ドラえもん

クリエイターの執念とは:藤子不二雄A・安孫子元雄先生編

さてみなさん、今回は先日亡くなられた藤子不二雄Aこと安孫子元雄先生について一言二言と語りたいと思います。それでは、ごゆっくり。
藤子A先生といえは今の若者からみれば「もう一人の藤子不二雄」といった認識でしかないやもしれない。
そもそも藤子A先生は藤子F不二雄こと藤本弘先生と小学生のころに知り合い、後にともに上京して漫画家の道を歩み、長じて藤子不二雄の名で世出したのはご存知のところ。
それから各自の代表作をA先生は『怪物くん』『忍者ハットリくん』『プロゴルファー猿』と次々と送り出していった。
そんな中、両者合作というのもしばしば行われ、パーマンとハットリくんとの合作も2本上映され、ドラえもんにてもハットリくんから『ニンニン修行セット』、怪物くんから『怪物くん帽子』などのエピソードが生まれた。
それが80年代半ばになり、いわゆる藤子ブランドも肥大化して利権というものも出来てしまったこともあれ、それぞれの仕事と著作権を分化しようとあえてコンビを解消してしまったということであった。しかしその友情は終生変わらなかったことはここで一マンガファンとして明記したい。
そんな藤子A先生の作品について、まず『怪物くん』は人とは違う生物の怪物たちが住む怪物ランドからやってきたランドの王子様怪物くんが人間界にやってきて奇想天外な活躍を見せるお話で、『忍者ハットリくん』は伊賀の里からやってきたハットリくんが奇想天外な活躍を見せるお話でもある。
他にも、ゴルフに際して天才的な才能を持つ猿丸が裏のゴルファー組織と死闘を繰り広げると『プロゴルファー猿』や、自身の漫画人生を描いた『まんが道』も忘れてはならない。
その反面『魔太郎がくる!!』は生来いじめられやすいほどの気弱な少年魔太郎は実は魔族の血を引いていて、夜な夜な「うらみ念法」なる魔術でいじめっ子たちを凝らしめるというお話である。これはひとまずの勧善懲悪が成されているからいいけれど。
同じく『笑ゥせぇるすまん』は、現代社会の片隅でいろいろな悩みや鬱屈抱える人たちに喪黒福造なる人物が取り入ってその心の隙間を埋めるべく様々なサービスを提供するも、やがてはその欲望に呑み込ませて破滅に追い込むといったある程度の陰鬱さがうけたものだった。
そういった作品群もあれ、F先生に対してA先生はある程度の陰を背負っているとも受け止められる。
ともあれマンガ史の一時代を築いた藤子不二雄A先生に際し感謝の言葉を添えて、この記事をしめたいと思います。
藤子不二雄A先生
数多くの作品を我々の感動とともに
お送りしていただき
本当にありがとうございました。

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新・禍福のアンバランス:小さなしあわせの代償<本当は怖いドラえもん>

さて今回も不運から脱して幸運を得ることと、いわゆるその代償のある意味必要性をひとまず述べることとしたい。ということで今回挙げるのはこの二本をば。
 
『アヤカリンで幸運を』
その日も何かと不運に見舞われっぱなしののび太くん。いつかはいいことが起きるとドラえもんがなだめるも、そういつかは待てないとゴネた末に“アヤカリン”なるクスリを出す。これは何かいいことがある人に触れるとその人と同じ幸運がもたらされるという。しかしその時期が過ぎるほどその効果は低いので、こればかりは自分で探さなければならない。こうして紆余曲折、さまざまな困難の末に今回もテストで好成績を残したしずかちゃんに触れることができ、のび太くん自身テストの0点を免れることができたそうな。
この道具は他人の「しあわせにあやかって」自身の幸運を得るというものだが、やはり時間の関係でその幸運の度合いが違ってくる。それをいかに得るのかが今回挙げる小さなしあわせの代償というところだろうけれど。
少し横道にそれるけど、途中しずかちゃんのお風呂場に入るシーンにてのび太くんが「これではさわれない」と怒ったシチュエーションについては、お話に変化をつけるためのことで、つまり藤子F先生がちょっとひねって描いたものだろうというのが率直な意見なのだが。
そんなこんなでひとまず苦労したおかげで小さなしあわせを得ることができたということであったが。
 
『しあわせトランプの恐怖』
ある日のび太くんは部屋で一組のトランプを見つけ、たまたましずかちゃんと遊びたいとこぼすと、なぜかしずかちゃんが遊びに来て一緒にババ抜きを楽しんだ。
後でドラえもんが来てこのトランプは、いろいろ望みを叶える“しあわせトランプ”でカード1枚ごとに願いを叶えるものだが、最後に残ったジョーカーの札が今まで叶えられた願いによる幸運の分の災難をもたらされる代物でもあったのだ。
その後もトランプは友達の手に渡るも結局のび太くんの手に戻り、ついにはジョーカーの札のみが残った。このままでは大きな災難が降りかかってしまうが、たまたま金庫にしまわれたトランプをひったくりに奪われて、自身は突き飛ばされただけで済んだが、残りの災難はそのひったくりが引き受けてくれたそうな。
この道具は初期の『ラッキーガン』に近いものだが、ラッキーガンがいわゆる運試しのお遊び道具であるのに対し、トランプは実際「願う」ことによって幸運をもたらす道具である。
そのトランプの厄介なところは、ラッキーガンが成り行き上不運に見舞われたとはいえ途中やめることができたのに対し、トランプは誰かに渡して受け取らない限りそれ自体が取り付き続け、途中やめることができないものである。さらにはガンが4発に対してトランプは53枚、その分の揺り戻しの不運は激しいものだろう。
あともう一つあげたいのは、ジョーカーの札における不運災難の説明にての「世の中あまくないんだぞ、いいことずくめでおわるはずがない」というドラえもんのくだり。
確かに世の流れが甘くはないというのは、戦後の困難な時代を生き抜いた藤子F先生の認識もあって、多少は正しいものでもある。
これも『サイオー馬』のお話に述べた「禍福はあざなえる縄のごとし」という文句にもつながるのだが、実際は禍の方が太くあざなわれているかなというのも率直な意見だけれど。
それでも世の中が甘くないならそれなりにしっかりと生きていけばいいだけのことで、それが小さなしあわせにもつながるものだとも思う。
とにもかくにもたとえ小さなしあわせでもそれなりの苦労をすればきっと報われる。そう思わないと将来生きていく上での希望を持って生きることもできないではないか、と大げさながらも述べておきたい。

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ザ・ドラえもんズオリジナル・トラえもん編:こーちゃんとダメな子奮戦記(その1)

さてみなさん、今回のザ・ドラえもんズオリジナルは、かつて旧々アニメ版に登場し、最近は虎ノ門ヒルズのマスコット“トラのもん”として再登場した“トラえもん”を、大阪の下町を舞台に、東京から転校したダメな男の子の奮戦を通じての交流をお送りいたします。それでは、ごゆっくり。
さて今回登場するキャラクターについて、
こーちゃん(士莉功太・のび太):トラえもんがお世話になっている家の男の子、これといって取り柄がないものの、いつかは立派な人間になりたいということで、多少のドジを踏むもののいつも努力を怠らない。
ゆうちゃん(幹枝祐介・スネ夫):近所の少しお金持ちの子でいつも自慢話をするがやはりとても寂しがり屋。
いさむ(巌勇・ジャイアン):近所の雑貨屋の子供でガキ大将的な存在で強引にこーちゃんたちを引っ張っていくがいざという時には頼りになる。
ちーちゃん(平千重子・しずか):お風呂屋さんの看板娘的な女の子みんなの憧れの的だが本当はこーちゃんが一番好き
しゅう君(冴渡秀一・出木杉):弁護士の息子であり標準語で話す物知りの男の子で、クラスの女の子にも人気がある。こーちゃんも少しうらやましくは思っているが、これまた頼りにしている。
以上の面々でお話を進めていきます、あらためてごゆっくり。
 
お話は一人の男の子の説明から入る。
「僕は士莉功太(しまりこうた)、みんなはこーちゃん呼ぶけど。大阪の下町に住んでるんよ。勉強もスポーツも苦手やけど、僕もそれなりがんばっとるんよ。ところが最近けったいなのがうちに住み着いていて、トラえもんいうんよ。結構面倒ごとばっか起こしとるけど、結構僕も役に立ってるんよ」
そこにトラ柄のヘンな生き物がこーちゃんに近付いてくる。しかし彼こそが未来の世界からやってきたネコ型ロボット“トラえもん”なのである。
トラえもん「おーいこーちゃん。今から遊び行こ」
こーちゃん「うん、今日は何しようか」
そこに一人の男の人が呼び掛ける。
「おーい、功太、トラ、今からお説教の時間や、ちょっとこっちきなさい」
「あ、はーい」
と、少し力なく応え、部屋を後にする。ちなみに声の主はこーちゃんのお父ちゃんで、毎日説教を受けるのが日課でもある。とはいえ、のび太くんのママみたいにガミガミではなく、整然としたまさにお説教でもあった。
いずれにしてもトラえもんとこーちゃんにとっては少し疲れるお父ちゃんのお説教が終わり、今度こそ遊びに行くこととなった。
いつもの空き地に行くと、少しさえなさそうな男の子が佇んでいた。何かなと思いその男にこに近付いていくと。
「あれ、きみはまさか・・・・・」と、こーちゃんに呼び掛ける。
こーちゃん「え、僕がどうしたの」
「あ、うん、以前東京で知り合ったことそっくりだから」
こーちゃん「うん、そうなの」
その子はトラえもんの方にも向いて告げる。
「そういえば、そこの人もあの青い人と似ているなあ」
トラえもん「え、まさかあいつのこと知ってるんか」
トラえもんとしてもとあるあおいネコ型のロボットとは面識はあったのだ。
「うん、あの青い人と一緒に知り合った子が、僕のことを親身になって付き合ってくれたんだ」
その男の子は話をしていくうちに元気が出てきた感もある。そのうち母親らしき人に呼ばれてこの場を離れようとする。
「それじゃあ、僕も近くの学校に転校するから、また会えればいね」
こーちゃん「うん、そうだね」
と、その男の子は去っていく。
 
次の日、こーちゃんたちが通う学校にて、先生があの男の子を連れて入ってきた。
先生「はい、今日は新しいお友だち紹介します。多目くんいって東京から引っ越してきました」
多目「多目です。よろしくお願いします」
と、恭しく一礼する。
先生「さしあたって席は、功太くんの後ろ座って」
多目「はい」
と、こーちゃんの後ろの席に座る。
多目「これで、一緒に勉強ができるね」
こーちゃん「うん、そうだね」
というわけで、多目くんとこーちゃんたちの学校での生活が始まったのだ。
ちなみに説明すると、こーちゃんが通う学校の生成は少し若い女の先生で、こーちゃんのお父ちゃんと同じように学校の授業はともかく、いかに努力をするかを淡々と説明するタイプなので、こーちゃんたちもひとまずはやる気を出てくるのだ。
たとえばある日こーちゃんがうとうとと眠気に襲われそうになると、
先生「はい功太くん、ちょっと気が抜けそやけどもうちょっとがんばって」
というふうに頭ごなしに叱りつけずにさりげなく発破をかけるといった具合である。
 
いくらか日にちを重ね、今回のテストの答案が返された。
先生「はい、功太くん、今日は35点、前回よりはようなっているからもうちょっとがんばりましょ」
こーちゃん「うん、35点か、まだまだがんばらなきゃなあ」
先生「はい、多目くんは30点、もうちょっとがんばりましょ」
多目「はい、引っ越しで勉強の時間がなかったからこんなものかな、でも次はもっとがんばれるかな」
変わって体育の授業では、グラウンドのランニングで、こーちゃんと多目くんがやはり周回遅れで足取りはやや遅い。
体育の先生「おい、功太に多目くん、もうちょっとでゴールやからもっとがんばれ」
こーちゃん「は、はい・・・・・」
やがて二人とも息も絶え絶えっぽく、まずはこーちゃんが、そして多目くんがゴールに着いたのだった。
体育の先生「おお功太前より50秒ほど早くなったぞ、次はもう少しがんばれ」
続いて多目くんには、
体育の先生「ようがんばったな、たとえ遅くても最後まで走れたのはえらかったぞ」
そしてクラスのみんなが多目くんを気遣ったのだ。
ゆうちゃん「頼りなかったと思ったけど結構しっかりしてんやな」
いさむ「やっぱ功太よりしっかりしてんなあ」
と、周りからちやほやされている多目くんに、こーちゃんは少し不満げだった。

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それにつけてもおカネのほしさよ:野比家の経済事情<本当は怖いドラえもん>

今回はお金に絡むお話と関連して、野比家の経済事情についても語らなければならない。
ドラえもんのお話の中で、ママが家の家計簿を記しているときに「また今月も赤字だ」ともらすことがある。これは後述の借家の件と同じく、のび太くんの“ダメ”の要素の一つに数えられたものともいえる。
そもそも家の収入もとでもあるパパの稼ぎと裏腹に、支出のもとである家の借り賃や生活費等、ことに物価の高さがかさんでの赤字ともいえるだろうけれど、これもいわゆる昭和30年代にかけての高度経済成長に対する物価の高騰に生活が追い付かないといった警鐘だろう。たしかに赤字:収入より支出の方が多いのも生活がままならないという意見があるが、これもまた先述の、いわゆるドラえもんのお話の上でのダメの要素からくるデフォルメといえるだろうけれど。
それからもう一つ「家の借り賃」からくるダメのファクターとして「野比家は借家だった」というものであるのだが。たしかに借家等の賃貸住宅については今でも珍しい事でもない。これは当時30~40年代の時代背景を理解をしなければならない。
これもまた高度経済成長において地方からの集団就職で上京した学生たちが成長し、中には家庭を持つ者もいて、彼らが生活するための家を持つために首尾よく自分たちの持ち家を購入できた人、さもなくば借家かアパートやマンション等の集団住宅を借りて生活する者もいて、特に彼らは月々の家賃等が家計に大きな影響を及ぼしたのは言うまでもない。ついでに言えば前者の中には『重力ペンキ(コミックス5巻)』の巻に見られるように、マイホームとは名ばかりのあばら家で家族が肩を寄せ合って暮らしているものもいただろう。そういった点では現代における賃貸住宅等のファクターを考えれば別に驚くべきことではない。とはいえ最近では住む家を追われ困窮している人も年々増えていることは最近の社会問題化としても当時の経済事情にも通じているかもしれない。
戻ってのび太くんの家の事情では、のび太くんが成長する際についには家を手放し(跡地はトイレになっているが)、アパートに引っ越したいきさつがある(のび太のおよめさん:コミックス6巻及びのび太の結婚前夜:コミックス25巻)。ちなみに未来の世界ではマンションでも一般住宅並みの住環境だとか。
ともかくも、これらはすべて昭和40年代初頭を背景とした事情で、今時の子供たちはともかく、ご年配の方は少し納得している反面、少し大人の方と同じく若者の方にとっては、最近のアニメで描かれた借家やらあばら家やらの描写についてはちょっと頭を抱える問題だったかもしれない。これもまたご都合的に昭和のお話を描いたものと割り切れるだろうけれど。
これらの問題の根本的な解決についてはまた別のことと割り切っておいて、ドラえもんのお話においていかに今日の生活の困難を乗り切るのか。まずはそれからいろんなことを考えてもいいかもしれない。

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ドラえもんオリジナル特別編:のび太とお嬢様(後編)

のび太くんの困惑をよそに、麗子とのお付き合いのお散歩は続いていく。そんな中、麗子の家のことを話すようになる。
麗子「こうしてお外にお散歩するのってほんと久しぶり。私の家では学校でのお勉強や家でのお勉強や習い事がほとんどで、お外に出ることはあまりないの。ママとパパはお食事以外でお話することは少ないし、お友だちとのお付き合いも形ばかりであまり面白くはないの」
のび太「・・・うん・・・・・」
麗子「それからうちのパパはママのたくさんのお婿さん候補の中から選ばれて、今ではおじいちゃんの会社を継いでから、お仕事で忙しくてあまり家のことにかまってられないし、それでいて今でもママには頭が上がらないし・・・・・」
次々とお話をしていく麗子に、のび太くんも生返事を繰り返すのみであった。
しかしそのうちに何と友だちと一緒のしずかちゃんに出くわしてしまったのだ。
のび太「し、しずかちゃん・・・・・!」
しずか「あら、のび太さんその子、麗子さんじゃないの」
麗子「あら、しずかさん、お久しぶりね」
のび太「え、しずかちゃんも麗子さんのこと知っているの」
しずか「ええ、ピアノのコンクールで何度か出たことがあって」
麗子「あの時も勝たせていただきましたわ。お次のコンクールも楽しみですわね」
その言葉に少し応えたのか、しずかちゃんも少しむっとした表情になった。そこでのび太くんに一つのことを訪ねる。
しずか「ところで麗子さん、どうしてのび太さんと一緒にいるの」
のび太「・・・ええと、それは、その・・・・・」
のび太くんも応えようとして言葉が出ないうち、麗子がしっかりと応えてしまう。
麗子「もちろん、今日はのび太さんとのデートですわ」
その応えに完全にむっとするしずかちゃん。絶句するのび太くんに向かって、
しずか「・・・うん、そうなの、それじゃあ、ごゆっくり」
と、きびすを返して向こうに行ってしまった。もちろん友だちもついてきて。
のび太「ああ、しずかちゃん・・・・・」
麗子「まだ私たちとのデートの途中だから、しずかさんは後回しにしてもうちょっとお散歩にいきましょう」
と、半ば連れられるようにこの場を後にする。
それから少したって、しずかちゃんを気づかう友達が一言洩らすのだった。
立花「でもあの子、ちょっと感じが悪そうね」
中村「どこかわがままっぽいから、のび太さん振り回されてるかもしれないわね」
しずか「そうね、でも麗子さんも寂しがり屋なところもあるから。本当は優しい子なのよね」
と、しずかちゃんも心配げに二人を気づかうのだった。
 
そしてややあって、心配になって空から見守っていたドラえもんがついに降りてきた。
のび太「あっ、ドラえもん」
ドラえもん「ちょっといいかいのび太くん」
とのび太くんを誘ってないしょの話をする。
ドラえもん「これからどうするの、このまま麗子さんとデートをする気なの」
のび太「だってしょうがないじゃない」
ドラえもん「でもこのままいけば、はるか未来にも影響するかもしれないよ。たとえばもし将来麗子さんと結婚することになると、セワシ君たちも生まれなくなるかもしれないかも」
のび太「いや、それはちょっと困る、かな・・・・・」
麗子「ちょっと、何こそこそお話してるの」
二人のないしょ話に、はたして麗子も割って入ろうとする。
のび太「うん、ちょっとこっちのことでお話してるんだ」
麗子「ないしょ話なんて男らしくないですわ。言いたいことがあればはっきりと、ってこちらの方は」
ドラえもん「あ、はい、ぼくドラえもんです」
ドラえもんの方を見やり、麗子も何やらを思い出そうとする。
麗子「ああ、のび太さんの家で飼っているタヌキみたいな生き物の方ですわね。何かふしぎな力を持っているという」
ドラえもん「ぼくはタヌキじゃない、ってどうしてふしぎな力のことを知ってるの」
のび太「どうやらしずかちゃんから聞いたかもね」
麗子「それなら何かふしぎな力を見せて下さらない」
ドラえもん「もう、手品じゃあるまいし、ってそうだ、いいものがあった」
と、何かを思い出したように小型の飛行機みたいなものを出す。
ドラえもん「“二人乗り小型風船飛行機”」
のび太「これって、おもちゃの飛行機なの」
ドラえもん「おもちゃでも本格的に人を載せて空を飛べるんだよ。それに小さな子ども向けだから安全だよ」
のび太「そいつはいいや、これで麗子さんに喜んでもらおう」
と、のび太くんと一緒に麗子を飛行機に乗せようとする。
麗子「うん、ちょっとかっこ悪そうでだけど、これでお空を飛べるのね」
ドラえもん「それじゃあ、楽しんでいってね」
のび太くんたちが飛行機で飛んでいくのを見守ると、ややあってしずかちゃんが心配になってやってきた。
しずか「ねえドラちゃん、あれってのび太さんと麗子さん」
ドラえもん「ああ、そうだった、実はかくがくしかじか」
しずか「するとお母さんたちの言いつけで麗子さんのお散歩に付き合っているのね」
ドラえもん「何とか麗子さんのご機嫌を取ろうと思って出したんだけど、大丈夫かなあ」
しずか「とりあえず見守っていきましょう」
と、しずかちゃんも二人を見守ることになった。
一方ののび太くんたちも、
のび太「やっぱり風船なだけにそんなに速く飛ばないね」
麗子「でもお空をゆっくり飛ぶのも悪くはないですわ」
と、飛行機での遊覧飛行を楽しんでいた、のだが、
のび太「あれ、何か赤いランプが光ってる、って電池切れ」
はたして飛行機も高度を落としていく。
のび太「ど、どうしよう、そうだ、空き地が近くにあるから、そこに不時着して」
麗子「つ、墜落するんですの、のび太さん、なんとかして」
のび太「あ、ちょっと、つかまらないで、ちょっと、コントロールが」
麗子が後ろから抱き着いてきて、飛行機のコントロールがままならなくなり、みるみるふらつきながら高度を落としていく。
しずか「ドラちゃんなんか飛行機の様子がおかしいわ」
ドラえもん「まさかこれって電池切れ、しまった、充電するのを忘れてた」
しずか「ええっ、それじゃあどうするの、このままじゃ墜落しちゃうわ」
ドラえもん「墜落しても大丈夫なように造られてるけど、でもこの様子だとどこかの家に」
しずか「それって大変じゃないの」
と、ドラえもんとしずかちゃんも飛行機を追っていく。
そうこうとみるみる高度を落としていく飛行機は、なんと野比家の裏庭に落ちていく。
そのはずみで二人は投げ出され、のび太くんは麗子の下敷きになってしまう。幸い麗子には怪我がなかったが、たまらずに泣き出してしまった。
そこに表からママと兼子さんが現れてきた。
ママ「ちょっとのび太、麗子ちゃんを泣かしちゃダメじゃないの」
とのび太くんを叱りつけんとした一方で、
兼子「麗子、こんなことで泣く人がいますか」
と兼子さんも麗子を叱りつける。
そのうちにドラえもんとしずかちゃんも駆けつけ、二人を気遣わんとした。
しずか「大丈夫、のび太さん、それに麗子さん」
麗子「・・・ああ、しずかさん」
ドラえもん「のび太くんも大丈夫」
のび太「・・・うん、大丈夫、だよ・・・・・」
兼子「でものび太くん、麗子を守ってくれたのよね、やはりのび助さんよりしっかりしていてさすがは玉子さんの息子さんね」
ママ「いえいえ、のび太なんかまだまだ」
と、兼子さんのお褒めの言葉をママも笑い飛ばそうとした。
 
こうして麗子とのお散歩も一段落して、家の迎えの車がやってきて、兼子さん母子は車に乗り込んでいく。
兼子「それじゃあ、ごきげんよう。あとのび助さんにもよろしくね」
麗子「それじゃあ、ごきげんよう、のび太さん、それにしずかさん」
と、車は野比家を後にする。
見届けた後でしずかちゃんも帰っていき、その夜パパが還ってきて夕食で兼子さん母子の話題にあがる。
パパ「へえ、兼子さんがうちを訪れてきたんだ」
ママ「そうなのよ、パパによろしくって」
と、今夜はその話題で花を咲かせるのだった。
その後で部屋に戻ったのび太くんだが。
ドラえもん「今回は大変だったね」
のび太「うん、でも兼子さんがしっかりしてるっていったけど、麗子さんに比べたら僕もまだまだだからね」
と、そのまま机に腰を下ろす。
のび太「僕ももうちょっとしっかりしなきゃね」
ドラえもん「えらい、頑張ってのび太くん」
と、今日の宿題に取り掛かるのび太くんだった。
 
 
というわけで、本来ドラえもんズの派生作品として造られたこのお話、突き詰めていえば出木杉くんや立花さんたち、スネ夫のママとかぶっちゃうこの母子もあくまで当ブログの創作と割り切った上で今後も登場させたいとは思っております。もちろん他のドラえもんズのお話でもひとまずはお送りする運びですが。それではまた。

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新・禍福のアンバランス:幸運と不運とイマシメと<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回の本当は怖いドラえもんは、以前記した禍福のアンバランスを今一度文を組み直し、ひとまずは読める記事を目指して記載したものです。いずれはもう少し形になれることを期待して、それでは、ごゆっくり。
 
今までの記事でも述べたように、本来ドラえもんの使命はそもそもどん底の人生を送るはずののび太くんの運命を変えるべく手助けをするものだった。
その運命を変えること、まずはのび太くんの不運をなんとかすることがその第一歩でもあった。
しかしその不運について、まず自身が不運に打ち勝たなければ意味がないことは初期のうちからも述べている。
まずは『ラッキーガン』のお話から、
その日も何かとついていないのび太くんに“ラッキーガン”なる道具を使って幸運を呼び起こそうとするのだが、その後の紆余曲折、簡単に言えばスネ夫やジャイアンたちに幸運を取られ、結局のび太くん自身が不運を受けてしまいひどい目に遭ってしまったそうな。
このお話について努力よりものび太くん自身の度胸のなさが、せっかく与えられたはずの幸運を失い、かえって不運が降りかかったお話でもある。ともあれこの時期はそれ以前のオバQばりのズッコケ話ととらえても差し支えがなかったが。
ところが80年代半ばのいわゆる中期あたりから、次第に教訓じみたお話が露骨になっていく。
その代表と言えるのが『不運はのび太のツヨーイ味方!?』の巻(ドラえもん+1巻)である。
その日も何かと災難に陥ったのび太くん。しかしドラえもんは「もっとしっかりしていれば」とはじめ取り合わなかったが、途端のズッコケに根負けしたのか、結局“空中シューズ”を出してやることにする。
それで気をよくしてあちらこちらを飛び回っていたところを、ドラえもんはお仕置きとばかりに“連発型不運光線銃”を発射する。はたして回りの物に当たったりと散々な目にあい、満身創痍ののび太くんにここぞとばかりに説教をはじめるドラえもん。対するのび太くんも釈然としない中、聞き入るしかなかったそうな。
とまあ最後ドラえもんの胸先三寸でいらぬ災難に遭ったお話ということで、これが一番極端な例示だろうし、やはり話の進め方が卑怯だという感があった。そのいきさつからか、作者の藤子F先生も単行本に載せるのをはばかられたものを、後にドラえもん+でひとまず掲載にこぎつけられた。
はじめ道具を出ししぶるドラえもんを引き止めるつもりがわざわざ扉脇の壁にぶつけさせたり、シューズを使って空を駆けめぐったら銃を使ってのお仕置きである。
たしかにこのお話にてそんなに悪いことをしないのに、あれだけのお仕置きである。いくらギャグやら教訓やらと断っても、ここまでくれば流石にいじめと受け止められるだろう。
たしかにこのお話が極端な例だとして、総てがこういった具合ではないとはいえ、お話の中での諸問題の責任、言ってしまえば業までものび太くんに押し付けた感があり、どこか釈然としないお話が続いてしまった感がある。

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ドラえもん特別編:のび太とお嬢さま(前編)

さてみなさん、今回のお話の前に、一連のアニメ企画から今回の制作に至った経緯を述べたく思います。
まずドラえもんズのお話にてそれぞれの国のしずかちゃん的キャラをお送りする一方で、そのライバル的キャラと絡めたお話を二、三お送りし、その後ツイッターにてここ最近のアニメ放映にていわゆるモブキャラの子の描写も話題となり、それらを合わせて「はたして当のしずかちゃんにもライバルはいるのか」という想いが頭に浮かんだ。
それらを踏まえて一つの原作エピソードにたどり着いた。
それが『のび太が消えちゃう』のお話である。
そのお話はパパが今後も絵を続けていくことで、とある家の一人娘との婚約を条件に援助すると持ち掛けられるも、結局その援助を断っていくというお話だった。
そこの一人娘である金満兼子さん、彼女に娘がいればしずかちゃんのライバルにもなるかもしれない、といったところで考え出したのが後述の彼女、金満麗子だった。
もちろんこは先述後者の立花さんたちと合わせて原作のお話を逸脱して(大きく離れて)いるとは承知しながらも、またこのお話も原作のドラえもんとは関係のない編者の創作だとことわっておいて、のび太くんやしずかちゃんとどうかかわって一つの騒動に話が転がるか、それでは、ごゆっくり。
 
ある日のび太くんが家から帰ってくると、何やらママの親し気な話声が聞こえた。何だろうと少し顔をのぞかせようとすると。
「まあ、あなたが玉子さんのお子さんね」
と、おそらくのび太くんと同じ年ごろの娘連れの身なりの良い女の人が話しかける。
ママ「のび太、この人はママのお友だちの金満兼子さんとその娘さんの麗子さんよ。のび太もご挨拶なさい」
のび太「あ、はい、こんにちは」
兼子「ほら、麗子もご挨拶なさい」
麗子「はい、ごきげんよう」
と、女の子の麗子の挨拶を受けて、のび太くんもひとまず部屋へと戻っていく。
兼子「ところで、のび助さんは相変わらず下手な絵を描いていらっしゃるのね」
ママ「まあまあ、それほどでも・・・・・」
との会話を聞き流しつつ、のび太くんも階段を上りつつふと思いをいたす。
のび太「でも、どこかで見た感じがするな、あの人」
部屋に戻るとドラえもんが待ち構えたかのごとく立っていた。
のび太「あ、ただいまドラえもん、でもどうしたの」
ドラえもん「のび太くん、ちょっとまずいことになったかもしれないよ」
のび太「えっ、どういうこと」
ドラえもん「かつてパパが画家になればと思って過去の時代に行ったことがあるでしょう。今家にいる女の人のがその時結婚させられそうになった兼子さんだよ」
のび太「あっ、そうか、でもどうして今になってうちに来たんだろう」
ドラえもん「おそらくパパやのび太くんのことで用があるかもしれないかもね」
そうこうと話をしているうち、ママが下から呼び掛ける。
ママ「のび太、ちょっと下りてきなさい」
のび太「あっ、はーい」
と、言いつけられるままに階段を降り、応接室に戻っていく。
のび太「なあに、ママ」
ママ「実はこの子が遊びに行きたいと言い出したから、のび太が連れて行ってきなさい」
のび太「えーっ、僕が連れていくの」
ママ「夕方まで兼子さんもうちに用があるから、遊んであげなさい」
麗子「ここ初めてで分からないところばかりだからよろしくね、のび太さん」
と、のび太くんは麗子を連れて外に遊びに行くこととなったのだ。
兼子「あらごめんなさいね玉子さん、この子も結構わがままなところがあって」
ママ「あらいいんですよ兼子さん、こう見えてものび太も結構ダメなところがあって」
兼子「でも玉子さんもしっかりしているから、のび助さんよりはよろしいでしょう。それに引き換えうちの人は・・・・・」
と、ママと兼子さんとのおしゃべりは続くのだった。
こうしてのび太くんが麗子を連れてまずはお散歩に回ることになった。そのありさまドラえもんも心配になって空から見守ろうとするのだが。
 
二人きりのお散歩と相成ったのび太くんと麗子。道行く人の幾人かが二人を見やり、それに気まずく思うのび太くん。
のび太「参ったなあ、こういうの誰かに見られたら・・・・・」
そんなのび太くんの懸念をよそに、すぐさまジャイアンとスネ夫と出くわしてしまった。
ジャイアン「おっ、のび太が女の子と二人連れで歩いてら」
のび太「わっ、ジャイアンにスネ夫」
麗子「あら、この人たちのび太さんのお友だち」
のび太「え、それは、その・・・・・」
のび太くんとしてもそうだと言いにくかったが。
スネ夫「あれ、どこかで見たと思えば、金満さんの麗子さんじゃない」
麗子「そういうあなたは骨川さんところのスネ夫さんね、今のび太さんとお付き合いしていますのよ」
のび太「いや、それは、その・・・・・」
麗子の応えにのび太くんも返答に困ってしまう。しかし当のスネ夫、そしてジャイアンは、
スネ夫「そうだったのか、それじゃあがんばれよのび太」
ジャイアン「がんばれよ」
と、のび太くんを送り出し、二人はまた先に向かう。その後でスネ夫たちはそれぞれ思いを述べる。
スネ夫「あの子何度か会ったけど、どこか苦手なんだよな」
ジャイアン「そうか、のび太も大変だな」
と、めずらしくのび太を気遣うのだった。
ジャイアンたちのもとを離れてややあって、今度は先生と出くわしてしまう。
のび太「あ、先生」
先生「なんだ野比じゃないか、こんなところで何をしている。また成績が落ちているようだから家に帰って勉強をしなさい」
しかしそんな先生に、麗子が近付いてなんと抗議をするのだった。
麗子「その先生というなら、学校でお勉強を教えるのがお仕事ではありませんか」
先生「あ、いや、何だね、君は・・・・・」
麗子「私などは学校でのお勉強はもちろん、家でのお勉強や習い事でも、家庭教師の先生が教えて下さります。それを生徒にお勉強を押し付けるなんて、あまりにも無責任ではありませんか」
あまりに強く押してくるので、さしもの先生も気押されてしまった。
先生「いや、わたしは、その、と、とにかく、がんばりなさい・・・・・」
麗子「さあ、行きましょう、のび太さん」
と、先に向かうのび太くんを、先生もただ見守るだけしかなかった。
先生「ああ、びっくりした。しかしあの子はうちの学校の生徒にいたのかな」
麗子のやり取りに、のび太くんもまた、
のび太「先生にここまで言うなんて、意外としっかりしてるんだな」
ともかくも麗子とのお散歩はまだまだ続くのだった。
 
つづく

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躾とイマシメ補足・イカリのコントロール<本当は怖いドラえもん>

先の記事『まあまあ棒』のお話において、たまりにたまったイカリの力が強力な爆発を呼び起こすくだりで「あの力を平和的に使えないものか」と漏らしたけれど、大半の人はまあ無理だろうと答えてしまうところ。
たしかにイカリの力は人が持つ防衛本能の一つで、時には大きな力を呼び起こすものである一方、使い方を誤れば大変なことも起こりかねないところだが、実はそのイカリの力はドラえもんのお話の中で一応有効に使用することができる。まずはこのお話から。
 
『カッカホカホカ』
ある冬の日にストーブで暖まろうとするが、ここ最近の原油価格の高騰でままならないのを憤ったのび太くん。しかしドラえもんは“カッカホカホカ”なる道具をだしてのび太くんに取り付け、そのイカリのエネルギーでひとまずは暖まることができた。
後に友だちのお爺さんがキビしい人でなにかとその友だちを𠮟りつけるので、その道具でおじいさんの怒りを鎮めることにも役に立ったそうな。
 
この“カッカホカホカ”にて、当初の目的である暖房の使い道から本題のイカリのコントロールに役に立ったこともあり、イカリの力も先述の通り平和的に利用することができ、ひいては家庭円満にも役に立った。
続いて『感情エネルギーボンベ』も先のお話と同じように、こちらはママやジャイアンのイカリのエネルギーを電力等に変換できる道具なのだが、これはお話的に『まあまあ棒』のくだりに行きついてしまった。
ともあれ普段怒りっぽい人の感情制御については最近の医学においてもひとまずの研究はなされている上で、連載当時あまり重要視されていない中でのひとまず描かれているかということで。
もう一つ感情の制御についてこのお話を。
 
『ジャイアンの誕生日』
ジャイアンの誕生日が近付いてのび太くんたちは戦々兢々(恐れてびくびくとしている)となっていた。しかし当のジャイアンも本心では誕生日を祝ってもらいたいとドラえもんにもらし、ドラえもんも“かんにん袋”なる道具でジャイアンのイカリを鎮めようとして、穏やかに過ごすジャイアンの誕生日をのび太くんたちも祝ってやろうと思うようになったそうな。
 
こちらはイカリの力を袋にため込んで抑えようとする道具で、ため込む量に限りがあるとはいえ、こちらもイカリの制御ができる道具でもある。そこで少し融通を利かせて“カッカホカホカ”や“エネルギーボンベ”と連動して使えないかとは思うけれど。
このように理屈では難しいけれどイカリのコントロールも人が生きる上でも重要なことだと思う。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:王ドラ編、呉の引っ越し大作戦

さてみなさん、今回は中国の王ドラのオリジナルストーリーをお送りする運びです。
今回チャンの従兄のロンに押し付けられた引っ越しをなんとかやりこなす様をお送りいたします。はたしてどうなることやら、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに王ドラの仲間たちの紹介をば。
ウー(呉・のび太):ワンが済んでいる薬屋の息子。幼い頃より体が弱い一方、体を養うはずの薬が嫌いなのが悩みの種。
リー(李・スネ夫):街の地主の息子で、さびしんぼうでちょっとイヤミっぽいが根は素直。
チャン(張・ジャイアン):街の雑貨屋の息子。みんなのガキ大将的な存在でちょっと強引なところもあるが、結構頼りになる。
メイ(明・しずか):街の料理屋の看板娘。後述のシャオのもとで中国拳法を習っている。元気な反面少々大胆なところもある。次回のお話で出演する予定。
チャオ(趙・出木杉):街の役人の息子で物知りなところもありみんなに頼られている。
ロン(龍):チャンの従兄で引っ越しの手伝いをさせるためまず前金代わりにごちそうをふるまう。いささか強引なところがあるが話に筋を通す人柄でもある。
シャオ(翔):ロンの彼女で中国拳法の達人でもあり、いつも自分勝手にふるまうロンをこれでこらしめる。
 
その日、ウー(呉)と王ドラはチャンに連れられて、チャンの従兄のロン(龍)から近所の店屋でごちそうをふるまわれた。
ロン「さあさあ、遠慮なく食べてくれ。今日はおれの誕生日祝いでもあるんだ」
ウー「すごい、こんな料理は家ではなかなか食べられないね」
ワン「それじゃあ、遠慮なく」
と、ワンはテーブルに並べられたまんじゅうを次から次へと口に入れる。
ウー「ちょっとワン、あまりがっつくとあとで怖いよ、なんたってチャンの従兄だし」
ロン「さあさあ、お前も遠慮なく食ってくれよ」
と、いささか強引にウーにも料理をすすめるのだ。
そんなこんなでひととおり食べ終わった一同に、ロンが少し厳かな口調で告げる。
ロン「それじゃあ、腹いっぱいになったことだし、今日はおれの誕生部がてらの引っ越しの手伝いをしてもらうぞ」
リー「ええっ、こんなの聞いてないよ」
ウー「やっぱりろくでもなかったなあ」
ロン「何を言っている、引っ越しは一人じゃ大変手間取るんだ。どうせお前たちが手伝いに来るなら元気を出して仕事につかなきゃいけないから、それにさっきいっぱい食べたから、それなり仕事をするのが筋ってものだろう」
と、いささか言いくるめられ、加えてロン自身もチャンに輪をかけての暴れん坊とくるから言い返そうにも言い返せない。つまりはロンもそれなり恐いから、結局従わざるを得なかったのだ。
いずれにしてもロンの引っ越し作業をみんなで付き合わされることとなる。
はじめ大八車に積み上げられた家具調度一式をみんなでロンの新居へと運び出す。
ロン「がんばれ、そんなに遠い所じゃないぞ。こら後ろのボウズと豆ダヌキ。もっと押さないと前に進まないぞ」
ワン「ワタシ、タヌキじゃないネ」
ウー「やめなよワン、怒らせると後が怖いよ」
と、大八車の上でウーやチャンたちを叱咤激励してこき使う。
ようやく新居に着いた一行は休む間もなく家具調度を家の中に運ぶのだ。
チャンとリーは二人がかりで家具を運び出すが、ウーは手ごろな重さのテーブルを運ぼうとするのだが。
ウー「ううっ、重くて動かないよお」
ロン「なんだこんな程度のテーブルも運べないのか」
と、もう少し小さな箱を手渡すが、
ウー「うう、重いよお」
やっぱりウーには重いようだ。
ロン「なんだだらしがないやつだなあ」
と、あきれ口調で返す。
そんな時ワンが何かに気が付いて何やら手袋を取り出す。
ワン「そういう時ならこれ“超力てぶくろ”」
と、超力、すなわち“スーパーてぶくろ”を出すのだった。
ワン「これをつけるとどんなに重いものでも軽々と運べるネ」
ウー「ほんとだ、これなら楽に運べるね」
と、手袋をつけて荷物を運ぶのだった」
ワン「でしょう、これで引っ越しもすぐに切り上げられるネ」
しかしワンも調子に乗って荷物数個を軽々と運び出すが、
ロン「こおら、おれの荷物をお手玉にするんじゃない」
と、勢い余りワンにげんこつが飛んでしまう。
ウー「だから言ったのに、とにかく早く切り上げよう」
と、粛々(ゆっくりしぶしぶ)と荷物を運ぶのだったが。
「こらっロン、なに子供たちをいじめてこき使ってるのよ」
ロン「あっ、シャオ(翔)」
シャオと呼ばれた女の人は現れるなりロンににじり寄るのだった。
シャオ「そういえば引っ越しがあるって聞いたけど、この子たちをこき使って手伝わせたのね」
ロン「いや、こいつらにはちゃんとしたバイト代をあげるつもりだったんだ。先に元気で働けるためにごちそうもふるまって・・・・・」
シャオ「問答無用!」
ここぞとばかりにシャオの飛び蹴りがロンに炸裂し、ロンもすっかりのびてしまった。
リー「すごい」
チャン「やっぱかあちゃんよりこええ」
シャオ「何言ってんの、あんたたちもこれくらいやらなきゃダメよ」
ウー「でも残りの荷物もちゃんと運ばなきゃね」
ワン「しっかりと仕事しなきゃやっぱ悪いネ」
シャオ「あんたたちも真面目ねえ、これだったらうちのシャン(香)を任せてもいいかもね」
ウー「いやいや、僕たちもまだまだ子供ですけれど」
ワン「これメイには言えないネ」
と、メイ(明)のことを気にしつつ荷物を運ぶ二人だった」
ともかくも仕事をやり終えたウーたちはシャオに伴われて昼よりもひときわ大きいお店で夕食をごちそうになった。もちろんロンも一緒だが、シャオのおかげですっかりおとなしくなってしまう。
シャオ「さあさあ、今日は大変だったねえ、遠慮なく食べておくれ」
ウー「それじゃあ、いただきます」
ワン「今度はせめて味わって食べよう」
 
こうしてロンの引っ越し作業は一段落するも、今度はシャオの妹シャン(香)とメイが張り合うことになるのだが。これは後々のお話に譲ることとして、今回はここまで。

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しずかちゃんのおともだち<本当は怖いドラえもん>

ドラえもんの物語において、あらためて紹介することにして、まずドラえもんとのび太くん、しずかちゃんにジャイアンとスネ夫。そして中期から登場した出木杉くんを中心に、あとママや先生などの大人たちも加わって良きにしろ悪しきにしろお話が進められた。
そういえばのび太くんのクラスメイトを中心に他の子供たちもしばしば描か、彼らいわゆるモブキャラもお話に関わったのは今更語るまでもない。まず彼らについては、ドラえもんやのび太くんたちが活躍する上での背景上のキャラということで、漫画連載時をはじめ、新アニメ版の放映以前はそう認識されていた。
それを新アニメ版が放映開始されてから、そんなモブキャラだった彼らにも日の目を見られるようにもなる。
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まずしずかちゃんの友だちの中にも“立花さん”やら“中村さん”が、のび太くんの友だちにもしばしば出てきた帽子の子の“安夫くん”やら小太りの子の“はる夫くん”と、後者の二人はしばしば登場して名前でも呼ばれたりもするけれど、前者の子たちは最近になって登場して出木杉くんについでの脇役キャラとして認識されるようにもなる
かつては旧アニメ版での“少年A、B”やら“少女C、D”やらとして、名前ではなく外見や特徴で認識されていた子たちだったのを、新アニメ版での後述の事情でそれぞれ一キャラクターとして徐々に形が作られて、長じて存在感も高まり次第に彼ら彼女らのファンもできてしまったわけでもある。
あと製作スタッフの事情を考えて、かつてドラえもんに親しんだ人たちもいて、原作にては作者の藤子F先生がなるべくシンプルに構成したお話を、現在に至ってアニメを制作する際にお話の幅を利かせるついでに彼らモブキャラにも日の目が降りたわけである。つまり悪い表現になるも当時のファンの目が肥えた結果だということでもある。
そんなこんなで彼ら名のあるモブキャラのみんなのおかげでファンの幅も広がることにもなり、本当の意味で更なるドラえもんの人気も高まったかなというわけである。

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