ドラえもん

ドラえもんズオリジナル:ドラリッヒ・ハンスとゆうれい城(その4)

ロッテ「本当に申し訳ありませんでした」
ドラミちゃんの言う通り、城も元通りになってハンスたちとも無事合流でき、そしてロッテも閉じ込められた壁の中から出ることができた。そのいきさつは後に述べることとして、
ロッテが会長にお詫びをするも、会長も快く応える。
会長「いやいや、君たちも無事でよかった。ドラリッヒ君の友だちのいたずらで今回の事態に相成ったが、もう一人の友だちの妖精さんによってすべて収まったよ」
ドラリッヒ「本当に申し訳ありません」
ドラリッヒもあらためてお詫びをする。
会長「いやいや、ところでロッテ君、君が閉じ込められた部屋についてだが」
ロッテ「はい、まさかご先祖様の隠れた財宝があったなんて私も驚きでした」
実はロッテが閉じ込められた隠し部屋には、ご先祖様のさらなる財宝が隠されていたのだ。
 
それには一枚の手紙が書かれていた。
『親愛なる子孫へ、先にわたしの財産を君に明かしたことだったが、実はもう一つ、君たちのために財産を贈らんとしたのだ。あれ以来いくさの他に商売で更なる財産をため込み、老い先短い今こそこれらの財産を城のもう一つの隠し部屋に隠したのだ。この財産をもってこの城を後の人々の役に立てることを期待しているよ』
 
会長「そうだったのかね、あのエーリッヒ卿が」
ご先祖さまの隠し財宝を前にみんな感慨を込めて見入っていたが、
ロッテ「これだけの財宝を、ご先祖様、ありがとうございます」
サミュエル「すごい、金貨一枚を取っても、どれも価値あるお宝だ」
ハンス「でもこれだけのお宝だったら、僕らにはもったいないよ」
クララ「そういえば、お城の手入れのための予算もこれで賄えるんじゃないかしら」
ロッテ「そうね、今後の税金もこれで十分にまかなえるし、あとお城を観光地にする予算もね」
会長「これだったら大いに協力させてもらうよ。そうだ、それについてはわたしからも考えがあるのだが」
ロッテ「はい、それはどんなものでしょうか」
会長の提案にロッテもひとまず乗ることになったが。
ともかくも、かつてのゆうれい城は今生まれ変わろうとするのだった。
 
エピローグ:クララと妖精城
ところ変わって日本の野比家、ドラえもんのもとに連絡が入りポケットか友だちテレカードを取り出す。
ドラえもん「もしもし、ぼくドラえもん。君はだれ」
ドラリッヒ「もしもしドラえもん先輩ですか。僕はドイツのドラリッヒです。実はお世話になっているマンハイムで、以前先輩が訪れたミュンヒハウゼン城がリフォームされたので、是非先輩たちにも見てほしいんです」
ドラえもん「うん、わかったよ。今からそちらに行きます」
そのやり取りに帰ってきたのび太くんはドラえもんが訪ねる。
のび太「あれドラえもん、誰と話してたの」
ドラえもん「うん、ドイツで働いてるドラリッヒから、あのゆうれい城がリフォームされたっていうから、これから行ってみようと思うんだ」
のび太「ゆうれい城って、あのロッテさんのお城、それだったら行かなきゃね」
というわけでドラえもんとのび太くんは、“どこでもドア”でドイツのミュンヒハウゼン城へと向かう。
訪れたドイツは昼中ということもあり、訪れたミュンヒハウゼン城も見た目どこか明るい感じがした。そのうちに一人のおじさんが近付いてきた。あのルードビッヒ会長だった。
会長「おお、君たちが日本のドラえもん君とノビタ君かね、ようこそ来てくれた。さあ、ロッテ君たちも待っているよ」
というわけで会長に連れられて、場内に入るのだった。
ロッテ「ああ、ドラえもんにのび太くん、ほんとお久しぶり。どう、生まれ変わった妖精城は」
場内ではどこか妖精のイメージの衣装のロッテが待ち構えていた。続いてドラリッヒがこれまでのいきさつを含めて妖精城の成り立ちを説明する。
ドラえもん「うん、あの会長さんがねえ」
ドラリッヒ「子供の頃に妖精に助けられたってことだから。あと僕たちも妖精に見られちゃってるようだからね」
のび太「だからみんな妖精の格好なのか」
ちなみにお城で働いているのは、ハンスたちのほか、先にウィルヘルムに誘われて警察に捕まるも、ただ付き合わされて釈放された後、心を入れ替えてお城の整備員として雇われた人もいたのだ。
ロッテ「さあ、お城の中も見ていってね。それじゃあクララ、二人を案内して」
クララ「はい、それじゃあゆっくりと楽しんでいってね」
のび太「何だかしずかちゃんみたいだな」
クララ「そうですね、そのしずかさんもまたご招待したいです」
というわけで、クララに案内されて妖精城の中に入るドラえもんたち。場内はかなりの意匠(中の飾りのデザイン)で造られていて、以前のおどろおどろさとは大違いであった。
しかし下に降りていくうちにのび太くんが足を踏みはずし、階段を転げ落ちてしまう。しかしたまたま下に居合わせたグスタフに受け止められる。
グスタフ「おう大丈夫か、でもハンスより丈夫だから安心したぜ」
のび太「うん、ありがとう、でもなんだかジャイアンみたいだな」
グスタフ「おう、そのジャイアン君にも会ってみたいぜ」
続いてハンスがのび太くんを起こそうとする。
ハンス「大丈夫、でも僕より強そうだからね、僕はまだまだだけど、よっぽどドラえもん君に鍛えられたかな」
のび太「最近ちょっと振り回されちゃってるけどなあ」
ドラえもん「そんなに鍛えられていないけどね」
のび太「もう、ドラえもんったら」
こうしてのび太くんたちは妖精城のひと時を過ごしたのだったそうな。

 

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ザ・ドラえもんズオリジナル・ドラリッヒ編:ハンスとゆうれい城(その3)

ハンスたちが危険なアスレチック大迷宮と化した場内をさまよい、ドラリッヒとドラッケンが対戦をしようとしている中、まず場内の壁に閉じ込められたロッテを会長が壁伝いにさまよっていた。
会長「ロッテ君、無事だったら返事してくれ。それに子供たち、これはきっと寂しくて怖い想いをしているに違いない」
 
ふと会長は40数年前、自分が幼い子供の頃を思い出す。
ドイツの黒い森にて家族でピクニックに行ったとき、自分が森に迷い途方に暮れていた。
そんな時どこからか自分を呼びかける声が聞こえた。
「おやどうしたの、こんなところで泣いていて」
子供「道に迷っちゃって、もう動けないよお」
「大丈夫だよ、ここからまっすぐ進めば森に出られるよ」
子供「う、うん・・・・・」
子供も残った力を振り絞って前を進まんとする。しばらくして母親が自分を呼ぶ声がした」
母親「・・・ビッヒ、ルードビッヒ」
子供「・・・ママ!」
子供もその声のする方に駆け付け、そこには母親が待ち構えていた。
母親「ああ、ルードビッヒ、無事でよかった。あれだけ奥に入っちゃいけないって言ったでしょう」
ということで、ルードビッヒ坊やは無事母親の元に戻ることができ、会長の回想から晴れる。
 
会長「あの時もおそらく妖精の導きで家族のもとに戻ることができた。あの妖精のように、わたしが子供たちを助けるのだ」
と、足取りは遅いながらも会長は場内を進む。
一方ハンスは迷っているうちにどこからか声がする方に気が付く。
ハンス「あれ、あっちにクララがいる」
すかさずハンスも駆け付ける。そこにはクララが床を跳ねつつ廊下を進んでいたのだ。
ハンス「ああっ、クララ、大丈夫」
クララ「だ、誰かとめてえ」
そのうち思わずクララを抱きとめるハンス。
クララ「え、大丈夫、ハンス」
ハンス「う、うん、大丈夫。でもこれってどういうこと」
クララ「どうしたもないわよ。これってどうも変よ、いつものお城の中じゃないもの」
ハンス「そうだね、こんなふしぎなことが起きてるなんて。でもドラリッヒがこんなことするなんて思えないし」
クララ「ともかく先を急いで、ってちょっと足が動かない」
先のトランポリンの廊下での疲れか、床に座り込んで動けなくなったクララをハンスが支え出す。
ハンス「心配ないよ、僕が付いているから」
クララ「それは一番心配なのよ。ハンスだって体いい方じゃないでしょ」
少し文句を言いながらもハンスとクララは先を進んでいく。
変わってグスタフたちも、
カール「何だよこれ、階段が速くなっていく」
グスタフ「ぐずぐずしてると下におっこっちゃうぞ」
しかしそのうちに途中の扉から、サミュエルが出てきて、はずみで3人とも階段を転げ落ち、下の踊り場の壁にぶつかり、はずみで回転する壁に閉じ込められる。
一方でドラリッヒとドラッケンの対戦も次第に熱を帯びていく。しかし傍らの“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”は何やらカチカチと音を上げていく。
戻って会長、おそるおそる階段を下りるが、やがて吊るされた大きな革袋が襲いかかり、会長もそれをよけんとするのだが、そのうち足を踏み外したか、階段を転げ落ちてしまう。
 
そして再びドラリッヒたち。やがてドラッケンのビリビリサーベルがドラリッヒの電光丸をはじき落とす。
ドラッケン「ふふ、もう後がないぞ」
ドラリッヒ「くっ、こんなはずじゃ」
しかしそのうちに上から何かの物音がして、それが大きくなり、サーベルを構えてドラリッヒに迫るドラッケンに、何やら球体の物体がぶつかった。それは先に階段から転げ落ちた会長だった。
ドラリッヒ「えっ、会長、どうして」
会長「あいたたた、何のこれしき。しかしクッションになった者がいたが、君、大丈夫かね」
と、下敷きになったドラッケンを気遣う会長。その直後、空間から時空の穴が開き、そこからドラミちゃんが出てきた。
ドラリッヒ「あれ、ドラミさん、どうして」
ドラミ「虫の知らせがして来てみたの。やっぱり大変なことになってたわね」
会長「うむ、君も妖精さんかね」
ドラミ「えっ、私は未来の世界のロボットです」
会長「おお、ロボットの妖精さんかね。ところで何の用で来たのかね」
ドラミ「はい、今回の事態を収めるために来ました。まず“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”ね」
と、ドラミちゃんは傍らの道具ふたつを調べる。
ドラミ「よかった、タイマー機能が働いててもうすぐこのお城も元通りね。あとこのドラッケンね」
と、伸びているドラッケンを“ピーヒョロロープ”でしばり上げる。
ドラミ「これで未来の世界に戻して、と」
会長「君、そのドラッケン君を、どこかの施設に送るのかね」
ドラミ「はい、ロボットの学校で勉強をさせ直します」
会長「ああ、そうだったのか」
と、ひとまず会長も安心する。
ドラミ「ともあれご迷惑をおかけしました。それでは私はこれで。あとドラリッヒ、後のことはお願いね」
ドラリッヒ「あ、はい」
こうしてドラッケンを引き連れてドラミちゃんは未来へと戻っていくのだった。
ドラミ「あとドラッケンの裏で糸を引いていた人がいたわね。ちょっとお節介だけど」
 
街の郊外では、あのウィルヘルムが不良仲間を引き連れて城に乗り込まんとしていた。
ウィル「くそっ、ドラッケンめ、連絡をよこさないとはどういうことだ、こうなったらおれたちが直接乗り込まなきゃ」
その時、ドイツ警察のパトカーとともに、数人の警官が現れた。
「警察の者だ、何やらよからぬことを企んでいる連中がいると聞いたが、一体どういうことだ」
ウィル「え、僕たちが何をしたっていうんですか」
「詳しいことは署で聞く、おとなしくしろ」
と、ウィルたち不良グループは警察に連行されるのだった。
「しかし、何やらの通報で駆け付けたが、なるほど、あれは以前脱税で捕まったヨーゼフの息子だったな。いずれにしても以前より街じゅうで悪さをしている連中だから、当面はじっくりしぼることにしよう」
というわけでウィルたちもドラミちゃんの通報でかたが付いたのだった。

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新・のび太は悪い子?:行動と理念<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回『のび太は悪い子』の第2弾を遅ればせながらお送りいたします。
なお先の記事も改めて紹介いたします。
新・のび太は悪い子?:概要
かつて藤子・F・不二雄先生は「のび太のいい所は反省するところ」だといっていたが、これは逆に言えば「のび太は反省するしか能がない」とも読めてしまう。ほかにもいい所があるだろうけれど、それらも結局は欠点に決めつけ、もとい見なしてしまうのではないのか。
はたしてのび太くんは本当に悪い子といえるのか、まず結論からのべるに、一概にはそうはいえないといったところ。はたして何をもって“悪い”と言えるのかをこの場を借りて確かめながら述べることにしたい。
まず、勉強をしない(できない)からというのは、出版した小学館の理念上からも勉強は大切という事情からひとまずイマシメの要素でこう描いているのが実情だろう。
とはいえ昔の高度成長期の残滓からきた事項の高学歴:高い地位や収入という法則も崩れて久しく、かといって少しゆとり教育の弊害も昨今あるので、その点の人間性の教育も今は必要かもしれないけれど。
次に道徳的視点から、たとえば道ばたにかんだガムのカスを吐き捨てたり(台風発生機)キャンプで空きカンを捨てたり(万能テントですてきなキャンプ)と、まあある程度のマナー違反、まあ確かにやってしまって「しまった」というほどだからまだいいが。これもまたマンガにおける“ズッコケ”と実生活における“しつけ”が絡んでいることだろう。
あと一般生活において、そういえばのび太くんは本来いたずら好きな子とはじめ設定された覚えがあるけれど、たしかに秘密道具の便利さに羽目を外して最後にはひどい目に遭うオチがパターンになったのも、お話の幅を広げる際の弊害ともいえる。
これらの事情を突き詰めれば、先に述べた小学館の理念と合わせての藤子F先生のお節介の虫からきた読者の子供たちに対するメッセージということになるだろう。
繰り返しながらもともとドラえもんはポケットから出す不思議な秘密道具で子供たちにユメを伝えるのが趣旨だったが、それが先の事情から次第に教訓やイマシメ的要素が前に出がちになってしまった。
たしかに子供にはしつけが必要なのは分かるが、その意味でものび太くんが悪い子に描かれがちになり、しょっちゅう叱られ役に貶められるのも、大半の読者としては不本意なものだろう。それでも一番本意ではなかったのは本来はのび太くんを分身として世に送り出した藤子F先生だろう。
いかにご自分から読者の子供たちに委ねたとはいえ、ご自分をある意味傷め続けたことには変わりはなかったのだから。

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ザ・ドラえもんスオリジナル・ドラリッヒ編:ハンスとゆうれい城(その2)

その日はバーテン州の観光協会の会長が訪れ、この城についての調査を行い、その評価で城の運営も決まるといってもいい。それだけにロッテはもちろん、ハンスたちも緊張を隠せない。
「やあ、諸君、おはよう」
やけに愛想のいい中年の紳士たる会長さんがロッテたちに挨拶をする。対してロッテたちもやや緊張して返す。
「お、おはようございます」
会長「今回はこのミュンヒハウゼン城について少しばかり調べることとなったが。君たちはいつも通りお仕事に励んでくれたまえ。特に子供たちは、おお、君はネコの妖精さんかね」
会長は目を輝かつつドラリッヒに駆け寄り、ドラリッヒも多少困ったように応えた。
ドラリッヒ「え、ええと、そんなところです」
会長「ともかく安全面に関しては指導することもあるけれど、ここが観光地としてふさわしい場所と認められるためにわたしも協力を惜しまないつもりだ。だから大船に乗る気持ちでいたまえ」
ロッテ「はい、お願いします」
というわけでロッテの案内で会長が城に入り、ハンスたちも城のそれぞれの場所につかんとする。
それを見計らい入り口近くでかのドラッケンも城内に忍び込む。
ドラッケン「さあて、みんな城に入ったことだし、そろそろ作戦を始めるか」
とヘルメットの中から“ホームメイロ”と“アスレチックマシン”を出してそれぞれのスイッチを作動させる。
ドラッケン「これでみんな城に閉じ込めた。これでロッテをさらって坊ちゃんのものとにつきだして。ひとまずは高みの見物だな」
と、あらかじめロッテたちの体に付けさせた“極小型トレーサーバッジ”でみんなの居所を探り出し、動向を調べるのだった。
 
さて当のハンスたちはどうなったか。
ハンス「あれ、もうすぐ肖像の間だけど、また道に迷ったのかなあ」
ロッテのご先祖様のエーリッヒの肖像画が飾られている部屋に向かおうとするハンス、早速迷宮と化した場内に迷いだした。
変わってグスタフとカールも。
グスタフ「おい、武器の間ってこんなに遠かったのか」
カール「それ僕に言われてもって、この階段、なんだか下がってるんじゃない」
グスタフ「おい、ほんとだ、このままじゃ下に落っこっちゃうぞ」
カール「い、急ごうよ」
というわけでアスレチックマシンの影響で下りのエスカレーターと化した石階段を必死で駆け寄る二人だった。
また一方でサミュエルも、
サミュエル「なにこれ、扉だけの部屋なんて聞いてないよ、まさかドラリッヒが、でもそんないたずらをするなんて信じられない。ああ、一刻も早くここを出なきゃ」
さらにはクララも、
クララ「なにこれ、石の床なのにまるでトランポリンみたいに弾んでいる」
そしてドラリッヒも。
ドラリッヒ「変だなあ、いつもの城なんだけど、こうまで迷うなんて。まさかどこの誰かがひみつ道具の力を借りて。こうしちゃいられない“テレパシーカード”」
説明しよう、このカードは未来の世界においてドラえもんと同じくつくられたネコ型ロボットたちがお互い連絡をするために配られたカード型通信機である。その一つ、ドラリッヒもこの地で活躍するために、ドラえもんの妹ドラミちゃんから渡されたのだ。
ドラリッヒ「これでドラミさんに連絡がつくと思うけど、さしあたり僕も調べてみようって、何だ」
なんと後ろから巨大な球が転がってきた。
ドラリッヒ「え、なにこれ、どうして大きな球が転がってくるんだ」
すかさずドラリッヒは上り会談に逃げ込む、しかし球も階段を上って転がっていくではないか。
ドラリッヒ「どうして球も転がっていくんだ。これはまさか誰かが悪さしてるんだな。そうだ、タケコブターで空を飛べば」
こうしてドラリッヒはタケコブターで球を回避する。しばらくしてらせん階段の間にさしかかり上にのぼろうとするも、突然カミナリが落ちてきた。
ドラリッヒ「こ、こんなのって聞いてないよ」
空を飛んだのがズルと見なされてのペナルティか、単なるトラップなのか、そのカミナリに打ち落とされ、ドラリッヒは地下に落ちていく。
そんなみんながドラッケンが仕組んだ城のトラップに手間取りながらも、肝心のロッテは会長と一緒に場内を迷っていた。
会長「うむ、こうも入り組んでいるとは、まだ広間につかないのかね」
ロッテ「ヘンだなあ、こんなに複雑な造りにはなっていないはずなんだけど」
会長「まあまあ、こういう時こそ落ち着いて対処するべきだ」
ロッテ「は、はい、申し訳ありません」
会長に気遣われるままにロッテも落ち着きを取り戻す。しかし一息をつけようと壁に手を当てるや、突然壁が回り出し、吸い込まれるようにロッテが閉じ込められていく。
会長「ややっ、ロッテ君、これはいったい、ううむ、これは一大事。ロッテ君や子供たちに何かがあれば、ここはわたしがなんとかするしかない」
というわけで会長もロッテたちを探すべく、引き続き城をくまなく探し出すのだが。
 
ドラッケン「やりましたよ、坊ちゃん、ついにロッテを捕まえました」
ウィルヘルム「おお、でかしたぞ、早速僕も行くから待っていろ」
ロッテを閉じ込めたことを報せたドラッケン、あとはウィルヘルムが来るのを待つのみだったが。
しかし突然、ドラッケンの目の前にドラリッヒが落ちてきた。
ドラッケン「なに、お前は、ドラリッヒ。まさかこのここからすぐ上から落ちて来るなんて」
ドラリッヒ「うー、してやられたって、まさかきみはドラッケン。こんなところで何をしてるんだ」
ドラッケン「お前の知ったことじゃない。坊ちゃ、いやおれさまの目的のためお前にもじっとしてもらうぞ」
ドラリッヒ「何を、君の思う通りにはさせないぞ」
といったところでドラリッヒとドラッケン。二人の対決も今まさに始まろうとしていた。
ハンス「いつも回っているから大丈夫と思ったけど、まさかこんな時に迷子になるなんて、いったいどうすればいいんだろう、ドラリッヒぃー!」
というわけでハンスたちもいまだに迷宮と化した場内をさまよい続けていたのだった。

 

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新・のび太は悪い子?:概要<本当は怖いドラえもん>

さてみなさん、今回の記事は先の『のび太は悪い子?』を今少し読める記事を目指して再構成したものです。
ひとまずの再構成について編集に手間取り、その結果掲載が大幅に遅れてしまいましたことをまずはお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません。
さて気を取り直して本編をば。
 
先に述べた『役回りの本末転倒』やら『のび太の堕落論』やらで、お話の後半あたりで何かとトラブルメーカーに陥って結局ひどい目にあうシチュエーションが中後期辺りでしばしば見受けられる。
これはつまり全体的に見て“ズッコケの要素”の一つと見てもいいだろうけれど。やはり一つの傾向として、のび太くんがいわゆる“悪い子”に陥ってしまってるのではないかと見えてしまう。どうしてこうなったのかを考えるに当たり、これもまた「小学館の事情」特に当時周りの大人たちの思惑あってこういったお話がしばしばとなってしまった。あと当の藤子F先生はどうだったかといえば、まずは当の本人でさえ答えが浮かばないというのが一般的で、言い換えればやはり純粋に漫画を描くことで周りが見えなかったのが実情でもある。それがオチとして悪い子のび太を懲らしめる、というかやっつける、行ってしまえばいじめの一環としてと会えても差し支えない事態に一時期なってしまったのだ。さてこういう「悪い子」に先立つ、ジャイアン以外の敵役、いわゆる「悪い奴」について、まずはジャイアンですらかなわない隣町のガキ大将やら、実際の犯罪者やら、果ては未来から来た本当の悪人(未来世界の怪人)などがあり、それらが町を騒がせてはドラえもんたちがなんとか退けんと悪戦苦闘するお話が連載の初中期にはしばしば見受けられた。ちなみにこのシチュエーションは大長編並びに映画のお話にも初代の『恐竜』のドルマン一味やら、『小宇宙戦争』のギルモア軍やらで描かれたりもしたのだが。しかしこれらもご多分に漏れず、80年代の全般から言うなればお話の安易化において、先述の悪人やらガキ大将やらの敵役の要素が次第にのび太くんに負わせちゃったという感さえある。ついでにジャイアン等の役回りも背負わせちゃって、これこそ役回りがあべこべになったともいえるだろう。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラリッヒ編・ハンスとゆうれい城(その1)

さてみなさん、今回のザ・ドラえもんズオリジナルは、これまた編者のオリジナルのドラリッヒ編を送りいたします。
今回の舞台はドイツ。かつてのドラえもん本編のエピソード『ゆうれい城へ引っ越し』の巻から派生した作品で、そこのゲストキャラのロッテを含め、主人公のハンスとドラリッヒ、そして仲間たちが城をめぐっての騒動に立ち向かうといったストーリーをお送りする運びです。はたしてどのような展開が待ち受けるか乞うご期待、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
今回のお話に登場するキャラクターをひとまず紹介したいと思います
ドラリッヒ:未来の世界のネコ型ロボットの一人。少し牧歌的な性格で。それでいて正義感も強い。ここでは登場しないが、かつての預かり主たる少女からご先祖様を助けてほしいと、ドラミちゃんの紹介込みで現代に派遣された。
ハンス(のび太):マンハイム郊外に住む子供で、生まれつき体が弱いと思われがちだったが、ロッテいわく「ちゃんと体を鍛えれば人並みによくなる」とのことで、その身体づくりの一環としてひとまずは城のアルバイトをこなしている。
クララ(しずか):ロッテの遠縁の娘で、何かと面倒見がよくみんなをサポートしていく。実はかつてのドラリッヒの預り主の少女の先祖でもある。
カール(スネ夫):マンハイム在住の裕福な家の息子で、おカネにうるさいが根は真面目である。
グスタフ(ジャイアン):近所のガキ大将的な子供で、体力に劣るハンスをしばしばからかっているがいざとなると頼りになる。
サミュエル(出木杉):マンハイムの会計士の息子で意外と物知り。彼の父親はロッテの財産を管理している。
ロッテ:ミュンヒハウゼン城の現在の城主で、今や観光地となっている城の責任者でもある。城の経営と同じく子供たちの面倒を見ている。
 
ドラッケン:ドラリッヒと同じく現代にやってきたネコ型ロボット。何やらのたくらみを企てているのだが。
 
以上のキャラクターが物語を彩っていくといきます。それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
マンハイム郊外のミュンヒハウゼン城
その城を相続したシャルロッテことロッテは、ここ最近家の財政難で城を明け渡さざるを得なかったところ、とある騒動の後に城にかかる税金を納めることができ、しかる後に城を観光地として改修して市民に開放し、そこの入場料等で財政を賄っていた。
そんなミュンヒハウゼン城では観光案内のアルバイトにいそしむ子供たちがいた。
まずは女の子のクララが観光客に城のガイドを受け持ち、他の子ども、カールとグスタフ、そしてハンスがパンフレットを配る。
カール「ふう、これで半分だな」
グスタフ「もう少しで昼だから、それまでがんばっていこうぜ」
そこにもう一人の子供、サミュエルが近付いてきた。
サミュエル「みんなご苦労さま、もう少しでお昼だからがんばって。あとこれは追加のパンフレットだよ」
と、パンフレットの束をハンスたちに配る。
カール「おっ、またお客さんだ」
ハンス「ああ、早く渡さなきゃ」
サミュエル「あっ、ちょっと待ってハンス」
サミュエルが呼び止めるが早いか、ハンスは床のちょっと出っ張ったところにつまづいて転んでしまう。
ハンス「いたた、もうちょっとたいらな床にすればいいのに」
「おい君、大丈夫か」と観光客がハンスに呼び掛ける。
ロッテ「ああ、申し訳ございません。ハンス、こっちはいいから向こうで休んでいなさい」
と、駆け付けたロッテがハンスをさがらせる。観光客との軽い談笑の後に、
ロッテ「みんなちょっと早いけど、そろそろお昼にしましょう」
「はーい」
と、みんながひかえ室へと足を運ぼうとする途中。ロッテがハンスを呼び止める。
ロッテ「ところでハンス、あの子はどうしたの」
ハンス「そういえばドラリッヒのこと、まだホットドックを売ってるんじゃない」
ロッテ「そうねえ、きりが付いてからでいいから呼んできて」
ハンス「うん、分かったよ」
ロッテ「あまり急いじゃダメよ」
こうしてハンスが外でフランクフルト風ホットドックを売っている水色の雪ダルマみたいな生物。つまり未来の世界からここドイツにやってきたネコ型ロボットのドラリッヒに一休みしようと呼び掛ける。
ドラリッヒ「あれハンス、もうお昼」
ハンス「ロッテさんが呼んできてといったからね」
ドラリッヒ「うん、もう少しでキリが付くから、ちょっと待っていて」
と、最後のお客にホットドックを売ってから、城へと戻っていく。
しかしそのさまを陰から見やっている人影がいた。それはドラリッヒと同じく灰色のネコ型ロボットだったのだ。
 
さておきお昼休みを過ごすハンスたち。そこでロッテを交え談笑に興じることになる。
ロッテ「でもあれからハンスのもとにドラリッヒが来たのも驚きだったけど。日本のドラえもんのこともあるけどこれも何かの縁ね」
ドラリッヒ「うん、詳しいことはいえないけど、僕もハンスの役に立とうとし現代にやってきたんだ」
グスタフ「でもそんな役に立ってなさそうだからな、でもハンスも少し動けるようになったけど」
カール「そうそう、前はいっつも本ばっかり読んでたからな」
少しふくれっ面のハンスをよそに、サミュエルが話題を切り替える。
サミュエル「でもロッテさん、今期の予算はいいけれどこれからどうするんですか」
ロッテ「そうねえ、もうちょっと手を加えてみたいけれど。ご先祖様の遺産ももう底をつきそうだし、お父様の言うとおりあまり無駄遣いもできないわね」
ハンス「それでもお小遣い程度ならなんとかできるかな。いざとなればドラリッヒもいることだし」
ドラリッヒ「僕もお金儲けのために来たんじゃないけど。ロッテさんを助ける程度ならね。あまりやりすぎると未来の世界もうるさいし」
ロッテ「ともかくみんながいてくれたから私も助かっているわよ」
とまあ話が盛り上がっているうちに、ハンスが何やらに気が付いたそぶりを見せる。
クララ「うん、どうしたのハンス」
ハンス「何か見られている気がしたけど気のせいかな。もしあれだったらまた大変なことになるけれど」
ちなみにドラリッヒの苦手なのはハエやカみたいな飛ぶ小さい虫なのだ。実際ハンスの家でカが一匹入っただけでドラリッヒが殺虫剤を片手で家中大暴れしたことがあったからだ。
それがあってかロッテを除く一同がドラリッヒを軽くにらみつける。
ロッテ「大丈夫よ、さっき虫よけの薬をまいたから。それより午後もまたお客さんが来るから、またお願いね」
「はーい」と一同は仕事に戻るのだった。
 
そんな時、城の外では件の灰色のネコ型ロボットが鉄カブトのスイッチを調整して何やらの連絡を取っていた。
「それでどうだいドラッケン。あいつらの様子は」
そのドラッケンと連絡を取っていたのは、若い青年の声だった。
ドラッケン「さしあたって子供たちをバイトに雇ってうまくいってるみたいです」
「そんなことを聞いてるんじゃない。ロッテをどうやって一人にするのかだ」
ドラッケン「今はちょっと無理みたいですよウィルぼっちゃん。夜は城の宿舎で寝泊まりするというから、そこが狙い時かもしれないです」
ウィルヘルム「頼むぞドラッケン、お前だけが頼りだ。親父の仇を取る絶好のチャンスだからな」
と、ウィルという青年の通信が一旦切られる。そんなドラッケンもめんどくさそうに鉄カブトのスイッチを再び調整してロッテたちの動向をさぐる。やがて周りにヤブカがまとわりつくが、スイッチでバリヤーを発生させてそれを防ぐのだった。
 
さてこの場を借りてドラッケンと彼の雇い主のウィルヘルムについて説明しよう。
ドラッケンはドラリッヒと同じくロボットスクールのライバル関係で、これまた没落した家の復興を託されて現代に向かわされた。そして家のご先祖のウィルヘルム。実はロッテの叔父ヨーゼフの息子で、ロッテの誘拐未遂と脱税の容疑でヨーゼフが逮捕され。それを恨んでひそかにロッテをつけ狙っていたのだ。
はたしてこの先どうなるかはまた次回のお話にゆずりたいと思うけれど。

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世の中いじめっ子だらけ:剛田・クリスチーネ・ジャイ子(仮名)の場合・改訂<本当は怖いドラえもん>

今回は先の記事の改訂版ということで、まず参照に先の記事を紹介することで、
その今回、ジャイアンの妹のジャイ子について挙げたい。
はじめに述べるにドラえもんがのび太くんを助ける前までは彼の嫁さんになる運命だった。それは本来ののび太くんの不運のひとつであることはまず言うまでもない。何せのび太くん自身その結婚は本意ではなく、背景にはやはりジャイアンが絡んでいるのは容易に理解できる(『ジャイ子の恋人=のび太』から)。それがドラえもんの活躍によって当初の不運は回避できたのだ。
次にジャイ子の性格については、はじめのうちはジャイアンに準じて少し粗暴な性格で、子供っぽいイタズラで多少なりとドラえもんたちを困らせることもしばしばあった。
それが連載中期辺り、いうなれば先の歴史改編が成された後のジャイ子はどうなったのかといえば、何と漫画を描くという趣味ができ、それに準じて性格も繊細になってきたのだ。そのマンガの腕前について、基本は兄のジャイアンと同じく下手の横好きといえるが、見た目の画力についてはまだ子供のことなので微妙なところだが、はた目から見てちょっと見れるかなというのが正直なところ(これは作画を担当したたがや健二氏によるものだけど)。
しかしながら描いているうちに自分の下手さを自覚したりとジャイアンとはちがい謙虚なところもあるので見込みはあるかもしれない。
そういえばジャイ子の本名を明かさなかったのは、その名前の子が学校でいじめられるのを防ぐための配慮だというが、結局は苦し紛れの言い訳にすぎないかも。もしもそれならばキテレツ大百科のブタゴリラ:薫、さらに言ってしまえばジャイアン:タケシの場合はどうか、ついでに小太りの女の子もジャイ子だと言っていじめられることだってあるだろう。その意味でも、当時仕事上の都合で返答に窮してある意味適当な答えを出すも「まあ藤子F先生のことだから」ということで妙に納得して受け入れられたのかもしれない。
まあそんなこんなでジャイ子もひとまずは出木杉くんほどではないが十分に脇を固めたキャラの一人であることも最後述べておきたい。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ノビーニョとふしぎカーニバル(その2)

今日は待ちに待ったカーニバルの日、
この日のためにドラリーニョやノビーニョたちはパウロやロベルト、エンリケを呼んで衣装やら出し物やらをみんなで話し合ってから、時折ノビーニョのママがデザインのアドバイスをしながら製作に取り掛かり今日を迎えたのである。
カーニバルに臨むノビーニョたちに、別の子供たちの一団が近付いてきた。隣町のペドロとドミニクらの一団だった。
プリシラ「あらドミニク、いらっしゃい」
ドミニク「どうやらそちらもちゃんとした出し物ができたようね」
ドミニクはプリシラと同じくモデルのバイトをしていて、時折張り合ったりもするが基本的には仲がいい。ところがペドロたちとノビーニョたちとは何かと張り合ったりもする。
ペドロ「こっちの出し物が何か知らないけど、今年も優勝はいただくぜ」
ロベルト「なんだと、おれたちも負けないぞ」
パウロ「そうだそうだ」
ひとまずの盛り上がりからカーニバルが始まり、まずは街のミスコンテストが催され、一番きれいな女の子を選ぶのだ。
その中でプリシラとドミニクが衣装と踊りでどちらがきれいかを競うことになる。
まずドミニクが衣装と踊りを披露する。すらりと背の高いスタイルと大人っぽく派手な衣装、そして活発な踊りで見ていた観客を盛り上げた。
対してプリシラはちょっと子供っぽい衣装ながら、この前見たクラシックバレエを基本とした踊りで観客の心に訴えるものがあった。
そして審査が行われる。
「まずドミニクの衣装と踊りは我々の心を熱くするものがあったな」
「プリシラはたしかに子供っぽい所もあるが、ヨーロッパのバレエを取り込んだ踊りはかなりものだ。そうだな。白鳥が太陽のもとで羽ばたいていくようだったよ」
結果わずかの差でプリシラが優勝を飾った。喜ぶプリシラにドミニクもこの場は祝いの言葉を述べる。
ドミニク「今回は負けちゃったわね。やっぱり白鳥のバレエは素敵だったわよ」
プリシラ「うん、ありがとう。そういうドミニクだってきれいだったわよ」
と、お互いの健闘をたたえ合う二人だった。しかしノビーニョたちとペドロはますます熱くなっていた。
ペドロ「今回はプリシラに譲るけど、出し物なら負けないぞ」
ノビーニョ「何を、僕たちだって負けていられないよ」
エンリケ「できるだけいい造りを目指したから、あとは審査員さんたちの評価を待つだけだね」
ということで今大会のメインイベントである出し物の部が取り行われようとした。
ペドロのチームはタカ、ノビーニョのチームはクジラと、それぞれが勇壮な作りとなっている。
やはり審査員の評価も半々に割れていた。
「こちらも2チームの出し物が甲乙つけがたいな」
「ここはどうかな、それぞれ競争させて優勝を争うというのは」
というわけで上位の2チームでレースを競うことになる。ルールはごく簡単、スタートから1キロを進むといったものである。
「それでは位置について、よーい、ドン!」
こうしてレースは開始された。出し物を運ぶのはドラリーニョたちで、てっぺんで音頭を取るのがノビーニョだった。実は前もって水加工ふりかけを用意していて、状況に応じて使うのだ。
前半は2チームはほぼ互角に進められ、時折激しくぶつかり合いしのぎを削っていく。
そして後半、半ば下り坂のコースに差し掛かり、2台とも激しいデッドヒートを繰り広げていく。
そして両者同時に並んでゴールに差し掛かろうとした時、思わずノビーニョがバランスを崩して倒れこみ、そのはずみで水戻しのふりかけをこぼしてしまった。
はたしてクジラの出し物は水に戻り、ノビーニョたちが投げ出されてしまい、ノビーニョはドラリーニョを下敷きにして地面に落ちてしまった。
ノビーニョ「ごめんみんな、出し物が水に戻っちゃった」
ロベルト「いたた、大丈夫かノビーニョ」
エンリケ「でも出し物が水で作ったと分かったから、審査員さんたちが議論を始めたようだよ」
パウロ「それじゃあ、僕ら失格なのかな」
プリシラ「そんな、今までがんばって作ったのに」
ちなみにプリシラはとっさに飛び出したドミニクに助け出されたのだ。
さておき審査員の議論の結果が出て、市長が報告する。
市長「ゴールでの写真撮影の結果、クジラの出し物がわずかに先に出ていたことが確認された。その直後出し物が消えたことについてのあと問い合わせについて、別に水で作ってはいけないというルールは設けていないのでこれも有効として、今回はノビーニョとドラリーニョのチームの優勝とする」
優勝を告げられ喜びに沸き立つノビーニョたち。これにはペドロも認めるしかなかった。
ペドロ「やるじゃないかノビーニョ、こればかりは一杯食わされたよ」
ノビーニョ「うん、僕たちもがんばったけど。ペドロも一生懸命に頑張ったよね」
ペドロ「ああ、次は負けないぜ」
その後、出し物を解体して夜のたき火パーティーで盛り上がり、今年のカーニバルは無事終了した。
ドラリーニョ「最後ズッコケちゃったけど、みんな喜んでくれたね」
ノビーニョ「いつも失敗しちゃうけど、たまにはこういうものもいいよね」
といったところでその日も楽しく過ごせたそうな。

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人体改造の悲劇<本当は怖いドラえもん>

ドラえもんの道具の中で人の体、つまり人体やその一部を取り換えたり造り変える、いわゆる人体改造の意義とその弊害を述べることにしたい。
 
『消しゴムでのっぺらぼう』
ある日絵のうまい子の絵を見て、自分もあのような顔のなればと言い出し、ドラえもんが“取り消しゴム”と“目鼻ペン”を使って顔を描き直すこととなり、聞きつけたジャイアンたちを交えてみんなでその子のもとに赴くも、その子は手をケガして描くことができなかったそうな。
 
『人体とりかえ機』
ある日のび太くんとしずかちゃんの体を取り換えてしばらく楽しんでいったが、聞きつけたジャイアンたちがしずかちゃんの体のパーツ目当てで無理やりとりかえてしまい、後に話がこんがらがってしまってどうにもならなくなったそうな。
 
『からだねん土』
ある日自分の体のヨワさを気になってたまたまドラえもんが使った“からだねん土”でいい体になって自慢し、みんなにも粘土を使って体を作っていったのだが、後に粘土が脱げなくなってみんな困ってしまったそうな。
 
これらの道具はある程度の人体改造ができる道具といっていい代物で、いずれもオチとしてはある程度体をいじられてしまい、いざ戻ろうとするにも戻りようがなくなってしまうというものだった。それらはひとまずのスッコケオチととらえていいけれど。ジャンルが人体改造なだけにとらえようによってはいわゆる悲劇の結末にもつながることも挙げておきたい。
編者個人としても、人体改造というのは主にサイボーグやら細胞変換やらの体の機能そのものを改造するもので、それらは通常一度改造したら元に戻れず、それを引きずって生きていく、あるいは自身も滅んでいくというが定番のストーリーとなっている。
たしかにドラえもんとしても改造されたっきりお話がしめられたものの、次回にはちゃんと元通りとなっているから大丈夫ということだろうけれど。こと人体改造というのは先述の事情を踏まえてのシチュエーションだってありうるということもひとまずは述べておきたい。

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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラリーニョ編・ノビーニョとふしぎカーニバル(その1)

さてみなさん、今回のドラえもんズは、ブラジルドラリーニョと仲間たちが年に一度のカーニバルに臨むお話をお送りいたします。
今回のお話に登場するキャラクターについては以下の通りです。
ノビーニョ(のび太):ドラリーニョがお世話になっている家の男の子、やはり少し頼りない雰囲気だが隠れた努力家でもある。母親がデザイナーのお仕事をしている。
プリシラ(しずか):ノビーニョの近所に住んでいる女の子。シャワーと食べるのが好きだが、時々はモデルのアルバイトをしているほどスタイルに気を使っている。
パウロ(スネ夫):近所の農園の地主の息子でなにかと自慢話をするのが好きだが、結構しっかり者。
ロベルト(ジャイアン):近所のガキ大将的存在、お祭り好きな性格でみんなを引っ張ったり引きずったりする。
エンリケ(出木杉):役所の職員の息子で物知り。時々プリシラと付き合っているのでノビーニョも面白くないがやはり友だちなだけにいろいろ教えられているので、やはり付き合いもいい。
このような面々ではたしてどのような活躍を見せてくれるか、というわけで、それでは、ごゆっくり。
 
その日もノビーニョ相手にサッカーの練習に余念がないドラリーニョ。パスの練習のつもりが時折ボールの追っかけっことなって良くて悪戦苦闘の感も禁じ得ない。
そのうちにノビーニョのママが呼び掛ける。
ママ「二人ともおやつの時間よ。その前にシャワー浴びていらっしゃい」
「はーい」
とシャワーを浴びてから食卓に腰を下ろす。
食卓にすわったお更にはフルーツとフルーツどら焼き~日系人の知り合いから教わったパンケーキをもとにつくったもの~が盛り付けられていた。
ママ「ところで来週はいよいよカーニバルね。ところでノビーニョたちはどんな出し物をするの」
ノビーニョ「うん、まだまだ決まっていないけどね。今からプリシラたちと相談していくよ」
ママ「そうね、前から楽しみにしていたからね」
とまあ、おやつを頬張る二人とママの会話が弾み、いよいよ外に出ようとしていくとき」
ママ「ところでドラリーニョ、またおヒゲを束ねちゃって、エラそうな大人に見えてカッコ悪いわよ」
と、ドラリーニョのヒゲをブラシでとく。
こうしてプリシラの家に向かう中で、ドラリーニョも面倒くさそうに手でヒゲを手入れし直す。
ドラリーニョ「このヒゲの形も気に入っているけれどなあ」
ノビーニョ「仕方がないよ。ママもデザイナーのお仕事で調子がいいんだから」
そうこうと二人はプリシラの家に到着する。
二人「プリシラ、いる」
と、扉をノックして呼び掛ける。当のプリシラはその時シャワーを浴びていた。
プリシラ「あっ、ノビーニョね、ちょっと待ってて」
とシャワーをそこそこに部屋で待っていたノビーニョたちのもとに向かう。
プリシラ「今年のカーニバルは何を出そうかしらね。たしかに今から楽しみだけど」
ノビーニョ「・・・うん、プリシラはうれしそうじゃないみたいだね」
ノビーニョもプリシラの憂いを込めた表情が気になったみたいだった。
プリシラ「うん、お父さんの言葉から今年は不景気で出し物を造るおカネが出ないかもしれないって」
ノビーニョ「ええっ、それじゃあ今年のカーニバルは出来ないかもしれないの」
とノビーニョが失望をあらわにする。そこでプリシラは身を乗り出してドラリーニョに話をかける。
プリシラ「そこでドラリーニョに何かふしぎな力でどうにかできないの。出しものとか衣装とか」
ドラリーニョ「え、何がどうしたの」
ドラリーニョもプリシラが出したお菓子を食べていてプリシラの言葉を聞いていなかったきらいがあった。
ノビーニョ「ドラリーニョの道具で何かできないかって言ったんだよ」
ドラリーニョ「ああ、そうだったね。まず衣装はこれで大丈夫だよ」
と“きせかえカメラ”を出してプリシラに向けて映し出す。
ノビーニョ「わっ、なんだかきれいでかっこいい、ってこれはちょっと」
プリシラ「何よこれ、帽子とシッポはいいけど、これじゃあハダカとおんなじじゃない」
ドラリーニョ「あ、ごめん、これは大人用だった」
と、前もってセットした写真を取り出し、代わりの写真をセットし直す。今度は衣装そのものが落ち着いたスタイルになったが。
ノビーニョ「これならいいんじゃない」
プリシラ「うん、これも大胆すぎるかな。でもちょっとかわいいかも」
ドラリーニョ「よし、これで衣装の問題は大丈夫だね」
ノビーニョ「あと出し物についてどうしようか」
ドラリーニョ「あっそうだったね、それならこれでどう、“水加工ふりかけ”」
と、とあるふりかけの瓶を出してきた。
ドラリーニョ「これを近くの川にふりかけて」
川にふりかけをまき、そこから数個の水玉が浮かんできた。それを取り出して各々の形につくっていく。
ノビーニョ「こんな出し物なんかはどう。これより大きなものが欲しいんだけど」
ドラリーニョ「それなら、“水細工用ポンプ”」
水細工にポンプを付けてから空気を送ると、水細工はみるみる大きくなっていく。
プリシラ「すごい、これなら次のカーニバルでいい出し物になるわね」
ドラリーニョ「これよりももっと大きくて丈夫なものを作りたいよね」
と、“水戻しスプレー”を出して水細工に吹きかけて、水しぶきとともに消えていく。
ノビーニョ「それじゃあ、みんなを集めて次の出し物を決めていこう」
というわけで後日みんなで出し物の衣装と出し物を作ってから来るカーニバルに臨むのだった。

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