« ローズ=バーンシュタイン対マジカルドロップ系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 今週の神様21年度33・34号:待ち望んだ人たちの巻21 »

第10話:宿敵の刃(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、いよいよキッカとヤザンとの決戦を繰り広げる運びとなりました。はたしてその帰結するものやいかに、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第10話:宿敵の刃
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
ニュープラスの武装は基本サーベルと換装を終えたフィンファンネル3基のみだった。しかし緊急事態とばかりに彼女に言わせれば不完全な状態で出撃しなければならなかった。
というわけでキッカとヤザンとの対戦が始まり、まずはヤザンが突進する。それをスラスターを駆使して受け流し、そのまま投げ飛ばす。
ヤザンも投げ飛ばされるままに自機の姿勢を整え攻勢に転じんとする。
続いて両手のカノンで砲撃するもこれも回避しつつ受け流す。それに続いてバイアランの蹴りが放たれるもこれもひとまず受け流す。そこで虎の子のファンネルを展開する。そもそもフィンファンネルはキュベレイ等のファンネルよりは機動性に劣り、まして重力下では、ファンネルもそうだがヒットアンドアウェイの砲撃もままならず、結局無人戦闘機として運用ぜざるを得なかった。
ともかくファンネルでの砲撃をもヤザンはかわし、やがてそのうちの1基を撃ち落とす。
「やはり小細工も通用しないわ。それだったら」
と、キッカはファンネルの機能を停止し、残りの2基も地面に落ちる。その後でサーベルを構えるヤザンに立ち向かわんとする。
「フッ、ここからが本番か」
ヤザンもサーベルを構えるキッカを迎え討つ。
こうしてニュープラスとバイアランの剣劇は繰り広げられる。クムたちも加勢に加わらんと思うも、二人の対戦の熱さにとても入り込む余地はなかった。
「ヤザンの奴め、これほどに戦いを楽しんでいるとはな」
「それでも、追い詰められているわけじゃいけれど」
TW内のトーレスとノックスもやはり見守るしかなかった。そんな中通信が入る。
「こちら本部、やはり終わっていない、ようですね」
「ええ、まずは安全のために引き続き待機をお願いします」
とノックスが司令に告げ、再びモニターに視線を移す。
2機の剣劇はなおも続いている。しかしニュータイプが脚部スラスターを駆使して何とか喰らい付くも、バイアランの推進力もあってヤザンに一日の長があった。
そのうちバイアランの蹴りが繰り出され、たまらずニュープラスも転倒する。すかさず体勢を立て直さんとするとろ、バイアランがサーベルを突き立て襲い掛かる。
その時であった。
突き立てたバイアランの右腕は一筋のビームを受け爆散し、左胸にはニュープラスのサーベルが突き刺さっていた。
「・・・まさか、ファンネルを持って砲撃するとは・・・・・」
先に倒れてからの起きざまに、フィンファンネルを拾い、簡易的なハンドガンとして活用したのだ。
「とっさに思い付いたけど、この点でも、私はハマーン=カーンにも及ばなかった・・・・・」
「この俺としたことが、最後で詰めを誤ったとはな・・・・・」
ヤザンの声に気負いと後悔はなく、むしろ安堵感さえ漂わせた。
「いずれにせよ、俺も納得がいく負けを得ることができた、しかし・・・・・」
突如バイアランの背部から脱出カプセルが射出される。そこからさらに巨大な車輪状のコックピットが展開する。
「俺も、まだ戦いをやめるわけにはいかん。縁があったらまた会おうぜ。それから、カミーユとジュドーによろしく言っておいてくれ」
と、一目散に戦場を後にする。
キッカも一時呆気に取られたが、すぐさま我に返り、両手で頬を叩き全軍に告げる。
「どうやら終わったようね、みんな、被害状況を報せて」
「こちらライエル、装甲の損壊は軽微です」
「サザビーも被害は軽微です」
続いてアレンたちも被害は大したことがないと告げる。
「作戦は成功のようですね、兵士の大半は脱出しましたが敵基地は制圧いたしました」
「分かりました。こちらも順次撤収いたします」
司令からの通信を受け、すっかり平静さを取り戻したキッカも返す。
ともかくも宿敵ヤザンとの決戦をかろうじて切り抜けつつ、一つの戦いは終わった。
 
そんな折、戦場近付いていく一台のキャリアーがあった。それが前方の一輪バイクとすれ違う。その乗り手がキャリアーに通信を入れた。
「よお、戦いは終わったぜ。さしあたってお目当てのキッカ大佐も無事だ。あとはゆっくりとやってくれ」
「ヤ、ヤザン大尉・・・・・」
そのキャリアーの乗り手、実は“財団”のエージェント、人呼んで“兵長”に緊張が走ったが、相手のヤザンが走り去ったので、そのまま緊張を解きつつ戦場近くのTWに向かう。
 
そのTWにて事後処理の傍ら、誰が切り出したわけでもなく、反省会が行われていた。
「今回の作戦は中盤までは順調だったが、ヤザンの出現も予測しなかったわけじゃなかった。それを踏まえて一つ教訓としてくれ。いずれ来るだろう本当の使命って奴のために」
「はっ」
トーレスのひとまずの説教にそれぞれが応える。そこに一人の来客の訪れを告げられる。
それは先のキャリアーの乗り手たる“兵長”だったのだ。
「よく参られました、情報の提供はともかく総裁の動向について教えていただけますか」
単刀直入にキッカが問い、兵長も軽い咳払いの後に告げる。
「総裁と姫様との会談についての手筈は私どもと先方との連絡を通じて調整を行っていて、近日中には取り行われる運びです。詳しいお話は直接話したいとのことです」
「分かりました、当方も近日中に赴くことにします。しかしセイラさんもいろいろと事情があるようでそう表立っての行動ができないようですね」
「申し訳ありません。ですが一つ告げてほしいことがあるとのことです」
「と、申しますと」
兵長はあたりを見回すようなしぐさの後に再び話を切り出す。
「実は、とある子供を最近保護し、財団本部の孤児院でかくまっております。彼女のこともあらためて紹介したいと思います」
「・・・それは、どういったものですか」
ひと通りの事情を放したのち、兵長は艦を後にする。
それを見送りつつ、キッカはひととき物思いにふける。
「新たな時代を築きだろう“望まれし子”か・・・・・」
そしてその想いに軽くうなずきつつ、ブリッジへと向かう。きたるセイラとの会談のため今後の日程をノックスたちと調整するのだ。
 
財団本部を訪れたキッカたちは、そこの孤児院にてなつかしい顔と再会する。更に身を置いていた一人の少女。彼女の存在はキッカに何をもたらすのか。
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド
『望まれし子』
君は、生き延びた先に何を見るのか。

| |

« ローズ=バーンシュタイン対マジカルドロップ系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 今週の神様21年度33・34号:待ち望んだ人たちの巻21 »

ガンダム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ローズ=バーンシュタイン対マジカルドロップ系キャラ<バトルコロシアムD.A.S> | トップページ | 今週の神様21年度33・34号:待ち望んだ人たちの巻21 »