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ドラえもん・オリジナル大長編:のび太の源氏物語(その3)

さてみなさん、今回のドラえもんオリジナル大長編はのび太の源氏物語の第3話ということで、くつをなくしたのび太くんを助けようとする人の活躍から、大きな事件まで発展したことでそれを解決しなければならなくなったいきさつを描く運びとなります。ちなみに安倍晴明は子安武人さん、先に登場した光源氏は関俊彦さんの声でお楽しみください。それでは、ごゆっくり。

ちなみに前回のお話はこちら

ドラえもん・のび太の源氏物語

(その1)

(その2)

といったところで、あらためてごゆっくり。

ママの言いつけで源氏物語を読むように言いつけられたのび太くんは、ドラえもんから借り受けた“絵本入りこみぐつ”にて物語の世界に入りこみ、物語の世界にて主人公の光源氏と出会い、彼の屋敷に厄介になる。いくらかの生活を送る中、なんと“くつ”をなくしてしまったのだ。途方に暮れるのび太くんのもと、安倍晴明という人が現れてのび太くんの力になるというのだ。

その夜、屋敷内の板の間にて、のび太くんと源氏、清明が間をはなして座り、脇にはシズネたちも立ち合いで座っていた。
清明「さてのび太氏、前にも言ったが、君が外の世界から来たのは光の君から聞いていた。その君が外の世界と行き来するすべを持つ“くつ”を紛れ失ったことについてだ」
ふと清明はシズネの方を向いて問う。
清明「まずは下女見習いのシズネ、君がのび太氏の服とくつを洗って、小屋に置いたことは間違いないね」
シズネ「はい、間違いありません」
清明に問われ、恭しく応えるシズネ。それと同じく、小さな生き物みたいなのが清明に近付き、やがて差し伸べた清明の掌に乗る。
清明「うむ、この式神、君が知る妖精とやらに近きものだが、ともかくこれが調べた通りだ。そのシズネが置いた服とともに置かれたくつを、何者かが持ち去ったようだ」
のび太「ええっ、でも一体だれがくつを持ち去ったんですか」
源氏「うむ、基本屋敷の中はケビイシが守りを固めて盗賊などが入るすきはないはずだが」
清明「それなんだが、式神が言うには、くつを持ち去ったものは自分たちと同じものだという」
のび太「それは、清明さんのと同じ式神というの」
清明「おそらくは、そうだろう」
源氏「その点は大丈夫だろう、この清明どのは都で第一の陰陽師だ。後れを取ることもないだろう」
清明「そうだといいんだがね。まあそれよりももう一つ気になることがあるのだよ」
のび太「気になること」
清明「外の君の世界から来たものがいるのだ。これは、猫だか狸だか知らないが、ともかくこちらへと向かわんとしているのだ」
すかさず清明は、何やらのまじないを唱えて部屋の真ん中に円を基本とした模様をえがく。
のび太「えっ、なにこれ」
清明「これはそれを呼び寄せるための魔法陣なのだよ、それでは儀式を始めよう。あってあるこの世のもの、天創神、地創神、すべてがあるようにあれ、急急如律令!」
清明のまじないにより魔法陣から何者かが呼び寄せられた。なんとスペアのくつを履いて、物語の世界の飛び込んだドラえもんであった。
のび太「ドラえもん!」
ドラえもん「あいたたた、心配で僕も来たんだけど、急に引っ張られるみたいだったから」
そこに清明が寄ってくる。
清明「うむ、君はのび太氏のお仲間だね、繰り返し詳しい説明をするのだが、のび太氏のくつを何者かに奪われたのだよ」
ドラえもん「ええっ、どういうこと」
そこに源氏も割って入る。
源氏「これはもとはといえば我らに起因するものなのだが、そもそも我らは都に居を構えているのだが、多少のいざこざがあってこの地へと移ったのだよ」
清明「そんな彼のためにわたしも時期ごとに連絡をして彼が復帰できるように力を尽くしたのだ。そんな折に君たちが来た。この世界を知り見聞を広めるために、といったところか」
のび太くんも、いまいち理解はできないでいたのだが、ひとまず頷くことにした。
源氏「つまりはそれを奇貨として、のび太氏のくつを奪ったのだね」
のび太「キカ・・・・・」
ドラえもん「ほら、チャンスとかいい機会といった言葉だよ」
清明「ともかくも君の靴を利用して何やらよからぬことを企んでいるやもしれぬ」
ドラえもん「それじゃ、清明さんはその人のことを知っているんですか」
清明「それなんだが、わたしの口からは詳しくは言えないのだよ、わたしもそれなりに力を持っているのだが、それだけに相手の力も少なからず持っていてね、うかつに口に出すこともできないのだよ」
のび太「ええっ、どういうこと」
ドラえもん「ほら、清明さんも何やら呪いを受けているってことかな」
清明「まったく、面目ない。しかし君も我が力に近きカラクリの力を持っているとあらかじめ読んでいたがね」
ドラえもん「あ、はい・・・・・」
源氏「そのカラクリの力がいかほどかは分かりかねるが、君たちがやりやすいようにわたしもできうる限り力を貸そう」
清明「もちろんわたしも同様だよ、そのためにここに来たのだよ」
のび太「は、はい、ありがとうございます」
源氏「さて、今日はもう遅いな、まずは一休みをしよう」
といったところで、ドラえもんを交えて今夜は一夜を明かすのだった。

そして次の日、館を後にして都へと向かうこととなったのび太くん。そこでまずドラえもんがのび太くんを“きせかえカメラ”で都人のスタイルに着せ替えた。その上で館を発とうとしたが、なんとタケヒコとスネヒコが近付いてきた。
タケヒコ「おーい、待てよのび太氏」
のび太「あれ、ジャイ、じゃなくてタケヒコ」
スネヒコ「やはりお前だけじゃ心もとないから、源氏さまのお言いつけで一緒に都に行くことになったんだ」
さらにはデキマロも現れる。
デキマロ「僕も源氏さまのお言いつけで力になれと言われたんだ。それに」
さらにデキマロが差したところには、女中仲間に見送られたシズネの姿もあった。
「それじゃあシズネ、くれぐれも気を付けてね」
「都といっても結構物騒だから、あんまり危ないところに近付いちゃいけないよ」
シズネ「うん、ありがとう」
仲間たちに見送られてのび太くんたちのもとに近付いた。
シズネ「遅れてごめんなさい、私も力になるからね」
のび太「ああ、うん、ありがとう」
そこに清明が近付き、のび太くんに何枚かの紙を手渡す。
のび太「これは、なんですか」
清明「うむ、これは先に見せた式神のもとで、きっと君の力になることだろう。それにこの貝も持っていきたまえ、いざという時に声を伝えるものだよ」
のび太「なんか電話みたい」
ドラえもん「のび太くん」
清明「うむ、まあそういうものだがね。ともかく、気を付けて」
源氏「都にはわたしのゆかりの者もいるから、声を掛けてほしい」
のび太「あ、はい・・・・・」
一礼の後にのび太くんたちは館を後にし、一路京へと向かうのだった。

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