第14話:女神再臨<機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズDAWN>
さてみなさん、今回のオルフェンズDAWNは、いよいよGHとの対峙を控えた暁たち鉄血隊。
かつて宿敵ともいえる彼ら。その試練を受けねばならぬ身としてまずはGHの英雄の一人ジュリエッタとの対面に臨まなければなりません。はたして彼女は暁にどのような裁定を下すことか乞うご期待ということで、それでは、ごゆっくり。
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
第1話:暁に立つ
第2話:汚名
第3話:世界を知れ
第4話:アステロイドの猫
第5話:テイワズの息子
第6話:マクギリスの遺産
第7話:散る命、守る命
第8話:鉄血の志
第9話:クアールのガンダム
第10話:再び赤き星へ
第11話:出会いと再会と
第12話:復讐こそ我がのぞみ
第13話:明日への誓い
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
アーブラウでの一件から一月あまり、あらためてライドが先の件と合わせ、ここ最近の事件についての対策を練ろうと持ち掛ける。
まずジュニアが反乱軍の再結成についてのいきさつを語る。そもそも“事件”において落ち延びた旧マクギリス派の残党を核に、この十数年において火星木星の圏外圏の海賊たちをはじめ、ノブリス派やジャスレイ派などの不穏分子をも取り込んだ末に指宿が、巧妙な計略をもって自分に都合が悪い因子を排除し組織の統一を図ってGH、ひいては自分たち鉄血隊に対するのだ。
続いてライドが自身の推測を踏まえて述べる。指宿らについておそらくGHでも懸案となっているだろうと踏み、おそらくはマクギリス以上の策士だろうとも踏んでいる。
その論拠に先の“事件”についてはマクギリス自身の計画事態が単純だったのでラスタルも簡単に対処できたとのことだが、ここ最近の事件の巧妙さはやはり侮れない。
いずれにしても彼らとの本格的な抗争は結局攻防逆で“事件”同等もしくはそれ以上の争乱に巻き込まれんとするだろうが、それについてはひとまず覚悟は決めている。
そして彼らの主力について、いくらか縮小化したとはいえGHに対して兵力が乏しい指宿派はいくらかの搦め手、そしてダインスレイヴ等の禁じ手までも主力にするだろうと踏み、それにも対しなければならぬと告げるが、それはあくまで表向き。下手をすればGHとの撃ち合いになるのでこうなれば指宿も不利となるのは百も承知。それならば切り札がかつての機体となるだろう。ともすれば厄災戦の再来ともなりかねない。それは極力防がなければならず各位あらためて気を引き締めんとする。
そうこうしているうちに日が改まり、夜明けの散歩がてらに暁は今後訪れるだろうジュリエッタについて、同じく散歩に加わったライドに聞かんとする。父三日月のバルバトスを倒した人物だとは聞き及んでいるが、聞かれたライドも感慨を込めて、
「彼女もまた真の戦士だった。俺たちはまんざらではないが、彼女に敵対する者はこう呼ぶだろう、悪魔を喰らう鬼・・・・・!」
突如ライドの背後に飛び掛かって羽交い締めにしたのは他ならぬジュリエッタだった。
「誰が鬼ですか」
「・・・いや、鬼という者もいるが女神という者もいるって言いたかったんだ、当然俺たちもそれなりに・・・・・」
「私は鬼はともかく女神ではありません、私は私ジュリエッタ・ジュリスなのです」
このようなやり取りの中、駆け付けた雪乃になだめられるままようやく落ち着きを取り戻したジュリエッタも、あらためて会談を、近くの木陰で座り込んでの話し合いを持ち掛けるにいたる。
まずはライドたち鉄血隊をGH本部に招聘し、今までの行動と今後の状況を踏まえての対策を話し合いたいということだ。
それに続いて“事件”のことに話が移る。
後半の戦闘でマクギリスの特攻の後に彼が討ち取られ、ジュリエッタが鉄華団殲滅にあたる。その実は仲間を逃がすため、バルバトス、グシオンがGHの大軍を食い止める防備戦であった。
それを踏まえ、戦闘の早期終結のためにあえてダインを使用したラスタル。それでも最後まで踏み止まらんとした三日月と昭弘。途中タービンズの仇とばかり昭弘がイオクを討ち取り、ジュリエッタも満身創痍のバルバトスを食い止めんとし、最後に力尽きたバルバトスを討ち取った。
回想とともにジュリエッタの真意が語られた。
「この私、ジュリエッタ・ジュリスはかのバルバトスルフスレクス・三日月・オーガスを討ち取った者として謳われてきましたが、今こそ真実を語りましょう。
かつての殲滅戦に先立って何度か彼と対戦したことがありますが、どれも圧倒され続け、時には彼に殺されかけもしました。そして殲滅戦に至り、ラスタル様の援護もあっても手負いに至るにすぎず、辛うじてその動きを封じるのがやっと、やがてその動きを止め、その首をとったに過ぎないのです」
ジュリエッタの感慨にライドも続ける。
「その隙に俺たちも逃げおおせ、今に至ったわけだ。周知のとおり俺は無茶をやらかしたが、普通の生活に落ち着いた以上、監視をとどまらせて生かされたってことだがな」
「・・・みんな、苦労したんですね」
三日月が感慨めて応える。その言葉に敵意がないことにジュリエッタが驚きとともに返す。
「私などの苦労など、取るに足らぬものです。まして私はあなたの父、三日月を・・・・・」
「いや、父さんもあなたたちに討たれることを覚悟でみんなを逃がしたんです、その結果母さんも助かって後に俺が産まれて、いずれにしても俺たちもGHとことを構えることはないです。ただこれからの働きで名を上げて、父さんたちの名誉を回復できたら」
その言葉に失望とも安堵ともいえぬ表情で、ジュリエッタは肩を落とす。
「ずいぶんと、望みは小さいのですね、やはり私は、あの三日月には遠く及ばなかった・・・・・」
「それでも、何というか、そうだ、あなたはサムライでしたよ」
ジュリエッタも力なく礼を述べ、ライドもまた感慨を述べる。
「あの時あんたたちに秩序を守る大義があったように、俺たちチンピラも仲間を明日を守る大義があったってわけだ。結果あんたたちの大義が勝ったが、負けた俺たちも犠牲付きだが仲間と明日、そして大義は守られた。完全じゃないものの俺たちチンピラとGHもうまくいけるだろうが、あとはエリオン公の胸先三寸だな」
「そのラスタル様については、いえ、私がとやかく申すまでもないでしょうが・・・・・」
そこに現れたのは一人の女性士官を引き連れたアルミリアだった。久しぶりですねと呼び掛けた彼女に暁も「そういえばあなたへの落とし前もまだだったね」と返す。
それに対しアルミリアもおもむろに暁に近付き、軽く腹を打つ。
「落とし前ならば兄上がつけてくれましたから、私もこれで精一杯です。先の戦い、私の負けは負けです」
アルミリアもひとまずの手打ちと相成り、つづいて件の女性士官もライドに近付き、
「私はかつてあなた方に対したアイン、ダルトンの従兄弟の娘、マノン・ダルトン。アイン叔父と同じく名を上げんと、そして先の戦いで負った汚名を晴らさんがためにこの地球に降り立ちました」
と切り出し、かつての戦いにて三日月とクランク二尉とのこと、アイン自身の戦いのことを踏まえ、先の鉄華団、今の鉄血隊に敵意も怨恨もないとも告げる。
その言葉にライドも、結局マノンもアルミリアもサムライであったと改めて感じ入った。
そんなライドたち、ことに暁にマノンが、何とラスタルとの対面を望んでいると告げる。
かつて本当の意味で父三日月を倒したラスタルとの対面、暁にとってある意味最大の試練が待ちうけるのであった。
次回 機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズDAWN
ラスタル・エリオン
今こそ俺も、俺たちも世界を知ることになるんだね、父さん。
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