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モノ社会の宿業:こわれやすい感性<本当は怖いドラえもん>

人がつくったモノは必ずこわれてなくなってしまう。これはあらゆるモノに必ず起こりうることである。このことをふまえて、ドラえもんのお話では何かとこわれやすいひみつ道具を通じての問題点やら趣旨やらを探っていきたい。
一概にドラえもんのひみつ道具のいくらかが、使っていくうちに故障、すなわちこわれてしまう事象が見受けられる。

その代表例としてまず『いやなめメーター』について述べたい。
その日もイヤな目ばかりにあったのび太くん。そこで“いやなめメーター”なる道具を出してもらい、イヤな目にあうごとにメーターからおカネを出してもらうことにした。ところが使ってみたら肝心なときにすぐこわれてしまって結局役には立たなかったそうな。
まずこの道具は、昨今(当時)の精密機械を使った道具ということとでささいなショックでもこわれやすいものだということ、そもそもお話がご多分に漏れずおカネが絡んだお話だったこともあってか、うまく使えなかったオチにもつながったのだろう。
続いて多くの道具に共通することだが、ボタンの押しすぎでこわれたという場合がある。
当時押しボタンといえばいわゆるアナログボタン、大まかな説明にてまず一回押してからすぐ戻るもの、一回押してからもう一回押して戻るもの、あと別のボタン(たとえば切ボタン)で戻るものがある。それが何らかの入力上のトラブルで、たとえばあちこちスイッチボタンを押しまくったせいでボタンが動かなくなった。当時の科学技術に反映された道具がこわれるのはこれが大半の原因だろう。
このように、こわれやすいものだからこそ、何事も大切に使うべきとこれらのお話は諭しているのだと読めるけれど、次に挙げる事項もやはり見逃せない。

それは後期あたりのお話で、ドラえもんの大半のひみつ道具は実は試供品やら使い捨ての品であるという事項である。
試供品といえば試しに使用して気に入れば正式に購入するきっかけを作るモノでもあるはずだった。それがドラえもんに至っては、たしかに不思議で役に立つ道具だが、どこか品質、すなわち耐久性において、もっといえばこわれやすいものばかりだったのだ。これは気に入ったらというレベルにはとうぜんいかず。その理由はドラえもんの送り先たるセワシくんの家がビンボーとまではいかずあまり裕福ではなく、さらにいえば妹ドラミもある程度の職に着いてはいるが彼女の財布もお堅いといった事情もあり、ちゃんとした品質の純正品が買えずじまいといった事情さえある。
そんなこんなでこれらの事情も、ことに藤子F先生の“こわれやすい”に対する感性にもつながっているかもしれない。

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