第13話:蠢くものたち(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>
さてみなさん、今回のクレイドルエンドは近隣の孤児院で育ったギルダスが休暇を利用しての帰省先でまさかのハプニングに見舞われるも何とか切り抜けようとし、その先で意外な人物の助けを受けるさまをここにお送りする運びです。はたしていかに話が進むというのか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第12話:蠢くものたち
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
ベルファスト郊外の孤児院、そこにギルダスの地上車が到着し、そこにギルダスが降りてくると、はじめ不安げな子供たちが徐々に駆け寄ってくる。
「わあ、ギル兄ちゃんだ」
「やあ、ただいまみんな」
「ねえ、この人も軍人の仲間の人」
「うん、そうだよ」
と、子供たちとの再会を喜び合うギルダスも、先に購入した物資を子供たちの手伝いもあり施設内に運ぶ。
その足で園長室を訪れるギルダス。そこには恩師の園長先生がいくらかの書類に目を通した後の小休止で佇んでいた。「ただいま帰りました、先生」
「まあギル君お帰りなさい。しばらく見ないうちにこんなに大きくなって。この人も同僚の人」
「いえ、形だけっすよ。部隊では足引っ張らないかと心配しながら働いています」
ギルダスが親しげに園長に話しかけ、対する園長も喜んで迎え入れる。
「こういうところは相変わらずね、いざという時にみんなを引っ張っていくからね」
「ええ、何とか自分たちも引っ張られていますけど」
「おいおい」
久しぶりの会話を弾ませつつ、ふと園長が話題を切りだす。
「ところでこの孤児院も財団の保護を受けることになったのは知っていたかしら」
「ええ、セイラさ、いやアルテイシア総裁の・・・・・」
「そうね、あなたたちの司令官のこともそのセイラさんから聞いてるのよ。最近では財団の力添えで社会の貢献のために人材の育成や派遣を行っているの。うちも何人か界隈に寄越しているけどね」
「そういえば昔一緒にいた奴らは見かけないけど、どうしたかな」
ギルダスも、今この場に居合わせない昔の仲間に想いを馳せる。
「街の復興や発展などで働いていてね、時折あなたと同じくここを訪れてるのよ」
「そうだなあ、俺も俺なりに軍人を志したけど、今となっては申し訳なく思ってるよ」
「なんなら会いに行きなさい。みんなあなたに会いたいって言ってるのよ」
「ああ、そうかな、それなら行ってみるよ」
というわけで一通り延長との会話を楽しんだ後、子供たちにも顔を出そうとする。
「みんなも元気そうで何よりだ。俺たちの分もここのことよろしく頼むぜ」
子供たちが元気に返事をする中、一人の女の子がある女の子のぬいぐるみをしまおうとする。
「おっ、こりゃ大佐の子供時代のやつかな」
「・・・う、うん・・・・・」
ギルダスの上司ということで女の子もちょっと気まずく応えるが。それを想ってギルダスも女の子を気遣うように応える。
「大丈夫だよ、本当に平和が訪れるために俺たちも大佐もがんばってるんだ」
「そうだね、僕らも信じてるよ」
と子供たちの見送りの後に孤児院を後にする。
孤児院を後にし、市街地の酒場近くでかつての仲間と再会したのはそれから程なくのことだった。ギルダスとしてもそのまま帰ってもよかったのだが、まだ休暇期間があったため、そのまま旧交を温めることとなった。
「しかしお前が軍人になるとはな、たしかに似合ってると言えばそうだけどな」
「これも前から決めたことだけどな、でもそれからのことも考えてるけど」
ギルダスも友人にビールをオーダーし、帰路のことも考え自分たちはソーダをオーダーした。こうして酒を交えての談笑にしばらく興じることになった。
「でも大活躍だって聞いるぜ、なにせあのホワイト・・・いや、キッカ大佐の部隊だから」
「大丈夫さ、ちょっとは恐縮してるけど大佐も中佐もそれほど気にしてないよ」キッカの時折見せる子供っぽさに想いを馳せながら、ソーダを口に含ませながらさらに話に興じようとする。
「ともかく俺たちも結構働けてるけど、それもみんなががんばっているからさ。それは感謝しているよ」
「ああ、それについても大佐には伝えて・・・・・」
そんな折、近くで銃声が聞こえてきた。すかさずギルダスたちは床下に伏せ、友人たちもそれに倣う。
「おい、これは・・・・・」
「まさか、こんなところでドンパチっていうんじゃないだろうな」
友人の懸念にギルダスも諭すように応える。
「たしかに基地近くだろうからな、こういう事態も考えないでもないから、でも大丈夫さ」
そこに店のマスターが「こっちです」とカウンター脇の入り口から顔を出し、ギルダスたちを招き入れる。こうしてギルダスの先導、ウィルのしんがりでカウンターへと避難することとなる。直後店の窓から銃弾が撃ち込まれたりもしたが。
「こいつは、ヤバいことになってきたな」
「ど、どうするんだ、これ」
「そうだな、状況が状況だ、うかつに艦には連絡も取れない。ここはほとぼりを覚ましてから・・・・・」
そこにすかさずマスターが地下の入り口を差し、ギルダスたちもそこに入り込む。そしてマスターが最後に入り、地下道の入り口をふさぐ。
こうして地下道をわずかな明かりを頼りに進む一行だったが、やがてその先の人影に気が付き、ギルダスも懐の銃に手を掛けんとする。
「待って下さい、この人は・・・・・」とのマスターの言に応えるかのごとく、その人影は姿を現す。
「ギルダス少尉、並びにウィル少尉ですね。はじめまして、わたしはジル=ラトキエ、しがない情報屋です」
「ええ、ジルさん、ですね」
ほどなくギルダスが応える。この時点で彼についてどこか他人のような気もしなかった。
ともかく彼の先導で安全な場所へと避難をすることになるのだが。
| 固定リンク | 0
「ガンダム」カテゴリの記事
- 第11話:地球の魔女<機動戦士ガンダム・水星の魔女レビュー>(2022.12.27)
- 第10話:巡る思い<機動戦士ガンダム・水星の魔女レビュー>(2022.12.20)
- 第16話:姫君と騎士たち・後編(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>(2022.12.18)
- 第9話:あと一歩、キミに踏み出せたなら<機動戦士ガンダム・水星の魔女レビュー>(2022.12.13)
- 第8話:彼らの選択<機動戦士ガンダム・水星の魔女レビュー>(2022.11.29)
コメント