うる星やつら・オンリーユー2022(その1)
さてみなさん、今秋放映が開始された『うる星やつら』
往年のファンも最近見始めた若人のみなさまも、ラムとあたるのみずみずしくも激しい活躍に心を躍らせた方も多いことでしょう。
さて今回お送りするのは、旧アニメ版のヒットを受け83年に劇場公開されたオリジナル作品『うる星やつら オンリーユー』
かつて子供の頃にあたると結婚の約束を交わした謎の美少女エル。あたるをめぐってのラムとエルの熾烈な争奪戦を現在放映中のアニメの作風にあわせてアレンジしながらお送りする運びです。
なおこの作品は個人の創作作品ですので、放映中の原作うる星やつらとその関連サイト等とはひとまず関連はないことをご了承ください。
以上のことを踏まえ、それでは、ごゆっくり。
ある日の朝、宇宙人らしき配達人が、友引町の界隈を何かの手紙を配達して廻っていた。それは何かの招待状だった。
後の友引高校にて、何故か一人で登校したあたるをコースケとサトシが食ってかかる。
「あたる、一体どういうことだ説明しろ」
「ちょっと待て、いって何がどうしたというんだ」
「とぼけるな、この招待状はどういうことだと聞いてるんだ」
続いてしのぶと竜之助も食ってかかる。
「ちょっとあたる君」
「おい、あたる」
「や、やあどうしたの二人とも、そんな怖い顔して」
「今さらとぼけんな、今朝がた手紙が届いたと思ったら、おめえの結婚式の招待状じゃねえか」
竜之助が取り出したのは件の招待状だった。
「結婚式の招待状というだけなら今さら驚かないつもりだったけど、問題なのはその結婚式の相手の名前なの。エルって誰なの!?」
しのぶたちにもにじり寄られてたじろくあたるのもと、今度は面堂も刀を握り現れる。
「諸星、いままでラムさんに対する不実の数々。そしてさらに一人の女性を荊の道へと歩ませんとするとは。もはや腹に据えかねた、そこへなおれ、今日こそ刀の錆にしてくれる」
「だからちょっと待て面堂、その結婚ってどういうことだ、エルってのも何者か、俺にはどういうことだか・・・・・」
「問答無用!」
今まさに面堂が斬りかからんとしたまさにその時、一閃の電撃が走る。
ついにラムも現れるその表情は静かな怒りを秘めていたのは言うまでもない。
「ラ、ラム・・・・・」
「ダーリン、今朝がたうちの宇宙船にもこんな手紙が送られたっちゃけと」
ラムの手にも件の招待状が握られていた。そこにテンちゃんが現れて、
「今朝がたあたるの知り合い全員にこれが送られたんやで。ラムちゃんかいながらいい度胸やな、というかほんまアホやなお前」
周囲をよそにあたるに寄り添うラム。
「な、なあラム、今回のことは俺も何がなんだかちっともわからないんだ。あったとしても子供の頃のことだから・・・・・」
「・・・うちも、ダーリンのこと、今でも信じてるっちゃ。だから・・・・・」
「だろ、俺もラムのことを・・・・・」
「・・・だから、ダーリンの、ばかあぁぁぁぁっ!」
ついにラムの電撃のおしおきが炸裂した。しかし謎の一喝にてそれが打ち消される。
「静まれ!」
それは端正な顔立ちの老婆であった。
「婿どのに対し重ね重ねの狼藉、わしはバラ星雲バラ星星間王国女王エル・ド・ローゼンバッハ24世さまの乳母ババラ」
突然現れた謎の老婆ババラに、ひとまずあたるを置いてラムが詰め寄る。
「そのバラ星のおババが何の用たっちゃ」
「おババではなくババラじゃ」
そのラムにババラも不敵に応える。
「この度エル様が17歳を迎え、正式に婿を迎えることとなり、諸星あたる殿をお迎えするに至ったのじゃ」
ババラの宣言に一同騒然となる中、再びラムがあたるに詰め寄る。
「うちという者がありながら、まさか何年か前にも浮気をしてたっちゃね」
「まだラムと出会う前だからね、ってそんなこといってるわけじゃないわ、どういうことあたる君」
ついでにしのぶも詰め寄ろうとする。
「いや、俺には何がなんだか・・・・・」
しかし詰め寄るラムとしのぶをババラが杖で制する。
「退がりおろう小娘ども、これは10年前よりのいにしえの誓いによるもの、邪魔立てはさせぬぞ」
「ダーリンにはうちがいるっちゃ、むぐっ・・・・・!」
言い返そうとするラムにババラの杖がラムの顔面を小突き、呪縛を施す。
「この広大なる宇宙に冠たる美しさを誇る我らバラ族、その頂点に立つ我らが女王エル様に加えれば、お主らなぞ月と鼈(すっぽん)じゃ」
「ふんぐうぅぅぅぅ・・・・・!」
そんなラムも顔の呪縛を引き剥がすように解きつつ、なおも返そうとする。
「ともかくうちをないがしろにするのは許せないっちゃ」
ババラに向かって電撃を放つも、ババラの掌に封じられる。
「お主ら鬼族のことは先刻承知よ、この程度の電撃なぞきかぬわ」
やがてババラが放つ衝撃波にて吹き飛ばされるラム。
「ともかくも、この度のエル様のご婚礼、明後日に正式にお迎え申す。なお正式に参列を望む者は、この校舎の内庭に集うがいい」
そう言いつつ、ババラは飛んできた小型飛行艇に乗って空の彼方へと飛び去っていく。
残された一同、体勢を整えたラムはともかく、あたるの方はこの期に及んで未だに状況を掴みきれていなかったように見えるが。
「・・・ダーリン・・・・・」
「・・・ラ、ラム・・・・・」
「本当にそのエルって奴と結婚するのけ・・・・・」
「うーん、それも面白いかもしれないなあ」
相変わらず受け応えも能天気だった。
「う・・・ダ、ダーリンの、ばかあ~っ!」
ついにラムもはるか空へと飛び去っていった。
その一連の騒動を、保険医のサクラが内庭にてラムが去った空を見上げて一言、
「それにしても宇宙は広い。ラムのほかにも物好きがいようとは」
見上げた空には雲ひとつなかったが、それが更なる風雲をもたらすと誰もが予想せずにはいられなかった。
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