ガンダム

ep02:知られざるミッション<今更ながらビルドダイバーズRe:RISEレビュー>

ガンダムカフェにて働くことになったヒナタ。店の雰囲気に入りかねながらも、なんとか仕事をこなす彼女に店長も温かく見守ることになるが。
一方でマギーを通じ何やらの調査を進めるメイ、先のミッションの結果に不満なカザミ、そしてパルヴィース、ヒロトは先のバトルを通じ何を想うのか。
再びGBNにダイブするヒロト、それに伴いミッションに移行する4人。そこはあのフレディが待ち構え、再び助力を求める。メイ曰く先のバトルはストーリーミッションの一環だというが。まだ開発中ということで事態をつかみかねながらフレディの村に向かう一行。途中戦禍の跡を見つつ、ヒロトは彼女の姿を思い起こす。
そしてたどり着いたフレディの村。ひとまずの歓迎を受けつつも次の目的、ミッションを聞き出さんとするのだが。
村長が言うには“一つ目”と呼ばれる謎のMSが近隣の村を襲い、この村からそれらから守ってほしいとのことだった。確かにモノアイ:一つ目とは言い得て妙。ヒロトたちの機体は二つ目と呼ばれているのもうなずけるか。そんなヒロトたち、半ば煙たがれていながら受け入れられつつあるが、一方で彼女のことを思い出しつつ周囲の状況を臨むヒロト。半ば遊び半分で臨まんとするカザミ。いまいち自信を出せないパル。ともかくも来るミッションを受け入れんとする一同だが。
いざ作戦に臨むにあたり、クリエイトミッションで腕試しをせんと持ち掛けるヒロト。戦闘が開始され、カッコつけのカザミ、あてずっぽうのパルが足を引っ張ることとなり当たるミッションほとんどがしくじる形となる。なんとか防衛成功と嘯くカザミ、しかし被害がバカにならず、先行き不安なのは変わりはない。その様にかつての戦禍の中、散った花に涙する彼女の姿を思い起こすヒロト。
煮え切らない想いの中ログアウト後ヒナタと帰途に就くヒロト。落ち込むヒロトにヒナタもいつも通りの調子でなだめんとして、ひとまずはその言葉を受け入れんとするヒロトだが。

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第4話:月で待つもの(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、かつての英雄にして義兄カツの旧友たるカミーユとの交流と、それに関わる者たちの邂逅をお送りする運びです。今更ながらも本編外伝を含めて物語としてのガンダムの歴史をなるべく連ねようとしたストーリーが組めるように目指したつもりでしたが。
ともかくこういった運びとなりましたので、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第4話:月で待つもの
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
グラナダ市郊外に建つ住宅、そこがカミーユとファの家である。そこにカミーユが帰ってきた。
「お帰りなさい」
ファが迎える。それに対しおもむろに、
「今日ウォンさんとの話に先立って、フォウに、会ったよ・・・・・」
「そう・・・・・」
ファが相槌を打ち、しばらくカミーユが黙っているので続いて、
「・・・妬くと、思った?」
「いや・・・・・」
軽く顔を向けてカミーユが応える。それに対しファは微笑を浮かべつつ話を変える。
「それで、フォウは何を伝えたの?」
「・・・ああ、見つかったんだ。俺たちが捜し求めた、まさに『望まれし子』をね」
「やっぱり、そうなのね」
「それに関連するかもしれないけれど、もうすぐクムとトーレスがお客さんを連れて来るらしい」
「それも“あの人”と関係があるかしら」
「おそらくは、そうだろうな」
 
同じ頃、1台の地上車がグラナダの市街を走る。車を運転するトーレスと助手席のクム、そして後部席のキッカが乗っていた。
「おっ、見えてきたな」
トーレスがビダン邸を確認する。車が近づくと家の門が開き、車は中庭へと入っていく。
キッカ、クム、そしてトーレスがビダン邸の玄関扉の前に立つ。クムが扉をノックする。開いた扉からはファが出迎えた。
「お帰りなさい、クム、それに、トーレスも」
「・・・ただいま、帰りました」
そう、クムにとってはこの月こそが帰るべき家だったのだ。正確に言えば、本当の家はアーガマの元船医のハサン先生の家なのだが。とにかくもクムたちは第二の故郷ともいえる場所に戻ってきたのだ。
「こちらが、キッカ=コバヤシ大佐です」
クムが紹介し、キッカがファに会釈で応える。
「キッカ=コバヤシです」
「ファ・ユイリイ=ビダンです。どうぞ、主人が待っております」
ファに誘われるまま、3人は居間へと足を運ぶ。
ソファーにはカミーユが座っていた。カミーユに勧められ、3人はソファーに腰を下ろす。
「よく来たね、キッカ大佐、それにトーレスとクムも」
「お久しぶりです、カミーユさん」
「つい先ほどまでシンタもいたんだが、ちょうど君とすれ違いになってしまったよ」
「そうですか」
シンタといえばクムと一緒にクワトロ=バジーナによって宇宙に上った子で、そのままアーガマに同乗していたのだ。戦乱後にクムとともにハサン先生の養子となり、今に至っている。そういえば操船技師の資格を取るべく夜間の大学に通っていたと聞くが。
「それに、ここに来た目的はほぼ分かってるが、明日詳しく話すことにしよう。せっかくこうして会えたんだから」
「そうか、そうだな」
失望するでもなく、トーレスは半ばわざとらしく肩をすくめる。
ようやくカミーユはキッカに話を向ける。
「さてと、キッカ大佐」
カミーユの言葉にキッカは何かを思い出すかのように応える。
「あ、よろしければキッカで結構です。義兄とは友人だったと聞きましたが」
「ああ、そうだな、僕とファ、トーレスにとってカツは親友といってよかった。その義妹の君がここに来たのも何かの縁だ・・・・・」
と、その夜は思い出話を中心に親睦を深めることとなった。そして明日、改めてアナハイム本社へ向かい引き渡すモビルスーツの検討を行うことで話はまとまった。
「今度は私一人でもいいかもしれませんね」
「そうだね、募る話もまだまだあるが、もうこんな時間だ。軍の任務というのもあるだろうからここらでお開きにしよう」
「それでは、本社にて」
「ああ、まずは期待してくれ」
といったところでビダン邸を後にせんとするキッカたち。ひとまずは形式としてカミーユとトーレスが握手を交わすのだった。
 
一方グラナダのとあるダイニングバーにて二人の男がカウンターに並んで座していた。
一人は20代半ばの青年、そしてもう一人は大柄な体型の壮年の男、ガランシェール艦長のジンネマンだった。今回は私的の用で青年から一つの事柄を聞き出すに至る。
「すると、木星圏の状況は未だ厳しい状況にあるのか」
「ああ、まず太陽光の供給がままならないのを前提に、融合炉からの燃料供給でのコロニーの維持態勢も未だ開発途中だ。この状態での移住計画は、やはり」
青年の口調は重い。もともとアクシズからの住民はその木星移住者がその生活になじめず、地球で難民生活を余儀なくされているものがほとんどだ。それが近日のジオンの自治権放棄でより生活も厳しくなることは間違いはない。加えて地球圏のコロニー建造はピークに達し、その受け入れも限界に近い状態にある。その上で圏外の移住計画の強行は困難な状況になっていた。
「やはり頼りはアルテイシア様か。だからこそ近々あんたは“彼女”と会う機会があるだろう。そこであんたに頼みがある」
と、ジンネマンは二通の手紙を渡す。青年はそれを恭しく受け取る。
「ああ、受け取ったよ、何せこれは“あの娘(コ)”の頼みでもあるから。すなわち俺にとっても“あいつら”の願いでもあるからな」
「ああ、すまないな」
と軽い握手を交わし、別れもそこそこに青年はこの場を去る。残ったジンネマンはマスターにもう一杯のウイスキーを注文する。
なみなみと注がれたグラスを傾けそれに語り掛けるように独語する。
「今夜はゆっくりと飲めそうだ、マリーダ・・・・・」
ジンネマンはグラス越しに眺めた先、一人の女性の姿を見た気がした。
 
次の日、引き渡されるMSについての検討を行うべくキッカはアナハイム本社へと向かうこととなった。アレンの運転による地上車で向かうのだ。
「品定めなら資料を送ればいいのですが」
「状況が状況だからね、それに企業秘密ってのもあるから」
「はい、一般的な戦術論として、最大の戦力での抑止を行うといったところでしょうか」
アレンの述解にキッカも笑みを浮かべつつ応える。
「これも、ケントの受け売りかしら」
「そういうことになりますか」
そんなこんなで地上車は本社ビルに到着した。
「それでは、ご武運を」
「ええ、でも敵地じゃないから、ある意味ね」
と、キッカは地上車を後にする。ビルの正門前でカミーユが待ち構えていた。
「よく来たね、では早速取り掛かろうか」
本社に入る2人に、社員の一人がカミーユに告げる。
「ビダン主任」
「何かね?」
「リー会長が先ほどから・・・・・」
「ああ、すぐに済むから待たせてくれ」
「・・・そ、それが・・・・・」
社員が手を差し伸べた方向、エレベーター入口脇にウォンが立っていた。
「ウ、ウォンさん・・・・・」
「会長としてのささやかな特権ってところだ」
ウォンはキッカの方を向き、
「君がキッカ=コバヤシ大佐かね」
「は、はい・・・・・」
ウォン=リー会長はキッカにとっても苦手意識を持てる人物のようだ。苦手意識といえば、カミーユももともとウォンとは不仲であったと聞いていたが、見たところまんざらではないかなとも思った。そういえばカミーユたちの地球行きについてウォンが手を回したことは、キッカはともかくクムも最近まで知らなかったとか。
ともかくもキッカとカミーユはウォンとともにエレベーターに乗り込む。
「実は直接わたしあてにも装備の充実を要請されたのだ。君がカミーユに直接要請したのと同じようにな。今は誰かは言えないが、君の知人であることは間違いない」
「そうですか」
その誰かについてはキッカもまず推して知り得たが、それに気付いてかウォンも半ば大げさに振り向く。
「故に、ここは俺も立ち合わせてもらうぞ」
「しょうがないですね」
こうして地下の研究プラントへとたどり着いた3人を待っていたのは4人の男女だった。その一人、ジュドー=アーシタがキッカを迎える。先日木星での任務を終え地球圏へと帰還したばかりで、昨夜ジンネマンと交渉を取り付けたところだった。
「キッカ大佐ですね。自分がジュドー=アーシタだ。お養父上には大変に世話になった」
「そうですか」
握手のあと、ジュドーは一人ずつ紹介をしていく。まずは技術者らしき女性と少し幼い少女、おそらく母子だろうか。
「まずこちらがMSの研究主任のニナ・P・ウラキ博士だ」
「ウラキです、よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ・・・・・、・・・!」
もう一人の人物が目に入り、キッカは驚く。
「あなたは、フロンティア社のアルフレッド=イズルハ社長」
「はい、左様です、キッカ大佐」
「イズルハ社長には宇宙船の開発に伴う推進装置開発に尽力してもらったんだ」
「ですが、その、イズルハ社長といえば、反戦主義者として・・・・・」
「・・・そう、ですね。まあ、わたしにとっての反戦とは、ただやみくもに戦争反対を唱えるのではなく、平時においては戦争の手段を回避すべく尽力し、いざ戦争が起きればそれを出来るだけ早期に終結すべく働きかけるものと思っています」
「はい、そうですね。そういえばイズルハ社長の著作は読みました。今だ戦乱の終息は難しいものですが」
「ありがとうございます。聞けば大佐も戦乱の早期終結に向けてお力添えをしているかと。今は歩みは遅いやもしれませんが、いずれきたる平和のために僕も力を尽くしましょう」
と、キッカとアルが握手を交わす。そこにウォンが割って入る。
「さて、本題に入ろうか」
それに応えるかの如くカミーユが壁のスイッチを押し、開発されたMSが並べられたドックが開けてきた。
「これほどそろっているとは」
「所詮はただの酔狂だ。戦争はMSの性能のみで決するものではないからな」
キッカの感嘆にウォンが流して後、キッカは並べられたMS群の中から一つのMSに目が留まる。
「・・・これは・・・・・?」
「ああ、こいつはかつてのシャアの反乱でアムロ=レイ氏が開発に携わったνガンダムを独自に改良した機体だ。いわば、Hiν+(ニュープラス)ガンダム」
「これが、ν+・・・・・」
キッカはその機体をしばらく見つめていた。
 
新たなる力、ν+を手にし、宇宙へと駆けるキッカ、
だがそこに、かつての戦争の落とし子が立ちはだかる
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド『ガンダム、行きます』
君は、生き延びた先に何を見るのか?

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ep01:彷徨のコアガンダム<今更ながらビルドダイバーズRe:RISEレビュー>

さてみなさん、今回からビルドダイバーズの新作Re:RISEのレビューをお送りする運びとなりました。
前作のダイバーズより新たなる主人公を迎え、新たなる伝説を作らんと物語が繰り広げられんとする。はたしてどのような展開が待ち受けられるのか。今回もあらすじを追いながら要所のツボを押さえて述べることとしましょう。それでは、ごゆっくり。
 
舞台は再びGBN、サバイバルミッションにて最後の敵に追われているプレイヤーたち。SEED系の寄せ集め、というかいいとこどりというか、ともかくも強大な敵になす術もない中、窮地を救った1機の機体。しかし彼らが言うには自分たちを囮にして敵を撃破した彼。クリア時の報酬を彼らに譲り、その代わりにそこのエリアで何かを探さんとしていた。決して群れない彼は何を求めているというのか。そして一人の少女は一体何者なのか。
先の戦いから大幅にアップデートしたGBNのベースにて先のバトルの話題で持ちきりだった。そんな中で件のあの男に近寄らんとするもう一人の男。自信過剰なるその男カザミの誘いをあっさりはねつける彼ヒロト。現実に戻り家路についた先には幼馴染のヒナタが家事を手伝い夕食を共にする。そこでも父親のスランプにかこつけて自分の心に引っ掛かった何かを思い起こすヒロト。後日ベースでのガンダムカフェにてヒナタの申し出に付き合わされる。単なる付き添いだと言いながら常に自分のガンプラを持参していることから、いつでもダイブできることを指摘されるヒロト。やはり心に引っ掛かる彼女のこともまた知られているのか。
こうして再びダイブしたヒロト、そこにはあのカザミが待ち構え再び彼を誘わんと裏道へと招く。それに加わらんとするも及び腰の少年。そこに獣人の子供が助けを求め、さらには謎の少女も舞い降りる。それが一つのミッションとふんでカザミがひとまずエントリーする。そのミッションそのものが詳細は不明で先行きは不安なのだが、やはりカザミの軽い気持ちでのことなのだが。
そのミッションにて待ち構えた獣人の子供フレディ。カザミたちを創造主と呼んで各機体が置かれた建物の外に連れていく。カザミのジャスティスナイトはともかく、ヒロトのコアがたしかに見た目頼りなさそうだが、そして少女メイと少年パルヴィースの機体もカザミとしては心もとないとみえるが。
ともかくもその機体で現れた敵にあたるのだが、メイのヴォドム以外やはり戦いがたどたどしい。しばらく傍観を決め込んだヒロトは敵の戦力を図っているのだが。
次第に追い詰められる中、ついにヒロトのガンダムが出撃する。ガンダムだけでは力不足と、支援機との合体でその真の力を見せ、ひとまず敵を撃破するに至る。こうして最初の戦いはひとまずクリアし、フレディが呼んだ“ビルドダイバーズ”がきっかけで、彼らがチームとして結成され、その名もそのままチーム名となった。
しかしヒロトとしてはその名前に戸惑っているきらいがあるのだが、件の少女とともにいかなるいきさつがあるというのか。

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第9話:クアールのガンダム<機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回のオルフェンズDAWNは、先の戦いで宇宙をさまよったクアールがとある人物の導きとともに、ギャラルホルンに救出され、新たなる力を手に入れるまでのいきさつをお送りする運びです。そして彼女と同じく大志を抱き立ち上がるもう一人の少女。彼女との邂逅はどのような運命をもたらすのか、これも見守っていきたいものです。それでは、ごゆっくり。
 
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
 
第1話:暁に立つ
 
第2話:汚名
 
第3話:世界を知れ
 
第4話:アステロイドの猫
 
第5話:テイワズの息子
 
第6話:マクギリスの遺産
 
第7話:散る命、守る命
 
第8話:鉄血の志
 
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
 
 
とある宇宙空間、否どこまでも暗闇に近い虚無の空間。クアールはただ漂っていた。
「・・・ここは、どこなのだ、静かで冷たい、でもちょっと気持ちのいい場所なのだ」
やがて自分を呼んでいる、懐かしくしかしどこかねっとりとした感じの声。目を向ければそこにはある男がなれなれしく陰惨な笑みを浮かべて招いている。
クアールに近付くその男。しかしクアールは手を伸ばす男に、
「そこには・・・そこには、行きたくないのだ!」
と男の手を拒み、その言葉に男も弾き飛ばされる。こうしてクアールはまた闇の中に漂うかに見えた。
しかしクアールの目の前に、一人の男の後姿、紅いスーツに身を固め、その上にはおるジャケットには花の紋章が描かれたその男が目に映った。そこに近付こうとするクアールだが。
「まだ行きたくないはずだろう、ここには。それがお前の意思であるはずだ」と応える。
男は天を差すしぐさをしつつ続けて、
「生きている限りは路は開けてくる。決して、止まるんじゃねぇぞ」と諭すように背中から呼び掛け、クアールから遠ざかるのだった。
「・・・ああ、待って、待ってなのだ・・・・・」クアールが手を伸ばそうとしたまさにその時、気が付けばそこは治療漕の中にいた。
目が覚めたクアールに気が付き、看護兵らしき人物が話し掛け、今までの状況について説明をする。
今クアールがいるのはGHの戦艦内で、瀕死の重傷を負った彼女を治療し今に至ったという。看護兵が言うにはあの傷で生きていられたのが不思議なくらいだとのこと。傷の完治までしばらく時間がかかるということで、休眠モードのスイッチを入れられ、そのまま眠りに落ちる。
しばらくして傷が完治し、治療層の扉が開き拘束も解かれるや、クアールは勢い良く起き上がり「治ったのだー!」と立ち上がるも、そのまま前のめりに倒れ込む。医師が言うには体力はまだ回復していないとのことだった。
後に一般の医療室に移され、少ない医療食に不平を垂れつつ、検査と調整の時を過ごした後、艦内の散策に興じることになる。
気になるのは自分が乗っていたMSクアール・ロディ。艦のドックを探すうち、そこには一台のMSの残骸が片隅に置かれていた。そのロディは先の戦いでもはや再起不能となっていたのだ。
「ロディのおかげでクアールは助かったのだ、今まで、ありがとうなのだ・・・・・」
と、ロディに向かって黙祷をささげるクアール。そこにGHの技術将校が現れ、クアールを誰何する。
もともと木星圏の調査のために極秘に(それでいてテイワズの了承を受けつつ)行い、帰還の途についているとのことで、クアールの救出はそのついでだという。
将校との会話の中、1機のMSがクアールの視界に移る。GHの目的の一つであったガンダムフレームの1機“オセ”であった。
クアールもそれを見かけるや「これがクアールの新しい機体なのだ、ラッシュや暁とお揃いなのだ」と告げるも将校がすぐさま却下する。そもそもガンダムフレームのMSはGHにとっては封印すべき機体だったのだ。意識改革もなされたとはいえ、厄災戦以来の慣習を守っている者たちもあって、その配慮故ということもあり、ひとまずの説諭でクアールも一旦は引き下がるのだが。
 
変わってアステロイドベルト帯の都市衛星。こぢんまりとした酒場でソーダをオーダーする一人の少女。和装を基調とした仮面の彼女はある噂を耳にする。近々ある海賊団が高額な報酬を目当てにGH艦隊が手にした物資を奪う算段だというのだ。たかだか海賊団一つがGH相手に無謀な企てだと、誰もが鼻で笑ったのだが。
その少女はその噂の詳細を聞き出さんとするが、無法者の一団がそれに横やりを差しはさまんとする。さしあたり裏通りで話をつけると告げ、そのチンピラたちに連れられる。ややあって店に戻ってきた彼女。迷惑料をと店の端末に支払いを済ませ、先の男たちに噂話のことをさらに聞き出さんとする。一方件のチンピラたちは裏通りの片隅でうめき声とともにのされていた。全員が肩と腰の関節を外されていたのだ。後に救急車が駆け付け全員が搬送されたのだが。
後にその少女は港の自家用の輸送機に搭乗し、噂で聞きだした宙域へと飛び立つのだった。
 
戻ってGH戦艦。あいかわらずあてがわれた自室を中心に日々を過ごしているクアール。さしあたり彼女の身元は火星に一旦降ろし、その上でロウ社かアトモス商会にその後を任せるというのだ。その2社は(非公式ながら)かの鉄血隊との関係者でもあるとの言にクアールの心も軽く弾む。そこの御厄介になればまたラッシュたちとも会えるという淡い期待も芽生えてきた。
しかしその時、艦隊前方から未確認の戦艦が襲来してきた。アステロイド帯を根城にしていた件の海賊の一団だった。
襲い来るMS群、GH側も迎え討たんとMSを展開するのだが、ひとまずの挑発とともにそのMS群を引き付けていく。
実は海賊の頭目には思惑が、つまり依頼者に伝えられていた策があった。
「数で勝るGHを討ち破るにはまず全力でかかり、主力のMSが展開すればそれを引き付け、しかる後に一気に叩く」ものだった。
しかし相手はGH精鋭のアリアンロッド艦隊。かつてラスタルが率い今はジュリエッタが総司令官の役職についている。その末端たる調査船団もそれなりの戦力を持っていて、司令官も彼らの意図は把握しいていた。こちらも挑発に乗るふりをしていてある程度離れた後で全艦を突入する戦法だった。もちろん一気に殲滅せんとするためである。
また戦闘なのかといぶかるクアールに、ことはじきに終わると将校はなだめる。彼もまた整備のためドックへと駆け付ける。
やがて船団が暗礁地域にかかり、敵を見失ったMSと合流、母艦も一時帰還を命令し、全機が着艦せんとしたその時、無数の物体が船団に襲い掛かる。艦の船体を貫くそれはまさしく禁断の兵器“ダインスレイヴ”だったのだ。
艦内が騒然となる中、クアールもただならぬ雰囲気からノーマルスーツに着替えて事態の状況を彼女なりに調べんとドックへと足を運ぶ。そこはダインの攻撃で破壊され、あの将校も深手を負っていた。駆け付けるクアール、将校は「逃げろ」と告げてこと切れる。
「誰かは知らないけど、ひどいことをするのだ、クアールも許せないのだ」
と目の前にいたオセに駆け寄り、前もって調整されたコックピットから起動させる。
その際にクアールもオセの声を聞いた気がする。
ほどなくドック内が炎に包まれ、そこからクアールの脳裏にあの紅いスーツの男が思い起こされる。
「決して、止まるんじゃねぇぞ・・・・・」
男の言葉を胸に、メインモニターに映された名前“OSE”を目にし、出撃を告げる。
「クアール・カデル、ガンダム・オセ、行くのだ!」
出撃と同時に戦艦も爆散、炎の中から現れたオセ。目の前にはGHのMSを次々撃破していく海賊たちのMSが破壊の限りを尽くしていく。それらを目の当たりにし、こみ上げる怒りがクアールの胸を焦がす。
「絶対に、許さないのだ!」
まず目の前のMSに狙いを定め、怒りに任せて撃破する。その後も次々と、そして着実に倒し続けるクアール。さらには何かの“予感”を感じ取り、その方向からの動きに合わせてすかさず大きく回避をするオセ。それがダインの第2射だったのだ。それをすんででかわしたクアール。しかし残りの海賊たちにも大きな被害をもたらしていく。
その事態に戸惑いつつも大方のことを理解するクアール。
「この敵はおとり、その次に出てくるのが本当の敵のお出ましなのだ」
はたして海賊たちもろとも撃った敵の本隊。件の反乱軍が残敵の掃討に取り掛かるのだ。雇った海賊たちを屠りつつ、残るはクアールのオセ、それには包囲の末に制圧せんとする。クアールも果敢に立ち向かうが先の海賊たちとは違い、こちらは元は制式の軍隊。加えて数に勝って襲い掛かるのでさしものクアールも対しきれない。
「このままでは、やられるのだ、ラッシュ・・・・・」
思わず弱音を吐くクアール、一瞬ひるんだ隙に数機のMSが襲い掛かる。しかしそれを退けたのは1機のMS、なんとクアールと同じガンダムフレームのMSだったのだ。
「助かった、のだ、でも今度は何者なのだ」
「こちらは間に合いましたわね、どうやらあなたはお味方のようですから、私が加勢いたしましょう」
それは先の衛星で陰謀を聞きつけ、それを阻止せんと乗り込んだ件の少女だった。その言葉に従い、そのMSとともに残りの敵を果敢に撃破し続ける。
ある程度の被害を受け、敵も退却をしていく。その際に「時間切れか」といった言葉を吐き捨てつつ。
追おうとするクアールを制しつつ、少女は自分についていくよう促す。促されるままに少女の艇に着艦したクアール。オセから下りた先には、あのMSのパイロットである仮面の少女がいた。
「おかげで助かったのだ、でもキミは何者なのだ」
クアールの問いに少女は仮面を外し告げる。
「私は蒔苗陽日(まかない・あさひ)、そしてこのMSはガンダム・フォルネウス。貴女と同じく青雲の志にて時代を切り拓かんとする者です」
その名乗りに戸惑いつつもクアールも返す。
「クアール・カデルなのだ、お仲間なら、よろしくお願いするのだ」
そして差し伸べた手をその少女、陽日も受け止めるように両手で握りしめる。
「こちらも、よろしくお願いしますわ」
ここにクアールの新たな路が開けたのだった。ラッシュたちのことも気になるが、ひとまずは陽日とともに歩むことになる。
 
次回・鉄血のオルフェンズDAWN
“再び赤き星へ”
ようやく私も立つ時が来ましたわ、ひいおじい様、クーデリア先生、そしてオルガ団長。
 
・キャラクター・メカニック設定
蒔苗陽日(まかない・あさひ):かつてのアーブラウ代表、蒔苗東護之介のひ孫にあたり、蒔苗の死後かつて事故死した蒔苗の息子の孫であることを認知される。幼い頃より奔放な生活を送っている彼女もMS乗りとして名を上げんとする。そんな中彼女もガンダムフレームのMSを駆り、火星の争乱に身を投じる。
 
ガンダム・オセ:72機存在するガンダムフレームのMSの1機。木星圏の片隅で発見され、ひとまずの調整のついでにGHに保管する予定だったが、海賊団、ひいては反乱軍の襲来を機にクアールの乗機となる。特徴としてはネコ科動物のイメージの外見と頭部のセンサー等がある。
 
ガンダム・フォルネウス:72機存在するガンダムフレームのMSの1機。詳細は不明だが、陽日のもとにわたり、調整と改造を重ねてまさに彼女の手足となって戦場を駆け巡ることになる。
武装は主にナギナタ型のソード(後にブレードに改造)を用いての近接戦に特化している。

 

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第13話:1年戦争<今更ながらジ・オリジンレビュー>

レビル将軍を乗せたサラミスと遭遇するシャアのファルメル。大方の予想の前提で一応の揺さぶりをかけんとする。警告威嚇射撃の後ザクで乗り込んでいく。
あの赤い彗星の来艦ということでまず狙わんとする士官を退け、レビルの乗艦を確認した後に彼を逃がす形で艦を後にする。シャアにとっては最大の政治ショーの予感を感じ、あえて逃がしたのだ。当然彼の本当の目的のために。
一方でサイド7にてミライが父とともに訪れていた。また一方セイラは先の事件を受けルウムの病院の職を辞し、院長の勧めで無医村状態のサイド7に移るよう勧められ、セイラもそれを快諾する。
アムロは先日解放されたカイに寄り掛かられるも、ひとまず振り切って軍の施設にて父の開発していた、ガンダムについて問おうとするも、士官にクギを刺されて追い返され、自宅にては機密保持のためにある程度の接収を受け、ひとまずは引き下がることとなったが。
地球の南極にて休戦交渉、事実上の降伏勧告のため地球に乗り込んだマ・クベ。後のコロニーの雛形となる南極の人工都市にてその交渉が行われんとしていた。対する連邦側ではレビルの無事が告げられるのだが。
小惑星ルナツーに到達したレビルは、あらかじめ用意されたいわゆる政治ショーの舞台へと上がる。そこで先の開戦の敗北を詫びつつ、現在ジオンが置かれている状況から地球を完全に掣肘できうるだけの力はないと断言。そして後の世に伝えられる「ジオンに兵なし」の言葉で締めくくる。こうして後にシャアがいう神のない第2幕、戦争継続が決定されるのだった。
そして連邦も戦争継続に際し、コロニー落しをはじめとする殺戮兵器の制限を結ぶにこぎつける。
はたしてジオン本国では演説に激昂したデギンは、結局キシリアの思惑に乗った形で地球派遣軍の一員となったガルマを激励しハッパをかけるにいたる。
先の事件をよそにサイド7ではフラウや子供たちが池で水遊びをしていた。そこにはカイたちと通りがかったアムロやハヤト、そして車で通り抜けるミライたちも居合わせる。その際に父シュウが戦争を必要とするものの存在をほのめかしたりするが。
カイもひなたぼっこがてらで何かを聞いていたかと思えば、単なる気まぐれかあるいは心境の変化かレビルの演説だった。そしてアムロは、今だ脳裏にこびりついていた、施設の先のガンダムについて思いをはせていたのだ。
こうして後の戦士たちもまた運命に導かれるかのごとく集うのだった。
かくしてジオン軍の地球侵攻作戦が開始され、一旦は各都市を制圧するに至る。それと前後して連邦側も一隻の強襲揚陸艦をサイド7へと向かわせる。そこにはテムと若き士官ブライトも乗艦していた。こうしてガンダムという物語は、本当のはじまりの幕を揚げることになる。
こうしてジ・オリジンのレビューはひとまずのシメといったところですが。今後の展開において、その後の物語もアニメ化されるかもしれないけれど、これもひとまずの期待は持ちたい。といったところで、ひとまずのご愛顧まことにありがとうございます。

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第12話:赤い彗星のシャア<今更ながらジ・オリジンレビュー>

ルウムの戦勝で沸き立つジオン本国、しかしこの場に際し講和を望むデギンに対し、ギレンは究極の勝利に向けて戦争の継続を望んでいた。ここでも親子の確執があり、デギンも同じくギレンに反感を持つキシリアにギレンの暴走を止めるように告げるのだが。
一方で後方任務を嫌うガルマは前線司令官たるドズルに前線任務を懇願する。ひとえにシャアに対する対抗心ゆえのことなのだが。対して上層の意思であると難色を示すドズルに、かつての学友たる妻ゼナのとりなしでひとまずの配慮を約束する。
そんな中での戦勝祝賀会にて、将官の入来、黒い三連星に合わせてシャアも少佐に昇進し会場に臨む。オルテガらの嫉心をよそにガルマが戦果の祝福を建前に自分も前線司令官に先立ち、ルウムにて残敵の掃討任務にあたるという。その真意をはかってかシャアもガルマの意地を受け流さんとするが。そんなガルマが受け持った掃討作戦は文字通りの市街戦。抵抗もあったがともすれば一方的な虐殺ともなり得たのだ。それをも気に留めずに今はただ突き進むガルマだったのだが。
一方で捕囚の身のレビルをデギンが訪れる。直接終戦を持ち掛けるもレビル一人の一存ではままならないのを建前に遠回しに難色を示すが。
並べられた美術品、どれも贋作であると告げる将校マ・クベ、そこにキシリアが訪れ和平交渉、実際には地球侵攻軍の司令官の着任を要請する。乗り気でないマ・クベもその真意をキシリアに問う。キシリアもまた戦争継続とともに彼自身の保証をガルマを預からせることで約束する。そしてギレンとの確執をも告げる。ここにきてキシリアもマ・クベを味方に付けんとしていた。
一方でマ・クベに対する不満を述べつつ、シャアにとある任務を告げる。連邦の新型兵器の開発の調査がそれであった。そのための戦艦とともにシャアもそれを拝命する。
その戦艦、ムサイ級ファルメルで副官のドレンを艦長代理に任じ、その任務遂行のためまさに宇宙を突き進む。
一方でレビルの脱出作戦がキシリアの策略で実行され、数多の危険を排してジオン本国を後にする。
一方先の戦役の跡地での訓練時に件のサラミスを補足したファルメル。その調査のためにシャアも介入せんとするのだが。

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第4話:月で待つもの(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは月に向かうキッカたち特務隊と、宇宙での任務にあたるアルセス一党、そしてキッカたちを待ち構えるカミーユとウォンの会合をお送りする運びです。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第4話:月で待つもの
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
強襲揚陸艦タイニーウィングが月のグラナダへの航行途中、クムを伴ったキッカがブリッジに入ってきた。キッカは入りざま、オペレーターの一人に問い掛ける。
「曹長」
「は、はい・・・・・!」
キッカの問い掛けにオペレーターはやや緊張した面持ちで応える。
「進路はそのままで、本艦の旧ア・バオア・クー宙域の最接近時刻はいつ?」
「・・・ア・バオア・クー・・・・・?」
戸惑うオペレーターに後方のノックスが割って入る。
「旧ゼダンの門だ。確か、記録があるはずだ」
「・・・はっ・・・・・!」
と、オペレーターが端末を走らせて時刻を割り出す。
「・・・約5分後です」
「うん・・・・・」
キッカが頷く。続いてノックスも、
「確か跡地が放置してあったはずだ」
「・・・はっ、映像、出します」
メインモニターにア・バオア・クー上部の残骸が映し出される。キッカはそれに直立不動を取る。
脇にいたクムもそれにならい、しばらくしてトーレスもオペレーター席にて直立の体勢を取る。やがて再接近時刻に近付いてきた。
「カウント取ります、30秒前・・・20秒前・・・・・」
ノックスもまた、艦長席から離れ、キッカの横に直立の体勢を取る。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、最接近時刻です」
キッカたちはモニターに向かい敬礼をする。
「そのまま航行を続行します。グラナダへの到達時刻は・・・・・」
オペレーターの報告を聞き流し、しばらくキッカも感慨に浸っているかに見えた。
 
ややあって、いずこかの発射場から1隻の偽装貨物船が宇宙に飛び立つ。それはアルセス一党の輸送艇だったのだ。
先に告げられた秘密の任務にあたって表面的に平静を装うアルセスはともかく、やや緊張気味の3人にジョアンがなだめるように話し掛ける。
「どうした3人とも、やはり怖いのか」
「うん、怖くないといえば嘘だけど、初めての宇宙だから、なんかこう、体中が透き通っていくような気がするんだ」
「あ、俺もちょっと。そういやティクバ、お前宇宙育ちだったろ、こういった気分は経験済みだろう」
リッドの感慨に続くレトーの問いにティクバもやや緊張気味に応える。
「あ、いや、俺もコロニーで暮らしたっきりだから。でもやはり怖いけど、そんなに悪い気はしないかな」
「よし、上出来だな3人とも。たしかに宇宙での訓練だ。危険なことには変わりはないが心配するな、シミュレーション通りにすればうまくいく。そうハデなドンパチはやらんだろうよ」
ジョアンはそう告げ、3人もひとまずは納得した。しかし続いてこうもつぶやく。
「・・・もっとも、あの化物みたいなのがいればまた別の話だがな」
それはトリントンの惨劇についてのことなのは誰しも感づいたことだった。そこまではいかないまでもこれからの情勢から予断は許さないのもまた承知の上だった。
 
そして月のグラナダ、アナハイム本社の会長室で会長のウォンと技術主任の男、かつてのグリプス戦役の英雄とうたわれ、精神障害を患い戦線を離脱して後、回復後アナハイムの技術者として身を置き、今回のウォンの会長職就任の後もその地位にとどまった。以前からの不仲説でその地位を追われるのではないかと噂されていたが、それからの留任もまた社内を驚かせたのもまた事実だったが。
実は離脱後のカミーユとファの地球行きの便宜を図ったのも実はウォンだったのだ。こういったところは彼なりの打算があったとはいえ義理堅いところもあったのだ。
ともかくもカミーユとウォンとの関係は傍目から見れば一触即発とはいかないまでも微妙なところだと誰しもが思っていた。もちろん二人の思惑のすべてを理解するものはいない。否、ファとトーレスの二人ならひとまずは理解しているだろうが。
そんな中カミーユがウォンのもとを訪れる。目的はMS開発部門の縮小に関する会合であるが実はもう一つ、ウォンに届けられた親書の主たる要人が絡んでのことでもあるのだが。
ノックとともにカミーユが入室を告げる。
「カミーユです」
「うむ、入れ」
スーツに身を包み、髪を少し整えた青年、カミーユが入室し、そのままウォンが座している事務机の前まで歩み寄る。そのまま立ったままのカミーユにウォンは本題を持ち掛ける。
「彼女のことは聞いているな」
「ええ、近々こちらに参るとトーレスから聞きました」
ウォンも軽く頷き、一つの懸案を持ち掛ける。
「在庫処分にはいい機会だ。せいぜい高く売りつけてやれ」
「ええ、それはもう」
皮肉を利かせた台詞にカミーユも軽く応える。続いて親書についての内容についても問い合わせる。
「先日俺のもとにこの手紙が届けられた。地球のアストライア財団からだが、内容については、承知しているな」
カミーユも無言で応える。それを確認した後でウォンも懸念を伝える。
「カミーユよ、一つ言っておきたいことがあるが、この計画が成功したとして一体どうなるか、正直俺は心配なのだ」
「新しい時代における争いの種との懸念でしょうか、たしかに心配をしても仕方がないことなのですが」
「はっきり言うが、これが後世に悪しき結果をもたらすことがあれば、俺は容認しかねる」
「どんなに殴ってでもですか」
「みなまで言うな!」
ついにウォンは声を荒げる。だがそれは痛いところを突かれ多少抵抗してみたまでのことである。
「・・・たしかに、俺自身としてもそのことに思いいたす義理はない。だがな、俺は今アナハイムの会長を務めている。故に会社に対し責任を持っている。お前とても家族に対し責任があるだろう」
「シーファンもアンリもいい子ですよ。僕なんかよりもね」
カミーユの二人の子供の名は、ウォンの不快をいくらか和らげた。子供たちにとっては怖い所もあるが優しいおじいちゃんでもあったのだ。
「MS開発部だけでなく、アナハイムとしても企業として縮小しなければなりませんから。僕もひと通りの仕事はこなしますよ」
「そうか、それならいい」
ウォンも了承の言葉を伝え、その日の会合はお開きとなる。
「まあ、僕もいつまでも子供のままではいられませんよ」
と言ってカミーユは部屋を出ていく。その後でウォンは机の中にしまわれた件の親書を覗き込み一言。
「しかし、俺はそんなに信用できないのか、トーレス」
 
そしてTWが月のグラナダに到着する。これよりの装備受領に先立つカミーユをはじめアナハイムの要人との会合に臨むために。

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第11話:ルウム戦役<今更ながらジ・オリジンレビュー>

ティアンム艦隊の猛攻に多大なる被害を出すドズル艦隊。ドズルも涙ながらにその健闘をたたえつつ、次の作戦の指揮を出す。本隊のレビル艦隊に向けて転進するというのだ。
対するティアンムも追撃に転ずるが、粒子の影響からかドズル艦隊を見失う。
一方偵察機には兵士リュウが僚友とともに偵察に当たっていた。目視でもままならない状況の中、視界が明らかになった時、それはドズル艦隊の真っただ中だった、急ぎ離脱するリュウたち。
敵の偵察機にも目をくれず、一路レビル艦隊を目指すドズル艦隊。一方ガイア率いるMS部隊もレビル艦隊を目指す。もう一方シャアの赤いザクが艦隊に近付き、その迅速な機動力で着実に艦を沈めていく。その損害に対し、さしものレビル艦隊もその事態をつかみかねつつも、さしあたり戦闘機に迎撃にあたらせる。
しかしドズル艦隊はレビル艦隊の只中までに近付いていたのだ。最大船速でにじり寄るドズル艦隊。怒涛の近距離射撃でレビル艦隊を叩き潰す。これにはレビル艦隊もひとたまりもない。応戦をしようとするも、今度は正体不明の、実は三連星率いるMS部隊が襲来する。事実上応戦の手を封じられ、まさにされるがままとなってしまう。
リュウ機も報告のため帰還するも着艦もままならないまま母艦が沈められ、自機もザクに落とされる。後に不運な僚友を案じながら宇宙をさまようことになるリュウだったが。
いかに数に勝るレビル艦隊もMSザクの機動力に対して全く歯が立たず、そのうちに三連星が旗艦アナンケを補足。それを沈め、脱出艇のレビルを拿捕に到り、ここに勝敗は決した。
多大なる戦果を挙げたシャア。三連星までもその実力を認めざるを得ず、それでいてラル配下の兵士に対しての気配りも忘れてはいない。
ジオン本国の司令部、戦況を見守っていたギレンのもと、前線に立ったデギンをもよもやおとりにしていたのかといった疑念を抱くキシリアをひとますは軽く受け流すが。いずれにしてもまだ戦争を終わらせるわけにはいかないか。
実際ティアンム艦隊はデギンの存在を確認していて、拿捕するチャンスをうかがったが、レビル艦隊の救援を優先させそれもおぼつかなかった。こういった微妙な心情も今後の歴史に大きく左右していたか。一方デギンも勝利に沸き立つガルマをなだめつつ、これが戦役のはじまりだと感づいていた。
そしてドズル艦隊による残敵掃討により、ルウム会戦は終結した。

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第10話:赤いモビルスーツ<今更ながらジ・オリジンレビュー>

心労で倒れたテアボロのためにテキサスに帰還したセイラ。その一方で息子の安否を気遣うべくジオンに赴かんとするロジェ。このテキサスにも居づらくなったが故の移住するのだ。それと併せて「キャスバルが生きている」との士官タチの言葉~今ジオン軍で活動しているシャアこそがキャスバルである~に、セイラの心は大きく揺れ動く。
一方でエデンにてラルが傷心を癒やし、そこにタチが訪れる。キシリア機関がラル逮捕に動き出すというが、すかさず機関の者が押し掛ける。ラルを確保せんとするがハモンがそれを阻み退ける。
その上でラルのためかピアノで弾き語る。その哀しい旋律と悲しい歌声があたかもラルの心の傷を癒すかのごとくだった。
戻ってテキサスにも不穏の空気が立ち上る。ジオン派の暴徒が蜂起し焼き討ちを始めたのだ。逃げた民衆とともに屋敷に立てこもるセイラ。襲ってきた暴徒に対し応戦を指揮し、自身も銃器で果敢に立ち向かう。彼女もまたジオンの娘、そして認めたくないだろうがキャスバルの妹だということが思い知ることになるのか。ともかく戦争の狂気に対しての憤りはまさに鬼気迫るものだった。
しかし防戦の途中、避難途中でテアボロが心臓発作で逝ってしまった。また一人セイラの大切なものが失われたのだ。しかし惨劇はまだ終わらない。コロニーのベイが攻撃されそのあおりで出航途中の船が沈められ、アズナブル夫妻がそれと運命を共にしたのだ。
その戦火の中には赤いMS、そこにはシャアが乗っていた。
くしくもその戦火で暴徒も鎮圧され、呆然とコロニーの空を見上げるセイラ。そこにはたちの言葉通りのあの赤いMSが遠目に映るのだった。追いかけるように近付かんとするように駆け寄るセイラをよそに、その赤いザクは飛び去っていくのだった。
ルウムへの攻撃を察知した連邦ティアンム艦隊は、目前のドズル艦隊に対応するため、ルウム近隣の対処を両軍のレビルに任せ、目前の敵にあたる。
一方レビル艦隊も襲撃の詳細が知らされないままにルウムへの対処にあたる。この戦いが今までの戦争とは違うことにも感づいているのだが。
戦場後方にても、形式上の総大将たるデギンも傍らにガルマを置いて戦況を見守ることに。戦況の趨勢にやきもきするガルマをたしなめつつ堂々と構えているのだが。
そしてジオン軍にとって秘蔵の戦力たるMS、三連星ガイアが兵を鼓舞し出撃にあたる。これもシャアに対する対抗心もあるが。ともかく戦意も高く出撃にあたる。
かくして艦隊戦が繰り広げられ、構造上砲撃をある程度受け流せられるムサイだが、いかんせん戦力の差は補い難く、ティアンム艦隊に対し善戦するも著しい被害を出してしまう。
そして今やジオン軍の頭たるギレンも冷徹に戦況を見守り、前線のシャアも出撃するにいたる。その際にザクのリミッターを解除し、その加速に耐えつつ戦場に乗り込んでいく。あたかも赤い彗星のごとくに。

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第9話:コロニー落とし<今更ながらジ・オリジンレビュー>

ついにジオン必勝の、悪魔の作戦は実行される。先の工作の後コロニー内に毒ガスを注入し、気流に乗って充満させる。
周囲の人々が眠るように絶命する中、ユウキも悪寒とともに雪の幻を見つつ、ファンがいるシェルターを案じ、そこを護らんと向かう。そしてすでにこと切れたファンがいるシェルターの扉の前でユウキも力尽きてしまった。
ついにイフィッシュは外部エンジンによって発進され、一路地球へと降り立たんとする。対する連邦も落下を阻止せんとするも果たせず、イフィッシュも大気圏で分解、不幸な二人を含めた住民をも焼いて、ついに地球の各地に落下した。幸い、というべきかイフィッシュはジャブローへの落下は防げたが、地球は当然のごとく甚大な被害を被り、後に判明したが、先の戦争の分を含めて当時の総人口の半数が死滅する大惨事を引き起こした。
二人の魂は彼らが夢見た地球の土に還ったのだろうか。しかしこの惨劇を経ても戦争はまだ始まったばかりだったのだ。
先の作戦の事実上の失敗を受け、次の目標をルウムに定めるジオン軍。世論が割れる中、連邦の支援を受け連邦側の優勢を受けてのことだった。その際にデギンも先の作戦の失敗について問うも、ギレンもあくまで最終的な勝利まい進するのみと強調する。さしものデギンも不快の念を禁じ得ずこの場を後にする。対するギレンも失望の念を禁じ得ないが、不快なのはドズルも同じだった。
そのドズルは自邸に戻り、先年妻に迎えたゼナ、そして二人の間の一粒種ミネバが待っていた。そのミネバに対する溺愛ぶりはそれは目に入れても痛くはないくらいだった。
そのミネバが寝静まった後、ドズルはゼナに今回の作戦について涙ながらに後悔の言を発した。たしかに強面の彼だが武人としての純粋さと人としての優しさを込めたドズルをゼナは優しく支えんとする。その上でドズルも家族の将来についても語る。そんなミネバもやがてはドズルの実直を受け継いだことも知る人には知っていることなのだが。
サイド5のルウムにては国情が連邦とジオン、それぞれの支持に分かれ相争っていた。その混乱の中病院で治療に当たっていたセイラのもと、情報将校のタチが訪れる。かつて出国の手引きをした彼に訝るセイラ、しかしタチはシャアの実情と併せキャスバルの生存をほのめかす。それはすなわち現在のシャアがキャスバルで、本物の少年シャアは入れ替わりで命を落としたということになりセイラの心を揺れ動かす。そこにロジェから養父テアボロが心労で倒れたという知らせを聞かされる。
月のグラナダでは新型のザクのロールアウトに心弾ませる三連星と、テスト運用を済ませたシャアが顔を合わせ一触即発の様相を見せつつ、来る会戦に際して手柄の立てあいをもほのめかすシャアだったが。
地球のジャブローでは精鋭部隊の新造戦艦が次々と宇宙へと上がり、ルウムへと向かう。
対するジオンもギレンが将帥を鼓舞し、ドズルが勝利への叱咤激励とともに作戦概要の説明を行う。そこには秘匿したあの兵器を用いるのだった。
そしてエデンでも雌伏の身のラルにコズンたちが出征を告げ、ラルも生還を言い渡しつつ見送るのだった。
こうしてここに人類史上最大のルウム開戦の幕が切って落とされるのだった。

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