ザ・ドラえもんズオリジナル:王ドラ編、呉の引っ越し大作戦
さてみなさん、今回は中国の王ドラのオリジナルストーリーをお送りする運びです。
今回チャンの従兄のロンに押し付けられた引っ越しをなんとかやりこなす様をお送りいたします。はたしてどうなることやら、それでは、ごゆっくり。
ちなみに王ドラの仲間たちの紹介をば。
ウー(呉・のび太):ワンが済んでいる薬屋の息子。幼い頃より体が弱い一方、体を養うはずの薬が嫌いなのが悩みの種。
リー(李・スネ夫):街の地主の息子で、さびしんぼうでちょっとイヤミっぽいが根は素直。
チャン(張・ジャイアン):街の雑貨屋の息子。みんなのガキ大将的な存在でちょっと強引なところもあるが、結構頼りになる。
メイ(明・しずか):街の料理屋の看板娘。後述のシャオのもとで中国拳法を習っている。元気な反面少々大胆なところもある。次回のお話で出演する予定。
チャオ(趙・出木杉):街の役人の息子で物知りなところもありみんなに頼られている。
ロン(龍):チャンの従兄で引っ越しの手伝いをさせるためまず前金代わりにごちそうをふるまう。いささか強引なところがあるが話に筋を通す人柄でもある。
シャオ(翔):ロンの彼女で中国拳法の達人でもあり、いつも自分勝手にふるまうロンをこれでこらしめる。
その日、ウー(呉)と王ドラはチャンに連れられて、チャンの従兄のロン(龍)から近所の店屋でごちそうをふるまわれた。
ロン「さあさあ、遠慮なく食べてくれ。今日はおれの誕生日祝いでもあるんだ」
ウー「すごい、こんな料理は家ではなかなか食べられないね」
ワン「それじゃあ、遠慮なく」
と、ワンはテーブルに並べられたまんじゅうを次から次へと口に入れる。
ウー「ちょっとワン、あまりがっつくとあとで怖いよ、なんたってチャンの従兄だし」
ロン「さあさあ、お前も遠慮なく食ってくれよ」
と、いささか強引にウーにも料理をすすめるのだ。
そんなこんなでひととおり食べ終わった一同に、ロンが少し厳かな口調で告げる。
ロン「それじゃあ、腹いっぱいになったことだし、今日はおれの誕生部がてらの引っ越しの手伝いをしてもらうぞ」
リー「ええっ、こんなの聞いてないよ」
ウー「やっぱりろくでもなかったなあ」
ロン「何を言っている、引っ越しは一人じゃ大変手間取るんだ。どうせお前たちが手伝いに来るなら元気を出して仕事につかなきゃいけないから、それにさっきいっぱい食べたから、それなり仕事をするのが筋ってものだろう」
と、いささか言いくるめられ、加えてロン自身もチャンに輪をかけての暴れん坊とくるから言い返そうにも言い返せない。つまりはロンもそれなり恐いから、結局従わざるを得なかったのだ。
いずれにしてもロンの引っ越し作業をみんなで付き合わされることとなる。
はじめ大八車に積み上げられた家具調度一式をみんなでロンの新居へと運び出す。
ロン「がんばれ、そんなに遠い所じゃないぞ。こら後ろのボウズと豆ダヌキ。もっと押さないと前に進まないぞ」
ワン「ワタシ、タヌキじゃないネ」
ウー「やめなよワン、怒らせると後が怖いよ」
と、大八車の上でウーやチャンたちを叱咤激励してこき使う。
ようやく新居に着いた一行は休む間もなく家具調度を家の中に運ぶのだ。
チャンとリーは二人がかりで家具を運び出すが、ウーは手ごろな重さのテーブルを運ぼうとするのだが。
ウー「ううっ、重くて動かないよお」
ロン「なんだこんな程度のテーブルも運べないのか」
と、もう少し小さな箱を手渡すが、
ウー「うう、重いよお」
やっぱりウーには重いようだ。
ロン「なんだだらしがないやつだなあ」
と、あきれ口調で返す。
そんな時ワンが何かに気が付いて何やら手袋を取り出す。
ワン「そういう時ならこれ“超力てぶくろ”」
と、超力、すなわち“スーパーてぶくろ”を出すのだった。
ワン「これをつけるとどんなに重いものでも軽々と運べるネ」
ウー「ほんとだ、これなら楽に運べるね」
と、手袋をつけて荷物を運ぶのだった」
ワン「でしょう、これで引っ越しもすぐに切り上げられるネ」
しかしワンも調子に乗って荷物数個を軽々と運び出すが、
ロン「こおら、おれの荷物をお手玉にするんじゃない」
と、勢い余りワンにげんこつが飛んでしまう。
ウー「だから言ったのに、とにかく早く切り上げよう」
と、粛々(ゆっくりしぶしぶ)と荷物を運ぶのだったが。
「こらっロン、なに子供たちをいじめてこき使ってるのよ」
ロン「あっ、シャオ(翔)」
シャオと呼ばれた女の人は現れるなりロンににじり寄るのだった。
シャオ「そういえば引っ越しがあるって聞いたけど、この子たちをこき使って手伝わせたのね」
ロン「いや、こいつらにはちゃんとしたバイト代をあげるつもりだったんだ。先に元気で働けるためにごちそうもふるまって・・・・・」
シャオ「問答無用!」
ここぞとばかりにシャオの飛び蹴りがロンに炸裂し、ロンもすっかりのびてしまった。
リー「すごい」
チャン「やっぱかあちゃんよりこええ」
シャオ「何言ってんの、あんたたちもこれくらいやらなきゃダメよ」
ウー「でも残りの荷物もちゃんと運ばなきゃね」
ワン「しっかりと仕事しなきゃやっぱ悪いネ」
シャオ「あんたたちも真面目ねえ、これだったらうちのシャン(香)を任せてもいいかもね」
ウー「いやいや、僕たちもまだまだ子供ですけれど」
ワン「これメイには言えないネ」
と、メイ(明)のことを気にしつつ荷物を運ぶ二人だった」
ともかくも仕事をやり終えたウーたちはシャオに伴われて昼よりもひときわ大きいお店で夕食をごちそうになった。もちろんロンも一緒だが、シャオのおかげですっかりおとなしくなってしまう。
シャオ「さあさあ、今日は大変だったねえ、遠慮なく食べておくれ」
ウー「それじゃあ、いただきます」
ワン「今度はせめて味わって食べよう」
こうしてロンの引っ越し作業は一段落するも、今度はシャオの妹シャン(香)とメイが張り合うことになるのだが。これは後々のお話に譲ることとして、今回はここまで。
| 固定リンク | 0
「ドラえもん」カテゴリの記事
- ドラえもんオリジナルストーリー:連発式不運光線銃(後編)(2023.12.06)
- ドラえもんオリジナルストーリー:連発式不運光線銃(前編)(2023.11.08)
- クシャミ一発大崩壊<本当は怖いドラえもん>(2023.02.08)
- 「だからいったのに」の警鐘と期待<本当は怖いドラえもん>(2023.01.11)
コメント