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第15話:姫君と騎士たち(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、今やさまよえる難民と化したジオン残党の家族たち。安住の地を求める彼らの安全のために奮戦する者たちの活躍を描く運びとなりました。そして今までの争乱にケリをつけんとする者の想いをここにお送りする運びでもあります。それでは、ごゆっくり。

ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。

イントロダクション

第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)

第2話:生きるということ(その1)

第3話:継ぐものたち(その1)

第4話:月で待つもの(その1)

第5話:ガンダム、行きます!(その1)

第6話:忘れられた地で(その1)

第7話:古き友来たる(その1)

第8話:老兵は語らず(その1)

第9話:リッド奮戦
(その1)

(その2)

(その3)

第10話:宿敵の刃
(その1)

(その2)

(その3)

第11話:望まれし子
(その1)

(その2)

(その3)

第12話:アルセス・リターンズ
(その1)

(その2)

(その3)

第13話:蠢くものたち
(その1)

(その2)

(その3)

第14話:父と娘と
(その1)

(その2)

(その3)

それでは本編をば、あらためてごゆっくり。

 

オットー=ミダス
独立機動部隊ロンド・ベル所属、ネェル・アーガマ艦長として、ラプラス戦役を戦い抜いた古強者である。
しかし現在、とある理由で軍籍を離れ隠棲している彼が、同じく隠棲生活を送っているミコット少尉を通じて、オデッサ郊外の某所にてキッカと会談を取り付けることとなった。
某所の酒場~連邦軍兵士のなじみの店ながら主人が会談の場を取り繕った~にてキッカがクムとライエルを伴って訪れ、敬礼で迎え入れたミダスにキッカたちも敬礼で応える。
早速ミダスが話題を切りだす。
「やはり、残党狩りと称しての難民狩りなのですか」
「左様です、大佐」
ミダスの出したお茶に口を潤しつつ、彼が提示した問題についてキッカが応える。
ラプラス戦役、地上トリントンの惨劇を受け、蜂起した旧ジオン軍残党の家族子弟が、これ以上の抵抗を断念し、一部の遺族が安住の地を求めてジオン共和国へと移住を決めた矢先、先述の残党狩りと称してのいわゆる人狩りが横行していたのだ。
「まさか、彼らが先の戦役にてネオ・ジオンに加担したのは事実だとしても、その親族にどのような罪が・・・・・」
キッカはふと言を止める。そういえば一年戦争後の情勢〜残党狩りにかこつけての復讐~長じてティターンズの勃興につながったこと〜を考えれば何ら考えられぬことでもなかった。
「まったくですな、歴史は繰り返すといいますが、彼らの帰順についてもいくらか問題もあるとはいえ」
「・・・ここはセイラさんやミネバ姫にも働きかけてはみましたが」
一旦紅茶で潤してから感慨するキッカに、ミダスも同意の言を述べる。
「そうですな、しかしその点に関してはあせることもありますまい。当面はそれら暴徒について注視すればよろしいのですが」
「ミダス艦長は何かお気づきなことがおありですか」
紅茶を含みつつミダスも応える。
「それは大佐もご存知ではないですかな」
ふと、キッカの脳裏にあの不敵な若者と、血気盛んな少女の顔が思い浮かぶ。
「そうですね、我々もできるだけ見守っておきましょう」
「そうですな、先の事件にて我々もいろいろ知りすぎたということて半ば軍を追われている立場ゆえ、表立った行動もままならないのですが、こうしてこの重要な情報をもたらしただけでも肩の荷も降りました」
「それは何よりです。ですがこれからのこともありますのでどうかお気をつけて」
「なんの、我が部隊も備えは怠りありません。ところでどうです、お茶をもう一杯」
「はい、いただきます」
と、差し出されたティーポットに自分のティーカップを差し出す。最後はささやかなティータイムを過ごして。会談は平穏に済ましたのだった。

「やはり、君も赴くのか、ジュドー」
月のグラナダ、財団支部に赴いたカミーユも旧友ジュドーに問いかける。
「ああ、アフリカ当たりで調べをつけたいんだ。知り合いも苦労しているから」
「それはいいんだが、あれが使えない以上、それに準ずる機体も用意できるんだが」
もともと試作機でありかつてジュドーの愛機だったダブルゼータ、戦役終結後にアナハイムに返還され、次世代機の研究開発のために解体されたのだ。
「なに、そうそう大規模な戦闘も行われないようだから、今のやつで事足りるさ」
「そうか、君にもしものことがあれば今後の計画に支障もあるから、くれぐれも気を付けてくれ」
軽くうなづきつつ、ジュドーは支部を後にする。残ったカミーユも本社への帰途、ふと天を見上げつつつぶやく。
「真に必要なのは人が生きるべき処、か、それに比べれば、ニュータイプの件など取るに足らないな、フォウ」
一方のジュドーも、輸送艇が待つ宇宙港に向かう途上、誰かにでもなく語りかける。
「今人々は疲れ切っている。次の歴史のためにやはり休みが必要ってことかな、そのために俺が一肌脱がなきゃ、そうだろう、プル、ハマーン」
おそらくは今までの自身の戦いは無駄になるかもしれない。しかし新たなる時代のためならば、これも望むところだと、カミーユもジュドーも思っているのだったが。
いずれにしてもこれで一つの時代が終わる。それを想えば感慨すら覚え、ひとまずはそれに心を委ねてもいいと思っていた。いずれ続いての行動も起こさねばならないにしても、であるが。

一方某海中の潜水艦にて情報を整理するミコット。そこにはミヒロがひそかにミダスの命を受け現在の状況を伝えに来てそのまま彼女の協力を担っていた。
そもそもが戦役時から仲が良く、ミコットがミネバ側についてもそれは変わらなかった。
「どうかしら、状況は」
「はい、前よりもひどい状況で彼らを金づるにして儲ける人たちも後を絶たないようです」
今までに戦役で人の死を目の当たりにし、今まさに多くの人が危機に陥ろうとしている中でミコットの心も痛む。それをミヒロが、そしてミネバも理解して、彼女をサポートをする形で今回の護衛計画を進めることになる。
加えてミヒロが一つの提案をする。
「いわゆる私兵集団の中でも実力のある人たちに計画の実行を持ち掛けたらどうかしら」
「それは、一体」とミヒロの提案に説明を求める。
「いずれもキッカ大佐も認めた人たちよ。ことに一方のリーダーがかのビスト財団ともつながりがあって、アルベルト氏ともいくらか戦力の提供もあったから」
ミコットも得心する。それらは彼女も知り得ていた者たちだったのだ。
「そうですね、その人たちとコンタクトを取れれば」
「もっともそちらの方も彼を寄越して対策にあたるんでしょう」
「はい、そこはタクヤやジンネマン艦長が当たっていますから」
「いずれにしても一安心だけれど、それだけに作戦は一刻を争うからね」
ミヒロの言葉に頷きつつ、ミコットも今後の動向を見守ることにするのだが。

一方でアルセス一党も、かの人狩り連中の情報を入手していた。
「兄貴、奴さんの情報が届きましたぜ」
レトーの報せに静かに席を立つアルセス。
「そうか、敵の規模は、まず聞くまでもないが確認のためにな」
と、レトーから敵の情報を記された紙片を渡される。
「連邦のマンハンターだったら苦戦は免れないが、この程度なら何とか対することはできる。しかし問題は」
「同じ情報を入手した者たちとの連携ですかな」
「ええ、まず問題はないとは思いますが、実際の作戦にあたるに、まず敵を退けるのはもちろん、避難民の無事を最優先の課題とします」
「まあ前者はいいが後者に至っては少し面倒なのも正直なところ。そこに彼らの連携も求められるからな」
マツナガの懸念にジョアン、アルセスが順に応える。しかし続けてアルセスが、
「だが、それについては問題はないだろう、今回優秀な指揮官が寄越されるというから」
その言にマツナガとジョアン、そしてレトーやリッドも重く頷く。ことにティクバも軽く頷いた後に天井を、その上の空を見上げるかのごとく想いを馳せるのだった。

一方でリンダの一党も同じ情報を入手し、アルセスとの連携についていろいろ話し合い、魅せるところは魅せる、といった作戦進行でまとまり、宇宙にて任務の進行中のガランシェールでも、ミコットから伝えられた情報をもとに一機のMSが出撃にあたるのだった。
こうして三者三様、というより四者四様、五者五様の想いを込め、地上でのささやかな作戦が繰り広げられつつあった。

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