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第12話:アルセス・リターンズ(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、ひとまずはキッカたちの敵対勢力となっているアルセス一党とその周囲の人たちのお話をお送りする運びです。キッカたち同様にアルセスたちも時代の帰趨とともに、新たなる時代を築かんと奔走してくことをあらためて述べるとともに、彼らのさらなる活躍も期待できるストーリーをここに記す予定です。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)
第2話:生きるということ(その1)
第3話:継ぐものたち(その1)
第4話:月で待つもの(その1)
第5話:ガンダム、行きます!(その1)
第6話:忘れられた地で(その1)
第7話:古き友来たる(その1)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
第9話:リッド奮戦
(その1)
(その2)
(その3)
第10話:宿敵の刃
(その1)
(その2)
(その3)
第11話:望まれし子
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
とあるバーにてリンダは一人の恰幅の良い男との対面に臨んでいた。お互い初めての対面だったが、全くの他人というわけではなく、言ってしまえばリンダとその男アルベルトとは、かのサイアム=ビストが関係していたのだ。
 
まずリンダの曾祖母のシャーラは先の“事件”にて兄サイアムが残した報酬と死亡時の補償金を得た上で、母親とともにアンダルシアに移り住み、其処でささやかながら職を得て細々と暮らすことになる。
その際兄が遺した“汚い金”は手をつけず、かといって放棄することもできずに、まず借りた家の片隅に、後にある程度の貯えを元手に購入した郊外の家の地下室に厳重に保管することとなる。
こうして新たな生活を送ることとなったシャーラ、しかし母親はその後の病状が芳しくなく、残念ながらほどなく亡くなってしまう。その後も細々と暮らし、よき夫と結ばれ一女をもうけ、UC50年にその生涯を終える。
その娘のイレーヌはやはり母シャーラとともにつつましく暮らしていたが、成人して間もなくUC元年の“事件”に関する多くの事柄を知りつつ心にとどめ、やがて激動の70年代を迎える。
ドン・テアボロの災難を経てその後の艱難辛苦を難なく切り抜ける。その陰で自身の遠い親戚と名乗る連邦軍人~後にビスト財団のカーディアスと名乗る~の男のひそかな援助を受けつつ。彼女もやはり一女をもうけ、UC80年にこの世を去る。
そしてリンダとその母マイアの代になる。しかし両親のマイア夫妻は彼女が幼い頃に事故で他界。その後も財団の密かな援助を受けつつ。リンダは自身の宿命にも薄々感じ、ついに曾祖母からの戒めを破り、家の裏の“汚い金”に手を付ける。これで民間に払い下げたMS及び裏ルートで手に入れた武装一式をそろえ、自身のMS“アッガイカスタム”を手に入れるに至り、以降傭兵として各地を転々とする。
そんな中かのラプラス事変の、いわゆるトリントンの惨劇にて自身も旧ジオン側に立って戦おうとするもにべのなく断られる。それ自体は承知の上だったが、先に知り合った友人、ひいては妹同様に付き合っていたロニを失ったことが彼女にとっては衝撃だった。
それ以降傭兵稼業に身を引き、各地を転々としていたが、東京の争乱を受けてその当事者の不良たち、ことにセシルという少女にかつての友人ロニを重ねてか、その取り巻きもろとも自分の仲間に加え現在に至り、今遠縁のアルベルトとの対面を果たす。
 
「それで、界隈のテロリスト、というより今やチンピラたちを何とかしろというのかい」
今回の会合について、まず依頼されるだろう要件をリンダが推して述べる。
「そういう、ところだな。もちろんただでとは言わない。それなりに報酬も用意している」
やけに愛想がいいアルベルトにリンダも軽いため息交じりに応える。
「たしかにひい婆さんからの縁もある。あまり面倒なことは御免こうむりたいけど、あたしとしてもいろいろと面倒ごとに巻き込まれちまったからね。ここらで一気に片付けたいのも正直なところさ」
結局は快諾の意を伝え、アルベルトも安堵の表情を浮かべる。
「うむ、ありがたい。これからの行動について必要な装備等に関しては遠慮なく言ってもらいたい」
そう告げた後、傍らのガエルが手に持った端末を差し出す。それをリンダは傍らのセシルに手渡す。セシルも端末に記載されたMSの機体にひと通り目を通し、しばらくの熟考の末にあるページを差した端末をリンダに、そしてアルベルトに返す。
それは第一次ネオジオン抗争以降起動された水陸両用MSのカプールだった。
「うむ、カプールか、もう少し性能がいい機体もあるが」
アルベルトの言に対し、リンダに促されてセシルが応える。
「え、はい、この機体が小回りが利きそうなので」
「・・・分かった、すぐにとはいかないが直ちに手配しよう」
というわけで、セシルのカプールをはじめ、他のメンバーには量産機ながらも高性能の“ガズ”なる機体の提供を取り付けて、アルベルトたちがバーを後にする。
 
「・・・まず感じのいい人でしたね」
残ったリンダとセシルがアルベルトの人となりについて話し合う。
「そうさねえ、はじめはどこか陰気っぽい奴と思ったけど、彼も彼なりに困難な目に遭ったってところだね」
リンダとしてもラプラス事変についてはトリントンの件もあって推して知り得た事項でもあったが。
「今の連邦も腐っているのは分かるし、あたしもあたしなりに糺そうと思ったんだ。それでカークスたちと付き合ってたんだ。でも」
「姐さん」
気遣うセシルにリンダはため息交じりで続ける。
「あの時の決起であたしは関係ないと言って外されて、本当はロニも外したかったけど、そこにどこかからあのデカブツを寄越されて、結果あの娘をバケモノにしちまったんだ」
「・・・はい」
「結局力押しじゃ世界も時代も動かないからね。かといって身を引いてたんじゃやはり埒が明かない。だからこの機会を利用してね・・・・・」
そのためにセシルたちを引き入れ、遠縁のアルベルトのビスト財団の協力話にも乗ったのだ。
「ええ、私でよかったらこれからじっくりと」
「ありがとうね。でももう一人、手を組みたい奴がいるんだ」
「それって、どういう人ですか」
いきなりとは思いつつも、セシルは問いかける。
「そうさね、正確には二人いるけれど、一人は古い英雄さんで、もう一人は別の英雄の息子さ、いずれもジオンに関わりのあるんだ」
その言葉にセシルも目を輝かせる。ジオン関連の言葉に反応したわけではないのはもちろんだが、リンダが言葉を弾ませていたのをセシルも胸を躍らさずにはいられなかったのだ。
ともかくもリンダ一党もその連中との交渉に臨むべくまた歩み出すのだった。
しかしその連中、まずアルセス一党は、もう一つの古い英雄、シン=マツナガとの交渉に臨まんとしていたのだ。

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