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第11話:望まれし子(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、セイラとの会談の際にもう一人の人物についての近況を知ることとなったキッカと、ふとしたことから再会したクムとミネバとの交流、そして今後の物語に関わるであろうカガチ少年の誓いをお送りいたします。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第11話:望まれし子
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
「それから、あなたにはもう一つ聞いてほしいことがあるわ」
セイラは今一つの事柄について語り出す。
「やはり、アルセスのことですか」
キッカの応えにセイラも重く静かにうなずく。
「それなら、ランバ=ラルのことも知っているわね」
「はい、あの戦いは本当に苦しいものでした」
「でも、その前のことは知らないから。今こそ話しましょう」
実際キッカもあの襲撃戦のこと以外は知らなかった。そういえばラルが自決したまえにセイラが何やらを呼び掛けたことはおぼろげながらも知っていたが。
「そもそもラルは父ジオン、後のデギン公王と同じ、旧サイド3のムンゾ独立に力を尽くしたジンバ=ラルの息子として、幼い頃の私とキャスバルも世話になったの。
後に私たちがムンゾを離れ、息子のランバはミネバの父ドズルのとりなしで後のジオン軍に身を置いてそこで頭角を現したけれど。ギレンやキシリアに疎まれたか、地球に飛ばされてあの戦いに至ったわけよ」
それでラルがセイラを真にあたりにして、あの事態に陥ったというか。との想いがキッカの頭をよぎる。
「でも、アルセスが言ったように、戦場で仇を求めるのは、ラルにとっても本意ではなかったはず」
そもそもラルの襲撃はガルマ=ザビの敵討ちを名目にしていたものとキッカも承知していたが。これもまたギレンやキシリアの思惑があったことだろうが。しかしいずれにしても、
「ええ、たしかにリュウをはじめ多くの人たちの死は彼に責任があったけれど、彼の死に関しては私自身にあるわ。だからこそ彼とハモンの間の子、アルセスのことを知って、まず彼を探してからいろいろと援助をしようとしたけれど・・・・・」
一旦言葉を切り、紅茶を口に含んで一息入れる。
「まず断られたので遠くから見守って今に至ったわけなのよ」
「そして今私たちと対峙しているということですか。たしかに武人の意地やら歴史のけじめやらといろいろと理由がありますが」
「いずれにしても、あなたとの対立はもはや意味がないのは彼自身も分かっていることだから」
その言葉にキッカも深くうなずく。
「分かりました、私としてもできうる限り」
「ごめんなさいね、いざという時は覚悟しているけれど。やはりどこか踏ん切りがつかなくて」
事実このようなセイラを見たくはなかったという想いもある。キッカにとってははじめ近付き難かったが、今となってこうして顔を合わせられるのは自分は大人になってか、さておきセイラの願いもできうる限り聞き入れてみようと心に誓うキッカだったが。
「いずれにしても、悪いようには致しません」
キッカにとっては精一杯の返事だった。それには傍らのアレンも深くうなずいた。
(それにしても、クムの方は大丈夫かしら)
心の中でキッカも独語する。
 
裏庭から少し離れた少し広めの池では、ミコットの警備のもとクムとオードリー、ミネバとが木造の桟橋に腰を下ろして佇んでいた。
「こうして二人きり、あの時はシンタもいましたね、ともあれ本当に久しぶりです」
ミネバの言にクムも何かを思い出したような表情で応える。
「やっぱりあの時は本物だったわね」
それは第一次抗争にてミネバが影武者と入れ替わったことを指していて、おそらくグレミーの反乱から旗色が悪くなってのことだろう。ちなみに影武者の彼女はしばらく連邦の施設に逗留の後、セイラのとりなしで今グラナダの財団支部で働いているのだった。
「私の方も、今面と向かって話せる状況ではないことは変わりはないのですが」
「やっぱり、アルセスたち、いえ他の“連中”の仕業かしら」
クムの問いにミネバも重い口で応える。
「この際だから話しますが、自治権を失ったとはいえ、共和国の高官も連邦に取り入っていろいろ便宜を図っています。それ自体は統治の手段として間違ってはいないのですが。ことコロニーの民衆としては・・・・・」
「・・・やはり安寧が保証されればね」
「そうですね、その意味でも私自身の足かせとなっています。だからこそこうして再び自らを偽って様子をうかがっています。これはあなたに殴られても仕方がないことですが」
「まさか、ウォンさんじゃあるまいし。でもことがこれからの事態にもかかわるから」
ちなみにクム自身ジャブローの一件は知らなかった。
「いずれにしても大佐ともこれから相談をするから、そう長くは待てないけど」
「ええ、ありがとう」
ミネバとクムがゆっくりと固い握手を交わし、再会を約束する。
 
「というわけで、ミネバ=ザビの方も今一つ都合を合わせなければならず、そのための障害を取り除くことを約束しました。それについても、大佐の承認を」
「ええ、分かってるわ、こちらもセイラさんの承諾を取り付けたわ」
会談の後にミネバがこの場を離れた後、クムの報告をキッカが受けた。キッカの方もクムの会話を逐一伝えられたうえでのことでもあった。ともかくも双方の大まかな調整は組まれ、あとはそのお膳立てを整えねばならない。
「それでは、私たちは次の任務に赴きます、セイラさんも気を付けて」
「ええ、あなたの方も余りむちゃはしないでね」
キッカとセイラが厳かな握手をかわしつつ、一行は“望まれし子の家”を後にする。
それを見送った後、ややあってセイラが、続いて他の子供たちが家に戻る。
しかし残ったのはリュキア、そしてカガチの二人だった。
「・・・行っちゃったね」
「うん、行ってしまったね」
「アルテイシア先生とキッカ大佐、そしてミネバ様が新たな時代の礎を築いていくのを同じく、私たちもその次の時代を築いていくのね」
「そうだ、いずれ僕たちの時代が来る。その時がよりマシな時代になるために、そして僕らもさらによい次代を創るんだ」
いつしかカガチの手がリュキアに伸びる。はじめリュキアも戸惑ったが、この時のカガチの純粋な心を感じて、その手を軽くつかむ。
「とにかく、これからが大変だろうけれど、どんなことがあっても、僕は、君を守るよ」
「・・・うん」
リュキアにとっても、カガチのその言葉は自身の胸に刻まれた。そしてこのカガチの誓いもまた、本当の意味で形となるのは、それから、半世紀の後になるのだったが。
ともかくも、二人手をつないで家に戻るのだった。
 
新たなる時代の扉を開くのに一つの戦いを経なければならない。
それは彼女たちと対するあの男も感じ入っていた。そして彼のもとにも大いなる力が集っていくのだった。
次回 機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『アルセス・リターンズ』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

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