ドラえもんとゆかいな仲間たち:ジャングル黒べえ<本当は怖いドラえもん>
さて今回のゆかいな仲間たちは、特殊な事情からの放映から一時封印されつつも近年再評価されたといういわくつきの作品たる『ジャングル黒べえ』について語りたいと思います。
ある日前々から設置した鳥かごに奇妙な子供が舞い降りてきた。その子は人呼んで“黒べえ”と名乗る、はるか遠くのジャングルからやってきた不思議な民族の子供であった。
それからというもの、住まわせてもらった恩返しということで、家の子供シシオの手助けをするということだが、黒べえのやることなすことはジャングルの掟と称して、日常の非常識な活躍をして周囲をけむに巻く。
これは当時のはやりともいうべき、ナンセンスなギャグ漫画の典型的な例でもあり、それでいて、世界の国において、ところ変わればその生活様式等の習俗も違うといった極端な表現とも受け止められるかもしれない。
あと黒べえの力といえば、魔法の力を用いて何らかの問題を解決しようとすることがある。これはドラえもんにおけるひみつ道具と同じシチュエーションとも受け止められるが、この魔法もどちらかというと当て外れな作用を引き起こし更なる問題を引き起こすこともしばしばある。つまりはその黒べえも藤子F先生作品お決まりの“ダメ”な主人公でもあったのだ。
そんなこんなで街じゅうを暴れ回る黒べえのもと、弟の赤べえとペットのパオパオ、そしてアニメオリジナルながら黒べえのライバルたるガックなどのキャラクターがお話の華を添えることとなった。
そのアニメといえば、実は東京ムービー主導のアニメ企画からテレビアニメが制作、放映され後に藤子F先生がマンガを描かれたいきさつもあり、どちらかといえばアニメが原作でマンガが派生メディアとも受け止められるのだった。ちなみに当初のアニメ原案にはかの宮崎駿監督も関わったとか。
その黒べえも、80年代後半からの差別問題のあおりを受けて一時放映ができない状況となるも、近年の藤子F先生の評価を受けてメディア化も成されていったのだ。
さておきキャラクターについて、まずはのび太くんのポジションたるシシオ、ジャイアンとスネ夫のポジションのタイガーとオカラ、そしてしずかちゃんポジションのタカネといったところ。
それに加えて赤べえについてはどちらかといえばオバQのO次郎、ガックはドロンパのポジジションに当てはめられるなど、キャラ的にオバQの要素も含まれてもいた。
あと黒べえのもう一人(一頭)の仲間たるパオパオについて、そもそも黒べえのふしぎな要素の一つに、そのパオパオをはじめふしぎな動物たちのシチュエーションがある。生物学的にはナンセンスながらもウルトラマンの怪獣やら仮面ライダーの怪人などとも通じているかもしれない。
まず頭だけのゾウの外見のパオパオについてはその愛らしい造形から、黒べえの故郷の珍獣とともに大長編の『のび太の宇宙開拓史』に、最近の『南極カチコチ大冒険』にもゲスト出演とあいなったのだ。
それに引き続いてガックが召喚するゆかいな珍獣たち。彼らと黒べえとの対戦が物語後半のお話におけるシチュエーションとして、これもまたドラえもんにおけるひみつ道具的なシチュエーションとも受け止めてもいいかもしれない。
このように様々ないきさつが絡んで制作されたこの黒べえも、今や立派な藤子F作品といえるのではないか。
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