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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラニコフ編・サーシャとふしぎな森(後編)

さてみなさん、今回のドラえもんズは、ドラニコフ編、サーシャとふしぎな森の後編パートをお送りいたします。
サーシャと一緒に“心の土”で森と友だちになれたものの、その森のおかげで村が大変なことになり、それを鎮めんと乗り込んでいく様をお送りいたします。
そもそもこのお話はドラえもん本編の『森は生きている』の巻と、ロシア民話のお話を合わせてお送りする運びでした。たしかにドラえもんのお話も人として生きることの大変さと重要さを描いたと同時にやはり最後は強引すぎやしないかといったもどかしさを感じ、今このお話を描くことで帰結させようとした狙いです。はたしてドラニコフたち、そしてサーシャは森とそこに住まう精霊たちをどう説き伏せるか乞うご期待、といったところで、それでは、ごゆっくり。

なお前回までのお話はこちら

ドラニコフ・サーシャとふしぎな森(前編)

といったところですので、あらためてごゆっくり。

ニコラたちの村の境界の森、サーシャのためにみんなが親しみやすい森にしようと、ドラニコフが“心の土”を使って森をよりよくしたのはいいけれど、しだいにサーシャのためだけの森になってしまい、やがては村中を霧におおい、村人を眠りに落としてしまう。
ニコラたちはサーシャはもとより村を解放せんと森に乗り込んでいくのだが。
フョードル「やっぱり“心の土”の効き目が強すぎたんじゃないのかな」
ニコラ「でも、森がサーシャを閉じ込めるなんて聞いてないんだけど」
ゴーリキー「今はともかく言ってる場合じゃない、こうなったら一刻も早くサーシャを助けないと」
こうしてニコラたちは村境の森へと足を踏み入れる。その際にドラニコフが“トレーサーバッジ改良版”を出して各々に取り付ける。
ニコラ「これでみんなの位置が分かるから、そうそう迷わないはずたって」
イワン「ほんとに大丈夫かなあ」
フョードル「ともかく、行くしかないよ」
こうして各自手分けしてサーシャを探すことになった。
ミハイル「とはいうものの、めぼしい場所といったら、やっぱり木の上なのかなあ。おーい、サーシャあ」
ミハイルが呼び掛けるうちに、通りかかったたつるに足を取られ、そのまま宙づりとなって樹の上に飛ばされるのだった。
一方のゴーリキー、サーシャを探そうと森じゅうを探し回ろうとするも、しだいに苛立ちをつのらせる。
ゴーリキー「まったくどこにいるんだよ、もうこうなったら木をかき分けて・・・・・」
そう言って木々をかき分けんとするのだが、なんとその木々にとらわれてしまい閉じ込められてしまったのだ。
フョードルもまた単独で行動していた、というか単独行動していたミハイルとゴーリキーと合流すべく先を急いでいたのだが。
フョードル「いざ森に入ってみたけれど、ここまで深くなっていたなんて、甘く見ているとこちらが迷っちゃうな。なんとしてもみんなでいっしょに行動しないと・・・・・」
しかし歩みを進めていくうちに、しだいに足取りが重くなっていくではないか。
フョードル「うん、なにか変だな、僕の足になにか、ああっ、僕の足が石に、うわっ、石が僕の体を」
フョードルの足元が石に覆われ、その石がだんだんと腰から胸へと体じゅうを覆い、ついには一つの岩の固まりになってしまったのだ。
そんな中、残されたニコラとドラニコフ、ふとニコラがあることを思い出した。
ニコラ「ねえドラニコフ、昔ママから聞かされたお話の中で、自然には一年の月をつかさどる精霊がいるっていうから、この森の精霊ってのを呼ぶ道具ってないの」
ニコラの言葉にドラニコフは大いにうなづき“心よびだし機”というひみつ道具を出した。
さっそくその道具で森の精霊を呼び出そうとするも、そこから出てきたのは数体の魂らしき物体だった。ニコラたちが呼び掛けんとしたその矢先、それらは森の奥の方に飛んでいったのだ。あわてて追いかけるニコラたち。
ニコラとドラニコフが駆けつけた先には、とらわれのフョードルたちと奥で眠っていたサーシャがいた。
「ようこそ、精霊の森へ、僕たちはご存知のとおりこの森を守る精霊さ」
ニコラ「ああ、サーシャにフョードル、それにみんな。どうしてこんなことに」
まわりには数人の人影が姿を現し、その中の代表として一人の精霊がニコラに近づいてきた。
「知ってのとおり、君たちが僕たちのために心の土とやらで力を与えてくれた。その中でサーシャは僕たちを大切に接してくれたんだ。だからこうして迎えたけれどね」
ニコラ「それじゃサーシャはどうなるの」
「決まってるさ、サーシャはこの森でしあわせに暮らすんだ。僕たちの力で何不自由なく生きられるはずだよ。もちろん君たちもね」
その言葉にニコラも一瞬とまどったが、やがて口を開いて応えた。
ニコラ「そんな、ただ食べて寝るだけじゃ意味ないよ。だって僕たちは人間なんたから」
「えっ・・・・・」
精霊も一瞬たじろいた。ニコラもありったけの勇気をふりしぼり続ける。
ニコラ「どう言っていいかわかんないけど、たとえば食べものを得るために畑をたがやして野菜やムギを植えたり、もちろん森から木の実をとったり、あと狩りでケモノの肉を得たりするんだ。これらもみんな自然に感謝しながらやってたんだよ。精霊さんも自然の一部だからわかるはずだよ。たしかに自然は厳しいところもあるけど優しいところもある。これらをみんな受け入れて人間も生きていたんだ、って父さんや母さんも言ってたんだ。でもこれだけは僕も分かる。自然に甘えてばっかじゃ人はダメになるって」
いろいろと述べたニコラに対して、突然つむじ風が巻き起こり、ニコラたちにおそいかかる。
「サーシャは渡さないよ。だってせっかく気持ちを通じあえたんだ」
さらに草のつるが巻き付いて大きな樹に張り付けられてしまう。
「きみが邪魔をしようなら僕らも容赦はしないよ」
ドラニコフもつるにかみついて脱しようとするも、さらに巻き付かれ結局動きが封じられた。
「これでおとなしくなったね、さあ君たちも僕らの仲間になるんだ」
二人ともつかまってしまったとき、ふとサーシャが目を覚ました。
「・・・ニコラ、ドラニコフ、それにみんな、どうして、こんなことに」
「やあサーシャ、ようやく起きたのかい。この人たちサーシャを僕たちから離そうとしたから、おとなしくさせたんだ」
とらわれのニコラとドラニコフ、そしてフョードルたちの姿を目の当たりにして、サーシャはニコラたちのもとに駆け寄っていく。
サーシャ「お願い、もうこんなことはやめて。私のためといっても人をしばり付けるのはまちがっているわ」
「え、でもこれもきみのために・・・・・」
サーシャ「もともと人と森はちがうものだから、そのちがいを受け入れてどちらも付き合っていたはずよ。たしかに人も暮らしやすくするために森を手入れしていたけど、それでも森を大切にしたつもりよ。あと私たち人間だって、生きるために働いたり狩りをしたりするけど、時には体も休めなきゃいけないの。でもだからといって休んでばかりじゃ人はだめになっちゃうから」
サーシャの必死の説得で、精霊たちは次第に気を落とし、それにともなってニコラたちをとらえたつるも外されていく。
「僕たちは、まちがっていたのか・・・・・」
サーシャ「・・・もちろん、今までもてなしてくれたのは、本当にありがたかったわ」
「・・・でも、約束して、きみたちが、これからもこの森を大事にしてくれるなら、ぼくたちもそれなりに応えてみるよ・・・・・」
こうして精霊たちは天に昇り、いつの間にか霧も晴れ、雲一つない青空が広がっていた。

あれから何日かがたった頃、季節はすっかり秋を迎え、その後で長い冬に備えるために村の人々もせわしなく働いていた。その中で、ニコラとサーシャ、そしてドラニコフは久しぶりに森の小道を歩いていた。
ニコラ「あれからずいぶんたったけど、あの事件もまるで夢のようだよ」
サーシャ「うん、本当に夢を見ていたかもしれないわね。わずかばかりの楽しい夢を」
ニコラ「そうだね、勉強や家のお仕事は実際疲れるけど、本当に疲れた時はまた森で一休みするのも悪くはないね。あっ今はまだ疲れていないけれど」
ドラニコフもひと吠えしてニコラに応える。サーシャも微笑みかけたその時、周りに風が吹きかけた。
サーシャ「うん、私は、大丈夫だよ・・・・・」
ニコラ「あれ、どうしたの、サーシャ」
ニコラたちは目の前をいくらか進んでいた。
サーシャ「ううん、何でもない」
再びニコラたちに駆け寄ってから再び歩を進め、時折あの精霊たちが昇った空を仰ぐサーシャだった。

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