり。こっちも村の守りを担うストラに励まされる。
さらにはマサキも未だ回復し得ない体を押して参じることになり、ここに頼もしい増援も得ることになった。
一方神事に臨むヒナタ。ミズキのほかにヒロトの両親も彼女を応援すべく参じていた。ヒナタもまた戦いに臨むヒロトたちのことを案じていた。大切な神事に集中しつつも。
迎え撃つ形のアルス。衛星砲の修復も済ませ跡は調整のみ。そこにゴルスたちの支援部隊が接近し、それを排除せんとするがそれは囮で、ヒロトたちはすでに宇宙に上がっていた。
まずクアドルンが宇宙の結界を解いてから、ヒロトの装備を使って宇宙に上がったのだ。さらにはこのミッションをカザミが配信せんとする。すなわちこのミッションに勝利を信じてのことで、ひいてはヒロトたちに対するカザミの精一杯の信頼の表れでもある。
想った以上に重力圏の影響も大きいが、みんなの想いを込めて製作した機体にパルのトランザムと“彼女”の導きがあり、ついに宇宙へと上がりきった。一方で彼らを見守り待機するマサキたち。まずヒロトたちで戦端を拓き、きたる戦況に応じて戦場に向かわんとするのだ。
こうして衛星の攻防戦が、そしてヒナタの神事の幕が上がる。
ヒナタの神事に出られないヒロトを案ずる両親に、ミズキが端末のライブ放送に出ていることを告げる。
そのライブを通じ、アルスとの激闘を繰り広げるヒロトたちが映し出される。しかしヒロトたちも伊逹に先のロータスチャレンジを受けたわけではない。しかし懸念すべきはやはり衛星砲。その再発動を何としても阻止しなければならない。
敵の猛攻をかいくぐり着実に押し戻すヒロト、一方ヒナタも神事に向けての身支度を行っていく。
一方アルスもターンXタイプをも投入しヒロトたちを阻む。それでもカザミが、パルが、そしてメイが戦端を拓かんとしたマサキその矢先、ヒロトにはドートレスタイプで立ちはだかる。攻勢に転じんとするヒロトを難なく捕まえたかと思いきや、そこはマサキがクアドルンとともにここぞとばかりに加勢に出てきた。まさに強大な援軍となったのだ。
パルに対するアルケータイプもトランザムの出力が強大ながらも攻勢が単調なことをオーガが指摘したことを受け。それをうまく利用して攻撃を当て、やがては自滅を狙うのだ。
カザミもまたファンネルに翻弄されつつあるが、自らがファンネルそのものになるということで、どこかで見たイージス特攻でついには敵を撃破する。
そしてメイもヴォドムとドールを駆使してXを討ち倒していく。こうしてGBN中でもヒロトたちの激闘でも持ちっきりとなる。しかしそうこうしているうちにも衛星砲の再発動の時は着実に近付きつつあるのだが。
またヒナタも神矢を今まさに放たんとしていた。自らの静と、ヒロトの動にその想いを合わせるかのごとく。
一方で敵を退けたメイたちもヒロトの合流、やはり4人が一体となってこそ衛星砲に対する決め手となるか。
しかしここでフレディがアルスとコンタクトをとろうとする。そもそもアルスがエルドラを守らんとした存在で、それらを今度はフレディたち今の民が守ると告げる。そんなフレディにアルスの記憶が思い浮かばれる。そこには古き民の姿、しかしどこかで見たようなその姿は何を意味するのか。真ん中のケモノは確かに今のエルドラの民のもととなっているともいえるが。
そこにヒロトが、ヒロトたちが4人でのコアチェンジを試み、まさに究極形態に変形する。その一方でヒナタの矢が放たれんとする。こうして二人の想いを、願いを、そして祈りを込め、ほぼ同じ時にヒロトのリライジングの砲火が、ヒナタの矢が放たれる。すべては自分たちが描く未来に向けて。
しかし衛星砲もまたその砲火が放たれるもリライジングの砲火がそれを貫き、衛星ごと打ち破るのだった。そしてヒナタの矢もまた的のど真ん中に命中し、神事も無事成就されたのだ。ちなみにロータスで決め手となったのもこのリライジングだったのだ。
しかしもともと電子体たるアルス。いつ訪れるか分からぬ迎えの時に絶望し、今まさに敗れんとする事実と合わせ、再び眠りにつくことを説くクアドルンの言葉を受け入れかね、更にはマサキの言葉から自分を阻んだガンプラの民の地、GBNへと直接侵攻を試みる。
GBN世界に突如出現するアルスの軍勢。しかしそれを待ち構えたる者たちがいたのだ。

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ep24:ビルドダイバーズ<今更ながらビルドダイバーズRe:RISEレビュー>

マギーの呼び掛けで集まったダイバー。その中には上位ランカーの面々の顔も見受けられた。中でもパルの兄弟シャフリ、ヒロトがかつて所属したアヴァロンの一員も来ていた。そして現れたリクたち元祖ダイバーズも、ヒロトたちのもとに現れたのだ。それにしてもサラの方がメイのお姉さんだったのか。
ともかくも再びのロータスミッションに数多の強者たちが集い、それらにヒロトたちダイバーズが挑むのだ。すべては真の強敵に対するために。
こうしてミッションは開始され、ヒロトたちの決戦に先立つ試練が開始される。この日のために、そしてきたる日のためにヒロトたちの新たなる機体も準備万端だ。
その一方でヒナタは来る神事に向けての練習に余念がなく、いまだ病床のマサキは同じく病床の子供たちにガンプラ政策を教えたりもする。これはひとえにガンプラへの想いを捨てていないとミズキも承知はしていたが。すべてはヒロトたちの奮闘が公表されて以来のことでもあった。
さておき現在のヒロトの奮闘、第1エリアはドージを中心とした一般ビルダーたちの一群の対戦。たしかにドージもひとかどのダイバーとして成長したがやはり手こずってはいられない。その一方メイは同じくローズが相手となり、戦端を拓かんとするパルにはユッキーの砲撃が待ち構える。それらの様を観戦するマギーとサラはどこか楽しそうだが。
さらにはモモの破天荒な砲撃で押し返され、パルがアヤメの斬撃で1本取られてしまい、
再びのチャレンジで勝手知ったるはずのゴジョウたちに押さえつけられてしまう。しかしここで諦めることは今のヒロトたちには許されない。何度かのチャレンジで第3エリアまで進むことができたが、そこからがヒロトたちにとってもあまたの強敵が立ちはだかっていたのだ。
GBNの高位ランカーたるタイガ、シャフリ、そしてロンメル。ヒロトたちにとって、否すべてのダイバーにとっては雲の上の存在であり、かつてのリクたちも彼らに認められつつも今なお修行途中ながら高名なる存在なのだ。はじめその名を借りつつもいくつもの偶然から大いなる使命を帯びてこの戦いの場に身を投じたのだ。
所変わってクガ家を訪れたヒナタ。プロポーズの返事とばかりに焼いたチーズケーキを出され、今父のオサムが対策の執筆中だという事情もあり、その奮起の為もあるが一方で弓神事が控えているヒナタへの励ましの意味も込められていた。それはひとえに世界を変えるための祈りの意味を込められていると先のヒロトの言葉が込められ、今戦っているヒロトたちを想いをあらためていたすことになる。
一方でマサキの身を案じるミズキもヒロトたちの戦いを通じて、今のマサキの心情を徐々に受け入れつつあったか。マサキが語ったダイバーの強さ、それはガンプラの技術はともかくダイバーの想いでもあると。やはりミズキもかつて自身が試みた弓神事を通じてガンプラの対するマサキの想いを受け止めていたのだ。
戻ってたしかに今のヒロトたちにとってはまさに難敵である彼ら。何度も打ち負かされても着実に彼らの強さを受け止め自身もまた強くなりつつある。
さらにオーガとリクとの戦い、ことに同じ名を冠する二人にとっては最強の敵にして最高の友としてぶつかり合うことができたのだ。その互いにぶつかり合う心、それをサラが感じていた。かつての彼女と同じように。
そして最後に待ち構えるはチャンプのキョウヤ。かつてのヒロトのリーダーたる彼が一番の強敵として、そしてこれからのミッションに対する力を見極めるために立ち向かうのだ。
まずメイとパルの援護射撃からカザミの防御からヒロトが振り切った。そして残るはロータスの要塞のみ。残った戦力でいかに攻めるか。
しかしヒロトたちはこの大いなる試練を戦い抜いた。キョウヤたちも感嘆する戦いぶりで。その戦法やいかなるものか、いずれ明かされることだろう。
その戦いが済んでリクたちのネストにて健闘と業を称え、親交を深めていった。ことにパルとシャフリ、カザミもオーガ、そしてロンメルに一目置かれつつあった。
そしてヒロトとリク。先ほどの激闘でお互いを分かりあったと思いきやかつてイヴのこともあり、一度腹を割って話し合わせたいとメイが持ち掛けたのだ。ヒロトか抱いたイヴの想いそれがサラに結実したこと、その上で二人は同じ名を持つライバル、ひいては友として再戦を誓うのだった。
しかしその前の最後の戦いがヒロトたちを待っていた、そしてヒナタもまたヒロトを案じつつ自らの大舞台に立つのだ。その二人の想い、そして祈りが結実するものはいかに。

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