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第11話:望まれし子(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよセイラとミネバの会談の手はずを整える一方で、この物語の根幹をなすであろう一人の少女の存在が明かされ、それが今後にどう影響するのか、そしてのちの物語のキーパーソンたる一人の少年のご登場とも相成ります。はたしてそれらを含めてどう帰結するのか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはひとまずここに(都合により一部割愛)。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者(その1)
第2話:生きるということ(その1)
第3話:継ぐものたち(その1)
第4話:月で待つもの(その1)
第5話:ガンダム、行きます!(その1)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
第7話:古き友来たる
(その1)
(その2)
(その3)
第8話:老兵は語らず
(その1)
(その2)
(その3)
第9話:リッド奮戦
(その1)
(その2)
(その3)
第10話:宿敵の刃
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。

 

今回の話の数か月前、舞台はインドのムンバイで始まる。
その郊外に一人の女性が白いMSドムに乗って訪れ、それを現地の村人が迎え入れ、彼が乗るジープでとある村に向かう。そこで一人の女の子が待っているという。
「本当にこの子でよろしいのですか」
その女性、アストライア財団のエージェント“伍長”が問う。
「はい、もともとこの子の母親は彼女を産んですぐ亡くなり、父親もその後病で亡くなりました。その上で村人こぞって面倒を見たのですが」
「それが最近になって彼女の身に何かが起こったと」
“伍長”の問いに、村人は軽い咳払いの後に応える。
「はい、最近になってこの子がその、村に起こる悪い出来事を言い当てるようになりまして、はじめ我々も気休めではありましたが備えを行ってから、やがてあの子の言う通りになり、以後この村や村人に起こること、すべてあの子の予言通りとなったのです」
「予言、ですか」
「そしてそのうちに、近々自分を迎えるものが来るとも言い出し、今日にいたってあなたが訪れたのですが」
「そうですか、それならまずその子に会うことにしましょう」
と、村人に促されるまま“伍長”は村の一軒家に足を踏み入れるのだった。
 
一連のアフリカでの任務を終え、TWはまずシャイアンの連邦軍本部にとどまっていた。
ここ最近のテロや叛乱の鎮圧の報告と、セイラことアストライア財団総裁アルテイシアの関しての交渉の承諾を取り付けるためである。
「・・・以上の事情により、ミネバ姫殿下とアルテイシア総裁との会談が、今後の情勢を打開する上で重要と判断しました」
会議室にて居並んだ連邦の高官は軽いどよめきとともにひとまず問う。
「それはそうとして、君が直接女史の交渉に臨む必要があるのかね」
「はい、たしかに公私混同の非難は受け入れます。交渉の場である財団の本部は非常にデリケートな場所で、かくいう私もまた軍人ということもありまして」
「よく分かった、我々としても今の状況を打開したい気持ちは変わりはない。本日はご苦労だった、下がってよろしい」
「はっ」とキッカは敬礼とともに退出する。その直後高官たちは口々にキッカに対する感慨を述べる。そもそも高官の大半はキッカとは知らぬ仲ではなく、かつてWB時代のブライトやフラウを通じて顔を見知っている仲でもある。
「しかしあの幼子も今では大した女性になったものだ」
「しかもセイラ=マスと負けじと重き荷を背負わんとはな」
あえてWB時代の名前で呼んだのもひとまずの好意の表れであろう。
「ともかく我らも協力を惜しむべきではないな。もっともさらに上の連中がどう動くかも注意すべきだが」
というわけで、高官たちもキッカとセイラの交渉を承認するに至る。
 
後日TWはシャイアンからナイメーヘンへとその機体を移し、かねてから予定していた任務にかかることにした。
まずブリッジにて任務の概要をキッカが説明する。しかしキッカの出で立ちはなぜか平服であった。
「今回の任務はアストライア財団本部において、アルテイシア総裁と今後の会談における交渉を行います。なお今回赴く場所の関係上、私服での任務とします」
軽くうなずくノックスとトーレス。そういえばクムとアレンもまた私服であり、今回の任務においてキッカと同行するのだ。
「しかし戦災孤児院とは、たしかに軍人たる我々もそうそう立ち入るのもはばかられるな」
「今でも予断は許されないが、そうそう警戒はしなくてもいいかな、でも気を付けて」
「そうね、それでは、行くとしましょう」
「はっ」とクムとアレンが財団本部運営の戦災孤児院へと赴くことになった。
 
南仏の郊外に位置するこの施設、近隣の戦災孤児並びに混乱によって困窮する10歳未満の子供とその家族を保護している、孤児院としては大規模でもあるこの救済施設、別名を『望まれし子の家』と呼ばれていた。
ここにキッカ、クム、アレンの3人が訪れた。まずはキッカにとっての懐かしい人物が待ち構えていた。
「・・・お久しぶりです、せんせい・・・・・」
「・・・まあ、キッカさん、本当にお久しぶりねえ」
その壮年の女性はかつてのジャブローにて一時キッカたちを預かった元育児官だった。
「お騒がせをして申し訳ございません。今回の件において前々から告げている通りです。ところでセイラさんは、まだ居合わせていないようですが」
「ええ、急用で東欧の方に赴いているとか」
「東欧、か・・・・・」
ふと多くの想いがキッカの脳裏をよぎる。それをクムたちも感慨をもって見守っていた。
そこに多くの子供たちが施設の建物から駆けつけてきた。
「わあ、キッカ大佐だ」
「すっげえ、本物だ」
「でもガンダムはいないよ」
「何言ってんだ、ここが戦場になるわけないだろう」
「それに軍人の制服じゃないね」
「ばっかだなあ、軍人さんも休暇が必要なんだぞ」
「本当にそうなればいいですね」と、アレンがキッカに小声で述べ、キッカも「そうね」と応える。
「はいはい、キッカ大佐もお仕事があるからみんなも中に入りなさい」
「はーい」
と先生が子供たちに言いつけ、中に入る子供たちとともにキッカも建物の中に入る。
当然のことながら外にいた子供たちより中の子供の方が多かった。彼らの中には外に出た子のようにキッカに好意的ではいられず、むしろ警戒心をあらわにするものも多い。
部屋に向かう中、一人の女の子が胸に抱えていた大きなぬいぐるみ、それはまさに幼き日のキッカ自身の姿そのものだった。
「あら、これって子供の頃の私よりかわいいわね、この子を大事にしてね。あなたたちのことは、私がきっちりと・・・・・」
「キッカ大佐ですね」
唐突に声を掛けた少年がいた。なぜか黒いサングラスをかけたその少年に、キッカは何やら後ろ暗い気を感じた。しかしそれを感じてかその少年が応える。
「はい、生まれつき片目が不自由なので。このメガネが必要ですが」
「うん、そうなのね」
自分が気にしているのはこうではないのだが、ひとまずキッカもこう応えるしかなかった。
「カガチ君、こっちはいいからそっちをお願い」
「あ、はい」
先生に言い渡されこの場を離れる少年。ふとキッカも彼のことを訪ねる。
「あの、先生、あの子はどういった・・・・・」
「ええ、フォンセ=カガチ君といって、あの子も孤児の一人なのよ」
「そうですか」
それ以上キッカも言い出せなかった。たしかにその少年についてどこか後ろ暗い所があったが、今のところはこれ以上の詮索はできない。
ひとまず彼のことは後回しにして、談話室に腰を落ち着かせる。
ややあってセイラ=マス、ジオン=ズム=ダイクンの娘にしてシャア=アズナブルことキャスバル=レム=ダイクンの妹、アルテイシア=ソム=ダイクンが姿を現した。
「キッカ、前はあんなに小さかったのに、よくここまで大きくなって」
「セイラさんも、お変わりなく」
「ううん、私も変わったつもりだけど」
お互い感慨とともに再会を喜んだ。その上でこれからの会談の手はずを整えるのだ。

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