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うる星やつら・オンリーユー2022(その5)

さてみなさん、今回のオンリーユー2022は、あたるとの結婚式が近付く中、弁天ら仲間たちがそれを妨害しあたるを取り戻さんと奔走するさまをお送りする運びです。はたしてどんな展開になるか、それでは、ごゆっくり。

ちなみに今までのお話はこちら。

その1

その2

その3

その4

ということになっております。それではあらためてごゆっくり。

今より少し前、地球の公園で戯れる男の子と女の子がいた。男の子は女の子を追いかけ、ついには女の子の背中に迫った。
「ふーんだ!」
「え、ほんとに、そう・・・・・」
すまして応える女の子、すると女の子の頭上に巨大な物体が舞い降りる。
「私の星では、影を踏むと結婚の約束をしたことになるの、でも今はその時じゃないから、また10年後にお迎えに来るから。それまで待っていてね」
女の子はその物体に吸い込まれ、やがて空の彼方へ飛び去った。そこに一輪のバラを残して。男の子は茎のトゲに気を付けつつ、そのバラを手に取り空を見上げる。
「10年後か、その時おれ、大人になってるな・・・・・」

戻ってバラ星、そこでは女王エルの結婚の儀で多くの観光客でにぎわっていた。もともとバラ星は観光業で生計を立てていて、中にはよくない噂も立っているものの、そこに住む種族の事情もあれ、旅行く男たちの中にはそこに腰を据えて女たちと結ばれる者も少なくなかった。

そんなバラ星首都近郊の繁華街にて、あの七化けのロゼがなじみの酒場で上機嫌に酒を飲んでいた。
「ちょいとローさん、あたしが言うのも何だけど朝酒は体に毒だよ」
「これが飲まずにいられますかってんだ、一仕事終えた後での一杯はこたえられないさね」
「でもローさんが連れてきた男、ちょいと頼りなさそうだけど何せエル様が選ばれたんだ。まったく10年越しの恋の相手だ、まったくロマンチックだねえ」
「そうその恋の相手、ちょっと手違いがあってお叱りを受けたけど、まあ一番の大任だ、こうして肩の荷が下りて、あらためてこうやって祝い酒を・・・・・」
ロゼの視界に窓越しで一人の黒い衣をまとった女性の姿が映し出されるや、先の上機嫌から一変して表情を引き締める。
「おや、どうしたのローさん」
「ちょっと急用を思い出したんだ、勘定はここに置いとくよ」
と、酒代をテーブルに置き酒場を後にする。
「まいど、でも工作員さんも大変だねえ。また新しい仕事かい」
そんなロゼもその黒い服の女を追いかけると思いきや、
「奴らの狙いは王宮だ、そこの守りを固めて待ち構えるか」
と、王宮に向かう。その途中、一人の男とすれ違うのだが、それにも気を留めず歩を進めるのだった。

ややあって、外れに停泊していた一機の宇宙船内にその黒い衣の女が入っていた。
「おう、どうだ星の様子は」
「街中観光客でごった返しているけど、王宮エリアには関係者以外立ち入りが許されていなくて、結構警戒厳重だったわよ」
と、マントを脱ぎ捨てたランが弁天に応える。やはり先日の宇宙戦での敗北を受け、今回結婚式にてあたるを奪還させんとする計画を実行せんと乗り込んでいたのだ。
「ヘッ、上等じゃねえか、それでこそブチ破りがいがあるってこった。すでにおユキとレイが乗り込んだっていうから、そろそろあたいたちも行こうぜ」
「ええ、ほんとに行くの」
「あったりめえだろ、このままエルって奴にでかい顔させてたまるかって言ってたのはおめえだぜ」
「そんなこと言ったってぇ」
「うだうだ言ってねえで早く行け、もう時間がねえんだぞ」
と、ランを急かす弁天。
「それじゃあ、いっちょひと暴れすっか」
と、船内の隆盛号に乗り込むのだった。

一方王都市街地にては兵士たちが観光客でごった返す群衆を誘導していた。
「こちらシティガード、これより先は一般の方の立ち入りはご遠慮願います。なお結婚式の模様は中央ビジョンにてお送りいたします・・・・・」
そこに王都の中央司令棟から数機の飛行艇が飛び出していく。
はたして弁天の隆盛号が上空を飛び回ってたのだ。
「おあつらえ向きにいっぱい来やがったな、そら、もっとついてこいよ」
色付きの煙を吐きつつ、飛行艇をおびき寄せつつ飛び去っていく。

司令棟の中枢司令室にて、中央モニターにババラの顔が映し出される。
「いかがした」
「はっ、先ほどエアバイクを乗り回し上空を飛び回る輩を追跡しております」
隊長格の兵士がババラに告げる。
「やはり、来おったか、これはかの鬼娘の親友の福の神族の娘、いずれ鬼娘もエル様のもとに乗り込もう、重ねて王宮の守りを重ねよ」
ババラが支持を出すや、続いて報告が成される。
「繁華街にて巨大な怪物が店の食べ物を喰いつくしております」
モニターに食い物を食い散らかしているレイの姿があった。
「できるだけ取り押さえておけい」とババラが言い渡す。

一方王宮内の結婚式会場、無数の参列客が見守る中、前方の両端からそれぞれ男女が姿を現す。ウェディングドレスに身を包んだエルと、白のタキシードに身を包んだあたる。しかしあたるは先に施された催眠術で未だ意識はもうろうとしたまま、しかしそのたどたどしい足で会場中央の祭壇へと向かうのだった。
やがて二人が祭壇部へと足を進め、進行役の祭司が告げる。
「これより、女王エル様の結婚の儀を執り行いまする」
これによりエルも確信する。
『この時をどれだけ待ったことか、これで、ハニーは、私のもの・・・・・』

しかし王宮内ではささやかな侵入者が紛れ込んでいた。
「貴様、何者だ、よもや鬼娘の仲間か」
数人の兵士が誰何する。いくらかの銃口がおユキに向けられた。
「いきなり銃を向けるなんて、しょうがない人たちね」
おユキが軽く息を吹きかけ、兵士たちはたちまち氷漬けになる。
「冷凍室は、その先ね、ランは洗脳室をお願い」
「は~い(やっぱ怖いよな)」と、しのぶたちがとらわれている洗脳室へと足を運ぶ。

戻って指令室にて、ふと王宮の様子を思い起こし、ババラがまず洗脳室に連絡を入れる。
「洗脳室、そちらの方はどうか」
「はいはいこちらは異状ないですよ、ただ若い娘さんが閉じ込めた子たちを解放していますが」
「何じゃと、お主ら何をしている」
ババラの問いかけに洗脳室の兵士はただお茶を飲んでたたずむのみだった。
「ほんに、お茶がうまいですのう」
その一方で洗脳カプセルの扉を開き、しのぶたちを解き放つラン。
「ヘッ、女の若さを吸い取っても面白くもないわい」
と悪態をつく一方、
「どうやら洗脳はしていないようねえ、ほら、目を覚まして」
と、覚醒ボタンを押す。はたしてしのぶたち三人は目を覚ます。
「え、なに、私たち、どうしたの、って・・・・・」
「何だこれは、私らを連れ出した兵士の服ではないか」
「おう、何だよこれ、いつの間におれ、こんなチャラチャラをした格好して」
「許すゎーん!」すかさず親父が兵士の服にうろたえる竜之介に殴りかかる。
「やい、何すんだクソ親父」
「父は、許さんぞ、このようなチャラチャラとした格好をしおって」
「おれだって好きでこんな格好してんじゃねえ」
「ともかく許さんぞ、我が一人息子たる者、このような惰弱な姿をさらすとは」
「おれは、女だーっ!」すかさず親父を殴り飛ばす。しかし親父も反撃に転じ、ひとまずの親子喧嘩にもつれ込む。
「うーん、まったくひどい目に遭ったな」
さらに温泉マークたちも冷蔵庫から解放されてか洗脳室へと足を運んだ。
「親父が駆け込んだ先を追ってみれば、なんだしのぶとサクラさんと竜之介、それにランさんもいるではないか」
「そういえば錯乱坊はどこかに行ったきり姿を見せないし、面堂はどこか別の部屋にいるっておユキさんが言ってたな」と、サトシ、コースケらがぼやきつつ部屋に入る。

その面堂、かの氷柱から解放されはたして目を覚ました。
「・・・ん、うん、う、わ~ん、暗いよ~、せまいよ~、こわいよ~!」
いきなり閉所恐怖症と暗所恐怖症の発作を起こしかけるも、おユキの姿を見かけるや。
「ああ、おユキさん、どうしましたこんな所で」
「お目覚めのようですね、面堂さん、ひとまずランのもとに参りましょう。ほかの人たちもじきに目覚めますので」
「ええ、はい、ただちに」
と、洗脳室へと足を運ぶおユキと面堂、立ったままそのまま移動するおユキを面堂が駆け足で追いかけるかのごとくだったが。

「もう、いいかげんにせんかい」とサクラがしのぶと力を合わせ親父を叩き伏せ、その一方でランがコースケたちに武器を渡す。
「はい、ここから先危なっかしそうだからこれ使ってね」
「使えってたってこりゃバズーカ砲だな」
「どうすりゃいいんだよ、まさかこれで結婚式場に殴り込もうと・・・・・」
そこにおユキと面堂が駆けつける。しかしそれを同じく解凍された男たちが追いかけてくるではないか。
「げっ、何じゃこりゃ」
「面堂さんを解き放ったら同じくこの人たちも」
「何してくれるんじゃおんどれ」
抗議しようとするランだったが、面堂の姿を確認するや。
「はーい、面堂さんにはこれね」と、愛想よく面堂の愛刀を手渡す。
「ああ、これは僕の刀、これはありがたい」
と、迫り来る男どもに立ちはだかる。
「エルが僕らを差し置いて結婚だって」
「誰かは知らないが血祭りにしてやろう」
「このまま散々待たされて二号にされてたまるか」
「お前なんかまだマシさ、僕なんか300号だぞ」
と男たちが口々に恨みの言葉を述べるが、
「この刀、諸星以外の者に使うのは気を引けるが、ここに至っては致し方がない」
迫り来る男たちに刀を抜いて一閃、再び刀を収めるや、男たちは一斉に倒れこむ。
「安心しろ、峰打ちだ」
しかし男たちに続いて、今度は兵士たちが駆けつけてきた。
「そこまでだ狼藉者たち、エル様の邪魔建てはさせんぞ」
「ああ、皆さんどうか落ち着いて、今僕たちができるのは戦いではなく、愛し合うことで・・・・・」
「アホかーっ!」と、コースケらがバズーカの胴で面堂の頭を打つ。
「しかしどうすればいい、これで吹き飛ばすのも気が引けるし」
「だったら、おれに任せろ」と竜之介が一歩踏み出す。
迫る兵士たちに一人ずつ当て身で気を失わせ、気が付けばほぼ全員倒すことができた。
「おれは女は殴らねえ」
しかしさらに、あのロゼまでもが現れたのだ。
「やはりおまえたちか、せっかくのあたしの大手柄だ、ここで邪魔をされてなるものか」
その長身の女兵士に誰もがたじろく中、今度はサクラが踏み出すのだ。
「お主らではこやつは荷が重すぎよう、ここは私に任せい」
と、しのぶたちを先に行かせて自らがロゼに立ちはだかるのだった。

そして王宮近くのブロック支柱、そこに現れたのは我らがラム、
「みんなうちのためにがんばっているっちゃね」
そこに1機の警備艇が近付いてきた。
「おいそこのおまえ、ここは立ち入り禁止エリアだ、って貴様は件の鬼娘っ・・・・・!」
その警備艇から体を乗り出した兵士をハンマーで殴り倒して支柱内にぶち込んでからその艇に乗り込んでいく。
「待っててダーリン、今うちが行くっちゃよ」
こうしてラムの警備艇が王宮めがけて飛んでいくのだった。

つづく

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