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第14話:父と娘と(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、中米での反乱組織にあたると同じく、隠された英雄とその娘の再会を手引きせんとする様をお送りする運びです。はたしてその親娘の再会はうまくいくか否かを皆さんもお見守り下さい。それでは、ごゆっくり。

ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。

イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1
第2話:生きるということ(その1
第3話:継ぐものたち(その1
第4話:月で待つもの(その1
第5話:ガンダム、行きます!(その1
第6話:忘れられた地で(その1
第7話:古き友来たる(その1
第8話:老兵は語らず
その1
その2
その3
第9話:リッド奮戦
その1
その2
その3
第10話:宿敵の刃
その1
その2
その3
第11話:望まれし子
その1
その2
その3
第12話:アルセス・リターンズ
その1
その2
その3
第13話:蠢くものたち
その1
その2
その3
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。

連邦軍本部がジャブローからラサ、そしてシャイアンへと本部を移したのち、旧ジャブローの戦力の一部が近隣のマナウスで臨時の基地を築き中南米の不穏勢力にあたっていた。しかし先の事情がありマナウスの軍備が整わず、内外のマフィア勢力からなる反乱勢力と一進一退の攻防が繰り広げられるに至る。
そこでキッカの特務隊が派遣され、それらの対処にあたることとなるが。
マナウス近隣にTWを停泊させ、一路基地に向かうキッカとトーレス。クムとライエルがそれぞれの機体の調整のため出られないのに合わせてトーレスが同行するのだ。
「本当に申し訳ございません」
「いいえ、シャイアンの補給で装備も充実したけど、やはりその調整に大変だから」
「そういえばニュープラスはほとんどがアナハイムのオリジナルだから、その手の補給を待たなきゃいけないですね」
「うん、いつまでも今のままじゃ心もとないのも事実だからね。でもその分クムとライエルの機体をしっかり整備しなきゃ。もちろんリ・ガズイもね」
「さしあたり君たちの代理として俺ががんばらなきゃな。あそこはまだまだ治安が不安定だからね」
「はい、ご武運を」
「クム、戦闘に行くわけじゃないのよ、一応はね」
と、クムが用意したサンドウィッチを受け取り一路基地へと向かう。

未明の到着より早朝基地へと向かうためか、朝食がまだだったので、キッカは受け取ったサンドウィッチを頬張りながら、マナウスの近況をトーレスから聞くのだった。
「もともと多くのギャングがひしめいているこの地に基地を移したから、さらに混乱を招いたってわけね」
「先の騒乱でいくらかの組織が介入した後、いくらか解体されて現在は小康状態になったけどね」
「旧ジオンやティターンズよりも、彼らの存在が一番厄介ってわけね」
「戦力そのものは大したことはないけれど、戦術に関しては侮れないってノックスも言ってたから」
「そうね、それは気を付けなきゃ」
そうこうとキッカたちの地上車は基地へと到着していく。しかしそれを傍目で見守る人影がいた。

「やはり、戦力としてはジオンやティターンズより、土着のマフィアが中心としているのですね」
マナウス基地にて近況を伝えられるキッカ。とはいえこの地の状況は前から聞いていて、かつてジャブロー基地が建設される際も基地反対デモをはじめとするいざこざの陰に常にマフィアが絡んでいたし、一年戦争をはじめ戦乱の時期にはジオン、連邦問わず情報の売買にも一役買っていた。そして今に至り、先述の武装化したマフィアも旧ジオンやティターンズ残党の支援~というより利用~によって組織化されていたのだ。
「ええ、ここ数年の間先の“事変”にて活発化したのですが、ここにきて不協和音も現れています」
基地の司令官も慎重に言葉を選ぶがごとく、淡々と説明する。
「平たく言えば、組織間の集結か分散か、ですか」
「まあ、その両方ですな。ことに分散した勢力はその旧正規軍系の勢力でしておそらく次の一手のために、マフィアたちを捨て石にせんと企んでいると愚考しますが」
「おそらくは、そうでしょう」
こういうのは誰しもが考え付ける推測なので、司令官もあえて愚考と言ったのだろう。
「ともかくも時間稼ぎのために私たちが寄越されたのを機に、自分たちの戦力を整えんとするのでしょうが」
「その辺に関しては他の地区の基地にも連絡をいたします。大佐に関しても敵の動きに気を付けて任務にあたって下さい」
「了解しました」
キッカも敬礼で返し、任務を了承する。

時間も少し余っているので街の界隈にて情報を収集するべく、界隈を軽く散策していくキッカたちだったが、
「久しぶりだな、お嬢ちゃん」
物陰からいかにも人相がよくない中年男が現れる。それに対しトーレスが懐から銃を抜こうとするのだが。
「待って、この人はわずかに殺気があるけど、そう敵意があるわけじゃないわ」
キッカの言葉に男が手を組んで深く一礼する。男の腰の銀色の環~チャクラムという飛び道具~がかすかに音を立てた。トーレスも懐から手を放す。たしかにトーレスの方が緊張の度が強かった。
「かつてのホワイトベース隊のクルーたるあんたらだ。たしかにクスコの件では小僧どもと侮っていたが」
その男、ラジャはかつてマフィアの用心棒として雇われたが、アムロやハヤトに退けられ、あの時のラジャも環(チャクラム)を使うまでもないとおもい侮っていたが、彼らの力を見ていざ使わんと思うも、以前斃された兄のことを思いそのまま引き下がった経緯があった。ちなみに兄を倒したのが当時出奔中のシャアだと分かり、月日がたって様々ないきさつの後、自身も多少なりとも組織の長となった後で、キッカやセイラの近況も考慮し、自身の利害を超えて彼女たちに協力した方が得と、自らが赴いたわけであった。
「ともかくあんたたちに有益な情報を提供したい」
「それはいいが、その代償は」
トーレスの問いに、ラジャも軽くうなずき応える。
「あんたたちが対するだろう連中は俺たちの権益も脅かしていてな、それを除いてくれれば街もさらに潤って俺たちも安泰だってことさ。おっと、そろそろ本題に入るべきだな。そもそも“奴ら”はかつてジオン軍、最近まではティターンズやネオジオン残党などの援助で強大化して今まで俺たちも迷惑を被ったんだ」
「それは基地でも聞いてるんだが」
「まあ、あわてなさんな。最近になってその軍関係者がこぞって“奴ら”のもとを離れ、そこに降ってきたのがあんたたち特務隊ってことも了承済みだな。しかし肝心なのはここからだ。
近々この中米に凄腕の傭兵が訪れ“奴ら”の抗争に顔を突っ込まんとするって話だ。これを伝えたかった」
「その傭兵、というのは・・・・・」今度はキッカが問う。
「何せコードネームが“隠された英雄”だか、どこぞの姫に雇われたという噂も立って。今まで大小さまざまな小競り合いを収めたってわけだ」
「はい、今はそれだけで十分ですが」
「まああんたらにとって役に立つかは分からんが、ともかく戦乱が収まってこの街が安泰となれば、堅気の市民たちも安心して暮らせるし、俺たちもなるべく楽に裏を取り仕切れるってわけだ。つまりは持ちつ持たれつってわけだな」
言いたいことを言ってラジャも再び物陰に去っていく。それを見計らうかのごとく、トーレスが話しかける。
「凄腕の傭兵、隠された英雄、姫に雇われた男といえば」
「ええ、やはりあの人ね」
「それだけでひとまずは有益な情報ってわけだな。さて俺たちもここでの用も済んだことだし」
「そうね、ひとまず戻りましょう」
と、街の雑踏を後にし、一路TWへと帰還していく。

そして、マナウス郊外の村を潜伏先にした、ある男が借り受けた小屋で目を覚まし、森の某所に隠したMSのもとに戻っていく。
「さてと、あと一つ大きな仕事だ。これでミネバ様、そしてキッカ大佐の役には立てるだろう」
機体の計器のチェックを行いつつその男、コウ=ウラキは己の期待の胸を躍らせつつ独語するのだった。

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