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それにつけてもおカネのほしさよ:野比家の経済事情<本当は怖いドラえもん>

今回はお金に絡むお話と関連して、野比家の経済事情についても語らなければならない。
ドラえもんのお話の中で、ママが家の家計簿を記しているときに「また今月も赤字だ」ともらすことがある。これは後述の借家の件と同じく、のび太くんの“ダメ”の要素の一つに数えられたものともいえる。
そもそも家の収入もとでもあるパパの稼ぎと裏腹に、支出のもとである家の借り賃や生活費等、ことに物価の高さがかさんでの赤字ともいえるだろうけれど、これもいわゆる昭和30年代にかけての高度経済成長に対する物価の高騰に生活が追い付かないといった警鐘だろう。たしかに赤字:収入より支出の方が多いのも生活がままならないという意見があるが、これもまた先述の、いわゆるドラえもんのお話の上でのダメの要素からくるデフォルメといえるだろうけれど。
それからもう一つ「家の借り賃」からくるダメのファクターとして「野比家は借家だった」というものであるのだが。たしかに借家等の賃貸住宅については今でも珍しい事でもない。これは当時30~40年代の時代背景を理解をしなければならない。
これもまた高度経済成長において地方からの集団就職で上京した学生たちが成長し、中には家庭を持つ者もいて、彼らが生活するための家を持つために首尾よく自分たちの持ち家を購入できた人、さもなくば借家かアパートやマンション等の集団住宅を借りて生活する者もいて、特に彼らは月々の家賃等が家計に大きな影響を及ぼしたのは言うまでもない。ついでに言えば前者の中には『重力ペンキ(コミックス5巻)』の巻に見られるように、マイホームとは名ばかりのあばら家で家族が肩を寄せ合って暮らしているものもいただろう。そういった点では現代における賃貸住宅等のファクターを考えれば別に驚くべきことではない。とはいえ最近では住む家を追われ困窮している人も年々増えていることは最近の社会問題化としても当時の経済事情にも通じているかもしれない。
戻ってのび太くんの家の事情では、のび太くんが成長する際についには家を手放し(跡地はトイレになっているが)、アパートに引っ越したいきさつがある(のび太のおよめさん:コミックス6巻及びのび太の結婚前夜:コミックス25巻)。ちなみに未来の世界ではマンションでも一般住宅並みの住環境だとか。
ともかくも、これらはすべて昭和40年代初頭を背景とした事情で、今時の子供たちはともかく、ご年配の方は少し納得している反面、少し大人の方と同じく若者の方にとっては、最近のアニメで描かれた借家やらあばら家やらの描写についてはちょっと頭を抱える問題だったかもしれない。これもまたご都合的に昭和のお話を描いたものと割り切れるだろうけれど。
これらの問題の根本的な解決についてはまた別のことと割り切っておいて、ドラえもんのお話においていかに今日の生活の困難を乗り切るのか。まずはそれからいろんなことを考えてもいいかもしれない。

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