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第9話:リッド奮戦(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、アフリカにて戦線を張っているティターンズ残党に対するために赴くキッカたち。一方かつての宿敵ある男と隠された英雄との邂逅の様を描く運びとなっております。
はたしてこの先どう転ぶというのか乞うご期待、といったところで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第9話:リッド奮戦
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 とあるダイナーにてひとりの男が食事をとっていた。そこに後に入ってきたもう一人の男が少し間を取りつつも隣の席に腰を下ろす。
彼らはお互い知らぬ仲ではなかった。否、この二人の素性を知っていればある種の緊張を覚えずにはいられなかった。
「・・・ああ、あんたか・・・・・」
そんな周囲の雰囲気をよそに、先の男は食事を続ける。その言にはいささかの警戒もなかった。
「俺も最近何かと要りようになってな、そういえばそちらも随分羽振りは良くなったとみえるが」
そんな周りの雰囲気を読みつつ、後の男も話をこう切り出すと、
「これでもそれなり肝を握られるからな、それなりの報酬はもらっているが」
と、先の男のコウも返す。
マスターもおそるおそる後の男に注文をたずね、男は「いや酒はいい、ソーダだ」と応える。続いて、
「丸焼きかステーキか、肉なら何でもいい」
と不敵な口調でマスターに告げてからコウの方に向き直る。
「そういえば“あいつら”も最近の争乱に合わせて動き出してると聞いたが」
そんなコウの問いに男も面倒くさそうに返す。
「やはり“姫君”からか、それともウラキ博士か」
「さあ、どっちかな」
コウもはぐらかしつつも男の応えを否定はしなかった。
「いずれにせよ俺自身は今さら関わりたくはないがな」
「そうだな、俺としてもあんたと戦わないに越したことはない」
男の率直な応えにひとまずの満足を覚えたか、コウもさりげなく後にする。
「今度会う時もこうやってメシを食いたいもんだ。それよりも親父、注文したものはまだか」
「は、はい、ただいま」
と、マスターが先に焼き上がったローストポークを差し出す。
やはりこの男について、下手に関わればどうなるか分からないので、誰もがひとまず距離を置こうとする。それですらも男は楽しんでいるきらいがあった。
その男、ヤザン=ゲーブルも切り分けた肉塊を頬張りつつ、一人物思いにふける。
「とはいえ、あの嬢ちゃんには今更ながら興味がわいてきたな。さてどうしようかな」
 
今回の任務、旧ティターンズ系の反乱分子の取り締まりについて、主要なメンバーでのミーティングを開くことになった。比較的大規模な作戦になると踏んでのことである。
とはいえ作戦の骨子は半ば決められていて、そこから各自の意見を聞き、各員の配置と作戦行動等の詳細を決定するのだ。各自活たつなる意見を述べるようとトーレスが告げ、まずはアレンが切り出すことになるのだが、
「我々が対するのはティターンズ系の残党が中心となっていると聞きますが。今や連邦の反乱分子という・・・・・」
キッカもうなずきつつ軽く指をさし、言を途切れさせ恐縮するアレンに対し軽い面持ちで指を引き、アレンの言を肯定して返す。
「そうね、でも実を言うと私もそのティターンズについてはそうそう敵意はないのよ」
キッカの言にトーレスも腕を組みつつ軽い口調で付け加える。
「まあ、彼らも悪く言えばジャミトフやバスクに唆され、かといって復隊もできずに今に至ったということだな」
なぜかミウも居合わせて軽くうなずく。多少なりの関係者ということでノックスに勧められた。もちろんキッカの了承も得てである。
「そうですね、あの時のことはともかく私も大佐と同じ意見です」
続いてクムが自らの気持ちを述べ
「ともかくも今から対する彼らについては、やはり反乱分子として処理するしかないか。とはいえなるべく穏便に済ませよう」
司令官の薫陶が著しいのか、ひとまずトーレスが話をまとめるが、艦内に警報が走る。
『未確認飛行物体が当艦付近で飛来しております、映像、こちらに出します』
ルームのモニターに映し出されたのは一機のMS、下半身が巨大なスカート形状で脚部は見受けられない。
「・・・これって、ジオングじゃない。先のネオとかいうジオングもどきとは違う・・・・・」
軽い驚愕とともにキッカが述べ、誰もが軽い戦慄を覚えた。たしかにラプラス事変等で猛威を振るったネオジオングのこともあり、やはり警戒せずにはいられない。
クムの「・・・どうします、大佐」との問いに、
「もちろん対処するしかないわね。かといってここで足止めするわけにはいきません。そこで調査等の対処の為に、リ・ガズイ3機に任せます」
キッカの指示にアレンたち3人が「はっ!」と立ち上がり応え、直ちに部屋を後にする。
「くれぐれも気を付けてね」
とのキッカの呼び掛けに去り際で礼をしつつ準備を整えんとするアレンたちだった。
 
話を少し戻して、
中央アフリカの荒野、そこに一機のMSジオングが、巨大なスカート部分のスラスターを駆使して大地を駆けていた。
「すごいな、ザクより一回り大きいけど小回りがきいてて楽しいや」
かれこれ小一時間経ったか、リッドはいずこかへと連絡を取る。
「走行データはこんなものかな、それじゃあこれから飛行テストに入ります」
「了解」
こうしてスラスターを全開にして天高く飛び上がる。
「やっぱり宇宙もいいけど、飛ぶんだったら地球の大空だな、これも風を受けて気持ちよさそうだからね、って・・・・・」
モニター脇のレーダーの何かに気が付くリッド。
「いけない、飛んでいるうちに何かに近付いたんだ。連邦の機体だったらどうしよう、って・・・・・」
すかさず地上に連絡を取ろうとする。しかしレーダーからさらに三つの反応が現れる。
「そんな、こんなに速く近付いてくるなんて」
やがてその反応の主、三機のリ・ガズイが使づいてきたのだ。

 

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