« 加納亮子対龍虎・MOW・ボス系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 第2話:1位「ガーディアンヒーローズ」だろぉおおお!<異世界おじさんのレビュー> »

第14話:父と娘と(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよマフィアのMS群と対峙するキッカとコウ、そして父娘の再会にいたる路をお送りいたします。そしてその先にあるものもお送りできればということで、それでは、ごゆっくり。

ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。

第14話:父と娘と

その1

その2

それでは本編をば、あらためてごゆっくり。

背中合わせに敵を囲ませて構えるキッカとコウ、しばらくのにらみ合いの末、耐え兼ねて飛び出した敵機を、誰ともなく手足を切り裂いてからコウのマークⅢが蹴り飛ばす。
それが何度か続き、二機が攻勢に転ずる。完全に怯んだ敵群をやはり各個撃破で倒していく。とはいえ大半がやはり手足を切り落とし戦闘不能に陥らせていくのだが。
「流石はコウさん、これほどに機体を使いこなしているのね」
まずはキッカがコウの闘いぶりに感嘆する。そもそもコウが駆るガンダムマークⅢは、かつての名機ガンダムマークⅡをベースに、ゼータガンダムの開発プロセスのノウハウを基に開発した機体で、グリプス戦役当時は試作機段階で実戦配備とまではいかなかったが、現在に至りある程度の改良を成され、ひそかにアナハイム~ひいてはニナ~の手でコウに渡りそのまま彼の愛機になった。
そのマークⅢの性能はもとより、コウの卓越した操縦術には誰もが彼をして隠れた英雄の名を改めて知ることとなる。
対してキッカも最初の援護射撃もあれ、ニュープラスの機動力を活かし~それでいてビーム兵器の使用を極力抑えつつ~敵機をよくよく撃破していく。
それにはコウも感嘆の念を禁じ得なかった。
「やはりキッカ大佐だ、MSに関しても無敵といってもいいな」と
ともかくも徐々に敵の数を減らした末、残りはリーダー格の機体とその護衛機二機であった。
それもまるで示し合わせたかのごとく、リーダーにはコウが、護衛はキッカがあたる。
「くそっ、まるで俺たちが遊ばれてるというのか」
忌々しげな言を発するリーダーのMSに、コウの斬撃が繰り出される。
「遊びで戦いはできないさ、倒すのには全力で、かつ頭を使うべきなんだよ」
こうして両腕を切り落とされ、もはや戦意をも失ったリーダーは降伏した。
そこにライエルとアレンをはじめ味方のMSも続々戦場に集結したのだが。
「ああ、もう戦闘は終わっていますね」
「どうやらそうみたいね」
「申し訳ありません」
「いいのよ、コウさんも無事だし、ミウにその旨を伝えて」
「はい」
その会話にコウが割って入る。
「やっぱり、乗ってたんだな」
「ええ、せめて顔は見せて頂けますね」
「それも、そうだな」
すでにTWをはじめ、事後処理のためマナウスの部隊も集結していた。
こうしてマフィア連合による軍事訓練にかこつけての大規模反乱は未然に防がれた。
敵側の損失は全MSが破壊されたものの死亡者はなく、重軽傷者が数名、ほとんどが確保され、残りは逃亡したものの、もはや抵抗する意思は見られないだろう。
そんな折、今回の作戦に協力したマークⅢのパイロットと司令官との会談が行われた。付き添いにミウを伴って。
「お父さん」
「ミウか、事情は聞いたと思うが、やっぱりお前が来たんだな」
「アナハイム、というよりウラキ博士、ニナさんのご意志で」
割って入るかの想いでキッカが応える。もともとがキッカとコウの会談なだけにだが、実際は親子の対面ということもあって、キッカはあくまでサポート役に徹しようとしたのだが。
「ニナか、彼女にもいろいろ迷惑をかけたな。もちろんガトーのこともあるが、彼女なりに苦しんだことも分かってる」
たしかに自分から名乗ったわけではないが、呼ばれるうちにその名が定着したものだとコウも感慨を覚える。
「それからモンシアたちにも感謝している、グリプス戦役で活躍できなかったのも残念だが、それなり安全に暮らせたのと、今の気持ちの整理もできた。その上でもう一度戦いの徒花を摘み取ろうと思ったわけなんだ」
思えばコウも戦争の歴史に翻弄されたのだと、キッカはともかくミウも感じ入らずにはいられなかった。
「そして今、ミネバ様の義理で彼女の露払いも引き受けることにもなった。これは財団の、セイラさんのためでもあるんだよな」
「お父さん、私・・・・・」
ミウもそれ以上、言葉を紡ぐことができなかった。そんなミウを酌んでキッカが厳かに訴える。
「ともかく我々も力を尽くしますから、総てが終わったら、ミウのもとに帰って下さい。何よりあなたはミウの父親なんですから」
その言葉の重さにコウも感じ入る。コウも分かっていたのだ、彼女も歴史に翻弄された者だと。
「そうだ、何よりミウのために、俺は生きねばならない。少しの間、待っていてくれないが」
そしてミウを優しく抱き寄せる。
「お父さん・・・・・」
この父娘の再会は、決して長くはなかったが、誰もがこのひとときを永遠のものに感じたのだった。

一方のマナウス郊外、そこの地区のボスたるラジャのもとに、各地の有力者たちが集まった。今回の反乱を受け、自分たちの身の振り方をあらためて話し合うためである。
なにせチャクラム使いで名を上げボスにまでのし上がったラジャでもあり、一応の反目もあれ彼が一番の実力者でもある。
「でかい顔の面々が雁首並べたかと思えば、この界隈で住みやすくするためにみんな仲良く連邦と組むってのか」
「俺たちとてそうそうなれ合うわけじゃない。先の騒ぎもあるだろ、下手に逆らってみんなやられるってのもやはりしまらねえ。ここは一つ恥を忍んで」
ボスたちの代表がラジャに応える。そんなラジャも慎重に言葉を選びつつ返す。
「だがな、今連邦に帰順したとしても、下手すりゃまたさらに、利用されて、お陀仏にもなりかねねえ。ここはもうちょっと、様子を見ても、遅くはねえと思う」
「たしかにな、連邦の不穏分子を片付けてからでも遅くはない。そういうことか」
「ともかくだ、いまはもうちょっと大人しくした方がいい、そうだろう」
その言葉にボスたちも頷き、出されたコーヒーをあおって賛同の意をあらわし、この場を離れるのだった。
そして残ったラジャは、
「俺も、俺たちも少し暴れたつもりが時代に流されちまったからな。虫がいい話だが最後は平穏が欲しいもんだ。そのためにはあと少しだ、キッカ大佐、そしてウラキの旦那」
と、二人のために自分のコーヒーをあおるラジャだった。

会見を済ませ、コウがMSで去り、TWも帰還の途につく頃、ブリッジのキッカがふとミウのことを問う。
「ところで、あれからミウの姿が見えないけれどどうしたの」
「先の戦闘で軍規違反をしたことで自主的に謹慎をしているそうだ」
そういえば戦闘配備中に勝手にブリッジに上がったことを指しているのだろう。
「それに関して君の了承もほしいというけれど」
ノックスの応えにキッカもしばらくの思案の末口を開く。
「そうね、司令官の権限で謹慎は明日までとします。メカニックには人手がほしいし、特にニュープラスの整備には彼女の力が必要だから」
ミウとしては父コウについて気持ちの整理が欲しいところだろう。
「そうだな、じゃあ早速伝えておこう」
トーレスが連絡役を担いブリッジを後にする。キッカも一息つけるべく、司令官席に腰を下ろす。
「ひとまずコウさんの件はひと安心ね。まだまだ問題はあるけれど」
おそらく同じ席に座しつつ父を案じたミウに語り掛けるがごとく独語するキッカだった。

今や難民と化しさまようジオン残党の民、それを守り導かんと立ち上がる姫君、そして彼女を守らんとする騎士たち、彼らの邂逅もまた歴史を大きく紡がんとしていた。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『姫君と騎士たち』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

| |

« 加納亮子対龍虎・MOW・ボス系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 第2話:1位「ガーディアンヒーローズ」だろぉおおお!<異世界おじさんのレビュー> »

ガンダム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 加納亮子対龍虎・MOW・ボス系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 第2話:1位「ガーディアンヒーローズ」だろぉおおお!<異世界おじさんのレビュー> »