ドラえもん

禍福のアンバランス:しあわせの資格とは<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回ドラえもんの記事の前に先日発売されたドラえもんのコンビニ文庫について少し述べたくなり、本題の前にここにお送りする運びとなしました。

その今回のタイトル『今日も1日いい日にするぞ!』について、何かと災難にまみえがちののび太くんが、ささやかながらもいい日になるようにひみつ道具の力を借りていろいろと活躍するお話を集めたのだが、

『パンドラのお化け』は何かを決心しようとしてかえって失敗してしまうお話で、あとダメなことは何をやってもダメという文句も当てはまってしまう。

『不運はツヨ~イ味方』は結局イマシメどころかイジワルの方に傾いてしまい、その上でのお説教はやはり卑怯にも感じてしまう。

『無敵砲台』の巻に関しては結局「ダマされた方がワルイ」という文句に行き付いてしまう。

このようにいい日にしようとしてかえってワルい日に転んでしまうというお話が大半であった。それでも『人生コース』の巻で「しあわせになるにはそれなりの努力が必要だ」というくだりに行き付くけれど、ドラえもんの立ち位置から結局押しつけがましい感もぬぐいがたい。

 

ともあれここからが本題にかかることにして。

くり返しながらドラえもんのお話のコンセプト(まずは初期)は、何かと不運な目に遭いがちの人生を送るのび太くんを、何とかいい人生を送らせることだった。

それが中後期になって、それら不運や困難を何とかしようとしてかえってズッコケるお話がしばしば見受けられる。たしかに初期においても『ラッキーガン』のお話があるけれど、このようなお話はたまにはの程度で、それが中後期に頻発することが問題だと挙げたい。

それについては、しあわせになるにはそれなりの努力をしなければならないという考えがあったことだろう。言い換えれば「ダメな奴は幸せになる資格はない」とも受け止められる、かもしれない。

それだけならごもっともと思うけど、ひみつ道具の力を借りつつ、ひとまずの努力をしても結局しくじってひどい目にあう。結局後期になるほどしあわせの資格についてのハードルも高くなっているともいえるだろう。

まず子供のしあわせについては、ほとんどがおカネやモノが伴い、あと気になる子の気を引くといったところ。あとケンカに勝つというのはまた別の問題と述べておいて。

それらが次第にままならないのは、読者のイマシメが建前だけれど、結局は藤子F先生の心情が影響しているだろう。

戦中戦後の子供時代から高度経済成長期の青年時代を経て、ドラえもんをはじめ多くのふしぎなお話を描き、子供たちにユメを送り続けたはずだった。

それが80年代に入り次第にモノや生活が豊かになり、その上でこれ以上しあわせになってどうなるのかといった不安の虫が騒いで、結局しあわせの前の困難がどうしても描かれがちになってしまったといったところか。

それでもしあわせというものは本人の気持ち次第でいかようにも感じられるものでもあるけれど、やはり時代の違いこそあれ本当の意味でのしあわせについて教えたいと思い、お話の中でいろいろといているつもりだったけれど、やはりギャグやズッコケに転びがちになってしまった。そんな後期の中でもしあわせを感じるお話もいくつか描いていることも間違いはないけれど。

ともあれ本当のしあわせについて、たとえば一見イヤな家の手伝いやらお使いやらでもやりとげれば結構いい気分になったなといった具合で、難しい哲学を引き合いに出すまでもなく、子供うちでも真剣に考えてもいいのではないかと述べておいてシメとしましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その6)

首都レムリアに帰還した一行、これまでの事態の収拾にあたるとともに、今後の対策を立てることと相成った。

ドラミ「おそらく皇帝の姪であるミーナさんが、その敵の勢力に引き入れられたのは間違いないことです」

首相「うむ、それだけでも双方の不和に付け入ることは可能だから。いやいや、今更あなた方を疑うことは致しませんが」

皇帝「こうなってしまったら我々も守りを固めなければ。そこで厚かましいながら両国もここらで仲直りといたしましょう」

首相「おお、それはいいですな。思えば我々もずいぶん無理をしましたから」

皇帝「そうと決まれば、早速準備をしなければ。そういえばドラミくんの『どこでもドア』だったか、それをお借りしたい」

ドラミ「はい、分かりました」

というわけでドラミちゃんのどこでもドアを借りて、アトランチスの高官数人が呼び寄せられる。そして会場の準備もそこそこに、ここにムーとアトランチスの友好条約が結ばれることになった。

『ココニ締結サレタ、ムー連邦、アトランチス帝国ノ平和友好条約ニツイテ

・両国ノ相互理解及ビ両国国民ノ交流

・地上各国ノ海域ヘノ干渉ニツイテノ監視及ビ対応

ナオ追加ノ条項ニツイテハ追ッテ交渉ノ課題トスル』

と、難しい言い回しながらも一通りの国同士の約束を交わした後、首相と皇帝は固い握手を交わす。会場に集まったムーの国民の歓声とともに。この様子は帝国首都のモニター越しでも映し出され、そこでも歓声が上がったのだが、手放しで喜べない事情があった。

「北にはまだ鬼岩城がよみがえるというじゃないか」

「姫様が敵に捕らわれているという、何とか助けられないか」

「地上の子供たちとムーの少年たちに頼らなければいけないか」

とまあ、不安の中、わずかな希望をエルやドラえもんたちに託そうとした。

 

そんな中でのドラえもんたちは、

ドラえもん「これでもう戦争の危険は避けられたね、ってドラミ、でも未来の歴史について大丈夫なの」

ドラミ「うん、大丈夫よ、だってお兄ちゃんが言っていたから。未来は変えられるからって。それがいい方向に向けられるならなおさらよ」

ドラえもん「うん、そうかなあ」

2人とも小声で話していて傍らで聞いていたのび太くん以外には聞こえていなかった。

 

両国の調印式の後に、あらためて再調査を再開することになったエル一行。

長官「それでは、鬼岩城のことを含めて、いろいろ気を付けてくれ」

エル「はい、了解しました」

長官とのあいさつをそこそこに、再びアトランチスに向かう一行。そこにはドラミちゃんの姿もあった。

ドラえもん「ん、どうしてドラミもいるの?」

ドラミ「言ったでしょ、調整したバギーを届けるついでだけど、実は・・・・・」

ドラミちゃんが耳元でささやく。

ドラえもん「ええっ、ドルマンスタインの娘!?

ドラミ「お兄ちゃん、声が大きいわよ」

のび太「ドルマンってあの、恐竜ハンターの雇い主の人」

ドラミ「そうよ、そうなのよ、実はあの人は先の鬼岩城の一件を知ってお兄ちゃんたちの復讐の計画を立てたのよ」

ドラえもん「そのためにまた世界を危機に陥れようとしようだなんて」

ルウ「ともかく、こちらも大変なことになってるなら、力になりますよ」

のび太「わっ、どうしてルウくんがここに」

ルウ「うん、何やら深刻な顔で話しているから」

リム「でも、そんな人たちが、ミーナさんを取り込んでいると聞くから」

ルウ「目的が同じなら力を合わせてもいいと思います。ああもちろん兄さんの許可を得て」

のび太「うん、ありがとう。でもエルくんはどうしたの」

ルウ「うん、実はミーナさんの写真を皇帝から受け取ってから、何やら考え事をしていて」

そうこうとした後で、ジャイアンたちも顔を出す。

ジャイアン「おーい、もうすぐメシの時間だぞ」

スネ夫「早くしないとみんな食べちゃうぞ」

のび太「うん、わかったよ」

と、のび太くんをはじめ、みんなが輸送艇の食堂へと向かうのだった。

一方で航行に当たっているエルは、ミーナの写真を見て物思いにふけっていた。

エル「なんとしても助けなきゃいけないな、皇帝のためにも、そして彼女自身のためにも」

 

つづく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

役回りの本末転倒:変わるもの、変わらないもの<本当は怖いドラえもん>

今回はドラえもんの全体の歴史、連載開始から90年代初頭まで、いわゆる藤子F先生が健在であられる頃までの流れについてもう一言述べたいと思う。

ファンの大半は、お話のスタンスは変わっていないと言われる方もいると思うけれど、厳密にいえば、F先生のマンガに対する理念そのものは変わっていなかったと思う。ただ心情的にはやはり日々の創作における不安やら健康状態やらと有形無形のプレッシャーがのしかかって、それがお話に影響してしまったのだろう。その一端がいわゆるのび太くんを中心に役回りがあべこべになった感も見られた。

そこで多少はこじつけながらも。以下2作をさわり程度ながらも述べた上で、比較した上で評したいと思う。

 

『人間ラジコン』

ここ最近のジャイアンズ(ジャイアンが中心の野球チーム)の成績が不振なのを機に、中雇わずの特訓を課すジャイアン。行き過ぎたしごきを止めるため、ドラえもんが『人間ラジコン』を使ってしごきをやめさせたのだが。

『マネコン』

成績不振を機にのび太くんたちに特訓を課し、いつもで遅れるのび太くんがしょっちゅう殴られる。それを回避するためドラえもんに『マネコン』を出してもらうのだが。

 

この二つを比較して、まずはお話の全体像からそもそも両者ともジャイアンのしごきについての対応ということだけど、前者は追い払ってやめさせ、後者はやめさせずにその場しのぎの後にのび太くんのズッコケ話、くわえてとんち話に話が転んでしまった

どちらもスラップスティックを描こうとしたことは同じだろうけれど。それでもちがうところをあげれば、これも繰り返しながらもお話の製作理念がユメから次第にイマシメになってしまったことだろう。

「こんなことができたらいいな」といった“のぞみ”から「こうなったらどうしたらいいのだろう」という“問題”に変わったこと、つまりはのぞみをかなえたあとも考えてしまい、オバQ以来のズッコケオチでシメようと考えたのだろうけれど、結局はズッコケのリアクションやらダメージやらをかんがみて根本的に違っていることも繰り返しながらも述べておきたい。

 

しかしながらこれらをいろいろと挙げながらも、今となってはその“違い”もドラえもんの歴史において、楽しんでいこうというのも、本当のファンとしての礼儀といえばそうなのだろうけれど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その5)

街はずれの国境線を挟んで整然と並ぶバトルフィッシュの群れ、それをモニター越しに見やる首相と皇帝、そして長官とドラミちゃん。

首相「間違いなくバトルフィッシュだ。しかし本来ならこう待つことなく一気に攻めてくるはずだ」

皇帝「おそらくはあなた方ムー連邦と我が帝国との戦争状態を作りその隙に何やらを企んでいる者でしょう。お恥ずかしいながら、その輩の中には我が姪もおりますゆえ」

ドラミ「とにかくそれらを食い止めなければいけません。今お兄ちゃんたちにも連絡しましたから、もうすぐそちらに向かうでしょう」

首相「それは、間違いないのかね」

皇帝「はじめわたしもそう思いました。しかし突然ドラミくんが現れ、事情を話してからここに参った次第です」

長官「分かりました、我が軍で対処いたしましょう」

首相「うむ、頼んだぞ」

ドラミ「それから私もお力を貸しましょう」

皇帝「とんでもない、ロボットとはいえ幼い女の子を戦場に出すなどと」

ドラミ「大丈夫ですよ、こう見えてもお兄ちゃんよりもちょっと優れていますから」と、と、皇帝の制止もそこそこにドラミちゃんも連邦軍とともに乗り込んでいく。

 

一方バトルフィッシュ群から少し後方、数人の黒ずくめの男たちの後ろで悠然と座している女性は迎え討たんとする連邦軍の動きを察知した。

女性「どうやら動いてくれるようね、あの子たちはミーナが足止めしていることだし、そろそろ始めましょう」

指示を出して、黒ずくめの男がモニターのスイッチを押す。バトルフィッシュ軍は一斉に進軍していく。対して連邦軍も戦闘艇を中心に出撃する。その中にはイカのシルビイと何とドラミちゃんが単体で出撃していく。

「お頭、あれはまさか、ドラえもんの妹の」

女性「まさかロボット技術者のドラミ、どうして彼女が」

「ひょ、ひょっとして計画が察知されたんじゃ」

女性「まさか、計画は綿密に組まれたはずよ、あなたたち何かヘマをやらかしたんじゃないの」

「いえ、滅相もない、おれたちも計画の準備のために警戒されずに行動しましたが」

そこに執事の老人が現れて意見を述べる。

「エレナ様、これはやはり彼女がドラえもんの行動を察していた結果だと愚考(へりくだりながら考えを述べること)いたします」

エレナと呼ばれた女性「何ですって、でもあり得るわね、差し当たって彼女をやっつけなさい」

「ははっ」

 

もう一方、一路ムーへと帰還するエルたちは、

ジャイアン「おい、もうちょっとスピードが出ないのか」

ルウ「これが精いっぱいだよ、今パナマを抜けたばかりだから、何せ太平洋は広いからね」

リム「とにかく国のみんなが心配だからね、って、後方に追いかけて来る船が、これってまさか」

のび太「あのお姉さんの船かな」

しずか「お姉さんって、皇帝の姪ごさんのこと」

のび太「あ、そうだった。でも追っかけてくるのは面倒だなあ」

スネ夫「なんかだんだん近づいてくるよ。早く振り切ってよ」

エル「とにかくあちらが仕掛けてこないうちは大丈夫だけど、皇帝の姪ごさんだったらこちらもうかつに手を出せないな」

リム「とにかく全速前進、本国に近づきさえすればこっちのものだから」

のび太(やっぱりエルくんより頼りになるなあ、いやエルくんも頼りになるけど)

 

戻ってムー連邦、バトルフィッシュの攻勢を連邦軍の船とシルビイが応戦していき、その援護もあってドラミちゃんが果敢に攻めていく。まさに手を変え品を変えての大活躍だった。

ドラミ「ちょっときりがないわ、こうなったらちょっと問題があるけど、お願いバギーさん」

と、今まで調整のためドラミちゃんが預かっていたバギーを出して、それに乗ってまた攻めていこうとする。

ドラミ「それじゃあお願いね」

バギー「任セテ下サイどらみサン」

と敵の目の前を突っ込んでいく。

バギー「フンダ、オ前タチノ攻撃ナンカ当タラナイヨ」

しかし敵のビームが車体をかすめる。

ドラミ「もう、ちょっと気を付けて」

バギー「アア、スミマセン」

先輩「おお、ドラミさんが押してくれたぞ。こちらも一気に押し返すぞ」

ロド「はい!」

と、シルビイを中心に先輩たちも進軍していく。そんな折、エルたちの船が近付いてきた。

 

連邦軍の指令室にてエルから通信が入る。

エル「こちらはエル、任務の途中で引き返し申し訳ありません」

長官「おおエルか、詳しいことは聞いている。今ドラえもんくんの妹のドラミくんがことに当たっている」

ドラえもん「ええっ、ドラミが戦っているの、だったら助けないと」

長官「ともかく彼らを退けたらまた任務に戻りたまえ、と言いたいが、こちらも結構やるべきことがあるから、やはりその後だな」

エル「はい、了解しました」

そこにオペレーターの兵士が後方の船に気付く。

「長官、エル隊の船の後方に一隻の船が」

長官「うむ、これも敵の船に違いないな、って、おや皇帝は」

「ああ、先ほどまでここにおられましたが」

 

一方で件の司令船、一連に事態に多少は混乱していった。

エレナ「どうなっているの、まるっきり計画に狂いが生じているんじゃないの」

「お頭、アトランチスに赴いていたエルの船がこちらに近づいて、あとミーナの船もついてきました」

エレナ「何ですっ!?

 

ドラえもん一行も戦場となった海域に駆け付けてきた。

ドラえもん「どうやら間に合ったかな、みんなも戦っているようだし。ああ、ドラミもがんばっているな」

のび太「とにかくドラミちゃんを助けに行こう、あとミーナさんのことどうしよう」

エル「それは僕に任せてって、あれ、小型船が近付いてくるよ」

そこに長官から通信が入る。

長官「大変だ、皇帝が小型船に乗ってそちらに向かっている。まずは援護の方を」

しかし皇帝の船はエル隊の船を素通りしてミーナの船に向かっていく。ミーナの船もそれに気が付き、その進行を止める。

ミーナ「え、何なの、あの船って、まさか、おじ様」

はたしてその船から皇帝が出てきた。もちろんドラミから手渡されたテキオージェルを使って。

皇帝「ミーナ、これ以上はやめなさい、これ以上彼らの計画に加わって世界を乱さんとするのは」

ミーナ「まさかおじ様がこんなところに、でも、どうして」

目の前の皇帝にその動きを止めるミーナ。逃げようにも指先から動かない。皇帝もミーナの船に近づこうとする。もちろんエルたちも皇帝を守らんとよって来る。

エル「さしあたって皇帝を守らなきゃ」

ルウ「あっ、6時の方向(ちょうど真後ろ)に大きな船が」

ジャイアン「なんだって、何で気が付かなかったんだ」

しかしあの司令船が後ろから迫ってきたのだ。しかしその船はエルたちや皇帝には目もくれずにミーナの船を回収していく。こうして一目散に逃げ去っていく司令船。ちょうど差し向けたバトルフィッシュはほぼ撃退されたのだ。

皇帝「ミーナ・・・・・」

そこにエルが近付いてきた。

エル「大丈夫ですか、皇帝」

皇帝「ああ、わたしは大丈夫だよ。まさか君たちも駆けつけてきたとは、いや、ドラミくんが連絡してきたのか」

エル「ともかくムー本国に戻りましょう。いろんなことが起こりましたから、その整理をしないと」

皇帝「うむ、そうだな」

と、皇帝とともにムー本国へと帰還するエルたち一行だった。

 

つづく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

そんなに勉強はイヤなものなのか<本当は怖いドラえもん>

今回は勉強することについての大切さとその反面の面倒くささについて軽く述べたいと思います。

日ごろグータラな生活を送るのび太くんに、ママや先生あたりが「勉強しろ勉強しろ!」と叱りつける。

その「勉強しろ」というくだり、たしかに子供の生活の中で勉強は必要なことだということは、今日びの子供たちでも理解できる。さてその勉強というものはどうやれば良いのか、残念ながら作中で具体的にどうしろというのかは述べられず、ただ「勉強しろ」の一言のみ、たまに勉強に取り掛かるもやはり黙々と取り組むのみ。

要はのび太くんのグータラを戒める。ひいては読者の子供たちにも勉強の重要性を教えようとした。これにつきるだろう。

一概に勉強といえば机の上で教科書や参考書片手に問題を解いたり内容をいくらか覚えたりと、ひとまずはそういった認識ではないだろうか。

それでことあるごとに勉強しろ勉強しろとまくし立てる。それについて今となれば辟易するのも無理ないないだろうが、あの頃はそれでも通じていた。

くり返しながらそれに反してその勉強のしかたはどうすればいいのか。もっともこれも「そういうのは自分で考えろ」と返されるのが当時は関の山だろうが。とはいえ基本的な方法として先に述べたことがらが一番手っ取り早いことだろうけれど。

そこで当時の風潮として勉強についてどうとらわれているかを調べてみたい。

まず昭和30年代の高度経済成長期、まず豊かな生活のために、それがよい仕事、よい企業につくため、そしてそれらがよい大学に入学するためと目的が折れてしまった。

それがマンガ業界にて、勉強ができる子が社会で通用できるという風潮に対して、勉強ができない子でもたくましく生きられることを描いた作品がいくらか発表された。その風潮は後にオバQの正太くん、パーマンのミツオ、そしてのび太くんにも受け継がれた。そもそもダメな子はダメな子なりにしっかり生きているというのがマンガの主題のはずだった。

それが昭和50年代からモノや生活がユタカになった時代に備え、子供であれそれなりの能力を身に付けないと生きてはいけないといった風潮から、ドラえもんにおいてまずはのび太くんから叱ってでも努力を促すといったコンセプトにたどり着いたのだろう。やがては連載中後期から叱られては反発し、やがては自滅、とはいかないまでもズッコケていく。といったシチュエーションが繰り返していき、やがては悪循環に陥っていく。それでもたまには努力の大切さを自覚していくお話もあるけれど。

ともかくもそれらの作品を通じて、本当の意味で勉強や努力の大切さを根気よく教えていくのも大切なことではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その4)

皇帝「それでは、くれぐれも気を付けてくれたまえ」

皇帝らの見送りで、エルたちは一路旧アトランチス領へと向かうのだった。

その途上、珍しく考え事をしていたのび太くんに、ルウとリムが近づいてきた。

リム「どうしたの、のび太さん」

のび太「うん、これからアトランチスで鬼岩城のことを調べるというけれど、何やら妙な腹騒ぎ、いや胸騒ぎがするんだよね」

ルウ「ポセイドン亡き今だったら鬼岩城の脅威はないはずだけど」

リム「ともかくその鬼岩城が本当に復活するのか。もし復活するならそれを止めるのが当面の目的だからね」

のび太「うん、本当は戦いはイヤだけど、世界のためにやらなきゃならないのは僕もわかってるよ」

そこにエルが顔を出してきた。

エル「とにかく旧アトランチス領まで行けばすべてが分かるよ」

のび太「あれエルくん、操縦の方はどうしたの」

エル「船は自動操縦に切り替えているよ。目的地まで時間はあるからね、さあそれまで一休みしよう」

のび太「なんだか前よりのんびりとしているね」

ルウ「父さんを目指してがんばっていたからね。本当はちょっとのんきなところがあるんだ」

のび太「うーん、ちょっと大丈夫、かなあ」

ともあれ、潜水艇は一路旧鬼岩城へと向かう。しかしドラえもんが血相を変えて飛び出してきた。

ドラえもん「た、た、たいへんだ、今ムー連邦が何者かに襲われてるって」

エル「何だって、それはどういうことなんだ」

ドラえもん「うん、実はドラミって、僕の妹が、連絡してきたんだ」

ルウ「どうしよう、今は鬼岩城の跡地を調べなきゃいけないのに」

リム「本国にはロドたちが守っているし、いざとなればシルビイもいるから」

エル「でも、こっちの方が陽動、つまりひきつけるおとりってこともあるな。よし、鬼岩城のほうは後回しにして、今から目の前の危機に向かおう」

というわけで、エルたちは当初の作戦を変更し、一路ムー本国へと逆戻りと相成った。しかし急ぎ足で戻る潜水艇を追いかける船があった。

ミーナ「ちょっと、いきなり逆戻りなんて聞いていないわよ、待ちなさい!」

それはアトランチスのミーナの船だったのだ。

 

一方、ムー本国のレムリアでは先輩と一緒にロドがパトロールにあたっていた。

ロド「しかしエルの奴、今ごろ元気でやってるかな」

先輩「ほら、前がお留守だぞ。無駄口たたいていないで集中しろ」

たしなめてから先輩が続ける。

先輩「エルだったら大丈夫だろう。あいつもリムやルウがいるからな」

ロド「そうですねえ」

と、ロドがモニターに目を向ける。そこには、巨大な魚らしきもの、間違いなく鬼岩城のバトルフィッシュの大群だった。

ロド「なに、これはまさか、バトルフィッシュ!?

先輩「ばかな、鬼岩城はたしかに滅んだはずだ」

ロド「どどどうしましょう先輩」

先輩「どうもこうもない、ここは逃げるしかない」

と、巡視艇は逃げるように本部へと帰還する。その際本部にはバトルフィッシュ襲来の報せが届けられる。

本部では高官の一人が長官にことの次第を問いただす。

高官「鬼岩城は滅んだのではなかったのかね」

長官「それについてはエルたちに調べさせていましたが、まさかこのようなことになろうとは」

本部のモニターにはバトルフィッシュの群れが近づいてくるのが映し出される。

長官「ともかく、我々も全力で対処いたします。皆さまには市民の安全の確保を」

レムリア市内では市民が避難していた。その中でエルの母が誘導にあたっていた。

母「みんな落ち着いて、まだ間に合うからゆっくり避難するんだ」

さらには官邸内では大イカのシルビイが興奮して今にも暴れんとし、守衛の兵士が押さえ付けんとしていた。

「こらシルビイ、頼むから落ち着いてくれ」

これらの異変を察し、首相が司令部に駆け付けた。

長官「ああ、参られましたか、首相」

首相「うむ、まさかアトランチスの残党が、この機に乗じて攻めてきたというのか」

「・・・これは言い訳かも知れませんが、これは我がアトランチス本国には何ら関わりがありません」

首相の背後から呼び掛けたのは、アトランチスの皇帝だった。

首相「何者かね、いや、あなたは!?

皇帝「ムー連邦の首相ですね、わたしがアトランチス帝国の皇帝、ラ・グラースです」

首相「信じられない、まさかこのような場所にアトランチスの皇帝が」

ドラミ「はい、この人は間違いなくアトランチスの皇帝です。私がここまでお招きしました」

さらには何とドラミちゃんが現れた。

首相「君はまさか、ドラえもんくんと同じ」

ドラミ「はい、私はドラえもんの妹のドラミです」

 

つづく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドラえもんの亜流たち:ポコニャン<本当は怖いドラえもん>

さて今回はドラえもんとつながりがあるポコニャンについて毎度のことながらもヒネくれながらもお送りしたく思います。

初期のドラえもんの連載と前後して、藤子F先生は数多くの子供向け漫画が描かれていったが、たしかにどれも主人公の男の子とその相棒たる不思議な生き物。そして仲間たちと繰り広げる「すこしふしぎ」なお話といった、どれもドラえもんとたいして変わらないといった具合。

そんないわゆる“亜流”たちの中で際立ったのが、今回紹介する『ポコニャン』だったのだ。

そのポコニャンはモロにタヌキとネコを合わせたようなキャラクターで、たまたまドラえもん自身が時折タヌキと間違えられるシチュエーションがあったので、それを逆手に取ったアイデアから製作されたのだろう。

お話はとある山中で出会った、ふしぎな生き物ポコニャンが、ふしぎな道具でさまざまな問題を解決していく。これに関してもドラえもんと変わりない。実際ドラえもんのアニメの旧々版でも、ポコニャンのエピソードをヒントにお話が作られたとか。

それから時は流れた90年代にポコニャン自身がアニメ化された。それはドラえもんとの差別化をはかるため、設定も大幅に変えられていったのだ。まずポコニャンそのものが原作が動物と変わりなかったがアニメではちゃんと話せるし、ポコニャンの相棒、すなわち主人公が女の子だったりポコニャン自身が超能力で活躍したりといった具合。

それに関してはちょっとうがてば、キテレツ大百科と同じように、それでいてそれとは違う方向性で、ドラえもんのある意味自虐的な展開から脱却したいといった心情もあるだろう。

そんなわけでポコニャンも、我々藤子Fファンの心に残った名作となったのは今更語るまでもないだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その3)

ドラえもんとエルたち一行は、アトランチス皇帝ラ・グラースに、現在のアトランチス人の生き残りが暮らす都市、アマゾン川流域の地下にあるネオ・アトランへと招待される。

のび太「わあ、すごい都市」

ルウ「レムリアに負けないくらいだ」

皇帝「これでも昔の10分の1程度の広さだがね。君たちもかつての遺跡を見てきたはずだ」

人々もロボットと一緒に普通に暮らしている。たしかにムーよりは進んでいる科学力でもある。

皇帝「さあ、これが我が宮殿だ」

と、都市の宮殿へとたどり着く。

一向はあらためて皇帝の歓迎を受け、宴のご馳走をみんなで楽しんだ。

皇帝「さあ諸君、遠慮せずに召し上がりたまえ」

と、みんな最初は訝りながらも料理に舌鼓を打つ。その上でエルはあらためてかねてからの疑問を口に出す。

エル「でもどうして僕たちを招待したんですか。かつてはムーとアトランチスは敵どうしなのに」

皇帝「うむ、これを語るのは心苦しいのだが。かつて先人たちが開発した鬼岩城のポセイドン。それが暴走しアトランチスを一時滅ぼしたのは君たちも承知の上だ。かくいう我々も手をこまねいていたわけではなく、君たちと同じく我がアトランチスもあれを止めんと鬼岩城に乗り込んでいった。しかし結果は惨たんたるものだった。そのうちに海底地震の影響を受けて鬼岩城が活動を再開せんとしたのを機に、我々も全軍をあげてそれを止めんとしたのだ」

ドラえもん「それで僕たちが乗り込んで止めたのを知って思いとどまったのですか」

のび太「でもそうと気付かなかったんだけど」

皇帝「我々も君たちのことは多少なりと警戒していたからね。しかし君たちの活動を知ってからは信用していいと判断したのだよ」

エル「そうだったんですか」

とひとまず納得するエルたち。しかしすかさず話題を変える。

エル「それからしばらくして、あなた方、というより、アトランチスの残党を名乗る者たちが何やらよからぬことを企んでいる。それを受けて僕たちも動き出したのですが」

皇帝「これも心苦しいのだが、たしかに我が王家の者が動いているのはたしかだ。おそらくはわたしの姪であるラ・ミーナだ。あの子がアトランチスの再興をはかって何やらの企てをしているのも分かっている。ともすれば君たちムー連邦との戦争をも望んでいるかもしれない。言うまでもないが、わたしとしてもそのようなことは望まない」

エル「それで、僕たちになるべく静かにことを収めろというのですか」

皇帝「君たちの首相にはあらためて話し合いたい。それの力添えもいずれは頼みたい」

エル「分かりました、僕たちができることなら」

皇帝「うむ、頼んだよ」

と、皇帝とエルは握手を交わす。

のび太「うーん、なんだか大変なことになっちゃったなあ」

ところが宴室の片隅に奇妙な黒い球みたいなものがその様子をのぞき込んだかと思えば、警備の鉄騎兵が近付くや突然姿を消す。

「アレ、何カイタカナ」

「オイ、何ガアッタ」

「イエ、ナンデモアリマセン」

と同僚の兵に問われつつ、この場を後にする。

 

その夜、みんなが床に就いたかと思えば、のび太くんが目を覚ました。

のび太「う~ん、トイレ、どこだろ・・・・・」

「オといれナラ歩イテツキアタリニゴザイマス」

と、彫像型のロボットが話しかけ、その指示に近づきトイレを済ませるのだった。その帰り、とある一室で大きな絵を見やる皇帝の後姿を見かける。その絵は若い夫婦とその赤ん坊、その脇には青年の姿もいた。おそらくそれが若い頃の皇帝だろう。

やがて皇帝が後ろを振り向く。

皇帝「・・・誰だ、ああ、何だ、のび太くんか」

のび太「ああ、皇帝さん。でも、この絵は」

皇帝「うむ、これはミーナが生まれて間もないころに描かれた絵だ。中央にいるのが先の皇帝である兄上で隣はその妃、そして脇にあるのがわたしだ。兄上は十数年前に妃とともに事故で亡くなられ、わたしがその後を継ぎ、ゆくゆくはミーナにその後を継がせんと育てたつもりだが・・・・・」

のび太「でもどうして僕を襲ってきたのですか」

皇帝「あの子に何者かが近付いてきて、そのままその者についていってしまったのだ。おそらくはアトランチスの再興をそそのかされたのだろう。わたしとしては穏やかにこの国を治めてほしかったのだが」

のび太「そうか、それでまず僕から付け狙ったんだ。とりあえず、僕にできることがあったら」

皇帝「ありがたい、まずはその気持ちだけは受け取ることにしよう。これはみんなで当たるべき問題だからね。さあ、夜は長いからもう少し休みなさい」

のび太「あ、はい・・・・・」

と、皇帝のもとを離れ、再び寝床につくのび太くんだった。

 

変わってとある一室で、ベッドでたたずむのは皇帝の姪でアトランチスの王女、ミーナだった。そこにとある女性が声をかける。

女性「それで、誘拐には失敗したのね」

ミーナ「言い訳はしないわ。念のため記憶は消したけど、いずれ思い出すからその時にみんな捕まえればいいでしょう」

女性「それだけならいいけど、彼らはムーの兵士たちと一緒にネオ・アトランのもとにいるって話よ」

ミーナ「まさかおじ様のもとに、たしかに面倒ね」

女性「だからもうちょっとかき回す必要があるの。ここは私に任せて、あなたは彼らを止めてきて」

ミーナ「ええ、分かったわ」

と、女性はミーナのもとを離れていく。その女性に、黒ずくめの男たちが近付いてきた。

男「お頭、本当に大丈夫なんでしょうね」

女性「ええ、あの子には私の計画のために大いに力になってもらわないと」

男「あったくあの子供たちにはかつてはさんざんな目に遭ってきたからなあ」

女性「そう、かつてお父様の愉しみを邪魔して、我がドルマンスタイン家を没落させた、あのにっくき子供たちを」

その女性の目には恨みの炎が燃え上がっていく。

 

つづく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

のび太の堕落論:引きこもることはいけないことだけど<本当は怖いドラえもん>

さて昨今、若者の引きこもりについて問題となり最近では中高年の引きこもりも取りざたされることで、いずれ関わらねばならない問題でもある。

そこでドラえもんにおいての引きこもりを述べておきたい。

その前に盟友藤子A先生のこの問題作をば、

『明日は日曜日そしてまた明後日も・・・・・』

晴れて就職が決まりいざ出社に乗り込まんとした青年は、生来の気の弱さと過保護な生活からか初日で会社の警備員さんに半ば追い返され、それ以来ズルズルと休み続け、しまいには精神病の診断を受けてそのまま家に引き込もったままになってしまったそうな。

~掲載当時はまだ高度経済成長のあおりを受けた社会情勢だったので、それを皮肉ったお話でもあるのだが、やはり現代の引きこもりに通じているのは皮肉と言うほかはない。

 

さて当のF先生の見解やいかにということでこのお話をば、

『万能グラス』

ある日、今日は家でゴロゴロしていようとすると同時に、周りのものが気になるので『万能グラス』を出して昼寝をしながら周りのものを見て回る。その時とあるアパートの一室でゴロゴロと寝そべる男を見かける。後に洗濯したパンツをさがしに先のアパートまで飛んでいったので、訪れると先の男が首を吊ろうとしたので引き止めた。事情を聞くと、男は借金で切羽詰まっていたと語るも、男のおじが借金を返してくれたおかげで事なきを得て、男は心を入れ換え働くことに。のび太くんもちょっぴり反省して勉強をしだしたそうな。

~ここでの引きこもりの男は怠けぐせゆえでこうなったと描いている。借金云々はそのついでだろうし、その当時(前者もそうだけど)引きこもりの問題はそう挙げられなかったきらいがあったからF先生もあのような認識だったろう。

要するに心がけ次第だという読者の子供へのいつものメッセージだけど、たしかにいまでは心がけではどうにもならないのもまた事実だけど、このお話ならそのメッセージは素直に受け止めてもいいだろう。

最後後者が親戚の助けがあり立ち直ったからよかったが、前者はあのまま放って置かれてしまった。これもまた誰かが支えてくれればよかったのだ。これは作風の違いといえばそれまでだけど、それでこの作品を通じて現代の問題を深刻ならしめるものとしているのだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その2)

ドラえもんとのび太くんがルウに言われるままにいつもの空地にみんなを呼んでいった。

ジャイアン「おう、のび太、一人だけ休むなんてずるいぞ。今までまた昼寝してたのか」

ルウ「まあまあ、そういえばみなさん学校で何があったか話してくれますか」

スネ夫「うん、みんなが学校に行ったとたん、先生が階段から落ちて授業は中止になったんだ」

のび太「そ、それで女の人は」

スネ夫「女の人、何それ、また寝ぼけてんじゃないの」

ドラえもん「のび太くん、やはりみんな覚えていないじゃないの」

のび太「ああ、そうだった」

そこにしずかちゃんもやってきた。

しずか「ごめんなさい、出木杉さんが学校に行ってすぐに気分が悪くなって、おうちに戻してお見舞いしてきたから遅れちゃった、ってルウさん、いったいどうしたの」

みんなが集まったのを見計らい、ルウが口を開く。

ルウ「ようやくみんな集まったようですね、それでは・・・・・」

エル「今までのことを追って説明するよ」

ルウが説明しようとするも、なんとエルが私服姿で現れた。

ルウ「え、に、兄さん」

エル「隊長と呼びなさい、ルウ一人じゃ心配だったんだ」

ルウ「もう、またリムに任せっきりにしたんだね」

ドラえもん「まあまあ、それでアトランチスの復活っていったけど一体どういうこと」

エル「うん、アトランチス人が生き残っているのは前々から調べていたけれど、というより大昔、アトランチス帝国が滅びた後、アトランチス人の一部は再び地上に戻って地上人に文明を伝えたんだ。たとえばギリシャの学者やらローマの政治家たちやら、歴史に名を遺した人物の中にアトランチスの末裔も関わっていて、地上の文明を創ったんだ。これは君たちが覚える必要はないけどね」

しずかちゃんはこのお話は出木杉に教えてあげたいと思ったが、その必要はないと思ってすぐに思いとどまった。

エル「さておきアトランチス人について、僕たちが鬼岩城を滅ぼした後で大西洋を中心に異変が見受けられたんだ。それはルウが言ったとおりだけど」

のび太「それであの女の人か、って覚えてないのか」

スネ夫「さっきから何言ってんだ」

ルウ「まあまあ、その話はあとで」

エル「ともかく、彼らの動向を調べなきゃいけない。鬼岩城が滅んでやっと自分たちが自由に動けるようになったから、その動きをじっくりと調べなきゃいけない」

ドラえもん「それで、今どこに行けばいいの」

ルウ「ここから歩いて4時間ほどの岩場に潜水艇を置いているから」

のび太「えー、そんなに歩けないよ」

ドラえもん「そんなことがあろうから、とりあえずこれで」

と『どこでもドア』を出して、みんなそこから潜水艇の岩場に移動する。

 

岩場から潜水艇に乗り込み、潜水艇は一路パナマの海底運河へと向かう。

エル「パナマまで2、3時間くらいだけど、のび太くん、君が言っていたその女の人って、本当にアトランチスの王女って名乗ってたよね」

のび太「うん、先生を軽く投げ飛ばしたり空を飛んだり、ほんとすごくて怖かったよ」

エル「それに記憶を操る能力か。僕らの科学技術も地上より幾分か進んでいるけど、彼らはそれ以上とはこれも信じられないな」

リム「でも本当に彼らだけか、それも調べなきゃいけないけど」

ドラえもん「あれ、船の操縦はどうしたの」

リム「今ルウが動かしているよ、ルウも訓練していたからね」

のび太「なるほど、すごいなあ」

エル「詳しいことは省くけど、これもわが国では当たり前のことさ」

そうこうしているうちに船は海底運河へとたどりつく。

エル「さあ、ここを抜ければもう大西洋だ」

しかし、運河を抜けると、無数の戦艦が待ち構えていた。

エル「何だって、これはまさか、アトランチス軍の戦艦」

ルウ「バトルフィッシュとはちょっと違うけど」

のび太「ボクたちを待ち構えたのかなあ」

しずか「こわい」

その一番大きな船から、円盤状の物体に乗り、ジェルのカプセルに包まれた一人の紳士が現れる。

のび太「なんだろう、あの人」

ドラえもん「きっとすごく偉い人みたいだ」

リム「おそらくは、まさか・・・・・」

その紳士がエルたちの船に向かって厳かに告げる。

紳士「わたしがアトランチス帝国皇帝、ラ・グラースである。我がアトランチスのいにしえの軍事施設、鬼岩城を沈黙せしめたのは諸君らか」

スネ夫「き、きっと僕たちを捕まえに来たんだ」

ルウ「あ、兄さん」

エル「まずは僕が会ってみるよ、でももしものことがあったら」

ルウ「うん、でも無事に帰ってきてね」

潜水艇からエルが出てきて皇帝の目の前に立つ。

皇帝「うむ、君は」

エル「ムー連邦軍隊長、エルです」

皇帝「そうか、他の者はあの船の中にいるのかね」

エル「・・・はい」

エルの返事に皇帝は片腕を添えて一礼する。

皇帝「よくぞ参られた、積もる話はあると思うが、まずは君たちを歓迎しよう」

あっけに取られながらも、一行は皇帝の船と同行するのだった。

 

つづく

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧