今更ながらアパッチ野球軍について語る、そして・・・
さてみなさん、今回は懐かしのアニメドラマであり異色の野球ドラマでもある『アパッチ野球軍』についてひとまず語ることにしてから「それから」の物語をも予想したいとも思っております。それでは、ごゆっくり。
アパッチ野球軍とは、昭和40年代初めに放映され、他の野球アニメ、コミックとは一線を画したストーリーとキャラクター性で歴史に名を刻んだ作品として現代まで伝えられる。
主なあらすじは前作ともいえる『エースの条件』から語ることとして、高校野球のエースとして将来が嘱望された主人公が、周囲の拝金主義に辟易し、自ら選手人生を断ったことから、恩師の勧めで四国の村の分校で野球を教えることになった。
ここからが本作のあらすじで、
主人公堂島が赴いたその村は、ダムの建設をめぐって村民が対立し、それが子供の世代にも影響を与えていた。そこで堂島も野球を通じて教え子たちの結束をはかろうとした。はじめは堂島に反目しつつも次第に自身の野球技術を上げていき、いつしか当時の強豪校とも互角に渡りあう実力にまで成長した。しかし当時の高野連は野球軍の追放を決定し、堂島以下野球軍も憤然としつつもそれに従い、結果村人の対立も徐々にではあるが解消したのを見計らって、堂島は再び旅立っていくのだった。
というストーリーで、当時は高度経済成長の時代の反面まだ戦後の混迷から抜け出せないでいた時世でもあり、決してきれいごとが通用しない状況でもあった、まあきれいごとに関しては今でも変わりはないけれど。
さておき野球漫画の1ページを刻んだこの作品について、かくいう編者も彼らの「それから」の物語を考えたこともあり、現在に至って思い切って描き上げてみようと思い、結局はヨシモト系の野球活劇となりましたが、ご興味のある方はこのまま以下のお話をどうぞ、それでは、あらためてごゆっくり。
創作小説:アパッチ野球軍・それから
堂島剛が猪猿村を去って半世紀、北海道の奥地で勉強とスポーツにいそしむ一人の青年がいた。彼こそが堂島剛の孫、堂島猛(たける)である。
そんな彼のもと、多くの老人たちが訪れ、猛は彼らを恭しく迎え入れる。彼らこそ祖父剛の教え子たるアパッチ野球軍のメンバーたちであった。
あの試合からそれからの猪猿村は、ダムの完成とともに湖に沈み、村人の離散とともにメンバーも各地に散り、各員が連絡を取りつつそれぞれの生活を送る。ある程度の事業を成しつつ恩師の剛のことを想いつつも、剛と千恵子は北海道で近隣の学校に野球を教えつつ細々と生活を送っていたことを知り、できうる限りの援助を送るのだった。
そして数年前剛が亡くなり、その葬儀にメンバーたちが訪れ、孫の猛と知己となったのだ。
その縁でメンバーの孫たちとも知り合いとなり、ある日メンバーの一人が祖父たちにちなんで自分たちも野球軍を結成しようと持ち掛ける。
猛が通う商業高校にも野球部があったのだが、いわゆる弱小チームと認識されていて、猛自身も野球には興味がなかった。しかし旧メンバーたちがそれぞれの理由で北海道へと引っ越し、孫たちも学園へと転校してきたのだ。
こうして猛も決心を固め、彼がキャプテンとした野球部、新生アパッチ野球軍を結成するに至ったのだ。
はじめのうちはメンバーの程度もあれ練習に手間取りなかなか上達しないものの、猛をはじめ運動能力のよさもあって次第に腕を上げていった。
これで高校野球へと名乗りを上げられると意気上がったのだが、その一人がある懸念を持ち掛ける。
いわゆる祖父たちのチーム、先代アパッチ野球軍は紆余曲折の末に高校野球に挑戦することになったが、その風体と破天荒な行動によって結局高校野球を追放されることになった。
その後に彼らも苦難の末にそれなりの地位にもつくことになり、自分たちの野球への想いは孫たちに引き継がれることとなる。
一方高野連もまた北海道の野球部のことはこの時点で周知しており、あの野球軍の問題が再び起こるのではないかと頭を悩ませる。
しかし祖父たちの中に中小企業の頭となったことに伴ってそれなりの学も持つに至り、それももとに高野連に数通の親書を送るのだった。
曰く「かつての自分たちは野球の知識もなく、それゆえに野球界に問題を起こしたことで追放された。しかし時がたち孫たちはそれなりの野球の知識も付けることができ正式な野球にも通用するので、孫たちが通っている高校野球部も正式のチームとして参加させてもらうよう」にと頼み込むのだった。
その熱意、というより強引さに負け、まずは練習試合に参加させ、その成績次第で高野連への参加を認めてもいいと返答する。
その練習試合の相手というのが、かつての野球軍と対戦したQL学園だったのだ。かつての名門校だった学園も、数々の不祥事を経てすっかり落ちぶれてしまった。それが今回の練習試合に乗ったのは、学園の汚名返上とともにかつての栄光を取り戻すことが大前提だった。実際高野連の役員には学園のOBも所属していたのだ。
こうして商業高校野球軍(呼称)とQL学園との練習試合の幕が上がったのだ。
試合の序盤は双方投手戦と相成り、時折危なっかしい展開にもなったが、やがて投手の網走(孫)が疲れの色を表し始めた頃に放った球をQLの打者が捕らえ、それを機に徐々に進塁してからのタイムリーの得点を許してしまう。
対して野球軍も塁を出すのだが。いまいち決定点を得られず、いつしか焦りの色を見せてしまう。
しかし猛が放った言葉「俺たちはこれで負けたわけじゃない、最後まで俺たちの野球をすればそれで勝ちなんだ。俺の爺さんは金に走った野球界にものを言うためにここまでやってきた。俺たちも本当の野球道を目指そうじゃないか」と。
その言葉はQL側にも聞こえていて「俺たちも野球が好きなんだ」と返すように言葉を発する。
やがて回を進めて野球軍も同点にもつれ込み、最終回を迎えることとなる。やはりQL側が進塁し、これでホームランを打てれば逆転勝利と相成る場面となる。
折しも網走とQLキャプテンの対戦と相成り、互いの信念と信念の投打戦と相成った。そしてフルカウントの末の網走の投球、それをキャプテンが捉え、打球は外野ラッキーゾーンへと飛んでいく。それをモンキー孫がフェンスを飛び越えて捕らえんとするが、足を取られてゾーンへと倒れ込む。そこに打球が伸びた手のグラブに収まった。
主審もアウトの判定をするが、モンキーが物言いを行った。
「結局自分はボールを取る前にゾーンに落ちたので」と自分の負けを認めた。祖父とは違いある程度の野球のルールを知っての上での意見だった。それには祖父モンキーも半ば納得はいっていた「俺の場合はもうちょっと往生際が悪かったからな」という言葉とともに。
協議の結果試合は引き分けに終わり、疲労困ぱいの学園側に対し、各々が勝ちを収められなかったことを詫びたことを受け、猛も応える。
「俺たちは爺さんたちの面目と俺たち自身の意地と誇りのために今までがんばって来たんだ。俺たちもこれで終わりじゃない。次に備えてまた練習に励もうじゃないか」と。
それに皆が納得し、グラウンドの真ん中でチーム一丸で猛を胴上げするのだった。
こうして野球軍改め商業高校野球部の練習試合は終わり、猛たちの野球部も晴れて高野連公認となった。
そして今正式に甲子園に通用する実力をつけるために、そして来期以降の後進に託せるようにと今日も練習に励むのだった。
| 固定リンク | 0
「アニメ・コミック」カテゴリの記事
- キミとアイドルプリキュア♪、ですか(2024.12.05)
- マンガレビュー:ベルサイユのばら(2024.12.07)
- 今更ながらプリンプリン物語についてちょっと語る(2024.11.24)
- モアナと伝説の海2、ですか(2024.11.14)
- 今更ながらアパッチ野球軍について語る、そして・・・(2024.07.28)
コメント