祝福の鐘に響けよ、銃声<今更ながらルパンレビューPART6>
ある雨の日、便箋に添えられた一輪の鈴蘭を道端に投げ捨てた次元。その思いに浸ってか、ルパンにはやされるまま同じく雨の日にたそがれる次元。
そこにルパンが次の仕事を持ちかける。ある伯爵の花嫁に添えられる宝石を狙わんとするのだ。多少の下心を交えての仕事ながら、次元としては何やら思うところありに見えるが。
婚前のパーティーにて伯爵の友人にその花嫁を紹介し、もとは町医者だった彼女は、事故に遭った伯爵を助けて以来付き合って今回の結婚と相成ったわけだが、やはり次元も顔馴染みだったが、その一方同じく彼女に目をつける一人の男、彼はジャッカルという営利誘拐を専門とする犯罪人である。狙われれば命までも危うくなるということで、何としても次元の手でカタをつけなければならない。
その日も医者の仕事に出掛けた彼女を見守る次元だったが、折しも雨が降ってきて、かつての想いが脳裏をよぎる。銃撃で深手を負った次元を助けたのだ。非情の世界に生きる次元に差し込んだ優しさを守っていきたい、その想いもあったのだろう。
やがて雪景色とともに再び回想に、治療を続ける中、自らの心のうちを読みつつも、貧しい幼少期から医者を志すも踏ん切りがつかない彼女に、やはり自分の生きる世界と合わせて彼女の決意を促す。あの鈴蘭の花の香りとともにやがて二人の心も通い合うも離れていったのだ。
後に街のカフェにての祝福を受ける彼女と伯爵。そこに例の一団が狙わんとするも、次元が賊のアジトに乗り込んでいく。銃撃にて手下を退け残るはジャッカル兄弟。弟のナイフ捌きをかわして倒すも当のジャッカルは取り逃がしてしまう。
そして結婚式の日、ジャッカルを警戒しつつ、恵まれた環境ゆえ、自身がミレーヌに釣り合わぬと戸惑っているフェルナンにも決意を促す。
こうして式は滞りなく行われ、祝福の花火が打ち上げられたまさにその時、神父に化けたジャッカルが花嫁のミレーヌを狙わんとするも、変装した次元に倒されるのだった。あの時手紙にはなにも書かず、ただ鈴蘭を添えたように、彼女には気付かれずに始末していったのだ。否、別れた後もずっと見守った次元にはミレーヌは気付いていて、なんとひそかにルパンを通じ自らの護衛を依頼したのだ。
次元への想いを胸に秘めつつ彼女は新たな幸せに歩み、次元もまた彼女の想いを踏み越えて新たな刺激ある日々を歩んでいく。
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