第13話:蠢くものたち(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>
さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、次回の作戦に先立ちギルダスの身に降りかかった災難と、それを切り抜ける彼の様をお送りする運びです。なおその前にアレンとミウの中をひとまずは取り持つ様もお送りする運びとなります。それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)
第2話:生きるということ(その1)
第3話:継ぐものたち(その1)
第4話:月で待つもの(その1)
第5話:ガンダム、行きます!(その1)
第6話:忘れられた地で(その1)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
第9話:リッド奮戦
(その1)
(その2)
(その3)
第10話:宿敵の刃
(その1)
(その2)
(その3)
第11話:望まれし子
(その1)
(その2)
(その3)
第12話:アルセス・リターンズ
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
「そうだったんですか、いろいろ面倒をかけて申し訳・・・・・」
「うん、みんながちょっと気になったんで機会を見て話そうと思ったけどね」
シャワールームで体を清めた後、少し火照った身を冷ましながら、クムとミウが話し合う機会を得たのだ。
「いろいろと心配はこともあるけど、まずは任務というのがあるからね。それをこなしながらでいいなら、むしろ見守っていきたいのよ」
「はい」
「ちょっと失礼になるけど、聞いた話だとアレンたちも戦災孤児だから自身に責任を取ればいいけれど。でもミウはまだご両親のことがあるからね」
「そう、ですね」
「ま、基本的にはお前のことは大佐も中佐も、それに俺たちも異存はないんだ。問題はミウの親御さん、ウラキ博士とコウさんだな」
同じ頃食堂でギルダスがアレンと話し合っていた。
「ウラキ博士と、コウさんですか」
「そうだな、もっともウラキ博士はミウをお目付け役によこしたくらいだから、俺たちに関しても全幅の、とまではいかないまでも信頼を置いているからな」
「でも彼女自身への仲についてはそうそう許しちゃいけなさそうだから」
「それもお前自身の問題だな、これはコウさんにも言えることだ」
と、サラダパスタを口にしつつギルダスが応え、アレンもまたボイルドポテトを口にして重く返す。
「どっちにしても僕もあまり楽をしすぎたかな。大佐もクム少尉も総裁と姫殿下の対応で大変だったから」
「まあな、まあ俺としても危険なことには変わりなかったが、過ぎてしまえばそう大したことじゃなかったんだ」
ギルダスはふと天井を見上げ物思いにふける。
それは南仏にてキッカたちが先の会談の調整に赴く少し前、ギルダスがブリッジに赴き一つの要請を告げる。
「そういえば君が育った孤児院が近くにあったな。どうかなトーレスさん、ここでは補給以外行うことはないだろうし」
ノックスとの相談の末、トーレスも許可を下ろす。
「そうだな、それなら行って安心させてやるといい。特に連絡がなければ2、3日ゆっくりとしてくれ」
「はっ、ありがとうございます」
その時ふとオペレーターと打ち合わせをてしているウィルにも声を掛ける。
「ところでウィル、ギルダスのお供というのもどうだが、どうせなら君も一度羽を伸ばしていくといい」
「あっ、はい・・・・・!」
ウィルも敬礼で了承の意を伝える。こうしてキッカの交渉に合わせ、彼女の出立に続きギルダスも故郷の街へと車を走らせる。
途中自分のポケットマネーからデパートで孤児院で要りようになろう物資を購入する。これもアナハイム系列のデパートだったので、そのつてでいろいろ便宜を図ろうとも考えたが、それはあまりにもフェアではないとも思いなるべく正式な取引での購入を心得た。
こうして車いっぱいの物資を積み込んでそのデパートを後にし、郊外の孤児院へと車を進めんとした。
しかし一方で、そのデパートの一角、とある男たちがさりげない雑談のついでに何枚かの紙片を交換し合い。少しぎこちない挨拶をかわして店を後にするのだった。
そしてさらに一方、ベルファスト郊外の住宅の一室にて、何やらの通信を受ける一人の人物がいた。
「・・・それで、あと半月でよくなると、それはよかった。是非ともよろしく言ってください。あと、それから、そうですか、こちらもなるべく対処いたします、それでは・・・・・」
通信を切り、その人物は早速記したメモとともに入手した情報の整理を始める。
「今基地にはあのキッカ大佐がいるか。来るべき時代のためにこの情報を届けなければならない。それが僕らが、そして姉さんが望んだ時代につながるんだ」
その人物はふと傍らの写真に目を移す。それは幼い頃の時分とその姉妹との写真であった。
「それじゃあいくよ、ミハル姉さん・・・・・」
新たな決意とともにその人物は部屋を後にするのだった。
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