ドラえもんオリジナル:しずかとミノタウロスの皿(その2)
さてみなさん、今回のドラえもんオリジナル大長編は、前回に引き続きズン類の星に連れられたしずかちゃんたちがズン類たちの歓待を受けるいきさつをお送りする運びです。しかしそれを追うのび太くんたち。はたしてどうなることやら。といったところで、それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回のお話はこちらから。
しずかとミノタウロスの皿(その1)
というわけで、あらためてごゆっくり。
一方でウシ型の宇宙人ズン類の宇宙船に乗せられ、アルデバランへと旅立ったしずかちゃんたち、どれだけの時間が過ぎたのだろうか、しずかちゃんたちは案外と広い宇宙船の中で時を過ごしていた。
途中ズン類の一人から勧められ、シャワーで体を清めてから、あらかじめ用意された白い服に着替えたのだ。
立花「でもどうして着替えが用意されてるのかな」
乙梨「それに私たちの服はしまっちゃいましたのですね」
麗子「これからのパーティーにふさわしい服を用意したのですわね。ちゃんとした服装で臨まなければならないものもありますから」
そこにズン類の一人がしずかちゃんたちに話しかける。
「さあみなさん、もうすぐアルデバランですよ。そこで大事な儀式が控えておりますので、皆さんご用意のほどを」
「はーい」
と、立花さんたちはそろって返事をする。しずかちゃんもそれに倣ったのだが、しかしどこか煮え切らないきらいがあった。
こうしてアルデバランの星についたしずかちゃんたち。あらためてズン類の一人が開けた景色を紹介する。
「ようこそ、ここが僕たちの惑星ですよ」
立花「ここがズンルイさんたちの惑星かしら」
しずか「でもちょっとさびれているなあ」
「昔はウスやズン類たちがともに栄えていたからね。ほら、ここがミノタウロスの神殿です」
神殿の中に入るしずかちゃんたち、そこには端整な顔立ちの女性の像が立っていた。
しずか「きれい」
乙梨「こんなりっぱな女の人がおられたなんて」
「そう、彼女こそがウスの中のウス伝説のミノタウロスの皿“ミノア”なのだよ」
「今じゃ僕らの星のウスも絶滅しちゃって、あのお祭りを行うには他の星のウスを探すしかなかったんだよ」
麗子「それで私たちが選ばれたのですわね」
「そう、あらためて言うけど、君たちこそ今の時代のミノタウロスの皿、すなわち現代のミノアなのだよ」
立花「でも私たちでつとまるのかしら」
「もちろんだよ、そのために宇宙中を探し回って、ようやく見付けたのか君たちなんだ」
そこでもう一人が現れて告げる。
「さあさあ、控えの間でエサ、もといごちそうが用意しているから」
「あ、はーい」
立花さんたちも心なしか心を弾ませながらも控えの間に招かれるまま足を運ぶ。
ところで並べられた料理の皿は控えめに言ってサラダの類と雑穀のおかゆを中心、ワルく言えば、そう牛のエサみたいだった。
立花「でもごちそうといっても、お野菜ばっかりね」
しずか「ほら、牛のズンルイさんたちも草食だから、自然とお野菜中心になっちゃうかもしれないわね」
立花さんたちが軽く不満を述べるのをしずかちゃんがなだめるも、
麗子「でもお野菜というよりは干し草見たいですわね、でもシャキシャキしていておいしいですわ」
一方の麗子もフォークとナイフを巧みに操ってごちそうを味わうのだった。
しずか「せっかく出されたお料理だから、ゆっくりと食べましょう」
立花「うん、そうだね・・・・・」
というわけでみんなが料理を立てたのだが、そのうちに眠りこけていったのだ。
「みんな寝入ったようだね」
「よし、直ちに皿に運んでいこう」
と、ズン類たちはゆっくりと眠りこけたしずかちゃんたちに近付いていくのだった。
一方地球から発った宇宙船がアルデバランに向かっていく。その宇宙船の中でのび太くんたちはおそるべき報せを受けていた。
のび太「なんだって、しずかちゃんたちが、そのズン類に食べられちゃうの」
リイナ「ありていで言えば、そういうことなのよ」
ドラえもん「でもズン類っていうのはウシの宇宙人でしょ、でも何で人間を食べちゃうの」
リイナ「実はアルデバランのズン類は人間型のウスを食料として共存していたの。それがある時を境にそのウスが絶滅しちゃって、ズン類も衰退をしつつも細々と暮らしていたの。でもあなたたちの考えも分かるけれど。アルデバランの人たちにもそれなりの生き方があったのよ。問題は今しずかさんたちを連れて行って食料にしようとすることなの。何としてもそれを止めなきゃいけないわ」
ドラえもん「そのために僕たちの力を必要としたんですね」
のび太「だったら一刻も早くしずかちゃんたちを助けなきゃ」
リイナ「そうこなくっちゃね、それじゃあ、飛ばすわよ」
こうしてリイナの宇宙船はアルデバランに向かってワープ航行に移るのだった。
どれだけの時間が過ぎたのだろうか、しずかちゃんたちが気が付いたときには、何やらの山車の上の巨大な皿、周りに菜っ葉らしきものが盛り付けられ、自分たちはそれぞれ背中合わせで皿の周りに並べられていた。その山車は前方の祭壇、上にはあのミノアの像が立っているそこに進みつつあったのだ。
立花「え、なに、これってどういうこと」
乙梨「どうして私たち、お皿に盛りつけられているんですか」
麗子「ちょっとしずかさん、これでは私たちが料理されるようじゃないですか」
しずか「あの、どうしてこんなことに、ちょっと、ズン類さーん」
その一方のズン類たちは、何やらの祭典の準備に余念がなかったのであった。
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