ドラえもん

オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その4)

皇帝「それでは、くれぐれも気を付けてくれたまえ」

皇帝らの見送りで、エルたちは一路旧アトランチス領へと向かうのだった。

その途上、珍しく考え事をしていたのび太くんに、ルウとリムが近づいてきた。

リム「どうしたの、のび太さん」

のび太「うん、これからアトランチスで鬼岩城のことを調べるというけれど、何やら妙な腹騒ぎ、いや胸騒ぎがするんだよね」

ルウ「ポセイドン亡き今だったら鬼岩城の脅威はないはずだけど」

リム「ともかくその鬼岩城が本当に復活するのか。もし復活するならそれを止めるのが当面の目的だからね」

のび太「うん、本当は戦いはイヤだけど、世界のためにやらなきゃならないのは僕もわかってるよ」

そこにエルが顔を出してきた。

エル「とにかく旧アトランチス領まで行けばすべてが分かるよ」

のび太「あれエルくん、操縦の方はどうしたの」

エル「船は自動操縦に切り替えているよ。目的地まで時間はあるからね、さあそれまで一休みしよう」

のび太「なんだか前よりのんびりとしているね」

ルウ「父さんを目指してがんばっていたからね。本当はちょっとのんきなところがあるんだ」

のび太「うーん、ちょっと大丈夫、かなあ」

ともあれ、潜水艇は一路旧鬼岩城へと向かう。しかしドラえもんが血相を変えて飛び出してきた。

ドラえもん「た、た、たいへんだ、今ムー連邦が何者かに襲われてるって」

エル「何だって、それはどういうことなんだ」

ドラえもん「うん、実はドラミって、僕の妹が、連絡してきたんだ」

ルウ「どうしよう、今は鬼岩城の跡地を調べなきゃいけないのに」

リム「本国にはロドたちが守っているし、いざとなればシルビイもいるから」

エル「でも、こっちの方が陽動、つまりひきつけるおとりってこともあるな。よし、鬼岩城のほうは後回しにして、今から目の前の危機に向かおう」

というわけで、エルたちは当初の作戦を変更し、一路ムー本国へと逆戻りと相成った。しかし急ぎ足で戻る潜水艇を追いかける船があった。

ミーナ「ちょっと、いきなり逆戻りなんて聞いていないわよ、待ちなさい!」

それはアトランチスのミーナの船だったのだ。

 

一方、ムー本国のレムリアでは先輩と一緒にロドがパトロールにあたっていた。

ロド「しかしエルの奴、今ごろ元気でやってるかな」

先輩「ほら、前がお留守だぞ。無駄口たたいていないで集中しろ」

たしなめてから先輩が続ける。

先輩「エルだったら大丈夫だろう。あいつもリムやルウがいるからな」

ロド「そうですねえ」

と、ロドがモニターに目を向ける。そこには、巨大な魚らしきもの、間違いなく鬼岩城のバトルフィッシュの大群だった。

ロド「なに、これはまさか、バトルフィッシュ!?

先輩「ばかな、鬼岩城はたしかに滅んだはずだ」

ロド「どどどうしましょう先輩」

先輩「どうもこうもない、ここは逃げるしかない」

と、巡視艇は逃げるように本部へと帰還する。その際本部にはバトルフィッシュ襲来の報せが届けられる。

本部では高官の一人が長官にことの次第を問いただす。

高官「鬼岩城は滅んだのではなかったのかね」

長官「それについてはエルたちに調べさせていましたが、まさかこのようなことになろうとは」

本部のモニターにはバトルフィッシュの群れが近づいてくるのが映し出される。

長官「ともかく、我々も全力で対処いたします。皆さまには市民の安全の確保を」

レムリア市内では市民が避難していた。その中でエルの母が誘導にあたっていた。

母「みんな落ち着いて、まだ間に合うからゆっくり避難するんだ」

さらには官邸内では大イカのシルビイが興奮して今にも暴れんとし、守衛の兵士が押さえ付けんとしていた。

「こらシルビイ、頼むから落ち着いてくれ」

これらの異変を察し、首相が司令部に駆け付けた。

長官「ああ、参られましたか、首相」

首相「うむ、まさかアトランチスの残党が、この機に乗じて攻めてきたというのか」

「・・・これは言い訳かも知れませんが、これは我がアトランチス本国には何ら関わりがありません」

首相の背後から呼び掛けたのは、アトランチスの皇帝だった。

首相「何者かね、いや、あなたは!?

皇帝「ムー連邦の首相ですね、わたしがアトランチス帝国の皇帝、ラ・グラースです」

首相「信じられない、まさかこのような場所にアトランチスの皇帝が」

ドラミ「はい、この人は間違いなくアトランチスの皇帝です。私がここまでお招きしました」

さらには何とドラミちゃんが現れた。

首相「君はまさか、ドラえもんくんと同じ」

ドラミ「はい、私はドラえもんの妹のドラミです」

 

つづく

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ドラえもんの亜流たち:ポコニャン<本当は怖いドラえもん>

さて今回はドラえもんとつながりがあるポコニャンについて毎度のことながらもヒネくれながらもお送りしたく思います。

初期のドラえもんの連載と前後して、藤子F先生は数多くの子供向け漫画が描かれていったが、たしかにどれも主人公の男の子とその相棒たる不思議な生き物。そして仲間たちと繰り広げる「すこしふしぎ」なお話といった、どれもドラえもんとたいして変わらないといった具合。

そんないわゆる“亜流”たちの中で際立ったのが、今回紹介する『ポコニャン』だったのだ。

そのポコニャンはモロにタヌキとネコを合わせたようなキャラクターで、たまたまドラえもん自身が時折タヌキと間違えられるシチュエーションがあったので、それを逆手に取ったアイデアから製作されたのだろう。

お話はとある山中で出会った、ふしぎな生き物ポコニャンが、ふしぎな道具でさまざまな問題を解決していく。これに関してもドラえもんと変わりない。実際ドラえもんのアニメの旧々版でも、ポコニャンのエピソードをヒントにお話が作られたとか。

それから時は流れた90年代にポコニャン自身がアニメ化された。それはドラえもんとの差別化をはかるため、設定も大幅に変えられていったのだ。まずポコニャンそのものが原作が動物と変わりなかったがアニメではちゃんと話せるし、ポコニャンの相棒、すなわち主人公が女の子だったりポコニャン自身が超能力で活躍したりといった具合。

それに関してはちょっとうがてば、キテレツ大百科と同じように、それでいてそれとは違う方向性で、ドラえもんのある意味自虐的な展開から脱却したいといった心情もあるだろう。

そんなわけでポコニャンも、我々藤子Fファンの心に残った名作となったのは今更語るまでもないだろう。

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オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その3)

ドラえもんとエルたち一行は、アトランチス皇帝ラ・グラースに、現在のアトランチス人の生き残りが暮らす都市、アマゾン川流域の地下にあるネオ・アトランへと招待される。

のび太「わあ、すごい都市」

ルウ「レムリアに負けないくらいだ」

皇帝「これでも昔の10分の1程度の広さだがね。君たちもかつての遺跡を見てきたはずだ」

人々もロボットと一緒に普通に暮らしている。たしかにムーよりは進んでいる科学力でもある。

皇帝「さあ、これが我が宮殿だ」

と、都市の宮殿へとたどり着く。

一向はあらためて皇帝の歓迎を受け、宴のご馳走をみんなで楽しんだ。

皇帝「さあ諸君、遠慮せずに召し上がりたまえ」

と、みんな最初は訝りながらも料理に舌鼓を打つ。その上でエルはあらためてかねてからの疑問を口に出す。

エル「でもどうして僕たちを招待したんですか。かつてはムーとアトランチスは敵どうしなのに」

皇帝「うむ、これを語るのは心苦しいのだが。かつて先人たちが開発した鬼岩城のポセイドン。それが暴走しアトランチスを一時滅ぼしたのは君たちも承知の上だ。かくいう我々も手をこまねいていたわけではなく、君たちと同じく我がアトランチスもあれを止めんと鬼岩城に乗り込んでいった。しかし結果は惨たんたるものだった。そのうちに海底地震の影響を受けて鬼岩城が活動を再開せんとしたのを機に、我々も全軍をあげてそれを止めんとしたのだ」

ドラえもん「それで僕たちが乗り込んで止めたのを知って思いとどまったのですか」

のび太「でもそうと気付かなかったんだけど」

皇帝「我々も君たちのことは多少なりと警戒していたからね。しかし君たちの活動を知ってからは信用していいと判断したのだよ」

エル「そうだったんですか」

とひとまず納得するエルたち。しかしすかさず話題を変える。

エル「それからしばらくして、あなた方、というより、アトランチスの残党を名乗る者たちが何やらよからぬことを企んでいる。それを受けて僕たちも動き出したのですが」

皇帝「これも心苦しいのだが、たしかに我が王家の者が動いているのはたしかだ。おそらくはわたしの姪であるラ・ミーナだ。あの子がアトランチスの再興をはかって何やらの企てをしているのも分かっている。ともすれば君たちムー連邦との戦争をも望んでいるかもしれない。言うまでもないが、わたしとしてもそのようなことは望まない」

エル「それで、僕たちになるべく静かにことを収めろというのですか」

皇帝「君たちの首相にはあらためて話し合いたい。それの力添えもいずれは頼みたい」

エル「分かりました、僕たちができることなら」

皇帝「うむ、頼んだよ」

と、皇帝とエルは握手を交わす。

のび太「うーん、なんだか大変なことになっちゃったなあ」

ところが宴室の片隅に奇妙な黒い球みたいなものがその様子をのぞき込んだかと思えば、警備の鉄騎兵が近付くや突然姿を消す。

「アレ、何カイタカナ」

「オイ、何ガアッタ」

「イエ、ナンデモアリマセン」

と同僚の兵に問われつつ、この場を後にする。

 

その夜、みんなが床に就いたかと思えば、のび太くんが目を覚ました。

のび太「う~ん、トイレ、どこだろ・・・・・」

「オといれナラ歩イテツキアタリニゴザイマス」

と、彫像型のロボットが話しかけ、その指示に近づきトイレを済ませるのだった。その帰り、とある一室で大きな絵を見やる皇帝の後姿を見かける。その絵は若い夫婦とその赤ん坊、その脇には青年の姿もいた。おそらくそれが若い頃の皇帝だろう。

やがて皇帝が後ろを振り向く。

皇帝「・・・誰だ、ああ、何だ、のび太くんか」

のび太「ああ、皇帝さん。でも、この絵は」

皇帝「うむ、これはミーナが生まれて間もないころに描かれた絵だ。中央にいるのが先の皇帝である兄上で隣はその妃、そして脇にあるのがわたしだ。兄上は十数年前に妃とともに事故で亡くなられ、わたしがその後を継ぎ、ゆくゆくはミーナにその後を継がせんと育てたつもりだが・・・・・」

のび太「でもどうして僕を襲ってきたのですか」

皇帝「あの子に何者かが近付いてきて、そのままその者についていってしまったのだ。おそらくはアトランチスの再興をそそのかされたのだろう。わたしとしては穏やかにこの国を治めてほしかったのだが」

のび太「そうか、それでまず僕から付け狙ったんだ。とりあえず、僕にできることがあったら」

皇帝「ありがたい、まずはその気持ちだけは受け取ることにしよう。これはみんなで当たるべき問題だからね。さあ、夜は長いからもう少し休みなさい」

のび太「あ、はい・・・・・」

と、皇帝のもとを離れ、再び寝床につくのび太くんだった。

 

変わってとある一室で、ベッドでたたずむのは皇帝の姪でアトランチスの王女、ミーナだった。そこにとある女性が声をかける。

女性「それで、誘拐には失敗したのね」

ミーナ「言い訳はしないわ。念のため記憶は消したけど、いずれ思い出すからその時にみんな捕まえればいいでしょう」

女性「それだけならいいけど、彼らはムーの兵士たちと一緒にネオ・アトランのもとにいるって話よ」

ミーナ「まさかおじ様のもとに、たしかに面倒ね」

女性「だからもうちょっとかき回す必要があるの。ここは私に任せて、あなたは彼らを止めてきて」

ミーナ「ええ、分かったわ」

と、女性はミーナのもとを離れていく。その女性に、黒ずくめの男たちが近付いてきた。

男「お頭、本当に大丈夫なんでしょうね」

女性「ええ、あの子には私の計画のために大いに力になってもらわないと」

男「あったくあの子供たちにはかつてはさんざんな目に遭ってきたからなあ」

女性「そう、かつてお父様の愉しみを邪魔して、我がドルマンスタイン家を没落させた、あのにっくき子供たちを」

その女性の目には恨みの炎が燃え上がっていく。

 

つづく

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のび太の堕落論:引きこもることはいけないことだけど<本当は怖いドラえもん>

さて昨今、若者の引きこもりについて問題となり最近では中高年の引きこもりも取りざたされることで、いずれ関わらねばならない問題でもある。

そこでドラえもんにおいての引きこもりを述べておきたい。

その前に盟友藤子A先生のこの問題作をば、

『明日は日曜日そしてまた明後日も・・・・・』

晴れて就職が決まりいざ出社に乗り込まんとした青年は、生来の気の弱さと過保護な生活からか初日で会社の警備員さんに半ば追い返され、それ以来ズルズルと休み続け、しまいには精神病の診断を受けてそのまま家に引き込もったままになってしまったそうな。

~掲載当時はまだ高度経済成長のあおりを受けた社会情勢だったので、それを皮肉ったお話でもあるのだが、やはり現代の引きこもりに通じているのは皮肉と言うほかはない。

 

さて当のF先生の見解やいかにということでこのお話をば、

『万能グラス』

ある日、今日は家でゴロゴロしていようとすると同時に、周りのものが気になるので『万能グラス』を出して昼寝をしながら周りのものを見て回る。その時とあるアパートの一室でゴロゴロと寝そべる男を見かける。後に洗濯したパンツをさがしに先のアパートまで飛んでいったので、訪れると先の男が首を吊ろうとしたので引き止めた。事情を聞くと、男は借金で切羽詰まっていたと語るも、男のおじが借金を返してくれたおかげで事なきを得て、男は心を入れ換え働くことに。のび太くんもちょっぴり反省して勉強をしだしたそうな。

~ここでの引きこもりの男は怠けぐせゆえでこうなったと描いている。借金云々はそのついでだろうし、その当時(前者もそうだけど)引きこもりの問題はそう挙げられなかったきらいがあったからF先生もあのような認識だったろう。

要するに心がけ次第だという読者の子供へのいつものメッセージだけど、たしかにいまでは心がけではどうにもならないのもまた事実だけど、このお話ならそのメッセージは素直に受け止めてもいいだろう。

最後後者が親戚の助けがあり立ち直ったからよかったが、前者はあのまま放って置かれてしまった。これもまた誰かが支えてくれればよかったのだ。これは作風の違いといえばそれまでだけど、それでこの作品を通じて現代の問題を深刻ならしめるものとしているのだろう。

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ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その2)

ドラえもんとのび太くんがルウに言われるままにいつもの空地にみんなを呼んでいった。

ジャイアン「おう、のび太、一人だけ休むなんてずるいぞ。今までまた昼寝してたのか」

ルウ「まあまあ、そういえばみなさん学校で何があったか話してくれますか」

スネ夫「うん、みんなが学校に行ったとたん、先生が階段から落ちて授業は中止になったんだ」

のび太「そ、それで女の人は」

スネ夫「女の人、何それ、また寝ぼけてんじゃないの」

ドラえもん「のび太くん、やはりみんな覚えていないじゃないの」

のび太「ああ、そうだった」

そこにしずかちゃんもやってきた。

しずか「ごめんなさい、出木杉さんが学校に行ってすぐに気分が悪くなって、おうちに戻してお見舞いしてきたから遅れちゃった、ってルウさん、いったいどうしたの」

みんなが集まったのを見計らい、ルウが口を開く。

ルウ「ようやくみんな集まったようですね、それでは・・・・・」

エル「今までのことを追って説明するよ」

ルウが説明しようとするも、なんとエルが私服姿で現れた。

ルウ「え、に、兄さん」

エル「隊長と呼びなさい、ルウ一人じゃ心配だったんだ」

ルウ「もう、またリムに任せっきりにしたんだね」

ドラえもん「まあまあ、それでアトランチスの復活っていったけど一体どういうこと」

エル「うん、アトランチス人が生き残っているのは前々から調べていたけれど、というより大昔、アトランチス帝国が滅びた後、アトランチス人の一部は再び地上に戻って地上人に文明を伝えたんだ。たとえばギリシャの学者やらローマの政治家たちやら、歴史に名を遺した人物の中にアトランチスの末裔も関わっていて、地上の文明を創ったんだ。これは君たちが覚える必要はないけどね」

しずかちゃんはこのお話は出木杉に教えてあげたいと思ったが、その必要はないと思ってすぐに思いとどまった。

エル「さておきアトランチス人について、僕たちが鬼岩城を滅ぼした後で大西洋を中心に異変が見受けられたんだ。それはルウが言ったとおりだけど」

のび太「それであの女の人か、って覚えてないのか」

スネ夫「さっきから何言ってんだ」

ルウ「まあまあ、その話はあとで」

エル「ともかく、彼らの動向を調べなきゃいけない。鬼岩城が滅んでやっと自分たちが自由に動けるようになったから、その動きをじっくりと調べなきゃいけない」

ドラえもん「それで、今どこに行けばいいの」

ルウ「ここから歩いて4時間ほどの岩場に潜水艇を置いているから」

のび太「えー、そんなに歩けないよ」

ドラえもん「そんなことがあろうから、とりあえずこれで」

と『どこでもドア』を出して、みんなそこから潜水艇の岩場に移動する。

 

岩場から潜水艇に乗り込み、潜水艇は一路パナマの海底運河へと向かう。

エル「パナマまで2、3時間くらいだけど、のび太くん、君が言っていたその女の人って、本当にアトランチスの王女って名乗ってたよね」

のび太「うん、先生を軽く投げ飛ばしたり空を飛んだり、ほんとすごくて怖かったよ」

エル「それに記憶を操る能力か。僕らの科学技術も地上より幾分か進んでいるけど、彼らはそれ以上とはこれも信じられないな」

リム「でも本当に彼らだけか、それも調べなきゃいけないけど」

ドラえもん「あれ、船の操縦はどうしたの」

リム「今ルウが動かしているよ、ルウも訓練していたからね」

のび太「なるほど、すごいなあ」

エル「詳しいことは省くけど、これもわが国では当たり前のことさ」

そうこうしているうちに船は海底運河へとたどりつく。

エル「さあ、ここを抜ければもう大西洋だ」

しかし、運河を抜けると、無数の戦艦が待ち構えていた。

エル「何だって、これはまさか、アトランチス軍の戦艦」

ルウ「バトルフィッシュとはちょっと違うけど」

のび太「ボクたちを待ち構えたのかなあ」

しずか「こわい」

その一番大きな船から、円盤状の物体に乗り、ジェルのカプセルに包まれた一人の紳士が現れる。

のび太「なんだろう、あの人」

ドラえもん「きっとすごく偉い人みたいだ」

リム「おそらくは、まさか・・・・・」

その紳士がエルたちの船に向かって厳かに告げる。

紳士「わたしがアトランチス帝国皇帝、ラ・グラースである。我がアトランチスのいにしえの軍事施設、鬼岩城を沈黙せしめたのは諸君らか」

スネ夫「き、きっと僕たちを捕まえに来たんだ」

ルウ「あ、兄さん」

エル「まずは僕が会ってみるよ、でももしものことがあったら」

ルウ「うん、でも無事に帰ってきてね」

潜水艇からエルが出てきて皇帝の目の前に立つ。

皇帝「うむ、君は」

エル「ムー連邦軍隊長、エルです」

皇帝「そうか、他の者はあの船の中にいるのかね」

エル「・・・はい」

エルの返事に皇帝は片腕を添えて一礼する。

皇帝「よくぞ参られた、積もる話はあると思うが、まずは君たちを歓迎しよう」

あっけに取られながらも、一行は皇帝の船と同行するのだった。

 

つづく

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戦争を知っているドラえもん:ぼくらの宇宙戦争<本当は怖いドラえもん>

今でこそドラえもんをはじめとする藤子F先生のSF作品は「すこしふしぎ」と評されるけれど、純粋にSF:空想科学の視点から、今回のサブタイトルを踏まえて『宇宙戦争』について考察したい。

一概に宇宙戦争といえば、宇宙から来訪した宇宙人が地球を襲撃し、対して地球人類は一致団結してそれに対するといったシチュエーションがたびたび映画で描かれた。それに関してはF先生もたびたびご覧になったはずである。

とはいえまず結論から述べるに、こういった全面戦争的なシチュエーションは実際描くに際して先生はやはり好きじゃなかったようだ。

たとえば一般短編の『ひとりぼっちの宇宙戦争』にては一人の少年を地球の代表に選び、宇宙人側はそのクローンを差し向けて戦わせる。これが宇宙人の戦争、つまりはゲームとしてとらえられたきらいがあった。勝てば地球を自由に扱え、負ければ潔く引き下がるといった具合に。あくまで局地的な争乱にとどまっていた。

続いて我らがドラえもん、原作短編の『天井うらの宇宙戦争』しかり『未知とのそうぐう機』しかり、大長編の『小宇宙戦争』しかりとやはり日常の片隅にての、言ってしまえば箱庭の中でのハプニングにとどまっているのがほとんどである。もっとも小宇宙戦争の後半では敵味方の本星で本格的な戦争が繰り広げられているが。

あと『天井うら』に関してはやはりパロディを盛り込んでの作りとなっていて、もう一つ『未知とのそうぐう機』はあわや宇宙戦争かとのくだりが目立っているが、やはりドラえもんやのび太くん、そして呼び出された宇宙人ハルバルとのやり取りが終始コントになっているなといった感が強い。

これも言い換えれば、やはり戦中に生まれて戦後の幼少期を過ごした先生としては、本格的な戦争をドラえもんたちが暮らしている日常に持ち込むことはやはり好まず、日常の少しふしぎな出来事として、ささやかな宇宙戦争ならと描いていたと、やはり述べるまでもないか。

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オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その1)

さてみなさん、今回から始まる『のび太と海底帝国』その第1話をお送りいたします。

アトランチスの脅威を退けるも、また新たなる脅威に立ち向かうドラえもんたちの活躍をここにお送りする運びです。はたしてその展開やいかにといったところで、それでは、ごゆっくり。

 

あるむし暑い日の朝だった。その日のび太くんは珍しく早起きをしたかと思ったら、暑すぎてそのまま目が覚めたのだった。

のび太「あ~あ、こう暑いと寝てられないよ」

そこにドラえもんが声をかける。

ドラえもん「のび太くん、そろそろしたくしなくていいの、このままじゃ遅刻しちゃうよ」

のび太「うん、ドラえもん、何言ってるの、今は夏休みだよ」

ドラえもん「のび太くんこそ何言ってるの、今日は学校の出校日だよ」

のび太「ああっ、そうだった!」

急いでふとんから飛び起きるのび太くん。したくもそこそこ、駆け足で学校に向かうも結局遅刻して廊下に立たされてしまう。

のび太「あ~あ、どうして夏休みなのに学校に出て立たされなくちゃいけないんだろう」

夏休みの出校日でもいつも通りの朝のひとときだった。そうその時までは。

 

突然、教室の窓から一人の女性が舞い降りてきたのだ。

女性「確かここだったわね、さてあなたたち、この中に野比・・・・・」

先生「な、何だね君、君は・・・・?」

先生が女性の肩に手をかける。しかし女性は先生の手を取ってそのまま窓に投げ飛ばす。

女性「うるさいなあ、私も忙しいのだから邪魔をしないでくれる」

と、再び生徒たちに問い掛けんと、目の前の出木杉くんをつかみ上げる。

女性「あなた、この部屋に野比のび太って子がいると聞いたけど、彼は今どうしているの」

出木杉「の、野比くんなら、廊下に、立って、いるよ・・・・・」

女性はそのまま廊下をのぞき込む、しかしのび太くんの姿は見えなかった。

女性「何よ、いないじゃないの」

出木杉「で、でもさっき、先生に廊下に立たされて」

スネ夫「き、きっと逃げたんだ。今頃学校の外だよ」

と、スネ夫が怯えつつ口を漏らす。

女性「なるほど、その手があったわね。それじゃあ、みんなこの腕輪を見て」

と、みんなを腕輪に注目させ、そこから発した光で自分のことを忘れさせた。

 

一方、当ののび太くんはさっきの異変をのぞき込み、慌てて逃げていったのだ。

のび太「な、何だろう、あの女の人、慌てて逃げちゃったけど、あとで先生に怒られそうだなあ」

そのまま裏山の一本杉の枝にこもって何とかやり過ごそうとする。

のび太「しばらくかくまって、今大変なことになりそうだから」

と、そのまま眠りこけてしまった。しかししばらくしてあの女性がのび太くんの目の前に現れたのだ。

女性「みいつけた、さっき窓に捨てたおじさん(先生)にかまってて少し時間を食ったけど、案外遠くに行かなかったみたいね」

のび太「わっ、さっきのお姉さん。一体何なの、それに僕に何の用?」

女性「あなたが我が国の秘密を知っていると聞いてわざわざ訪ねてきたのよ。今は亡き我が祖国、アトランチス帝国の秘密をね」

のび太「アトランチス、ヒミツ、一体何のこと」

女性「あきれた、まさか忘れちゃってるの、まあいいわ、私はラ・ミーナ。一応アトランチスの王女様ってところだけど。とにかくついてきてもらうわよ」

その女性、ラ・ミーナがのび太くんに近づこうとするや、すかさずタケコプターで逃げようとする。

ミーナ「あ、ちょっと待ちなさいよ」

すかさずミーナもそのまま空を飛んで追いかける。

のび太「わっ、追いかけてくる」

ミーナ「地上人が空を飛ぶ技術を手に入れたって聞いたけど、この程度なら追いつけるわよ、もう逃がさないわよ」

ミーナがのび太くんに手をかけようとするとき、突然どこからか光線が走りそれを阻む。

ミーナ「何、これは思わぬ邪魔が入ったわね、でも、あきらめないわよ」

と、ミーナが飛び去っていく。その一方で物陰から一人の男の子がその様を見守っていた。

のび太「え、なんだろう、でも助かったし、一度家に帰って・・・・・」

と、一旦地上に降りてから、

「ドラえも~ん!」

と家へと駆け戻っていく。

 

のび太くんが家に戻るや、茶の間からとある男の子の声が聞こえてきた。

男の子「・・・ソレデ、ノービタ君ニハ道案内シテモラッタンデース。チョット迷ッチャッタデスケド」

ママ「まあ、それはそれは」

そののび太くんが茶の間をのぞき込む。するとその男の子がのび太くんに駆け寄ってくる。

男の子「オー、ノービタ君デスネ、オ久シブリデース!」

のび太「え、えーと、君は、誰」

しかし男の子は耳元でささやく。

男の子「そのまま話を合わせて・・・・・」

のび太「え、あ、うん・・・・・」

そのまま男の子はママに告げる。

男の子「アノオ母サン、二人ッキリデオ話シタイデスガ、イイデスカ」

ママ「あ、はい、結構ですよ」

ということで、のび太くんと男の子は2階の部屋へと向かう。そこにはドラえもんが座って佇んでいた。

ドラえもん「お帰りのび太くん、でこの子は誰、って、まさか」

男の子「はい、お久しぶりですドラえもんさん、僕はルウ。ムー連邦軍隊長となったエルの弟です」

のび太「ルウ、エル、あれ、どこかで聞いたみたいだけど」

ドラえもん「のび太くん、先のキャンプで知り合ったあのエルの弟だよ」

のび太「ああ、そうだ、君はルウなのか。でもどうして君がここに、って、大変だよドラえもん、さっき変な女の人が学校に現れて先生を投げ飛ばしてから僕のこと聞き出して、僕も逃げたけどしばらく追っかけてきたんだ」

ルウ「やはりそうか、その人もあれの関係者だった。いや実はあの事件以来、あの海域を何度か調べていったけど、ある日潜水艇らしき物体が船に近づいてきたんです、当然こちらも警戒したんだけど、しばらくして遠ざかって姿を消して」

ドラえもん「これって、地上の潜水艦じゃなかったの」

ルウ「いえ、地上のだったらそれ特有の音を発しているけど、今話したのはそれが感じられなかった、つまり海底の船特有のものだったんです」

のび太「そ、それでどうしたの」

ルウ「事態を重く見た首相や長官たちがこの事態を兄さんに調査を言い渡して、その際兄さんがみなさんにも協力してくれるよう僕が呼びに向かわせたんです」

のび太「まさか、つまり、その、先に倒した、鬼岩城が、ヨミがえったんじゃ・・・・・」

ルウ「それも十分にあり得ますね、ともかくみんなを集めないと。あ、さっきのび太さんを襲った女の人、おそらくみんなの記憶を消していったから。その分も説明しないと」

というわけで、ドラえもんとのび太くんたちは、ルウの協力でいつもの空地にみんなを集めていったのだ。

 

つづく

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続・動物たちの裏切り<本当は怖いドラえもん>

何度も述べるまでもないが、のび太くんは基本的には動物好きで動物たちものび太くんになつきやすいといった要素をあげたい。もっとも野犬たちの事情に関してはある意味“いじめ”の要素が盛り込まれていることは前にも述べたこと。

そんなのび太くんを動物たちが拒むシチュエーションを続いてこれらのお話を通して述べていきたい。

 

『はいどうたづな』

ある日、自分だけが自転車に乗れないのがくやしいので、せめて自分が乗れる馬を出してもらおうとするも、代わりに『はいどうたづな』という道具を出してもらう。それは犬やらネコやらに付けて乗り回せる道具だった。試しに近所のネコやら犬やらに付けて乗ってみようとするもどれもうまくいかず、結局それらもジャイアンたちに取られてしまったそうな。

『ペットペン』

その日もペットを飼おうとするもママに断られたことをドラえもんにもからかわれたことに気を悪くしたのび太くん。せめて絵の動物をペットにしようと『ペットペン』を出してもらいその絵をペットにして買ってみようとするも、肝心の絵は下手で描いたのび太くんを反映し怠け者で気の弱く、しかものび太くんになつかなく勝手な行動を散りがちでしまいには吸い取り紙に入って消えてしまった。後にしずかちゃんに貸して書いてもらおうとするも、しずかちゃんはともかくジャイアンやスネ夫の絵のペットが大変うまく書かれていって、しかも大変みんなになついていったことにのび太くんは悔しがったそうな。

 

これらのお話も野犬たちと同じく、もっとも『はいどうたづな』はモロ野良犬がらみだけど動物たちに嫌われてイヤな思いをするお話として描かれていった。前者の場合はたしかに付けたイヌネコたちはウマが合わなかっただろうし、後者にいたっては中後期特有のダメな要素でケチがついてしまったことがある。

加えて野比家でペットが飼えない事情も当時の家庭事情のペットを飼うゆとりが持てないことに当てはまることもある、もっともこれも先の家計の事情とあわせてのび太くんのダメの要素と見なされてしまっているのだが。

いま一つ後者について、たしかにお話の見方によっては「たとえ絵に描いたものでもいったん生み出したものは最後まで面倒をみる」というくだりを当てはめられるが、やはりのび太くんの絵のお下手を理由に押し付けるのもやはり酷だろうと思うけれど。ましてや冒頭のからかいの要素もあわせて結局のところお話の終止でケチが付いてしまったことも挙げたい。

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ドラえもん・オリジナル大長編:新・のび太の海底鬼岩城(予想)最終回

突然の異変に揺れ動く鬼岩城。その異変にポセイドンのもと、鉄騎兵の一体が駆け付けてきた。

「ぽせいどん様、一大事デス」

ポセイドン「何事だ」

「何者カガ入ッテキテ、出撃待チの兵ヲ蹴散ラシテイマス」

ポセイドン「何だと、これは一体どういうことか」

スクリーンに映し出されたのは何とイカのシルビイだった。

リム「いっけえ、シルビイ!」

ルウ「早く兄さんたちのもとに行って助けなきゃ」

シルビイは応戦する鉄騎兵やバトルフィッシュたちを、たくさんの触手を駆使して機体の残骸でビームを防ぎ、発射されたミサイルを受け止めては敵に投げつけて蹴散らしていく。

そのうちに捕まって神殿へと引き立てられんとするスネ夫とジャイアンを助け出し、そのまま神殿へと進んでいく。

戻ってポセイドン神殿、嘆くしずかちゃんも大立ち回りのシルビイに気付き。

しずか「まさか、あのイカちゃんが・・・・・」

そんな時、ドラえもんのポケットから声が響く。

「泣イテルノ、シズカサン・・・・・」

しずか「だれ・・・・・?」

ポセイドン「なんだ、そこに誰かいるのか?」

ポセイドンもその声に気が付くが、そのドラえもんのポケットから何とバギーが出てきた。

しずか「バギーちゃん」

バギー「ソウカ、コイツラガシズカサンヲイジメタンダネ」

ポセイドン「何だこの車は、者ども、直ちに取り押さえよ」

攻めてくる鉄騎兵を蹴散らしつつ、バギーはしずかちゃんを守るようにポセイドンに立ちはだかる。

バギー「僕ハ、怖カッタンダ。デモ、シズカサンハソンナ僕ヲ励マシテクレタ。ソンナシズカサンノタメナラナンデモスル。コイツヲヤッツケレバイインダネ」

縦横無尽に鉄騎兵を蹴散らすも、やがて徐々に攻撃を受け続ける。しかしバギーはポセイドンに狙いを定める。

バギー「親玉ハ、オ前カ・・・・・」

ポセイドン「う、何をす!?

ポセイドンめがけて突っ込むバギー。攻撃を受けつつもポセイドンの口に飛び込んでいく。

しずか「バギーちゃん!」

ポセイドン「うおぉぉぉぉ!」

そしてポセイドンは大爆発を起こしていく。爆風に飛ばされつつ。ドラえもんは再び目を覚ます。ともに吹き飛ばされたしずかちゃんのもと、一個の光る玉らしき物体が転がってきた。

ドラえもん「これは一体どういうこと、まさか、ポセイドンが」

崩れ落ちるポセイドン、一方でしずかちゃんは光る玉を拾い上げる。

しずか「・・・バギーちゃん・・・・・」

ドラえもん「これは、バギーのメモリーチップ」

バギー「シズカサン、ヤッタヨ、ヤッタ・・・・・」

バギーのチップはそのまま光を失い、しずかちゃんはチップを両手を包み、胸に抱きしめる。ドラえもんが寄り添おうとしたところ、ポセイドンの残骸が語り掛けてきた。

ポセイドン「・・・いい気に、なるなよ、人間ども・・・たとえ、わたしが、倒れようとも、さらなる、神の、裁きが、お前たちを、滅ぼすで、ア、ロ、ウ・・・・・」

そしてポセイドンも動かなくなる。そこにドラえもんが力強く告げる。

ドラえもん「そんなことは絶対にさせない。だって未来は、みんなのものなんだ」

その時、鬼岩城が再び大きく揺れ動く。

ドラえもん「とにかくここを脱出しよう、この揺れは大きな地震が起きよとしてるんだ」

しずか「・・・うん・・・・・」

2人は神殿を離れていく。

一方でエルは動きが鈍った鉄騎兵に気が付き、反撃に打って出た。

「何、ぽせいどん様ガ」

「ぽせいどん様ガイナケレバ、我ラハドウスレバ、アア・・・・・!」

エル「まさかポセイドンが倒されたのか、よし、僕もここを切り抜けよう」

その時であった、イカのシルビイが駆け付けて、残りの鉄騎兵を蹴散らしていく。周りにはリムとルウとのび太くん、そして助け出したスネ夫とジャイアンもいた。

エル「まさか、シルビイ、それにリムとルウ。一体どうして」

リム「私たちも役に立ちたいと思って駆け付けたのよ」

ルウ「気づかないように後をつけてきたんだ」

のび太「あのテッキヘイ、ポセイドンが倒されたっていったから、きっとうまくいったんだ。早くしずかちゃんを迎えに行こう」

そこにドラえもんとしずかちゃんが駆け付けてきた。

ドラえもん「おーい、みんなあ!」

のび太「ドラえもん、しずかちゃん!」

こうしてみんなは合流した。

ドラえもん「さあ、みんな急ごう」

一向はシルビイに乗って鬼岩城を後にする。その直後、鬼岩城は音を立てて崩れ落ちる。

エル「鬼岩城の最期だ、これで本当に、終わったんだ」

崩れゆく鬼岩城を、みんなしばらく見届けていく。

 

ドラえもん一行が連邦本国に戻り、鬼岩城のポセイドンが倒されたことを知らされ、ムーの国民はこぞって平和がもたらされたことを祝った。そして、レムリアの中央政府広場では。

首相「勇敢なる子供たちの力によって、世界の危機は回避しえた。我々は、この偉業を永久に語り、たたえ続けようではない!!

首相が差し伸べた手の先には、ドラえもんたち、エルとルウ、そしてリムとシルビイが立っていた。彼らの姿が広場上空の画面に映し出され、人々は大いなる歓声を上げる。

母「お父さん、エルが、ルウが、やりましたよ」

アルのヘルメットを抱きしめて母が感涙にむせぶ。

ロド「エル、本当によかったなあ」

先輩「ああ、よくやってくれたよ」

感慨深いロドと先輩、長官もうなずき続けて彼らをたたえる。

しかし高官たちはいまいち喜びきれない。いまだドラえもんたちを信じられないというよりも、自分たちの行いにただ恥じ入っているのだった。そこに母と大法官が入ってきた。

母「どうですか、みなさん、これでもあの子たちが信じられないのですか」

「いや、それは」

大法官「あの子たちは自らの身を捨てて世界を救ったのじゃよ」

しずか「いえ、身を捨てたのは私たちじゃありません」

さらにしずかちゃんが両手を前に添えて入ってきた。添えた掌を開くと、そこにはバギーのメモリーチップがあった。

のび太「これは、なに?」

しずか「うん、バギーちゃんのかけら。私、絶対に忘れない」

のび太「そうだね、僕だって、バギーのこと忘れないよ、だって、世界を救ったんだから」

そして高官たちにしずかちゃんが訴える。

しずか「地上の人たちも、ただ魚や海の資源を取りつくしたりはしません。むしろそれらを大切にして、海をきれいにしようと努力をしています。皆さんから見れば遅すぎるかもしれませんが、どうか今一度、私たちを信じてください」

「う、うむ・・・・・」

ここまで言われれば高官たちもうなずかざるを得ない。

 

そしてエルたちの見送りで国を去るドラえもんたち。

エル「君たちのような立派な地上人と知り合えてよかったよ」

のび太「しばらくは、お別れだね」

のび太くんとエルは、いつかの再会を誓い固い握手を交わす。

エル「いつの日か、海底人と陸上人が、仲良く手を取り合える日が来ることを」

首相「本当に来るのだろうか、そんな日が」

首相の心もエルと同じだが、あえて問うてみた。

ドラえもん「きっときますよ、そんな日が」

こうしてドラえもんたちは連邦を後にし、海底世界の冒険はひとまず幕を閉じたのだった。

 

その後エルは隊長に昇進し、小さな部隊を任されて国内外の警備にあたる。部隊には弟のルウと首相の娘リムが見習いとして、エルのもとで働いている。

一方しずかちゃんのもと、回収したメモリーから、ドラミちゃんのとりなしでバギーが修理されたのだ。喜んだしずかちゃんを乗せて再びバギーが海をかける。相変わらすしずかちゃん以外にはつめたいバギーだった。

 

しかし、崩壊した鬼岩城跡地では、何かの人影がポセイドンの残骸から、とある物体を取り出すのだった。そう、危機はまだ、完全には去ってはいなかったのだ。

 

 

というわけで、新・海底鬼岩城のお話はこれにておしまいです。来月辺りからその続編である『のび太と海底帝国』をお送りいたします。新たな海の冒険とアトランチスの残党との手に汗握る戦いを繰り広げられることでしょう。

それではまた、お会いしましょう。

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それにつけてもおカネの欲しさよ:その価値はいったいいくら<本当は怖いドラえもん>

さてドラえもんにおいておカネに関するイマシメ話は数多かれど、モノの価値について語るお話には多少の融通がついたこともある。今回はそれらのお話をば。

『自動質屋機』

ある日のび太くんは貧乏な青年を目の当たりにしつつお互い生活がままならないことを打ち明け、ドラえもんも珍しく素直に自動質屋機なる道具を出す。これでモノの価値に見合ったおカネに替えて当面の小遣いを工面しようとするのだ。のちに絵描きでもあった先の青年と出くわし。試しに青年の絵を質屋機に出すと大金が出てきたのだ。そこに青年のもとにとある画商が青年の絵を買いたいと持ち掛けるのだった。

『自動買い取り機』

ある暑い日にお使いの途中で暑さに負け、誤って自販機でジュースを買ってしまい、ドラえもんに助けを求めんと自動買い取り機を出してもらい、ひとまずの危機を回避できたのだが。これまた誤ってしずかちゃんから借りた本までも買い取らせてしまったのだ。そこでその本を買い戻さなければならないのだが。

~今回挙げた自動質屋機も自動買い取り機も単純にモノの価値をはかり、それをおカネに替える道具である。前者は売れない画家の青年を絡めてのお話でそうムチャなことにはならなかったが、後者は軽いドタバタにおちいったかなとは思ったけれど。まず買い取らせたのがジュースやらマンガ雑誌程度ならやむを得ないかもしれない。とはいえ誤って買い取らせた本を買い戻すのに10倍の利子がつくのはやはりナンセンスだろうけれどその反面融通を絡めたデフォルメとも読める。最後はパパのヘソクリで事なきを得たからよかったのだが。

いずれにしてもこれらのお話でモノの価値なら知っても損はないといった意見が読めたかなとは思うけれど

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