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ドラえもんオリジナル特別編:のび太とお嬢様(後編)

のび太くんの困惑をよそに、麗子とのお付き合いのお散歩は続いていく。そんな中、麗子の家のことを話すようになる。
麗子「こうしてお外にお散歩するのってほんと久しぶり。私の家では学校でのお勉強や家でのお勉強や習い事がほとんどで、お外に出ることはあまりないの。ママとパパはお食事以外でお話することは少ないし、お友だちとのお付き合いも形ばかりであまり面白くはないの」
のび太「・・・うん・・・・・」
麗子「それからうちのパパはママのたくさんのお婿さん候補の中から選ばれて、今ではおじいちゃんの会社を継いでから、お仕事で忙しくてあまり家のことにかまってられないし、それでいて今でもママには頭が上がらないし・・・・・」
次々とお話をしていく麗子に、のび太くんも生返事を繰り返すのみであった。
しかしそのうちに何と友だちと一緒のしずかちゃんに出くわしてしまったのだ。
のび太「し、しずかちゃん・・・・・!」
しずか「あら、のび太さんその子、麗子さんじゃないの」
麗子「あら、しずかさん、お久しぶりね」
のび太「え、しずかちゃんも麗子さんのこと知っているの」
しずか「ええ、ピアノのコンクールで何度か出たことがあって」
麗子「あの時も勝たせていただきましたわ。お次のコンクールも楽しみですわね」
その言葉に少し応えたのか、しずかちゃんも少しむっとした表情になった。そこでのび太くんに一つのことを訪ねる。
しずか「ところで麗子さん、どうしてのび太さんと一緒にいるの」
のび太「・・・ええと、それは、その・・・・・」
のび太くんも応えようとして言葉が出ないうち、麗子がしっかりと応えてしまう。
麗子「もちろん、今日はのび太さんとのデートですわ」
その応えに完全にむっとするしずかちゃん。絶句するのび太くんに向かって、
しずか「・・・うん、そうなの、それじゃあ、ごゆっくり」
と、きびすを返して向こうに行ってしまった。もちろん友だちもついてきて。
のび太「ああ、しずかちゃん・・・・・」
麗子「まだ私たちとのデートの途中だから、しずかさんは後回しにしてもうちょっとお散歩にいきましょう」
と、半ば連れられるようにこの場を後にする。
それから少したって、しずかちゃんを気づかう友達が一言洩らすのだった。
立花「でもあの子、ちょっと感じが悪そうね」
中村「どこかわがままっぽいから、のび太さん振り回されてるかもしれないわね」
しずか「そうね、でも麗子さんも寂しがり屋なところもあるから。本当は優しい子なのよね」
と、しずかちゃんも心配げに二人を気づかうのだった。
 
そしてややあって、心配になって空から見守っていたドラえもんがついに降りてきた。
のび太「あっ、ドラえもん」
ドラえもん「ちょっといいかいのび太くん」
とのび太くんを誘ってないしょの話をする。
ドラえもん「これからどうするの、このまま麗子さんとデートをする気なの」
のび太「だってしょうがないじゃない」
ドラえもん「でもこのままいけば、はるか未来にも影響するかもしれないよ。たとえばもし将来麗子さんと結婚することになると、セワシ君たちも生まれなくなるかもしれないかも」
のび太「いや、それはちょっと困る、かな・・・・・」
麗子「ちょっと、何こそこそお話してるの」
二人のないしょ話に、はたして麗子も割って入ろうとする。
のび太「うん、ちょっとこっちのことでお話してるんだ」
麗子「ないしょ話なんて男らしくないですわ。言いたいことがあればはっきりと、ってこちらの方は」
ドラえもん「あ、はい、ぼくドラえもんです」
ドラえもんの方を見やり、麗子も何やらを思い出そうとする。
麗子「ああ、のび太さんの家で飼っているタヌキみたいな生き物の方ですわね。何かふしぎな力を持っているという」
ドラえもん「ぼくはタヌキじゃない、ってどうしてふしぎな力のことを知ってるの」
のび太「どうやらしずかちゃんから聞いたかもね」
麗子「それなら何かふしぎな力を見せて下さらない」
ドラえもん「もう、手品じゃあるまいし、ってそうだ、いいものがあった」
と、何かを思い出したように小型の飛行機みたいなものを出す。
ドラえもん「“二人乗り小型風船飛行機”」
のび太「これって、おもちゃの飛行機なの」
ドラえもん「おもちゃでも本格的に人を載せて空を飛べるんだよ。それに小さな子ども向けだから安全だよ」
のび太「そいつはいいや、これで麗子さんに喜んでもらおう」
と、のび太くんと一緒に麗子を飛行機に乗せようとする。
麗子「うん、ちょっとかっこ悪そうでだけど、これでお空を飛べるのね」
ドラえもん「それじゃあ、楽しんでいってね」
のび太くんたちが飛行機で飛んでいくのを見守ると、ややあってしずかちゃんが心配になってやってきた。
しずか「ねえドラちゃん、あれってのび太さんと麗子さん」
ドラえもん「ああ、そうだった、実はかくがくしかじか」
しずか「するとお母さんたちの言いつけで麗子さんのお散歩に付き合っているのね」
ドラえもん「何とか麗子さんのご機嫌を取ろうと思って出したんだけど、大丈夫かなあ」
しずか「とりあえず見守っていきましょう」
と、しずかちゃんも二人を見守ることになった。
一方ののび太くんたちも、
のび太「やっぱり風船なだけにそんなに速く飛ばないね」
麗子「でもお空をゆっくり飛ぶのも悪くはないですわ」
と、飛行機での遊覧飛行を楽しんでいた、のだが、
のび太「あれ、何か赤いランプが光ってる、って電池切れ」
はたして飛行機も高度を落としていく。
のび太「ど、どうしよう、そうだ、空き地が近くにあるから、そこに不時着して」
麗子「つ、墜落するんですの、のび太さん、なんとかして」
のび太「あ、ちょっと、つかまらないで、ちょっと、コントロールが」
麗子が後ろから抱き着いてきて、飛行機のコントロールがままならなくなり、みるみるふらつきながら高度を落としていく。
しずか「ドラちゃんなんか飛行機の様子がおかしいわ」
ドラえもん「まさかこれって電池切れ、しまった、充電するのを忘れてた」
しずか「ええっ、それじゃあどうするの、このままじゃ墜落しちゃうわ」
ドラえもん「墜落しても大丈夫なように造られてるけど、でもこの様子だとどこかの家に」
しずか「それって大変じゃないの」
と、ドラえもんとしずかちゃんも飛行機を追っていく。
そうこうとみるみる高度を落としていく飛行機は、なんと野比家の裏庭に落ちていく。
そのはずみで二人は投げ出され、のび太くんは麗子の下敷きになってしまう。幸い麗子には怪我がなかったが、たまらずに泣き出してしまった。
そこに表からママと兼子さんが現れてきた。
ママ「ちょっとのび太、麗子ちゃんを泣かしちゃダメじゃないの」
とのび太くんを叱りつけんとした一方で、
兼子「麗子、こんなことで泣く人がいますか」
と兼子さんも麗子を叱りつける。
そのうちにドラえもんとしずかちゃんも駆けつけ、二人を気遣わんとした。
しずか「大丈夫、のび太さん、それに麗子さん」
麗子「・・・ああ、しずかさん」
ドラえもん「のび太くんも大丈夫」
のび太「・・・うん、大丈夫、だよ・・・・・」
兼子「でものび太くん、麗子を守ってくれたのよね、やはりのび助さんよりしっかりしていてさすがは玉子さんの息子さんね」
ママ「いえいえ、のび太なんかまだまだ」
と、兼子さんのお褒めの言葉をママも笑い飛ばそうとした。
 
こうして麗子とのお散歩も一段落して、家の迎えの車がやってきて、兼子さん母子は車に乗り込んでいく。
兼子「それじゃあ、ごきげんよう。あとのび助さんにもよろしくね」
麗子「それじゃあ、ごきげんよう、のび太さん、それにしずかさん」
と、車は野比家を後にする。
見届けた後でしずかちゃんも帰っていき、その夜パパが還ってきて夕食で兼子さん母子の話題にあがる。
パパ「へえ、兼子さんがうちを訪れてきたんだ」
ママ「そうなのよ、パパによろしくって」
と、今夜はその話題で花を咲かせるのだった。
その後で部屋に戻ったのび太くんだが。
ドラえもん「今回は大変だったね」
のび太「うん、でも兼子さんがしっかりしてるっていったけど、麗子さんに比べたら僕もまだまだだからね」
と、そのまま机に腰を下ろす。
のび太「僕ももうちょっとしっかりしなきゃね」
ドラえもん「えらい、頑張ってのび太くん」
と、今日の宿題に取り掛かるのび太くんだった。
 
 
というわけで、本来ドラえもんズの派生作品として造られたこのお話、突き詰めていえば出木杉くんや立花さんたち、スネ夫のママとかぶっちゃうこの母子もあくまで当ブログの創作と割り切った上で今後も登場させたいとは思っております。もちろん他のドラえもんズのお話でもひとまずはお送りする運びですが。それではまた。

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