うる星やつら・オンリーユー2022(その2)
さてみなさん、今回のうる星やつら・オンリーユー2022は、あたるとエルの突然の婚約発表に対し、ラムたちも手を討たんとし実行に移す様をここにお送りする運びです。はたしてラムは得るの結婚を阻止できるだろうか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回のお話はこちら。
「なるほどな、あのアホのやりそうなことだぜ」
その日の夕方近くの牛丼屋にて弁天と顔を合わせたラム。
「もうどうしたらいいのか、うちも何がなんだかわかんなくなったっちゃ」
牛丼をかっ食らいながらラムの愚痴を聞いた弁天も、お茶で口を潤してから、
「何言ってんだ、喧嘩は先手必勝って言うだろ」
「えっ」
「奴らより先におめえとあたるの結婚式をとり行えば、既成事実ができで手を出せなくなるってわけよ」
「そうけ、その手があったっちゃね、ありがとう弁天」
弁天の手を取って、ラムは感謝の意を伝える。
「わかったわかった、それなりの手はずも調えておくから、おまえはあたるの方を何とかしてくれ」
「うん、わかったっちゃ」
と、ラムも牛丼屋を後にし、弁天も続いて席を立つ。しかしこの様子を見届けた人影がいたのだ。
その後
面堂邸本宅地下にて面堂があたるの人形にて試し斬りの修練を行っていたその時、
「若!」
「どうした、騒々しい」
「今しがた邸内に未確認の飛行物体が、ぐわっ!」
ちょうど面堂家のSPを踏みつぶすように、弁天の隆盛号が降り立った。
「な、あなたは、弁天さん」
「おう面堂、これから結婚式に参加してもらうぜ、ついてきな」
「ええっ、結婚式って、一体何の・・・・・」
と、返そうとする面堂をチェーンで絡め取り、そのまま飛び去っていく。
「次はオカッパ(しのぶ)だな、それからコースケとサトシにサクラ姐、そして竜之助か」
こうして、弁天があたるの仲間たちを引き連れている間、諸星家では、
「ねえあたる、おまえ本当に結婚するのかい」
「うん、どうやらそうなるみたい」
母の切り出しにあたるもそっけなく応える。
「それじゃあたる、おまえは高校生なんだよ、今結婚されちゃ、母さんの老後はどうなるのよ。もうお父さんも何が言って下さいな」
母に促され、父もあたるに向かい表情を引き締める。
「あたる、結婚式となればどれだけのお金がかかるかお前には分かっているのか。お前がどうするかはわしもわからんが、ローンだけはやめておけよ」
何故か食卓で夕食をとっていた錯乱坊が一言、
「さだめじゃ」
すかさず母がちゃぶ台を取り上げる。
「こ、これ奥方、そう当たり散らしても仕方がなかろう」
「うるさいわね、ところで何であんたがうちで夕食をとってるのよ」
「うむ、拙僧も此度の騒動を受けてあたるに一言言うために参ったのじゃが」
「だったら言ってあげなさいよ」
母に言われて錯乱坊も重い腰を上げる。
「これ、あたる、お主本当にエルとやらと結婚するというのか!?」
「そうなっちゃったからしょうがないだろ」
「と、申しておる」
「この、役立たず!」
ついにはちゃぶ台を錯乱坊に叩きつける母。その時だった。
「おまたせー」
「な、なんだよラム、今さら何の用だ」
唐突にラムが窓の外から現れたのだった。
「もう、つれないっちゃね、これからうちとの結婚式が控えてるっていうのに」
突然のラムの言葉に、あたるも一旦戸惑いつつも、やがて神妙な口調で返そうとする。
「・・・ラム、お前との付き合いは決して悪くはなかった。しかし俺はこれからエルと結婚して幸せに暮らすんだ。だからお前も、お前自身の幸せを・・・・・」
そのうちにラムが後ろに隠し持った衝撃波ハンマーをあたるの脳天に叩きつけ、あたるはそのまま気を失う。
「うちの幸せはダーリンとともにあるっちゃ」
「ラ、ラム、これは、いったい」
「これからうちの星に行ってうちとダーリンの結婚式を挙げるっちゃ。そうなればエルって奴も手は出せないっちゃ」
二人を気遣う母にもラムは告げる。
「もちろんお母さまやお父さまもご一緒だっちゃ」
こうして気を失ったあたるはもとより、あたるの両親、そして錯乱坊もラムの宇宙船に連れていったのであった。
一方弁天の方も、しのぶやサトシらを連れ込んで最後、今やマブダチとなった竜之助のもとを訪れる。
「なるほど、あたるとラムの結婚式を挙げてエルって奴の企みを邪魔するってわけか」
「ま、既成事実さえ作りゃあとはこっちのもんさ」
「よし、おれも乗った、その結婚式、参加してやろうじゃねえか」
話がまとまったところにちょうど宿直の温泉マークが顔を出してきたが、
「おい藤波、何か騒がしいが一体どうした、げっ不良娘」
弁天の姿を見て退散しようとするも、
「よおしおめえも来い、一緒にラムとあたるの結婚式を祝ってやろうぜ」
ということで、チェーンで絡めた温泉マークとともに竜之助も弁天に同行することとなった。しかし、
「おいクソおやじ、なんでてめえまでもくんだよ」
「そうつれないこと言うな竜之助、我が子が心配でついてきてやったのに」
「ウソつけ、どうせ宴会目当てだろう」
「まあついてきちまったのは仕方がねえ、このままいっちまうぜ」
と、弁天の隆盛号は一路ラムの宇宙船へと向かって行く。
そしてラムの宇宙船にて。
「おうラム、そっちはうまくいったようだな」
「うん、このまま父ちゃんの母艦に向かうっちゃ」
というわけで、連れ出され同行した各員の喧騒をよそに、宇宙船は地球を後にするのだった。
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