ドラえもん・オリジナル大長編:のび太の源氏物語(その2)
さてみなさん、今回のドラえもんオリジナル大長編は・のび太の源氏物語の第2回ということで、源氏物語の主人公光源氏に助けられ、彼の屋敷にかくまわれたのび太くん、ひとまず屋敷の生活を送ることにもなる中、とある事件に巻き込まれるさまをここにお送りする運びです。はたしてどうなることやら、ひとまずはそれでは、ごゆっくり。
ちなみに前回のお話はこちら
ドラえもん・のび太の源氏物語
といったところで、あらためてごゆっくり。
“絵本入り込みくつ”にて『源氏物語』の中に入り込んだのび太くん。しかし森の中に迷い込み、さらにはそこに根付く山賊たちに襲われたりもするも、そこに一人の人物に助けられる。その人こそはかの光源氏だったのだ。
源氏「ここは都から離れた村の一つだけれど、わけあってここに屋敷を構えて暮らしているのだよ」
のび太「そこが源氏さんのおうちなんですね」
源氏「うむ、少し狭いところだが、ほとぼりが冷めるまでは休んでいきなさい」
と源氏に連れられて森の中を歩く。源氏は馬に乗っているのに対し、のび太くんは徒歩。つまりそのまま歩いているのだが、源氏もどこか近づきがたい雰囲気で、ひとまずはついていくだけでせいいっぱいだったのだ。
やがて少し広い屋敷にたどり着き、そこから二人の子供が迎え入れる。
源氏「今帰ったよ」
「ああ、お帰りなさいませ、ご主人様」
のび太「あれ、ジャイアンにスネ夫」
「何言ってんだ、おれはタケヒコという源氏さまの召し使いだ」
「僕はスネヒコという同じく召し使いだよ」
源氏「今夜はここでゆっくりしていきなさい」
と、源氏は屋敷の中に入っていく。
のび太「それじゃあ、お邪魔します・・・・・」
タケヒコ「おっと、お前はこっち」
タケヒコがのび太くんのえりをつかんで引き止める。
源氏「二人とも、彼のお世話を頼むよ」
「はーい」
源氏の呼び掛けにタケヒコとスネヒコの二人が返事し、のび太くんもそれに倣うのだった。
脇の小屋に連れられたのび太くん。たしかに昔ながらのたたずまいなのだが、ともかくのび太くんもその小屋の中に上がるのだった。
タケヒコ「おれたちはこの近くの村に住んでいるんだけどな、源氏さまが自分の世話をする召し使いにと、この屋敷に住まわせてくれたんだ」
スネヒコ「源氏さまはとてもお優しい人だからな、同じくお前も拾われたようだけれど、どこか頼りないんだよな」
のび太「なんか僕も源氏さんの召し使いになるのかな、早く帰らなくちゃいけないし」
「あら、この人は新しい召し使いの人」
そこにもう一人の女の子が入ってきた。手にはある程度の野菜も抱えていた。
のび太「あれ、しずかちゃん」
「えっ、私はシズネという源氏さまのお女中の見習いよ。さあみんなで夕げ(晩ごはん)のしたくをしましょう」
こうしてシズネの手料理で、野菜と雑穀(アワやヒエなどの穀物)のおじやで夕げをいただくのび太くん。その夜はタケヒコとともに寝ることとなった。
次の日、ニワトリの泣き声で目が覚めたのび太くんたち。
タケヒコ「おお、もう朝か、それじゃあ朝の仕事始めようぜ」
スネヒコ「うん、遅れるとお頭におこられちゃうからな」
のび太「あ、ええと、僕も行かなきゃいけないのかな」
タケヒコ「当り前だろ、おれたちゃまだ子供だから、モノを運ぶとか簡単な仕事しかできないけどな」
と、二人についていくのび太くんだった。そこに洗濯物を小脇に抱えたシズネが現れた。
シズネ「あら、ノビタさん、ちょうどよかったから私のお仕事手伝ってくれない」
のび太「あっ、はいはい」
と、二つ返事でシズネについていくのだった。
タケヒコ「ちえっ、調子いいなあ、あいつ」
ちょっとうらやまし気に見送るタケヒコたち。ややあって少し身なりのいい子供も近付いてきた。
シズネ「あら、デキマロさん」
のび太「あれ、今度は出木杉そっくりの子かな」
デキマロ「ああ、君が源氏さまに助けられた子だね。君も後でみんなと勉学に来ないかい」
のび太「ベンガク、ってなんか学校みたいだなあ」
シズネ「さあさあ、早く小川の方に行きましょう」
のび太「あ、はーい」
と、シズネについていき、小川にたどり着くのび太くんだった。そこでは小脇に抱えた着物を川の水に浸して、それを水でゆすいで洗う、数人の女の人たちがいた。
「あらシズネ、この子は誰だい」
「ほら、昨日源氏さまが助けたって子だよ」
「とにかくシズネ、あんたも早く入った入った」
シズネ「はーい」
と、シズネも着物を脱ぎ、胸を覆うさらしと腰巻姿のちょっとあられのない姿になった。
シズネ「これからこの着物の汚れを落とす仕事にかかるけれど、あなたもちょっと手伝って」
のび太「あ、うん」
と、のび太くんもくつと靴下を脱いで小川に入る。
のび太くんとシズネは水に浸した着物を足でゆすぐことになり、はじめ約10分ほどはシズネと一緒に足踏みをしていたが、次第に疲れて水の中に倒れ込んでしまい、ついには川に沈んでいく。溺れたのび太くんを助け出すシズネたち。
「あらあら、まだ時は立っていないのに、だらしがないわねえ」
シズネ「しょうがないわよ、この子は本当はお客人だけどちょっと人手が足りないので簡単なお仕事を手伝ってもらうことになったから」
「まあいいわ、ちょっと木陰で休んでもらいましょう」
と、のび太くんを木陰まで運び休ませてから、残りの着物を洗うことにした。
それからややあって、のび太くんはどこかの建物の部屋で横になっていたが、
タケヒコ「おい、起きろのび太氏(うじ)」
と、タケヒコに小突かれて目が覚める。
のび太「あれ、ここは、って何この着物」
いつの間にかのび太くんは洗濯の女中たちによって着物に着替えられてこの部屋まで運ばれたのだ。
デキマロ「やあお目覚めかいのび太氏、これから勉学をするけど、君はこの書に目を通すだけでいいよ。読むのはもっぱら僕の役目だから」
と、デキマロにならって巻物をひらく」
のび太「・・・!・・・・・?」
しかし、巻物の中に書かれているのはいわゆる崩し字であって、とてもじゃないけど読めるものじゃなかったのだ。
のび太「な、なにこれ、まるでミミズがのたくっているだけじゃない」
タケヒコ「おい、失礼なこと言うな、これでも源氏さまが書かれた書なんだぞ」
デキマロ「まあまあ、書を写したのは僕も手伝ったけどね」
シズネ「しょうがないわよ、文字なんて誰でも読めるわけじゃないから。ここは私がどう書いてるか教えてあげるね」
のび太「あ、はい、おねがい、シマス・・・・・」
と、シズネに寄り添われ、デキマロが読む書の文字をシズネの指を追って読むことになったのび太くん、途中気が遠くなりそうになるも、タケヒコに小突かれたりシズネやデキマロに気遣われたりしてなんとか目を通すことができたのだった。しかしほとんどがのび太くんにとっては理解しがたいものであったが。
こうして勉学の時間が終わり、タケヒコたちは部屋での自由時間と相成った。もちろんのび太くんもそれに付き合うことになるのだが。
ちなみにシズネは源氏の言いつけでお客人の出迎えに付き合うことになった。その際のび太くんの服も小川で洗い、タケヒコたちの小屋に置いたのだとシズネは言っていたが。
そもそも小屋の中には何もなかったので、ともかくも夕げまで昼寝と、横になろうとした。
のび太「あ~あ、物語の世界に入って源氏さんにお話を教えてもらおうと思ったのに、これじゃあちょっと割りが合わないなあ・・・・・」
ふと、傍らにたたまれていたのび太くんの服に目をやる。シャツやズボンはあるけど肝心のくつがない。
のび太「あれ、僕のくつは」
スネヒコ「何言ってんだ、お前の着物はシズネたちが洗ってここに置いたって言ったじゃないか」
のび太「でもくつがないよ、ここにないってことは、土間には、ああ、やっぱりない」
慌てて外に飛び出したが、やっぱりどこを探せばいいのからちがあかず、途方に暮れてしまう。
のび太「どこを探せばいいのか、これじゃあ元の世界に帰れないよお」
そんな時、馬上のある男の人がのび太くんに話しかける。
「おお、だいぶ困っているようだね。たしか、のび太氏とかいったが」
のび太「あれ、僕のことを知っているの、ってお兄さんは誰ですか」
「うむ、わたしは安倍晴明(あべのせいめい)という者で、おそらく君の力になれるやもしれない。君が他の世界から来たことも前々から調べていて、おそらくこの世界に起こる災難を解決できるかもしれないこともすでに調べをついているのだよ」
源氏「ともかくも詳しい話は屋敷で話そう、ついてきなさい」
のび太「あ、はい」
と、源氏たちに連れられて屋敷でこれからのことを話すことになったのだ。
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