ドラえもん

ドラえもん特別編:のび太とお嬢さま(前編)

さてみなさん、今回のお話の前に、一連のアニメ企画から今回の制作に至った経緯を述べたく思います。
まずドラえもんズのお話にてそれぞれの国のしずかちゃん的キャラをお送りする一方で、そのライバル的キャラと絡めたお話を二、三お送りし、その後ツイッターにてここ最近のアニメ放映にていわゆるモブキャラの子の描写も話題となり、それらを合わせて「はたして当のしずかちゃんにもライバルはいるのか」という想いが頭に浮かんだ。
それらを踏まえて一つの原作エピソードにたどり着いた。
それが『のび太が消えちゃう』のお話である。
そのお話はパパが今後も絵を続けていくことで、とある家の一人娘との婚約を条件に援助すると持ち掛けられるも、結局その援助を断っていくというお話だった。
そこの一人娘である金満兼子さん、彼女に娘がいればしずかちゃんのライバルにもなるかもしれない、といったところで考え出したのが後述の彼女、金満麗子だった。
もちろんこは先述後者の立花さんたちと合わせて原作のお話を逸脱して(大きく離れて)いるとは承知しながらも、またこのお話も原作のドラえもんとは関係のない編者の創作だとことわっておいて、のび太くんやしずかちゃんとどうかかわって一つの騒動に話が転がるか、それでは、ごゆっくり。
 
ある日のび太くんが家から帰ってくると、何やらママの親し気な話声が聞こえた。何だろうと少し顔をのぞかせようとすると。
「まあ、あなたが玉子さんのお子さんね」
と、おそらくのび太くんと同じ年ごろの娘連れの身なりの良い女の人が話しかける。
ママ「のび太、この人はママのお友だちの金満兼子さんとその娘さんの麗子さんよ。のび太もご挨拶なさい」
のび太「あ、はい、こんにちは」
兼子「ほら、麗子もご挨拶なさい」
麗子「はい、ごきげんよう」
と、女の子の麗子の挨拶を受けて、のび太くんもひとまず部屋へと戻っていく。
兼子「ところで、のび助さんは相変わらず下手な絵を描いていらっしゃるのね」
ママ「まあまあ、それほどでも・・・・・」
との会話を聞き流しつつ、のび太くんも階段を上りつつふと思いをいたす。
のび太「でも、どこかで見た感じがするな、あの人」
部屋に戻るとドラえもんが待ち構えたかのごとく立っていた。
のび太「あ、ただいまドラえもん、でもどうしたの」
ドラえもん「のび太くん、ちょっとまずいことになったかもしれないよ」
のび太「えっ、どういうこと」
ドラえもん「かつてパパが画家になればと思って過去の時代に行ったことがあるでしょう。今家にいる女の人のがその時結婚させられそうになった兼子さんだよ」
のび太「あっ、そうか、でもどうして今になってうちに来たんだろう」
ドラえもん「おそらくパパやのび太くんのことで用があるかもしれないかもね」
そうこうと話をしているうち、ママが下から呼び掛ける。
ママ「のび太、ちょっと下りてきなさい」
のび太「あっ、はーい」
と、言いつけられるままに階段を降り、応接室に戻っていく。
のび太「なあに、ママ」
ママ「実はこの子が遊びに行きたいと言い出したから、のび太が連れて行ってきなさい」
のび太「えーっ、僕が連れていくの」
ママ「夕方まで兼子さんもうちに用があるから、遊んであげなさい」
麗子「ここ初めてで分からないところばかりだからよろしくね、のび太さん」
と、のび太くんは麗子を連れて外に遊びに行くこととなったのだ。
兼子「あらごめんなさいね玉子さん、この子も結構わがままなところがあって」
ママ「あらいいんですよ兼子さん、こう見えてものび太も結構ダメなところがあって」
兼子「でも玉子さんもしっかりしているから、のび助さんよりはよろしいでしょう。それに引き換えうちの人は・・・・・」
と、ママと兼子さんとのおしゃべりは続くのだった。
こうしてのび太くんが麗子を連れてまずはお散歩に回ることになった。そのありさまドラえもんも心配になって空から見守ろうとするのだが。
 
二人きりのお散歩と相成ったのび太くんと麗子。道行く人の幾人かが二人を見やり、それに気まずく思うのび太くん。
のび太「参ったなあ、こういうの誰かに見られたら・・・・・」
そんなのび太くんの懸念をよそに、すぐさまジャイアンとスネ夫と出くわしてしまった。
ジャイアン「おっ、のび太が女の子と二人連れで歩いてら」
のび太「わっ、ジャイアンにスネ夫」
麗子「あら、この人たちのび太さんのお友だち」
のび太「え、それは、その・・・・・」
のび太くんとしてもそうだと言いにくかったが。
スネ夫「あれ、どこかで見たと思えば、金満さんの麗子さんじゃない」
麗子「そういうあなたは骨川さんところのスネ夫さんね、今のび太さんとお付き合いしていますのよ」
のび太「いや、それは、その・・・・・」
麗子の応えにのび太くんも返答に困ってしまう。しかし当のスネ夫、そしてジャイアンは、
スネ夫「そうだったのか、それじゃあがんばれよのび太」
ジャイアン「がんばれよ」
と、のび太くんを送り出し、二人はまた先に向かう。その後でスネ夫たちはそれぞれ思いを述べる。
スネ夫「あの子何度か会ったけど、どこか苦手なんだよな」
ジャイアン「そうか、のび太も大変だな」
と、めずらしくのび太を気遣うのだった。
ジャイアンたちのもとを離れてややあって、今度は先生と出くわしてしまう。
のび太「あ、先生」
先生「なんだ野比じゃないか、こんなところで何をしている。また成績が落ちているようだから家に帰って勉強をしなさい」
しかしそんな先生に、麗子が近付いてなんと抗議をするのだった。
麗子「その先生というなら、学校でお勉強を教えるのがお仕事ではありませんか」
先生「あ、いや、何だね、君は・・・・・」
麗子「私などは学校でのお勉強はもちろん、家でのお勉強や習い事でも、家庭教師の先生が教えて下さります。それを生徒にお勉強を押し付けるなんて、あまりにも無責任ではありませんか」
あまりに強く押してくるので、さしもの先生も気押されてしまった。
先生「いや、わたしは、その、と、とにかく、がんばりなさい・・・・・」
麗子「さあ、行きましょう、のび太さん」
と、先に向かうのび太くんを、先生もただ見守るだけしかなかった。
先生「ああ、びっくりした。しかしあの子はうちの学校の生徒にいたのかな」
麗子のやり取りに、のび太くんもまた、
のび太「先生にここまで言うなんて、意外としっかりしてるんだな」
ともかくも麗子とのお散歩はまだまだ続くのだった。
 
つづく

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躾とイマシメ補足・イカリのコントロール<本当は怖いドラえもん>

先の記事『まあまあ棒』のお話において、たまりにたまったイカリの力が強力な爆発を呼び起こすくだりで「あの力を平和的に使えないものか」と漏らしたけれど、大半の人はまあ無理だろうと答えてしまうところ。
たしかにイカリの力は人が持つ防衛本能の一つで、時には大きな力を呼び起こすものである一方、使い方を誤れば大変なことも起こりかねないところだが、実はそのイカリの力はドラえもんのお話の中で一応有効に使用することができる。まずはこのお話から。
 
『カッカホカホカ』
ある冬の日にストーブで暖まろうとするが、ここ最近の原油価格の高騰でままならないのを憤ったのび太くん。しかしドラえもんは“カッカホカホカ”なる道具をだしてのび太くんに取り付け、そのイカリのエネルギーでひとまずは暖まることができた。
後に友だちのお爺さんがキビしい人でなにかとその友だちを𠮟りつけるので、その道具でおじいさんの怒りを鎮めることにも役に立ったそうな。
 
この“カッカホカホカ”にて、当初の目的である暖房の使い道から本題のイカリのコントロールに役に立ったこともあり、イカリの力も先述の通り平和的に利用することができ、ひいては家庭円満にも役に立った。
続いて『感情エネルギーボンベ』も先のお話と同じように、こちらはママやジャイアンのイカリのエネルギーを電力等に変換できる道具なのだが、これはお話的に『まあまあ棒』のくだりに行きついてしまった。
ともあれ普段怒りっぽい人の感情制御については最近の医学においてもひとまずの研究はなされている上で、連載当時あまり重要視されていない中でのひとまず描かれているかということで。
もう一つ感情の制御についてこのお話を。
 
『ジャイアンの誕生日』
ジャイアンの誕生日が近付いてのび太くんたちは戦々兢々(恐れてびくびくとしている)となっていた。しかし当のジャイアンも本心では誕生日を祝ってもらいたいとドラえもんにもらし、ドラえもんも“かんにん袋”なる道具でジャイアンのイカリを鎮めようとして、穏やかに過ごすジャイアンの誕生日をのび太くんたちも祝ってやろうと思うようになったそうな。
 
こちらはイカリの力を袋にため込んで抑えようとする道具で、ため込む量に限りがあるとはいえ、こちらもイカリの制御ができる道具でもある。そこで少し融通を利かせて“カッカホカホカ”や“エネルギーボンベ”と連動して使えないかとは思うけれど。
このように理屈では難しいけれどイカリのコントロールも人が生きる上でも重要なことだと思う。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:王ドラ編、呉の引っ越し大作戦

さてみなさん、今回は中国の王ドラのオリジナルストーリーをお送りする運びです。
今回チャンの従兄のロンに押し付けられた引っ越しをなんとかやりこなす様をお送りいたします。はたしてどうなることやら、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに王ドラの仲間たちの紹介をば。
ウー(呉・のび太):ワンが済んでいる薬屋の息子。幼い頃より体が弱い一方、体を養うはずの薬が嫌いなのが悩みの種。
リー(李・スネ夫):街の地主の息子で、さびしんぼうでちょっとイヤミっぽいが根は素直。
チャン(張・ジャイアン):街の雑貨屋の息子。みんなのガキ大将的な存在でちょっと強引なところもあるが、結構頼りになる。
メイ(明・しずか):街の料理屋の看板娘。後述のシャオのもとで中国拳法を習っている。元気な反面少々大胆なところもある。次回のお話で出演する予定。
チャオ(趙・出木杉):街の役人の息子で物知りなところもありみんなに頼られている。
ロン(龍):チャンの従兄で引っ越しの手伝いをさせるためまず前金代わりにごちそうをふるまう。いささか強引なところがあるが話に筋を通す人柄でもある。
シャオ(翔):ロンの彼女で中国拳法の達人でもあり、いつも自分勝手にふるまうロンをこれでこらしめる。
 
その日、ウー(呉)と王ドラはチャンに連れられて、チャンの従兄のロン(龍)から近所の店屋でごちそうをふるまわれた。
ロン「さあさあ、遠慮なく食べてくれ。今日はおれの誕生日祝いでもあるんだ」
ウー「すごい、こんな料理は家ではなかなか食べられないね」
ワン「それじゃあ、遠慮なく」
と、ワンはテーブルに並べられたまんじゅうを次から次へと口に入れる。
ウー「ちょっとワン、あまりがっつくとあとで怖いよ、なんたってチャンの従兄だし」
ロン「さあさあ、お前も遠慮なく食ってくれよ」
と、いささか強引にウーにも料理をすすめるのだ。
そんなこんなでひととおり食べ終わった一同に、ロンが少し厳かな口調で告げる。
ロン「それじゃあ、腹いっぱいになったことだし、今日はおれの誕生部がてらの引っ越しの手伝いをしてもらうぞ」
リー「ええっ、こんなの聞いてないよ」
ウー「やっぱりろくでもなかったなあ」
ロン「何を言っている、引っ越しは一人じゃ大変手間取るんだ。どうせお前たちが手伝いに来るなら元気を出して仕事につかなきゃいけないから、それにさっきいっぱい食べたから、それなり仕事をするのが筋ってものだろう」
と、いささか言いくるめられ、加えてロン自身もチャンに輪をかけての暴れん坊とくるから言い返そうにも言い返せない。つまりはロンもそれなり恐いから、結局従わざるを得なかったのだ。
いずれにしてもロンの引っ越し作業をみんなで付き合わされることとなる。
はじめ大八車に積み上げられた家具調度一式をみんなでロンの新居へと運び出す。
ロン「がんばれ、そんなに遠い所じゃないぞ。こら後ろのボウズと豆ダヌキ。もっと押さないと前に進まないぞ」
ワン「ワタシ、タヌキじゃないネ」
ウー「やめなよワン、怒らせると後が怖いよ」
と、大八車の上でウーやチャンたちを叱咤激励してこき使う。
ようやく新居に着いた一行は休む間もなく家具調度を家の中に運ぶのだ。
チャンとリーは二人がかりで家具を運び出すが、ウーは手ごろな重さのテーブルを運ぼうとするのだが。
ウー「ううっ、重くて動かないよお」
ロン「なんだこんな程度のテーブルも運べないのか」
と、もう少し小さな箱を手渡すが、
ウー「うう、重いよお」
やっぱりウーには重いようだ。
ロン「なんだだらしがないやつだなあ」
と、あきれ口調で返す。
そんな時ワンが何かに気が付いて何やら手袋を取り出す。
ワン「そういう時ならこれ“超力てぶくろ”」
と、超力、すなわち“スーパーてぶくろ”を出すのだった。
ワン「これをつけるとどんなに重いものでも軽々と運べるネ」
ウー「ほんとだ、これなら楽に運べるね」
と、手袋をつけて荷物を運ぶのだった」
ワン「でしょう、これで引っ越しもすぐに切り上げられるネ」
しかしワンも調子に乗って荷物数個を軽々と運び出すが、
ロン「こおら、おれの荷物をお手玉にするんじゃない」
と、勢い余りワンにげんこつが飛んでしまう。
ウー「だから言ったのに、とにかく早く切り上げよう」
と、粛々(ゆっくりしぶしぶ)と荷物を運ぶのだったが。
「こらっロン、なに子供たちをいじめてこき使ってるのよ」
ロン「あっ、シャオ(翔)」
シャオと呼ばれた女の人は現れるなりロンににじり寄るのだった。
シャオ「そういえば引っ越しがあるって聞いたけど、この子たちをこき使って手伝わせたのね」
ロン「いや、こいつらにはちゃんとしたバイト代をあげるつもりだったんだ。先に元気で働けるためにごちそうもふるまって・・・・・」
シャオ「問答無用!」
ここぞとばかりにシャオの飛び蹴りがロンに炸裂し、ロンもすっかりのびてしまった。
リー「すごい」
チャン「やっぱかあちゃんよりこええ」
シャオ「何言ってんの、あんたたちもこれくらいやらなきゃダメよ」
ウー「でも残りの荷物もちゃんと運ばなきゃね」
ワン「しっかりと仕事しなきゃやっぱ悪いネ」
シャオ「あんたたちも真面目ねえ、これだったらうちのシャン(香)を任せてもいいかもね」
ウー「いやいや、僕たちもまだまだ子供ですけれど」
ワン「これメイには言えないネ」
と、メイ(明)のことを気にしつつ荷物を運ぶ二人だった」
ともかくも仕事をやり終えたウーたちはシャオに伴われて昼よりもひときわ大きいお店で夕食をごちそうになった。もちろんロンも一緒だが、シャオのおかげですっかりおとなしくなってしまう。
シャオ「さあさあ、今日は大変だったねえ、遠慮なく食べておくれ」
ウー「それじゃあ、いただきます」
ワン「今度はせめて味わって食べよう」
 
こうしてロンの引っ越し作業は一段落するも、今度はシャオの妹シャン(香)とメイが張り合うことになるのだが。これは後々のお話に譲ることとして、今回はここまで。

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しずかちゃんのおともだち<本当は怖いドラえもん>

ドラえもんの物語において、あらためて紹介することにして、まずドラえもんとのび太くん、しずかちゃんにジャイアンとスネ夫。そして中期から登場した出木杉くんを中心に、あとママや先生などの大人たちも加わって良きにしろ悪しきにしろお話が進められた。
そういえばのび太くんのクラスメイトを中心に他の子供たちもしばしば描か、彼らいわゆるモブキャラもお話に関わったのは今更語るまでもない。まず彼らについては、ドラえもんやのび太くんたちが活躍する上での背景上のキャラということで、漫画連載時をはじめ、新アニメ版の放映以前はそう認識されていた。
それを新アニメ版が放映開始されてから、そんなモブキャラだった彼らにも日の目を見られるようにもなる。
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まずしずかちゃんの友だちの中にも“立花さん”やら“中村さん”が、のび太くんの友だちにもしばしば出てきた帽子の子の“安夫くん”やら小太りの子の“はる夫くん”と、後者の二人はしばしば登場して名前でも呼ばれたりもするけれど、前者の子たちは最近になって登場して出木杉くんについでの脇役キャラとして認識されるようにもなる
かつては旧アニメ版での“少年A、B”やら“少女C、D”やらとして、名前ではなく外見や特徴で認識されていた子たちだったのを、新アニメ版での後述の事情でそれぞれ一キャラクターとして徐々に形が作られて、長じて存在感も高まり次第に彼ら彼女らのファンもできてしまったわけでもある。
あと製作スタッフの事情を考えて、かつてドラえもんに親しんだ人たちもいて、原作にては作者の藤子F先生がなるべくシンプルに構成したお話を、現在に至ってアニメを制作する際にお話の幅を利かせるついでに彼らモブキャラにも日の目が降りたわけである。つまり悪い表現になるも当時のファンの目が肥えた結果だということでもある。
そんなこんなで彼ら名のあるモブキャラのみんなのおかげでファンの幅も広がることにもなり、本当の意味で更なるドラえもんの人気も高まったかなというわけである。

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ドラえもんズオリジナル:ドラリッヒ・ハンスとゆうれい城(その4)

ロッテ「本当に申し訳ありませんでした」
ドラミちゃんの言う通り、城も元通りになってハンスたちとも無事合流でき、そしてロッテも閉じ込められた壁の中から出ることができた。そのいきさつは後に述べることとして、
ロッテが会長にお詫びをするも、会長も快く応える。
会長「いやいや、君たちも無事でよかった。ドラリッヒ君の友だちのいたずらで今回の事態に相成ったが、もう一人の友だちの妖精さんによってすべて収まったよ」
ドラリッヒ「本当に申し訳ありません」
ドラリッヒもあらためてお詫びをする。
会長「いやいや、ところでロッテ君、君が閉じ込められた部屋についてだが」
ロッテ「はい、まさかご先祖様の隠れた財宝があったなんて私も驚きでした」
実はロッテが閉じ込められた隠し部屋には、ご先祖様のさらなる財宝が隠されていたのだ。
 
それには一枚の手紙が書かれていた。
『親愛なる子孫へ、先にわたしの財産を君に明かしたことだったが、実はもう一つ、君たちのために財産を贈らんとしたのだ。あれ以来いくさの他に商売で更なる財産をため込み、老い先短い今こそこれらの財産を城のもう一つの隠し部屋に隠したのだ。この財産をもってこの城を後の人々の役に立てることを期待しているよ』
 
会長「そうだったのかね、あのエーリッヒ卿が」
ご先祖さまの隠し財宝を前にみんな感慨を込めて見入っていたが、
ロッテ「これだけの財宝を、ご先祖様、ありがとうございます」
サミュエル「すごい、金貨一枚を取っても、どれも価値あるお宝だ」
ハンス「でもこれだけのお宝だったら、僕らにはもったいないよ」
クララ「そういえば、お城の手入れのための予算もこれで賄えるんじゃないかしら」
ロッテ「そうね、今後の税金もこれで十分にまかなえるし、あとお城を観光地にする予算もね」
会長「これだったら大いに協力させてもらうよ。そうだ、それについてはわたしからも考えがあるのだが」
ロッテ「はい、それはどんなものでしょうか」
会長の提案にロッテもひとまず乗ることになったが。
ともかくも、かつてのゆうれい城は今生まれ変わろうとするのだった。
 
エピローグ:クララと妖精城
ところ変わって日本の野比家、ドラえもんのもとに連絡が入りポケットから“友だちテレカード”を取り出す。
ドラえもん「もしもし、ぼくドラえもん。君はだれ」
ドラリッヒ「もしもしドラえもん先輩ですか。僕はドイツのドラリッヒです。実はお世話になっているマンハイムで、以前先輩が訪れたミュンヒハウゼン城がリフォームされたので、是非先輩たちにも見てほしいんです」
ドラえもん「うん、わかったよ。今からそちらに行きます」
そのやり取りに帰ってきたのび太くんはドラえもんが訪ねる。
のび太「あれドラえもん、誰と話してたの」
ドラえもん「うん、ドイツで働いてるドラリッヒから、あのゆうれい城がリフォームされたっていうから、これから行ってみようと思うんだ」
のび太「ゆうれい城って、あのロッテさんのお城、それだったら行かなきゃね」
というわけでドラえもんとのび太くんは、“どこでもドア”でドイツのミュンヒハウゼン城へと向かう。
訪れたドイツは昼中ということもあり、訪れたミュンヒハウゼン城も見た目どこか明るい感じがした。そのうちに一人のおじさんが近付いてきた。あのルードビッヒ会長だった。
会長「おお、君たちが日本のドラえもん君とノビタ君かね、ようこそ来てくれた。さあ、ロッテ君たちも待っているよ」
というわけで会長に連れられて、場内に入るのだった。
ロッテ「ああ、ドラえもんにのび太くん、ほんとお久しぶり。どう、生まれ変わった妖精城は」
場内ではどこか妖精のイメージの衣装のロッテが待ち構えていた。続いてドラリッヒがこれまでのいきさつを含めて妖精城の成り立ちを説明する。
ドラえもん「うん、あの会長さんがねえ」
ドラリッヒ「子供の頃に妖精に助けられたってことだから。あと僕たちも妖精に見られちゃってるようだからね」
のび太「だからみんな妖精の格好なのか」
ちなみにお城で働いているのは、ハンスたちのほか、先にウィルヘルムに誘われて警察に捕まるも、ただ付き合わされて釈放された後、心を入れ替えてお城の整備員として雇われた人もいたのだ。
ロッテ「さあ、お城の中も見ていってね。それじゃあクララ、二人を案内して」
クララ「はい、それじゃあゆっくりと楽しんでいってね」
のび太「何だかしずかちゃんみたいだな」
クララ「そうですね、そのしずかさんもまたご招待したいです」
というわけで、クララに案内されて妖精城の中に入るドラえもんたち。場内はかなりの意匠(中の飾りのデザイン)で造られていて、以前のおどろおどろさとは大違いであった。
しかし下に降りていくうちにのび太くんが足を踏みはずし、階段を転げ落ちてしまう。しかしたまたま下に居合わせたグスタフに受け止められる。
グスタフ「おう大丈夫か、でもハンスより丈夫だから安心したぜ」
のび太「うん、ありがとう、でもなんだかジャイアンみたいだな」
グスタフ「おう、そのジャイアン君にも会ってみたいぜ」
続いてハンスがのび太くんを起こそうとする。
ハンス「大丈夫、でも僕より強そうだからね、僕はまだまだだけど、よっぽどドラえもん君に鍛えられたかな」
のび太「最近ちょっと振り回されちゃってるけどなあ」
ドラえもん「そんなに鍛えられていないけどね」
のび太「もう、ドラえもんったら」
こうしてのび太くんたちは妖精城のひと時を過ごしたのだったそうな。

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新・のび太は悪い子:でも本当はいい子なんです<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回も遅ればせながらもこの記事をお送りする運びとなります。
これも前回の記事からもう少し読める記事を目指して改訂をしました。それでは、ごゆっくり。
 
先にのび太くんのワルい所を指摘し、本当の意味で悪い子なのかを検証したが、先の二本から検証した結果、知らず知らずに悪い子に仕立て上げられ、いうなれば悪い意味での勧善懲悪のお話にあてはめられたといったところだろう。
たしかにダメな自分なりに一歩ずつでもよくしていこうといった気持ちが描かれたお話もちらほら描かれているのも無視できないものなのだが。
そんなのび太くんだが本当はどうなんだろうと、これもあらためて検証していきたい。
これもまた結論からいうには、タイトル通りに本当はいい子で、それなりにがんばることも忘れてはいないということである。
そこでこの二本を通じて検証をしてみたい。
 
『悪魔のパスポート』(要点のみ)
どうしても欲しいマンガ本のためにちょっと魔が差してから、実際悪いことをしようと偶然“悪魔のパスポート”なる道具を手に入れていろいろ悪いことをしたのだが、流石に自分の良心が痛んできて使うのをやめたそうな。
 
『悪の道を進め』(要点のみ)
ある日自分がよい子になろうとして、進んでよいことをしようとしようとするも、どれも失敗ばかり。それならばいっそ悪いことをしようとして、心配になって駆けつけたドラえもんに“よいこバンド”をつけて結局どれもよいことになってしまう。結局よいことも悪いことも思うようにならないのかと悩むのび太くんに、今自分ができることからやっていこうとドラえもんは励ますのだったそうな。
 
この二本から描かれたように、結局のび太くん自身は多少のいたずら心やらちょっと魔がさすことがあっても、進んで悪いことはできない性格なのだなということで。
ことに『悪の道を進め』のお話は、最初からバンドを出せばある程度活躍できたのにという想いを抱いた方もおられただろうが。やはり素直に評してみれば、人が何かを成そうとする時に、ある程度の挫折を一度ならず味わうこともあるだろう。そんなときにも誰かが支えてくれるといったことを教えたかったのだろうと藤子F先生は描きたかっただろう。
 
あともう一つ『のび太の結婚前夜』にて結婚を間近に控えたしずかちゃんが父親に不安をたれると、その父親は旦那になるのび太くんのことを「あの子は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる子だ、それが人間にとって一番大切なことだ」と説いたということ。
つまりのび太くんは優しくて思いやりがある子なのだけれども、日常の困難やズッコケなどでそれを忘れがちになって、ちょっといたずら心や魔がさすことがあるのだろう。
それをドラえもんの道具や、時にはしずかちゃんたち周りの友達、たまにではあるけれどジャイアンやスネ夫などの助け、そして何よりのび太くんの一握りの努力で人間的に成長したのだなということで。
ともかくも、本当はよい子ののび太くんを通じてある程度勇気づけられた読者(編者含む)は本当に数多くいると思う。

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ザ・ドラえもんズオリジナル・ドラリッヒ編:ハンスとゆうれい城(その3)

ハンスたちが危険なアスレチック大迷宮と化した場内をさまよい、ドラリッヒとドラッケンが対戦をしようとしている中、まず場内の壁に閉じ込められたロッテを会長が壁伝いにさまよっていた。
会長「ロッテ君、無事だったら返事してくれ。それに子供たち、これはきっと寂しくて怖い想いをしているに違いない」
 
ふと会長は40数年前、自分が幼い子供の頃を思い出す。
ドイツの黒い森にて家族でピクニックに行ったとき、自分が森に迷い途方に暮れていた。
そんな時どこからか自分を呼びかける声が聞こえた。
「おやどうしたの、こんなところで泣いていて」
子供「道に迷っちゃって、もう動けないよお」
「大丈夫だよ、ここからまっすぐ進めば森に出られるよ」
子供「う、うん・・・・・」
子供も残った力を振り絞って前を進まんとする。しばらくして母親が自分を呼ぶ声がした」
母親「・・・ビッヒ、ルードビッヒ」
子供「・・・ママ!」
子供もその声のする方に駆け付け、そこには母親が待ち構えていた。
母親「ああ、ルードビッヒ、無事でよかった。あれだけ奥に入っちゃいけないって言ったでしょう」
ということで、ルードビッヒ坊やは無事母親の元に戻ることができ、会長の回想から晴れる。
 
会長「あの時もおそらく妖精の導きで家族のもとに戻ることができた。あの妖精のように、わたしが子供たちを助けるのだ」
と、足取りは遅いながらも会長は場内を進む。
一方ハンスは迷っているうちにどこからか声がする方に気が付く。
ハンス「あれ、あっちにクララがいる」
すかさずハンスも駆け付ける。そこにはクララが床を跳ねつつ廊下を進んでいたのだ。
ハンス「ああっ、クララ、大丈夫」
クララ「だ、誰かとめてえ」
そのうち思わずクララを抱きとめるハンス。
クララ「え、大丈夫、ハンス」
ハンス「う、うん、大丈夫。でもこれってどういうこと」
クララ「どうしたもないわよ。これってどうも変よ、いつものお城の中じゃないもの」
ハンス「そうだね、こんなふしぎなことが起きてるなんて。でもドラリッヒがこんなことするなんて思えないし」
クララ「ともかく先を急いで、ってちょっと足が動かない」
先のトランポリンの廊下での疲れか、床に座り込んで動けなくなったクララをハンスが支え出す。
ハンス「心配ないよ、僕が付いているから」
クララ「それは一番心配なのよ。ハンスだって体いい方じゃないでしょ」
少し文句を言いながらもハンスとクララは先を進んでいく。
変わってグスタフたちも、
カール「何だよこれ、階段が速くなっていく」
グスタフ「ぐずぐずしてると下におっこっちゃうぞ」
しかしそのうちに途中の扉から、サミュエルが出てきて、はずみで3人とも階段を転げ落ち、下の踊り場の壁にぶつかり、はずみで回転する壁に閉じ込められる。
一方でドラリッヒとドラッケンの対戦も次第に熱を帯びていく。しかし傍らの“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”は何やらカチカチと音を上げていく。
戻って会長、おそるおそる階段を下りるが、やがて吊るされた大きな革袋が襲いかかり、会長もそれをよけんとするのだが、そのうち足を踏み外したか、階段を転げ落ちてしまう。
 
そして再びドラリッヒたち。やがてドラッケンのビリビリサーベルがドラリッヒの電光丸をはじき落とす。
ドラッケン「ふふ、もう後がないぞ」
ドラリッヒ「くっ、こんなはずじゃ」
しかしそのうちに上から何かの物音がして、それが大きくなり、サーベルを構えてドラリッヒに迫るドラッケンに、何やら球体の物体がぶつかった。それは先に階段から転げ落ちた会長だった。
ドラリッヒ「えっ、会長、どうして」
会長「あいたたた、何のこれしき。しかしクッションになった者がいたが、君、大丈夫かね」
と、下敷きになったドラッケンを気遣う会長。その直後、空間から時空の穴が開き、そこからドラミちゃんが出てきた。
ドラリッヒ「あれ、ドラミさん、どうして」
ドラミ「虫の知らせがして来てみたの。やっぱり大変なことになってたわね」
会長「うむ、君も妖精さんかね」
ドラミ「えっ、私は未来の世界のロボットです」
会長「おお、ロボットの妖精さんかね。ところで何の用で来たのかね」
ドラミ「はい、今回の事態を収めるために来ました。まず“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”ね」
と、ドラミちゃんは傍らの道具ふたつを調べる。
ドラミ「よかった、タイマー機能が働いててもうすぐこのお城も元通りね。あとこのドラッケンね」
と、伸びているドラッケンを“ピーヒョロロープ”でしばり上げる。
ドラミ「これで未来の世界に戻して、と」
会長「君、そのドラッケン君を、どこかの施設に送るのかね」
ドラミ「はい、ロボットの学校で勉強をさせ直します」
会長「ああ、そうだったのか」
と、ひとまず会長も安心する。
ドラミ「ともあれご迷惑をおかけしました。それでは私はこれで。あとドラリッヒ、後のことはお願いね」
ドラリッヒ「あ、はい」
こうしてドラッケンを引き連れてドラミちゃんは未来へと戻っていくのだった。
ドラミ「あとドラッケンの裏で糸を引いていた人がいたわね。ちょっとお節介だけど」
 
街の郊外では、あのウィルヘルムが不良仲間を引き連れて城に乗り込まんとしていた。
ウィル「くそっ、ドラッケンめ、連絡をよこさないとはどういうことだ、こうなったらおれたちが直接乗り込まなきゃ」
その時、ドイツ警察のパトカーとともに、数人の警官が現れた。
「警察の者だ、何やらよからぬことを企んでいる連中がいると聞いたが、一体どういうことだ」
ウィル「え、僕たちが何をしたっていうんですか」
「詳しいことは署で聞く、おとなしくしろ」
と、ウィルたち不良グループは警察に連行されるのだった。
「しかし、何やらの通報で駆け付けたが、なるほど、あれは以前脱税で捕まったヨーゼフの息子だったな。いずれにしても以前より街じゅうで悪さをしている連中だから、当面はじっくりしぼることにしよう」
というわけでウィルたちもドラミちゃんの通報でかたが付いたのだった。

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新・のび太は悪い子?:行動と理念<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回『のび太は悪い子』の第2弾を遅ればせながらお送りいたします。
なお先の記事も改めて紹介いたします。
新・のび太は悪い子?:概要
かつて藤子・F・不二雄先生は「のび太のいい所は反省するところ」だといっていたが、これは逆に言えば「のび太は反省するしか能がない」とも読めてしまう。ほかにもいい所があるだろうけれど、それらも結局は欠点に決めつけ、もとい見なしてしまうのではないのか。
はたしてのび太くんは本当に悪い子といえるのか、まず結論からのべるに、一概にはそうはいえないといったところ。はたして何をもって“悪い”と言えるのかをこの場を借りて確かめながら述べることにしたい。
まず、勉強をしない(できない)からというのは、出版した小学館の理念上からも勉強は大切という事情からひとまずイマシメの要素でこう描いているのが実情だろう。
とはいえ昔の高度成長期の残滓からきた事項の高学歴:高い地位や収入という法則も崩れて久しく、かといって少しゆとり教育の弊害も昨今あるので、その点の人間性の教育も今は必要かもしれないけれど。
次に道徳的視点から、たとえば道ばたにかんだガムのカスを吐き捨てたり(台風発生機)キャンプで空きカンを捨てたり(万能テントですてきなキャンプ)と、まあある程度のマナー違反、まあ確かにやってしまって「しまった」というほどだからまだいいが。これもまたマンガにおける“ズッコケ”と実生活における“しつけ”が絡んでいることだろう。
あと一般生活において、そういえばのび太くんは本来いたずら好きな子とはじめ設定された覚えがあるけれど、たしかに秘密道具の便利さに羽目を外して最後にはひどい目に遭うオチがパターンになったのも、お話の幅を広げる際の弊害ともいえる。
これらの事情を突き詰めれば、先に述べた小学館の理念と合わせての藤子F先生のお節介の虫からきた読者の子供たちに対するメッセージということになるだろう。
繰り返しながらもともとドラえもんはポケットから出す不思議な秘密道具で子供たちにユメを伝えるのが趣旨だったが、それが先の事情から次第に教訓やイマシメ的要素が前に出がちになってしまった。
たしかに子供にはしつけが必要なのは分かるが、その意味でものび太くんが悪い子に描かれがちになり、しょっちゅう叱られ役に貶められるのも、大半の読者としては不本意なものだろう。それでも一番本意ではなかったのは本来はのび太くんを分身として世に送り出した藤子F先生だろう。
いかにご自分から読者の子供たちに委ねたとはいえ、ご自分をある意味傷め続けたことには変わりはなかったのだから。

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ザ・ドラえもんスオリジナル・ドラリッヒ編:ハンスとゆうれい城(その2)

その日はバーテン州の観光協会の会長が訪れ、この城についての調査を行い、その評価で城の運営も決まるといってもいい。それだけにロッテはもちろん、ハンスたちも緊張を隠せない。
「やあ、諸君、おはよう」
やけに愛想のいい中年の紳士たる会長さんがロッテたちに挨拶をする。対してロッテたちもやや緊張して返す。
「お、おはようございます」
会長「今回はこのミュンヒハウゼン城について少しばかり調べることとなったが。君たちはいつも通りお仕事に励んでくれたまえ。特に子供たちは、おお、君はネコの妖精さんかね」
会長は目を輝かつつドラリッヒに駆け寄り、ドラリッヒも多少困ったように応えた。
ドラリッヒ「え、ええと、そんなところです」
会長「ともかく安全面に関しては指導することもあるけれど、ここが観光地としてふさわしい場所と認められるためにわたしも協力を惜しまないつもりだ。だから大船に乗る気持ちでいたまえ」
ロッテ「はい、お願いします」
というわけでロッテの案内で会長が城に入り、ハンスたちも城のそれぞれの場所につかんとする。
それを見計らい入り口近くでかのドラッケンも城内に忍び込む。
ドラッケン「さあて、みんな城に入ったことだし、そろそろ作戦を始めるか」
とヘルメットの中から“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”を出してそれぞれのスイッチを作動させる。
ドラッケン「これでみんな城に閉じ込めた。これでロッテをさらって坊ちゃんのものとにつきだして。ひとまずは高みの見物だな」
と、あらかじめロッテたちの体に付けさせた“極小型トレーサーバッジ”でみんなの居所を探り出し、動向を調べるのだった。
 
さて当のハンスたちはどうなったか。
ハンス「あれ、もうすぐ肖像の間だけど、また道に迷ったのかなあ」
ロッテのご先祖様のエーリッヒの肖像画が飾られている部屋に向かおうとするハンス、早速迷宮と化した場内に迷いだした。
変わってグスタフとカールも。
グスタフ「おい、武器の間ってこんなに遠かったのか」
カール「それ僕に言われてもって、この階段、なんだか下がってるんじゃない」
グスタフ「おい、ほんとだ、このままじゃ下に落っこっちゃうぞ」
カール「い、急ごうよ」
というわけでアスレチックマシンの影響で下りのエスカレーターと化した石階段を必死で駆け寄る二人だった。
また一方でサミュエルも、
サミュエル「なにこれ、扉だけの部屋なんて聞いてないよ、まさかドラリッヒが、でもそんないたずらをするなんて信じられない。ああ、一刻も早くここを出なきゃ」
さらにはクララも、
クララ「なにこれ、石の床なのにまるでトランポリンみたいに弾んでいる」
そしてドラリッヒも。
ドラリッヒ「変だなあ、いつもの城なんだけど、こうまで迷うなんて。まさかどこの誰かがひみつ道具の力を借りて。こうしちゃいられない“テレパシーカード”」
説明しよう、このカードは未来の世界においてドラえもんと同じくつくられたネコ型ロボットたちがお互い連絡をするために配られたカード型通信機である。その一つ、ドラリッヒもこの地で活躍するために、ドラえもんの妹ドラミちゃんから渡されたのだ。
ドラリッヒ「これでドラミさんに連絡がつくと思うけど、さしあたり僕も調べてみようって、何だ」
なんと後ろから巨大な球が転がってきた。
ドラリッヒ「え、なにこれ、どうして大きな球が転がってくるんだ」
すかさずドラリッヒは上り会談に逃げ込む、しかし球も階段を上って転がっていくではないか。
ドラリッヒ「どうして球も転がっていくんだ。これはまさか誰かが悪さしてるんだな。そうだ、タケコブターで空を飛べば」
こうしてドラリッヒはタケコブターで球を回避する。しばらくしてらせん階段の間にさしかかり上にのぼろうとするも、突然カミナリが落ちてきた。
ドラリッヒ「こ、こんなのって聞いてないよ」
空を飛んだのがズルと見なされてのペナルティか、単なるトラップなのか、そのカミナリに打ち落とされ、ドラリッヒは地下に落ちていく。
そんなみんながドラッケンが仕組んだ城のトラップに手間取りながらも、肝心のロッテは会長と一緒に場内を迷っていた。
会長「うむ、こうも入り組んでいるとは、まだ広間につかないのかね」
ロッテ「ヘンだなあ、こんなに複雑な造りにはなっていないはずなんだけど」
会長「まあまあ、こういう時こそ落ち着いて対処するべきだ」
ロッテ「は、はい、申し訳ありません」
会長に気遣われるままにロッテも落ち着きを取り戻す。しかし一息をつけようと壁に手を当てるや、突然壁が回り出し、吸い込まれるようにロッテが閉じ込められていく。
会長「ややっ、ロッテ君、これはいったい、ううむ、これは一大事。ロッテ君や子供たちに何かがあれば、ここはわたしがなんとかするしかない」
というわけで会長もロッテたちを探すべく、引き続き城をくまなく探し出すのだが。
 
ドラッケン「やりましたよ、坊ちゃん、ついにロッテを捕まえました」
ウィルヘルム「おお、でかしたぞ、早速僕も行くから待っていろ」
ロッテを閉じ込めたことを報せたドラッケン、あとはウィルヘルムが来るのを待つのみだったが。
しかし突然、ドラッケンの目の前にドラリッヒが落ちてきた。
ドラッケン「なに、お前は、ドラリッヒ。まさかこのここからすぐ上から落ちて来るなんて」
ドラリッヒ「うー、してやられたって、まさかきみはドラッケン。こんなところで何をしてるんだ」
ドラッケン「お前の知ったことじゃない。坊ちゃ、いやおれさまの目的のためお前にもじっとしてもらうぞ」
ドラリッヒ「何を、君の思う通りにはさせないぞ」
といったところでドラリッヒとドラッケン。二人の対決も今まさに始まろうとしていた。
ハンス「いつも回っているから大丈夫と思ったけど、まさかこんな時に迷子になるなんて、いったいどうすればいいんだろう、ドラリッヒぃー!」
というわけでハンスたちもいまだに迷宮と化した場内をさまよい続けていたのだった。

 

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新・のび太は悪い子?:概要<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回の記事は先の『のび太は悪い子?』を今少し読める記事を目指して再構成したものです。
ひとまずの再構成について編集に手間取り、その結果掲載が大幅に遅れてしまいましたことをまずはお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。
さて気を取り直して本編をば。
 
先に述べた『役回りの本末転倒』やら『のび太の堕落論』やらで、お話の後半あたりで何かとトラブルメーカーに陥って結局ひどい目にあうシチュエーションが中後期辺りでしばしば見受けられる。
これはつまり全体的に見て“ズッコケの要素”の一つと見てもいいだろうけれど。やはり一つの傾向として、のび太くんがいわゆる“悪い子”に陥ってしまってるのではないかと見えてしまう。どうしてこうなったのかを考えるに当たり、これもまた「小学館の事情」特に当時周りの大人たちの思惑あってこういったお話がしばしばとなってしまった。あと当の藤子F先生はどうだったかといえば、まずは当の本人でさえ答えが浮かばないというのが一般的で、言い換えればやはり純粋に漫画を描くことで周りが見えなかったのが実情でもある。それがオチとして悪い子のび太を懲らしめる、というかやっつける、行ってしまえばいじめの一環としてと会えても差し支えない事態に一時期なってしまったのだ。さてこういう「悪い子」に先立つ、ジャイアン以外の敵役、いわゆる「悪い奴」について、まずはジャイアンですらかなわない隣町のガキ大将やら、実際の犯罪者やら、果ては未来から来た本当の悪人(未来世界の怪人)などがあり、それらが町を騒がせてはドラえもんたちがなんとか退けんと悪戦苦闘するお話が連載の初中期にはしばしば見受けられた。ちなみにこのシチュエーションは大長編並びに映画のお話にも初代の『恐竜』のドルマン一味やら、『小宇宙戦争』のギルモア軍やらで描かれたりもしたのだが。しかしこれらもご多分に漏れず、80年代の全般から言うなればお話の安易化において、先述の悪人やらガキ大将やらの敵役の要素が次第にのび太くんに負わせちゃったという感さえある。ついでにジャイアン等の役回りも背負わせちゃって、これこそ役回りがあべこべになったともいえるだろう。

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