ドラえもんズオリジナル:ドラリッヒ・ハンスとゆうれい城(その4)
ロッテ「本当に申し訳ありませんでした」
ドラミちゃんの言う通り、城も元通りになってハンスたちとも無事合流でき、そしてロッテも閉じ込められた壁の中から出ることができた。そのいきさつは後に述べることとして、
ロッテが会長にお詫びをするも、会長も快く応える。
会長「いやいや、君たちも無事でよかった。ドラリッヒ君の友だちのいたずらで今回の事態に相成ったが、もう一人の友だちの妖精さんによってすべて収まったよ」
ドラリッヒ「本当に申し訳ありません」
ドラリッヒもあらためてお詫びをする。
会長「いやいや、ところでロッテ君、君が閉じ込められた部屋についてだが」
ロッテ「はい、まさかご先祖様の隠れた財宝があったなんて私も驚きでした」
実はロッテが閉じ込められた隠し部屋には、ご先祖様のさらなる財宝が隠されていたのだ。
それには一枚の手紙が書かれていた。
『親愛なる子孫へ、先にわたしの財産を君に明かしたことだったが、実はもう一つ、君たちのために財産を贈らんとしたのだ。あれ以来いくさの他に商売で更なる財産をため込み、老い先短い今こそこれらの財産を城のもう一つの隠し部屋に隠したのだ。この財産をもってこの城を後の人々の役に立てることを期待しているよ』
会長「そうだったのかね、あのエーリッヒ卿が」
ご先祖さまの隠し財宝を前にみんな感慨を込めて見入っていたが、
ロッテ「これだけの財宝を、ご先祖様、ありがとうございます」
サミュエル「すごい、金貨一枚を取っても、どれも価値あるお宝だ」
ハンス「でもこれだけのお宝だったら、僕らにはもったいないよ」
クララ「そういえば、お城の手入れのための予算もこれで賄えるんじゃないかしら」
ロッテ「そうね、今後の税金もこれで十分にまかなえるし、あとお城を観光地にする予算もね」
会長「これだったら大いに協力させてもらうよ。そうだ、それについてはわたしからも考えがあるのだが」
ロッテ「はい、それはどんなものでしょうか」
会長の提案にロッテもひとまず乗ることになったが。
ともかくも、かつてのゆうれい城は今生まれ変わろうとするのだった。
エピローグ:クララと妖精城
ところ変わって日本の野比家、ドラえもんのもとに連絡が入りポケットから“友だちテレカード”を取り出す。
ドラえもん「もしもし、ぼくドラえもん。君はだれ」
ドラリッヒ「もしもしドラえもん先輩ですか。僕はドイツのドラリッヒです。実はお世話になっているマンハイムで、以前先輩が訪れたミュンヒハウゼン城がリフォームされたので、是非先輩たちにも見てほしいんです」
ドラえもん「うん、わかったよ。今からそちらに行きます」
そのやり取りに帰ってきたのび太くんはドラえもんが訪ねる。
のび太「あれドラえもん、誰と話してたの」
ドラえもん「うん、ドイツで働いてるドラリッヒから、あのゆうれい城がリフォームされたっていうから、これから行ってみようと思うんだ」
のび太「ゆうれい城って、あのロッテさんのお城、それだったら行かなきゃね」
というわけでドラえもんとのび太くんは、“どこでもドア”でドイツのミュンヒハウゼン城へと向かう。
訪れたドイツは昼中ということもあり、訪れたミュンヒハウゼン城も見た目どこか明るい感じがした。そのうちに一人のおじさんが近付いてきた。あのルードビッヒ会長だった。
会長「おお、君たちが日本のドラえもん君とノビタ君かね、ようこそ来てくれた。さあ、ロッテ君たちも待っているよ」
というわけで会長に連れられて、場内に入るのだった。
ロッテ「ああ、ドラえもんにのび太くん、ほんとお久しぶり。どう、生まれ変わった妖精城は」
場内ではどこか妖精のイメージの衣装のロッテが待ち構えていた。続いてドラリッヒがこれまでのいきさつを含めて妖精城の成り立ちを説明する。
ドラえもん「うん、あの会長さんがねえ」
ドラリッヒ「子供の頃に妖精に助けられたってことだから。あと僕たちも妖精に見られちゃってるようだからね」
のび太「だからみんな妖精の格好なのか」
ちなみにお城で働いているのは、ハンスたちのほか、先にウィルヘルムに誘われて警察に捕まるも、ただ付き合わされて釈放された後、心を入れ替えてお城の整備員として雇われた人もいたのだ。
ロッテ「さあ、お城の中も見ていってね。それじゃあクララ、二人を案内して」
クララ「はい、それじゃあゆっくりと楽しんでいってね」
のび太「何だかしずかちゃんみたいだな」
クララ「そうですね、そのしずかさんもまたご招待したいです」
というわけで、クララに案内されて妖精城の中に入るドラえもんたち。場内はかなりの意匠(中の飾りのデザイン)で造られていて、以前のおどろおどろさとは大違いであった。
しかし下に降りていくうちにのび太くんが足を踏みはずし、階段を転げ落ちてしまう。しかしたまたま下に居合わせたグスタフに受け止められる。
グスタフ「おう大丈夫か、でもハンスより丈夫だから安心したぜ」
のび太「うん、ありがとう、でもなんだかジャイアンみたいだな」
グスタフ「おう、そのジャイアン君にも会ってみたいぜ」
続いてハンスがのび太くんを起こそうとする。
ハンス「大丈夫、でも僕より強そうだからね、僕はまだまだだけど、よっぽどドラえもん君に鍛えられたかな」
のび太「最近ちょっと振り回されちゃってるけどなあ」
ドラえもん「そんなに鍛えられていないけどね」
のび太「もう、ドラえもんったら」
こうしてのび太くんたちは妖精城のひと時を過ごしたのだったそうな。
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