ドラえもん

ぼくは、ロボット:ロボットは召し使いじゃない<本当は怖いドラえもん>

かつてSF小説の巨匠、アイザック=アシモフは「本来ロボットは『労働』が示すとおり、人間に奉仕するものである」と提唱した。しかしそれに異を唱えた人物がいた。それが我らが藤子・F・不二雄先生である。
今回は以下二つのお話を通じて藤子F先生が、ロボットについていかなるべきかをひとまず推察していきたい。
 
『手足につけるミニ頭』
この日も宿題などやるべきこともあって何かいいものがないかと頼み込み、ドラえもんも『ミニ頭』を出してそれを手足につけることになった。はじめはいろいろとミニ頭が動いてくれたが、次第に勝手に動くようになり、ついにはのび太くんを気を失うまでいいように操ってしまったそうな。
 
『すなおなロボットがほしーい』
ある日宿題に追われたのび太くん、ドラえもんに手伝ってもらおうとするも当然のごとく突っぱねられる。後に自動車の事故に巻き込んでドラえもんが代わりの車をとミニカーを『キカイソダテール』なる薬で自動車に育てる様を見て、のび太くんはその薬を分けてもらってオモチャのロボットにふりかけるも、そのロボットが暴走して暴れ回り、結局先の車にぶつかって難を逃れたそうな。
 
他にも『ロボッター』や『モノモース』やらのお話があるけれど、このように、自我を持つロボットが人間と同じような感情を持って、あるいは自らの分析から人間のコントロールを受け入れるか否かを判断した結果(ドラえもんの場合は前者がもっぱらだけと)、人間の要求をはねのける結果となった。
単に労働力に重点を置くならむしろ知能や判断力は少なめでいいと思うけれど、手塚治虫先生の『鉄腕アトム』みたいな人間同等のロボットが人間と友だちと同じように付き合うことが藤子F先生にとっても理想の未来像だろうし、むやみにこき使おうとすれば逆らうのもあたりまえだというのもごもっともである。
そしてその行き着いた先が、何かとドラえもんに頼りっぱなしののび太くんを時には厳しく突き放すシチュエーションにもつながったのだろう。

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ドラえもんオリジナル特別編:のび太のサファリパーク(後編)

さてみなさん、今回のドラえもんのオリジナルストーリーは、かのお蔵入り作品のアニメ化ということで、いよいよ敵役のキャラとしずかちゃんとの対戦を描く運びとなります。本文にも書かれていますが、原作の落としどころをひとまずは述べたつもりです。
ともかくもこういったところですので、それでは、ごゆっくり。
 
動物を集めようとして『桃太郎印のきびだんご』をバラまいたが、集まったのはきびだんごをみんな食べてしまった象一頭だったので。今度は新型ターザンパンツで動物を集めようとするも、今度はしずかちゃんたちの姿がいなかった。
のび太「あれ、しずかちゃんたちはどうしたんだろう。きっとどこかに行ったんだ。ジャングルの中はとってもあぶないのに」
と、仕方がなくみんなを探すことになった。
その一方、ドラえもんたちのベースキャンプからややあった場所で、ジャングルの動物たちが何者かに狩られていったのだ。つぎつぎショックガンで眠らされオリに入れられていく。
そしてそれら動物たちを狩っていたのは、やはり動物の姿をした者たちだったのだ。
「これで地球の動物は結構狩れたな」
次々とオリに閉じ込めた動物を運んでいくハイエナ男たちの一方で、先にジャングルを散策しようとしたところ、やはりショックガンで眠らされたしずかちゃんたちもいた。
「アネさん、結構大きいサルも捕まえましたぜ」
しずかちゃんたちをつかまえたヒョウ男に呼び掛けられたのはこの場を取り仕切っていたゴリラ女だった、しかししずかちゃんたちの姿をみて怒り出す。
「ばか、何やってんの、これはヒトザルだよ。地球の知的生命体の。彼らを捕まえて他の奴らに知られて警備隊に通報されたらどうするんだい」
しかし少し考えて結局連れていくことにした。
「でもまあ、このまま放っておくわけにもいかないから、ひとまず連れていきましょう」
こうしてしずかちゃんたちは、動物宇宙人の密猟団たちがベースキャンプを敷いている場所へと連れられる。
そこには密猟団のリーダーであるライオン男が待ち構えていた。その傍らには大きなナベが置かれていた。
「おう、ご苦労だったな、これだけ集まればおれたちも大儲けだ。地球は自然と動物の星というからな。こいつらを金持ちや大学に売り飛ばしてから、って・・・・・」
そのライオン男は、しずかちゃんたちに気が付き、ゴリラ女に話しかける。
「おいリイナ、この子供はヒトザルじゃないか。こいつらもさらってどうするんだ」
リイナと呼ばれたゴリラ女も多少困ったように応える。
リイナ「だってしょうがないじゃないのマンバ。このまま放っておいたらことがばれちゃうからねえ」
ちょうどしずかちゃんたちも目が覚め、動物の宇宙人たちにびっくり仰天する。
ジャイアン「わあなんだなんだ、おれたち捕まっちゃったのか」
スネ夫「誰だよ、ジャングルを散策しようとしたのは」
しずか「ご、ごめんなさあい」
そんな三人にゴリラ女のリイナが近付いて告げる。
リイナ「あら、ようやくお目覚めね、悪いけど知られたからにはすぐには帰せないわ。ひとまずあんたたちは大人しくしてもらうわよ」
ジャイアン「わーん、かあちゃんより怖い」
スネ夫「おうちに返してよおゴリラのおばさん」
リイナ「失礼ねえ、これでもまだ25歳よ」
マンバ「まあしょうがないな、これから晩飯の支度をしようか」
と、ライオン男のマンバは、部下の動物人たちに指示を出して支度をさせる。
そんな時、のび太くんがロープ伝いで樹の上から現れた。
のび太「しずかちゃんたちがあんな所にさらわれちゃってる。助けたいけど仲間の動物がいないんじゃどうすることもできないよ、でも・・・・・」
その一方でジャイアンたちも、
ジャイアン「おれたちいったいどうなるんだろう」
スネ夫「決まってるんだ、あのナベで料理されて、た、食べられちゃうんだ」
マンバ「うん、それもいいかもしれないな」
リーダーのマンバが告げ、怯えるしずかちゃんたちに向かってなお続ける。
マンバ「ただ材料はそろっているからヒトザルは食べたりはしない。だがそうだな、ヒトザルを煮てダシを取ったら鍋料理もうまいというぜ」
スネ夫「やっぱり食べるんだ、ぼ、僕を食べてもおいしくないよぉ」
ジャイアン「お、おれも」
怯える三人に、マンバが少し考えてから告げる。
マンバ「それもそうだな、おいリイナ、あの女の子を入れてやれ」
リイナ「はいはい」
とマンバに促され、リイナがしずかちゃんを連れていく。
しずか「いや~!」
ジャイアン「しずかちゃんから食べられるのか」
スネ夫「ぼくら、おいしくなくてよかった」
ちょうどリイナの背中で見えないが、しずかちゃんは服を脱がせてからあられもない姿でナベに入れられる。
しずか「あ~ん」
リイナ「すぐに終わるから少しの間我慢しなさい」
こうしてナベに煮られたしずかちゃんだったが、その温度はお風呂のぬるま湯と変わりはなかった。
そんな時、樹の上ののび太くんが飛び込んできた。
「ああっ、しずかちゃんが危ない、助けなきゃ」
と、勢い勇んで「あ~ああ~!」とロープ片手に飛び込んだまではいいけれど、途中パンツが枝に引っ掛かり脱げてしまい、そのままのび太くんは草むらに飛び込んでしまったのだ。
ジャイアン「何やってんだよのび太のやつ」
一方でナベで煮られているしずかちゃんも、
しずか「もう、のび太さんなにやってるの、私、もう、のびせちゃう・・・・・」
そんな時、のび太くんのパンツがしずかちゃんの頭に覆いかぶさった。
しずか「あれ、これってのび太さんの、でもしょうがないから・・・・・」
少しのぼせたしずかちゃんは、そのパンツをはいてしまった。
しずか「あれ、このパンツ、私のサイズに合わせて。それにみるみる力もわいてきたわ」
それから中から鍋を吹き飛ばし、脇から下をパンツで覆われたしずかちゃんが出てきたのだ。
マンバ「な、何だ、あの娘が鍋から出てきて」
「ど、どうします、親分」
マンバ「決まってるだろう、直ちに取り押さえろ」
というわけで、ヒョウやハイエナ男たちが一斉にしずかちゃんに襲い掛かる。これにはしずかちゃんもたまらずに逃げてしまう。ところがこれもパンツの力なのか捕まえようとしても一向に追い付かない。
やがてヒョウ男が取り押さえようとしたが、すかさずしずかちゃんが投げ飛ばす。
「あれ、どうして私こんなに強くなったのかしら」
つまりはパンツの力でしずかちゃんの力も強くなっていたのだ。こうなったらしずかちゃんも何かしらやる気も湧いて出てきた。
しずか「それだったら、よおし、やっちゃおうかしら」
それから八面六臂、簡単に言えばすごい活躍で動物人たちをちぎっては投げつづけてほとんどやっつける。
同じくドラえもんを乗せたゾウに連れられて、先のしずかちゃんの悲鳴に応えてジャングルの動物たちも仲間を助けるために駆け付けてきた。
ドラえもん「おーいみんな、大丈夫」
マンバ「くそっ、なんだあいつらは。このままじゃおれたちも」
リイナ「そうね、これであなたもおしまいよ」
と、リイナはショックガンでマンバの動きを封じる。
マンバ「リ、リイナ、お前、裏切るのか」
すかさず懐に手帳みたいなものを見せてリイナは告げる。
リイナ「私は宇宙捜査官のリイナ。あなたたち密猟団を取り締まるために派遣されたのよ」
マンバ「な、なんだとお・・・・・」
そのままマンバは気を失う。そのうちに一台の宇宙船が降り立った。
 
マンバをはじめ、連行される密猟団のメンバー、そんな宇宙警備隊の隊長がリイナに近づき、リイナが今回のことについて報告する。
隊長「ご苦労だったなリイナ捜査官、それで地球人の協力者という子供たちは」
リイナ「はい、はじめ彼らに捕まりましたが、後で飛び込んだ子供の機転で彼らを捕まえる機会となりました」
リイナに紹介されたしずかちゃんは、解放された動物たち一頭一頭にあいさつを交わしていた。
しずか「大丈夫みんな、本当に助かってよかったわね」
スネ夫「しずかちゃん、まるで女ターザンだ、かっこいい」
その時草むらから、何枚か体に草を張り付けたのび太くんが出てきた。
のび太「みんなあ、大丈夫・・・・・」
リイナ「あらあら、ヒーローのお目覚めね」
そんな折パンツ姿のしずかちゃんを見かけて、
のび太「ああ、しずかちゃん、それ僕のパンツ・・・・」
近付こうと知るのび太くんをしずかちゃんは「いや~!」と押しのけ、勢い余ったのび太くんはリイナに受け止められる。
リイナ「あらあら大丈夫」
ジャイアン「それにひきかえのび太カッコ悪い」
しずか「あ、ごめんなさいのび太さん」
リイナ「いいとこみせようとしたけど、ちょっとしくじっちゃったわね」
のび太「こんなはずじゃなかったのにい・・・・・」
こうして、ジャングル中にみんなの笑い声が響き渡る。とまあ今回も散々な目にあいじまいののび太くんだったそうな。

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休めない国、ニッポン<本当は怖いドラえもん>

今回は祝祭日を中心として、いわゆる休む日についての必要性とそれに対してあえて述べるならばの“弊害”について、このお話を中心に述べたいと思う。
 
ぐうたらの日(てんとう虫コミックス第14巻)
6月にどうして祝日がないかと嘆いているのび太くんだったが。ドラえもんが日本標準カレンダーを出して、明日ぐうたらと働かなくていい日をと定め、その翌日休みとなったのだが。いざ休日でみんなで遊ぼうにとするもみんな外に出たがらず、途中お腹が減ってしまうも、ご飯を作ることもままならず、結局祝日を解除してしまったそうな。
~このお話は勤労感謝の日にちなんでぐうたらの日を制定して休もうとして、かえって面倒に巻き込まれたお話であり、我らがF先生もたまにはぐうたらと休んでいきたいと思いこのお話を創られれたが、オチ的にこういった笑い話に落ち着いたとか。
ちなみにユダヤ人では安息日という宗教上のしきたりがあり、その日は一切の労働等の行動をしてはならないというのがあり。藤子F先生がそれを知ったかは知らないけれど、なにもしないことのいわゆる弊害をめぐってはユダヤ人の人たちと他の人たちとの衝突等もお話にもつながっているかなと思う。
 
祝祭日をふやそう(旧々アニメ版オリジナル)
今年のゴールデンウイークでは休日が飛び飛びなのを憂えたのび太くん、そこでみんなを呼んでポータブル国会を使って飛び飛びの日に祝祭日を定めて休もうとするも、結局みんながみんな勝手に祝日を定めようとしてかえって道具が壊れてしまい祝日どころじゃなかったそうな。
~このお話は当時(80年代半ばまで)のゴールデンウイークを風刺したお話ともいえ、休日になったらどんな日がいいかということでお話が進んだけれど、いつも通りのズッコケオチはともかく、実際の国会での法改定でGWにおいての休日で飛び石の状態が解消されたこともやはり興味深い。
 
それらのお話において子供の感性から祝祭日は(学校が)休みの日といったところだろうけれど、大人の理屈としてはそもそも休日については実際の社会生活に適合させなければならない。
例えばかつてのコンビニ24時間営業についても、時間帯ごとの店員の交代で成り立っているのは周知のことだろうが、規模も小さい店ではそれがままならず、下手をすれば本当に四六時中店に立たなければならない事態にもなり現在大きな社会問題になっているだろう。
つまりは平日に仕事をこなし休日に余暇なり休息を取る人があれば、休日の社会システムを維持するために働く人だっている。その人も平日の他の日にお休みを取っているだろうと思うけれど。たしかに週に1日は休日を取った高度成長期では一週間ぶっ通しで仕事をしている人もいただろうけれど。
さておき社会全体が休んでしまったら社会も死んでしまうも同然である。つまりは安易に国家システムをいじくると、とんでもない結果になりますよ、とある意味常識論をマンガで表現したお話ということで。

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ドラえもんオリジナル特別編:のび太のサファリパーク(前編)

さてみなさん、今回のドラえもんズオリジナルは、夏休み特集というか、緊急企画というか。本家ドラえもんからのび太のサファリパークをお送りいたします。
これはかつて雑誌で掲載されながらも様々な事情でお蔵入りとなったお話をある程度の落としどころを見ながらひとまず現代風にアレンジしたものをお送りする運びです。
アフリカのジャングルを舞台にドラえもんやのび太くん、そしてしずかちゃんがどのような活躍を見せてくれるでしょうか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
その日の空き地にて、スネ夫がまた話を切り出した。
スネ夫「先日家族みんなでサファリパークに行ってきたんだ。ライオンやヒョウ、ゴリラなんかが車に近づいて、それはもう迫力あったんだ」
ジャイアン「そいつはすげえな」
しずか「ちょっと怖そうだけど、おもしろそうね」
それに聞き入っていたみんなもそれぞれ感慨し、のび太くんもひとまずは聞き入っていたが」
しずか「ねえのび太さんもどうかしら」と、しずかちゃんが呼び掛ける。
ジャイアン「やめとけよ、のび太なんか、動物に近づいたら仰天してのびちゃうぜ」
スネ夫「ほんと、のび太なだけに」
のび太「な、なにをっ・・・・・!」
スネ夫「それじゃ今度連れて行ってやろうか」
ジャイアン「悪いけど今度のサファリパークは三人分なんだ」
スネ夫「いやいや、そこまではいかないでしょう」
のび太「なんだよ、僕だって別に行きたいと思わないよ」
スネ夫たちにはやし立てられ、のび太くんもついに意地を張ってしまい、後ずさりからついにはその場を去っていき、やがて家に差し掛かると。
「ドラえも~ん!」
と急ぎ足で家に駆けよっていく。
 
部屋に戻るや早速ドラえもんに頼み込む。
のび太「ドラえもん、サファリパークを出して」
ドラえもん「な、何やぶからぼうに、ちょっと落ち着いて」
ひとまずのび太くんを落ち着かせ、さっきの事情を聞いたドラえもんだったが、
ドラえもん「うん、要するにみんなをサファリパークに招待して見返してやりたいってことでしょ」
うんうんと頷くのび太くんに。ばかばかしく思いながらも一つ提案をする。
ドラえもん「要するにアフリカのジャングルで動物たちをまじかに見せればいいでしょ」
のび太「それもそうだけど、やっぱりライオンやゴリラが近づくと怖いから、怖くないように近づけられるようにならないかな」
ドラえもん「しょうがないなあ、それだったら『桃太郎印のきびだんご』があるから、それで動物たちをてなづけられるはずだよ」
のび太「それじゃ、さっそく行ってみよう」
ということで、『どこでもドア』でアフリカンジャングルに行き、ジャングル上空からきびだんごをまいていく。
ドラえもん「これで動物たちがのび太くんのいうことを聞くはずだよ」
のび太「うふふ、楽しみだなあ」
こうして後日の楽しみに期待をしながらきびだんごをまいてから家に戻るのだった。
しかしその後で空から何やらの光がジャングルに降り立ったのだ。
 
次の日、いつもの空き地にしずかちゃんたちを呼び寄せ、ドラえもんとのび太くんは高らかに宣言する。
のび太「ようこそ、のび太のサファリパークへ」
スネ夫「なんだ、ただの『どこでもドア』じゃない」
ジャイアン「結局ドラえもんに頼りっきりじゃないか」
ドラえもん「まあまあ、ドアの向こうはアフリカのジャングルで野生の動物たちを色々見られるよ」
しずか「その野生の動物って、いきなり襲ってきそうで危なさそうじゃない」
肝心のことがらに少し驚きながらものび太くんも返す。
のび太「も、もちろんそれについては心配はいらないよ。動物たちはみんなかわいくてかっこいいから、ね」
と、みんなをせかしつつドアの向こうに連れていく。その向こうのアフリカのジャングル。密林の間の広まったところをベースキャンプとしてここから動物たちを鑑賞するのだ。
スネ夫「それで、動物たちはどこにいるの」
のび太「うん、もうすぐ近くに寄ってくるよ」
と、勢い勇んで思い切り声を上げる。
のび太「おーいみんな、こっちへ来て!」
と声を張り上げるも、しばらくたっても動物たちは一頭も寄ってはこない。
ジャイアン「何だよ、なにも寄ってこないじゃないか」
のび太「へ、変だなあ、こんなはずはないんだけどなあ」
しずか「やっぱり動物さんたち、ちゃんときびだんごを食べなかったんじゃないの」
としずかちゃんに痛いところを突かれて、のび太くんもさらに動揺する。
スネ夫「なんだ、結局道具だよりじゃないか」
ジャイアン「ばかばかしい、帰ろ帰ろ」
のび太「あ、ちょっと待ってよ、きっとみんな来るのが遅いから」
と、ドラえもんとともにこの場を離れる。ちょうど足音も響いてくるので、さしあたりそこへと向かう。
しずか「ねえ、せっかくだからジャングルの周りを歩いて行かない。もちろん遠くには行かないように」
スネ夫「うん、しずかちゃんがそう言うなら」
ジャイアン「まったくしょうがないなあ」
 
一方ののび太くんたちも、うまくいかないことにドラえもんと相談し合う。
のび太「どうなってるの、ちゃんときびだんごをまいたはずだよね」
ドラえもん「それだけど、しずかちゃんの言った通り食べなかったかもしれないな。でもこの前買ったばかりだから」
その時、一頭のゾウがのっそりとあらわれる。
のび太「あっ、待ってました、でもゾウ一頭っきりかな」
ドラえもん「あ、ちょっと待って。なになに『君たちがまいた丸いものがおいしかったから君たちを追っていたらみんな食べちゃった』だって」
のび太「ええっ、結局食べたのはこのゾウだけじゃないか。これじゃあサファリパークにならないよ、どうしようドラえもん」
ドラえもん「しょうがないな、それじゃあ同じく最近買った『新型ターザンパンツ』」
と、先にも出した『ターザンパンツ』を出す。
のび太「えっ、またこのパンツ、あまり気が進まないなあ」
ドラえもん「これでも最新式なんだ」
と、しぶしぶパンツにはき替える。
のび太「なんだ、ブカブカじゃない」
ドラえもん「じきにサイズも合うよ」
と、はたしてのび太くんのサイズにパンツも合わせられる。
ドラえもん「それからはいた人のイメージに合わせていろんな動物も呼び寄せられるんだ」
のび太「なるほど、こいつは便利だ」
ドラえもん「これでたくさんの動物を呼ぶことができるよ。あとこれも」
と、もう一つ『ターザン印のロープ腕輪』を出し、のび太くんに付けてくれた。
のび太「うん、これでしずかちゃんたちに顔向けできるよ」
と、勇んでしずかちゃんたちの元に戻ろうとしていった。
ドラえもん「がんばってね、のび太くん、って、なになに!?」
さっきのゾウがドラえもんを鼻ですくい上げて背中に乗せるのだった。
ドラえもん「ああ、ありがとう、それじゃあ僕もみんなのもとに行こう」
と、ドラえもんもゾウの背中に乗ってベースキャンプに戻ることにした。
ところが、ベースキャンプにはしずかちゃんたちの姿がいなかったのだ。

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ドラえもんとゆかいな仲間たち<まんが道・ハムサラダ君及び未来の思い出>

先月漫画家の苦悩の記事をお送りしたのを機に実際藤子不二雄先生自身の体験譚でもあるこれら作品をこの場を借りてお送りしたい。
まずは藤子A先生の作品ながらも『まんが道』について語りたい。
まんが道は手塚治虫先生に憧れてマンガ家を志さんとした満賀道雄(安孫子元雄先生)と才野茂(藤本弘先生)の二人が上京し、様々な人との出会いと交流、そしていくらかの試練と挫折を通じてやがては本当のまんが道を目指していくといったストーリーであった。
主人公の名前は先述のとおり仮名ながらも、関連する人物は手塚先生をはじめとしてほとんどが実名なのもこれまた興味深い。
対して藤子F先生の視点で描かれた『ハムサラダ君』もまた、漫画家を志して上京した若き日の藤本、安孫子両先生が、マンガを通じて成長していく物語である。これは主人公の先生がほぼ実名で登場するのに対し、関連する漫画家さんは手塚先生を除いてほとんどが仮名ながらも実際の漫画家さんのイメージは容易につかめるからそれを推すのも面白いかもしれない。あと掲載誌であるコロコロコミックなのが影響されてかストーリー通じて熱血まんがの要素も織り交ぜられているのもこれまた面白い。
ともかくもそれらの作品から藤子先生たちの熱意が伝わり、実際漫画家等作家を目指された方も少なくはないと思う。
あとハムサラダ君に関しては藤子先生のアシスタントを務められたよしだ忠先生が手掛けられことを述べるとともに、藤子F先生自身が述べるまんが道的なストーリー『未来の思い出』についても述べておきたい。
あらすじは漫画家としてある程度大成した漫画家(F先生がモデル)が生まれ変わって第2の人生を歩まんとするが結局前と変わりはない人生を送るようで、様々な人と新たな関わりを持つ、少しマシな人生を歩むといったものだった。
ここでのテーマたる、かどうかはわからないけれど『まんが道』についてはどうかという問いには、漫画家としての後半生に対する苦悩が描かれ、もし人生をやり直せるならといったF先生の願望も描かれているというのが率直な感想でもある。つまりはドラえもん本編における『人生やりなおし機』にての、たとえ人生をやり直そうとしても進歩がなければ意味がないといったオチにが反省に活かされたか、主人公の先生ももう少しましな未来を歩んでいこうといった姿勢も描かれていた。
それらの作品からも藤子両先生のまんが道を通じての人生に想いを致せれば、それこそがファンならずとも作品に対するとらえ方の一つともいえるかもしれない。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラメット三世編その1(後編)

街中で悪さの限りを尽くすランプの精、まず女の子の叫び声が響く。
アラシン「あれは、サーラの声だ、まさかランプの精が何かしたんだな」
ドラメット「ともかく行ってみるでゴザル」
と二人がサーラを訪ねるべく家に向かう。
サーラ「ああ、アラシンね、今着替えているから」
アラシン「う、うん、分かったよ」
と、アラシンたちが家の前で待つことになり、着替えに少し時間がかかったか、ややあってサーラが家から出てきた。やはり沐浴(この場合少ないお湯で身を清めること)を済ませて少し肌が濡れている。
しかしその間にランプの精の被害は広がったようで、各地で騒ぎが巻き起こっていた。
駆け付けてきたのはシン、ウルク、アルスの三人の子供、いずれもアラシンの友だちである。
ウルク「おいアラシン、さっき変なオバケが出てきて、おれのおやつを盗まれたんだ」
シン「僕なんてこの前お父様に買ってもらったおもちゃを取られたんだ」
アルス「僕は読んでいた本を盗まれて」
アラシン「あっちこっちで騒ぎを起こしてるんだ、何としても止めなきゃ」
こうしてみんなで騒ぎが起こっている場所へと駆けつけ、はたして街中の屋台にちょっかいを足さんとするランプの精の姿を見付けた。
ランプの精「おい、面白いものを持ってるな、ちょっとおれに見せろよ」
そこにドラメットがランプを掲げて立ちはだからんとする。
ドラメット「おいランプの精、これ以上人々に迷惑をかけてはいかんのであ~る、とっととこのランプに帰るのであ~る」
ランプの精「むう、なんだお前は、この俺の邪魔をするな」
と、大きく息を吐きかけてドラメットたちを吹き飛ばすのだった。
アラシン「うーん、ここまで強いだなんて」
ドラメット「やはりこのランプの精は自我が強すぎるのであ~る」
アラシン「どうするんだよ、このままじゃらちが明かないよ、うん、この腕輪は」
と、ドラメットのターバンから出てきた腕輪を取り出す。同じく父親が数人の街の人を引き連れてきた。
父「おお、アラシンにドラメット、あれが街を荒らしているオバケとやらだな、ここは我々にまかせて二人とも下がっていなさい」
アラシン「ああ、はい父上・・・・・」
父親に応対しつつアラシンは腕輪に手をかける。すると腕輪の中から一人の女性が現れた。
ドラメット「ああこれは『精霊よびだし腕輪』でゴザル。アラシンが腕輪をこすったので呼び出されたでゴザルな」
女性「はあい、私を呼んだのはだあれ」
アラシン「わっ、まさか腕輪の精さん」
腕輪の精「ええそうだけど、なるほどね、このランプの精をやっつければいいのね」
と、ランプの精を見やって向かっていく。
腕輪の精「あなたがランプの精ね、見てのとおり街の人が迷惑してるから大人しくランプに帰りなさい」
ランプの精「わっ、なんだお前は、せっかく外に出られたんだ、そう簡単に返されてたまるか」
ランプの精が気を放つと、腕輪の精はそれを防ぎ、今度は腕輪の精が反撃をする。お互いの気の弾が放たれては撃ち落とす。どちらも攻撃と防御は正確で傍から見ればきれいな花火にも見える。時折火花が地面に降り、それが小さな炎となって燃え上がる。このままでは街中が家事などで被害が広がってしまう。アラシンが腕輪の精に呼び掛ける。
アラシン「このままじゃ街がめちゃめちゃだよ、なんとかして」
腕輪の精「ええ、分かったわ」
と、腕輪の精は防御の態勢を取り、ランプの精の攻撃を受け流しつつ近づいていく。
腕輪の精「はい、つかまえた」
ランプの精「わっ、何をする、このままだと二人とも消えちゃうんだぞ」
腕輪の精「ええ、分かってるわ。でもこのまま街に迷惑をかけるわけにはいかないでしょ」
アラシン「え、まさか二人とも消えちゃうの」
腕輪の精「これも仕方がないわ。これもみんなを助けるためだもの」
アラシン「そんな、僕の、僕らのために」
そのまま腕輪の精とランプの精は空高く飛び去り、強い光が差したかと思えばそのまま消えていった。
ドラメット「消えちゃったのであ~る、でも大丈夫でゴザルかアラシン」
肩を落として座り込むアラシンをドラメットがアラシンがなだめんとする。そこに父親が二人に諭すように話しかける。
父「うむ、今のことはわたしにも分かりかねるが、あれが精霊だったらいつか必ず帰ってくる。それには二人の心をしっかりと鍛える必要があるのだ」
アラシン「・・・はい、父上・・・・・」
こうしてランプの精の騒動はひとまず収まった。
 
数日後、勉強を終えていつもの散歩をしている中一陣のそよ風と日差しに。あの二人の精霊に想いを馳せるアラシン。
「・・・きっと、帰ってくるよね・・・・・」
そう思うと足取りは軽くなっていく。そんなアラシンの心とともに今日も穏やかな時が流れていくのだった。

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ジャイアン、のび太のうた自慢<本当は怖いドラえもん>

今回はジャイアンの趣味の一つである、みんなを空地に集めリサイタルを開いて歌を聴かせるというものである。そのくだりのお話を何度かご存じの方もおられるだろうが、ジャイアンの歌声はひどい音痴で、ことに聴かされる身になればある程度の苦痛だという。しかし来なければどんなひどい目に合うか分からず、対するジャイアンも調子に乗って衣装に凝ったり時にはおカネも取ろうとしたりとある程度のやりたい放題だった。
ちなみに担当した声優さんの今の木村昂氏と旧版のたてかべ和也氏、本編の蛮声はそれなりに演じてはいるが実際の声質はそうそう悪くはなく、実際挿入歌も創られていて、それらはむしろ木村氏のある程度のかっこよさ、あるいはたてかべ氏も頼もしさすら感じられる。
さておきそのジャイアンのリサイタルに対するためにドラえもんもあの手この手を尽くす様で多くのお話がつくられた。
その一方ジャイアン以外のキャラについて、実はドラえもんやのび太くんも、ついでに言えばしずかちゃんも実はバイオリンについて音楽とは言い難い雑音を立てているともいえる。
まずドラえもんはジャイアンの歌に対抗して自分の歌を聴かせようとしてこらしめんとする。それが結構なドラ声でジャイアンですら辟易するといったお話があったけれど、結局そのくだりもジャイアンが受け持つ形となった。これは声を受け持った大山、水田両女史の演技も合いまったことなのは述べるまでもないけれど。
続いてのび太くんの場合は歌は「聞けたものじゃない」とスネ夫あたりが述べている。それに関して“ダメ”の要素が重なっている事情があるだろう。ちなみに能力カセットの力でうまく歌えたこともあったけれど、こればかりは自身の声をベースにしているから練習次第でのび太くん自身もうまくなるだろうと思うし、加えてしずかちゃんのバイオリンも同じ理屈が通るだろうけれど、こればかりはやはりままならないかもしれない。
といった具合で結局はお話の都合とギャグに転がった事情もあって、歌については先述通りに結構大変な思いをしつつもそれに付き合わなければならないということで。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラメット三世編(その1)前編

さてみなさん、今回のザ・ドラえもんズのストーリーは、ドラメット三世のストーリーをお送りいたします。舞台となるのはいわゆる中東アラビアの街。みなそれぞれに平和に暮らしている中での大騒動、はたしてドラメットたちはどう解決していくか、まずはドラメットとその仲間たちの紹介をば。
アラシン(のび太):大富豪の息子で父親から強い人間になれと日々厳しく教えられ、ドラメットがそれをサポートしていく。
サーラ(しずか)アラシンの子供のころからのいいなずけだが今はまだ友だちづきあい程度。ドラメット同様にアラシンを助けていく。
シン(スネ夫):貿易商の息子
ウルク(ジャイアン):雑貨屋の息子
アルス(出木杉):学者の息子
いずれも一般庶民の出身だが、アラシンの父親が庶民にも慕われていることからなりゆきアラシンとも友だちになっている。アルスは知恵の面で助けているが、サーラが何かと仲がいいのをアラシンは面白くない。一方のウルクたちはからかいながらもアラシンの手助けとなっていく。
ひとまずはこういったメンバーでストーリーを繰り広げます。はたしてどのような展開になるか乞うご期待といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ここはアラブの街、ドラメットがお世話になっている大富豪の息子アラシンは、ある日今日の勉強を切り上げ午後の昼寝をしようとする中、奥の部屋で何やらガタガタと音がする。
アラシン「なんだろう、あれ、ドラメット」
ドラメット「あ、アラシン、今道具の点検と整理をしているでゴザル」
見れば部屋中のガラクタの手入れをしているドラメットがいた。
アラシン「僕にも手伝えることあるかなあ」
アラシンが道具をまたぎつつドラメットに近付こうとするが、
ドラメット「今はいいでゴザルよ、アラシンがいるとかえって散らかるでゴザル」
と、にべもなく追い返される。
アラシン「ちえっ、せっかく役に立とうとしたのに、でもいいや」
と、さっきくすねたランプを手に自室へと戻るのだった。
アラシン「このランプって昔読んだ本によれば、こするとランプの精が出てきて・・・・・」
と、ためしにランプをこすろうとするが、
アラシン「待てよ、ここじゃちょっとせますぎるな。それからあまり散らかしたらまた父上におこられちゃうよね」
そこでこっそりと外に出ていき、さっそくランプをこすって精霊を出そうとする。
アラシン「さあ出てこいランプの精」
すると一面の煙とともにとランプの精がやはり出てきたのだ。
ランプの精「う~んよく寝た、うん、おれ様を呼んだのはお前か」
アラシン「わっ、びっくりした、でも本当にランプの精が出てくるなんて」
ランプの精「出られたからには何かお礼がしたいな、さてお前は何を望む、どんな願いでもかなえてやろう」
とランプの精はアラシンに問いかけるが、
アラシン「うーん、これといって願いは何もないな。それにあまり人や物に頼るなって父上にも教えられたんだ」
ランプの精「なんだ、つまらない奴だな、まあいいさ、せっかく外に出られたんだ。ちょっくら遊びに行ってくるぜ」
と、ランプの精ははるか天空へと飛び去って行った。
アラシン「ああ、行っちゃった、でもいいか。家に帰って夕方まで昼寝しよう」
アラシンも手に持ったランプ片手に家へと戻っていく。
 
アラシンが家に戻った時には、ドラメットがひみつ道具を整理したのか部屋中ほぼ整理されていた。
アラシン「ああドラメット、整理はもう終わったの」
ドラメット「うーん、やっぱり一つ足りないであーる」
見ればドラメットは何かを探しているようだった。
ドラメット「ああアラシン、今整理終わったけど足りないものがあるでゴザル」
アラシン「うん、そういえばさっきランプを持っていって、そこからランプの精を出したけど」
と、手に持ったランプをドラメットに手渡すも、ドラメットは驚いて、
ドラメット「なんだって、あれは『精霊よびだしランプ』でゴザルが、その精霊は基本的に自分勝手ですぐに周りを飛び回っちゃうでゴザル」
アラシン「ええっ、それじゃあさっきの精霊は願いをかなえてくれるっていうから」
ドラメット「たしかに願いはかなえてくれるでゴザルが、そのかなえる目的を選ばなくて時には迷惑をかけちゃうでゴザル。あのままほっといたら何するか分からないでゴザル」
アラシン「でも、さっきは特に願いを言わなかったから勝手に飛んでちゃったよ」
ドラメット「それこそ大変でゴザル。早く連れ戻さないと大変なことになるでゴザル」
アラシン「そいつは大変だ、早く行かなきゃ」
と言ってドラメットとアラシンは街へと向かうのであった。その際に富豪の父親がそれを見かけて呼びかけんとする。
父「おいアラシン、また遊びに行くのか、まったくしょうがないな」
呼び止めようとする父親に街の人たちが訪れる。
「旦那様、今街じゅうで変なオバケが現れて・・・・・」
父「なんとオバケとな、一体どういうことかね」
そんなやり取りをよそに、ドラメットたちが駆けつけた先では、ランプの精が早速悪さをしていたのだ。

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マンガ家の苦悩<本当は怖いドラえもん>

さて今回は、ドラえもんのお話についての考察を実際マンガ制作に携わってきた先生の視点を通じて行いたいと思う。まずはこれらのお話から。
『あやうし!ライオン仮面(コミックス3巻)』
ある日ヒーローのピンチで終わったマンガの続きが気になるドラえもんが、その作者のマンガ家さんをたずね、いろいろないきさつの後にそのマンガ家さんが過労で(働きすぎなどで疲れがたまりすぎて)倒れたので、仕方がなくドラえもん自身がそのマンガの続きを描くことになったそうな。
『まんがのつづき(コミックス31巻)』
ある日人気のマンガの最新のお話を仲間はずれで見られなかったのび太くんは、結局はドラえもんの力を借りてそのマンガ家さんに続きのお話を描かせたことで見ることができたが、先のお話を知ったことでかえって浮いてしまい結局また仲間はずれになったそうな。
 
とまあ、これら二つのお話は「まんがのつづきが見たい」という想いから作者のマンガ家さんを訪れ、マンガのお話を作ることの作者のマンガ家さんの苦悩をも描かれた。これも言い換えれば我らが藤子F先生、否、いずれのマンガ家さんにも当てはまることでもあると思う。あともう一つ述べるなら『職業テスト腕章(コミックス27巻)』でマンガ家の職業を体験しようとするも、結局数十ページの原稿を代わりに描かされてしまうといったズッコケで締められたそうだけど、これも言い換えればマンガ家といった職業の苦労を描いたものとも読める。
あと加えて苦労して描いたマンガ作品は、当然担当編集者に受け取られてから雑誌編集人のチェックを経て世に出ればいいけれど、中には不採用と書き直しとなってしまうこともある。噂ではベテランのマンガ家さんにはあまりそれはなされないだろうけれど。若手の売れっ子ならせっかく書いた数十ページの原稿の大半を書き直しといったことも決して珍しいことではない。まあそれはともかく、
こういった若手ならずとも売れっ子のマンガ家となれば1週間から1ヶ月で大量の作品を描かなければならず、その際にちゃんとしたストーリーを構成しなければならないところをどうしてもすこし楽な方に向いてしまう場合だってある。たとえば「ひみつ道具で問題を解決してからジャイアンたちが悪用しようとしてしっぺ返しを受ける」といったシチュエーションが時期を経て「そのままのび太くんが悪乗りしてしっぺ返しを食らう」ということに流れてしまう場合がそれある。
編者も一概にそうは断言できないことを承知で、つまりは藤子F先生も自身の悩みをあまり打ち明けられなかった事情もあり、加えて当時の編集者や批評家の人たちも、ほとんどのお話をごもっともとそのまま受け止めて、ある意味悩みや苦悩を積み重なっちゃったかなというのが後期辺りの事情だったのかと今更ながら思うのだが。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラ・ザ・キッド編その1(後編)

さてみなさん、今回のドラえもんズオリジナル小説は、馬の練習で悪戦苦闘している最中にガキ大将のグラントたちが無法者にさらわれ、助けようと乗り込むところから始まります。はたしてうまく助けられるか乞うご期待ということで、それでは、ごゆっくり。
 
ところ変わって郊外のあばら家では縛られたグラントとケビン、その周りにいかつい数人の男たちが酒を酌み交わしていた。
グラント「お、おれたちをどうするつもりなんだよぉ」
ケビン「お母さまぁ」
「大人しくしてろよ、もうすぐ大金が手に入るんだ、それからしばらくしてから逃がしてやるぜ」
「しかし遅いなあ」
「まあいいさ、こいつのオヤジはケチだから値切って千ドルくらいしか渡さないだろうけど。まあもらえないよりはマシさ」
と酒の席で談笑(笑いを交えた語らい)をしているうち、あばら家から離れた高台でキッドやマークたちがたどり着いて様子を見ていた。
キッド「あいつらの笑い声がしているな」
マーク「グラントたち大丈夫かなあ」
シェリー「でもうかつに近付けないから、どうしましょう」
キッド「とりあえず調べてみよう『スケスケスコープ(スケスケ望遠鏡)』」
と望遠鏡を取り出して目盛りを合わせ、あばら家の中を覗き込む。そこには縛られたグラントたちと無法者たちがいた。たしかに今踏み込んでも自分たちが捕まるかもしれないので、なかなか踏み込めないでいたのだが。

一方で乗り捨てたグラントのウマとその置手紙に気付いたグラントたちの家族、ことにマークの父の保安官が事件のことに気が付いた。
グラント母「まったくこんな時にこんなことしでかして」
ケビン母「ああ、ケビンちゃん、でも身代金なんてもったいないし」
シェリー母「そういえばシェリーも見かけないけれど、まさか一緒にさらわれて」
保安官「まあまあみなさん、ここはわたしたちがなんとかいたしますので。しかしキッドやマークはどうしたんだ」
そこに一人の農夫が通りかかる。
農夫「ああ、保安官、さっきキッドたちが郊外に向かったけど、何かあったのかい」
保安官「まさかあの二人、今行けば捕まるかもしれないのに」
そこに助手のウマロボットのエドがいななきとともに告げる。
エド「ここはおれが助けに行ってやるよ。ハイヤー、シルバー!」
と、ちょうど保安官が降りたのを気に留めず、一頭で郊外へと駆け去っていく。
 
そのうちにあばら家から無法者たちがグラントたちを引き連れて出てくる。その一方キッドたちのもとに先にたづなをつけたウシやブタもやってきた。
シェリー「ああ、グラントたちが連れられていくわ」
マーク「どうしよう、今駆け付けたこの二頭じゃ心もとないし」
そこにエドが駆けつけてきた。
エド「お待ちどうさん、ここはおれにまかせてあいつらを助けようぜ」
と、マークを頭ですくううように背中に乗せる。
マーク「え、でもどうして僕が、僕ウマには乗れないのに」
エド「いいからいいから、それじゃあ、振り落とされるなよ」
ワーッとたづなと鞍にしがみついたままエドに乗せられるマーク。そのまま無法者の前に駆け込んでいく。
「わっ、なんだこいつは」
グラント「ああ、マークじゃないか」
「何だと、保安官のウマとその子供か」
「くそっ、やっちまえ」
無法者もショックガンで応戦する。未来の世界でも銃器類は犯罪遂行のための護身用程度で済まされるということか。それはさておき銃弾をかわしつつ無法者の何人かはエドにけられて伸びてしまう。しかしグラントたちが馬車に乗せられ逃げられてしまう。
マーク「ああ、逃げちゃうよお」
エド「逃がすもんか」
と、エドも馬車を追っていく。ついでにキッドがブタに、シェリーがウシに乗って後を追う。
こうして一台と3頭の追いかけっこと相成り、キッドはブタを危なげに操り、マークはエドにしがみつくだけで精いっぱいで、そしてシェリーはウシとウマが合うのか、うまい具合に軽々と駆けていく。
シェリー「どうどう、いい子ねこのウシちゃん、でも大丈夫、キッドとマーク」
キッド「お、おう、大丈夫、だよ・・・・・!」
マーク「・・・・・!」
まあ結局はこの二人はブタやエドに引きずられがちなのだが。
そんなこんなで無法者の馬車は高台に乗り上げて横転し、おなじくブタから落馬しつつも体勢を整えたキッドがショックガンで無法者のリーダーを撃って動けなくしていく。
馬車から抜け出したグラントたちもかすり傷だけで済み、そこにエドが駆けつける。
エド「おい、大丈夫か二人とも」
グラント「おう、おれたちは大丈夫だ」
ケビン「でも、かっこいいなあ」
グラント「それに引き換え、マークの奴、カッコ悪い」
マークはエドの背中に乗ったままのびていたのだった。
 
こうして誘拐事件は無事解決し、この日も非番のエドに乗せられたマークの姿がいた。
マーク「また乗馬の練習か。来る日もエドの背中に乗せられてうんざりだなあ」
キッド「そんなこと言ったらいつまでたっても乗れないぜ」
エド「こうやって練習すればきっとうまくなるんだからな」
そこにウマに乗ったグラントがはやし立てながらも励ましていく。
ケビン「ようマーク、またエドでお馬のけいこか」
グラント「また振り落とされないようがんばれよへたくそ」
さらにシェリーは先のウシに乗っていた。
シェリー「がんばってねマーク、私もうまく乗れたからね、ペロン」
いつの間に名付けられたウシも上機嫌そうにシェリーを乗せて当たりの散歩に興じていた。
こうして西部の街も再び平和が訪れたそうな。

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