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ザ・ドラえもんズオリジナル:ドラニコフ編その1(後編)

その人影は林の中から出てきた。それは人ともケモノともつかない姿だが、時折かすれた声でうめく。
「・・・ク、クルシイ、ナ、ナニカ、タ、タ・ベ・モ・ノ・・・・・」
その後吠えるのみでさまよい歩き、いつしかどこか大きな屋敷の裏に差しかかかる。
そこの番犬が吠え立てるも、人影の遠吠えで何故か黙りこくる。そして人影は裏庭の納屋に入り込み、そこの野菜などの食材を食い散らかし、その後で人の姿を取り戻す。
「・・・ふう、ようやく落ち着いた。先のワクチンも完全には効かないから、時折腹がすいてからまたケモノに逆戻りだ。かといってもうこれ以上ここの人たちにも迷惑をかけたくないし、さてどうしたものか・・・・・」
と、人影の男は、屋敷を後に捨てそのまま林の中に去っていく。
 
一方ニコラたちは件の犯人の手がかりをあちこち探し回っていたが、一向にその手がかりが見つからずじまいだった。そもそも肝心のドラニコフが見当違いのところをたどるばかりだったのだ。
そこに馬に乗った少年が近付いてきた。村の有力貴族の息子のフョードルである。
ニコラ「あれフョードル、いったい何しに来たの」
そのフョードルは馬から降りて応える。
フョードル「うん、君たちが犯人を捜しているのと同じく、僕も手掛かりを探しているんだ。でもなかなか見つからなくて」
ゴーリキー「なんだ、そっちも当てずっぽうじゃないか。頼りにならないなあ」
サーシャ「そんなこと言うもんじゃないわ、フョードルも見当をつけて探しているから」
そこにフョードルの使用人が駆けつけてきた。
「た、大変です坊ちゃん、家の倉庫の食糧が」
フョードル「え、食糧庫が襲われたの」
ニコラ「ともかく行ってみよう」
と、フョードルの屋敷へとみんなが駆けつけていく。
屋敷の食糧庫はたしかに食い荒らされていた後で、警備に放された犬たちも元気がなくなっていた。
「犬たちが吠え立てたかと思えば急に黙りこくって、調べたところこのザマです」
フョードル「うん、これではっきりとしたね。ここでドラニコフの出番だよ」
「これに探させるんですか、あまり頼りにならなさそうだなあ」
フョードル「大丈夫だよ、彼の鼻は結構利きそうだから」
続いて匂いをかがせたドラニコフに励ますように告げる。
「作物や犬の匂いの他に何かが匂うはずだよ。それをよくかぎ分けて」
ひとまず励まされ、ドラニコフなりに入念にかぎ分け、うなずきとともに倉庫を後にする。ニコラたちもそれを追っていく。
 
一方件の男は先に腹を落ち着かせたかと思いきや、またもや苦しみだす。
「なんだと、先に食べて落ち着いたというのに、そういえば獣になっては食べて落ち着く間が短くなっていったような。すると、このままでは、いくら食べても、もはや・・・・・」
その苦しみから、やはりみるみるケモノになっていく。
「・・・ウ、ウ、ダメダ、コノ、ママデハ・・・・・」
そして咆哮をとどろかせる。しかしその吠え声がニコラやドラニコフが駆けつけてきた。
ニコラ「何やら吠え声が聞こえたけど、これってまさか」
「・・・ウ、ウ、ウ・・・・・」
次第にドラニコフが興奮していく。先にかぎ分けたのと同じ匂いを感じてのことで、あらぬ疑いをかけられた怒りを込めつつ目の前の狼男を睨みつけて更に興奮の度を増していく。
フョードル「やはりこの人が野菜泥棒の犯人だったんだ」
ゴーリキー「よし、とっとととっ捕まえようぜ」
しかし対するオオカミ男の方もドラニコフに負けじと吠え立てる。その迫力にさしものニコラやゴーリキーも近付けないでいた。
やがてオオカミ男とドラニコフが激突し、そのまま乱闘にもつれ込む。いつ終わるか分からない乱闘は、突然謎の穴が空間に開け、そこから黄色い人影が現れる。
その人影はドラニコフとオオカミ男に何やらの電撃銃を撃ち込み、はたして二人とも気を失ってしまう。
あっけにとられつつその人影に近付くニコラ。するとその人影はニコラに恭しく挨拶をしたのだ。
ニコラ「ええと、ドラニコフと同じような子だね、君は一体誰」
「はい、私はドラミといって、ドラニコフと同じネコ型のロボットです」
ドラニコフを気遣いつつもサーシャもドラミちゃんに話しかける。
サーシャ「どうやら女の子のようですね、いったいどういうことなんですか」
ドラミ「はい、単刀直入に申しますと、この人はあなたたちがいう未来の世界の冒険家の人なんです」
ドラミちゃんもそのオオカミ男に近付いてボタン注射(未来の世界の針を使わない注射)のワクチンを打ち、みるみる男は元の姿に戻っていく。
ドラミ「この人はイワン=スカンレーという人で、とある星を調べているうちに行方不明になって、あとで調べていくうちに、何らかのトラブルでこの時代のここにたどり着いたんです」
そのうちにイワンと呼ばれた男も目覚め、自分が元に戻ったことを確認してから自分の身の上を話し出す。
イワン「かつてわたしはある星を調べているうち、宇宙のオオカミに似た生物にかまれたんだが、すかさず宇宙狂犬病のワクチンを打ったが、今度はその副作用でわたし自身がオオカミ男に変身するようになったんだ」
フョードル「それでそれを抑えるために、この村にたどり着いてから時折作物を盗み食いしたのですね」
イワン「今でもすまないと思っている。こうして病気が治ったからにはそのお詫びがしたいのだが」
そこですかさずドラミちゃんが何やらのカプセルを出す。
ドラミ「それだったら“趣味の日曜農業セット”。これでここの作物を作ることにしましょう」
ということで、近隣の畑を借りてドラミちゃんの道具を使って作物を作ることになった。種植えから収穫まで一通りの作業をドラミちゃんやイワン、ニコラやサーシャたち、もちろんフョードルもこぞって作業にあたり、はたしてイワンが盗み食いした料の数倍の作物を収穫することができた。
村長「これで今年の収穫分は確保できたよ」
ドラミ「はい、ここ数年はこの苗で当面の作物は確保できますよ」
村長「思えばこの人も病気だったとは、今まで追い回してすまなかった」
イワン「いえ、ご迷惑をおかけしたのも間違いはないので、これでも足りないほどです」
ニコラ「それじゃあ、その未来の世界に帰ってもお元気で」
イワン「うん、君たちも元気でいてくれたまえ」
イワンの言葉にニコラはともかくドラニコフも深々と頭を下げる。
こうしてオオカミ男騒ぎは元に戻ったイワンがドラミちゃんの力を借りて未来の世界に帰って無事解決した。
そしてニコラたちの村はドラミちゃんがもたらした作物の苗によって当面の間豊かになったそうな。

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