第7話:古き友来たる(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>
さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、任務の途上とある人物の逃走劇から、その古き友の救出にあたるストーリーをお送りする運びです。はたしてどのような展開が待っているのか。そしてキッカたちはその古き友を助けることができるか乞うgふぉきたいということで、それでは、ごゆっくり。
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第7話:古き友来たる
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
その日、食堂で昼食をとろうとしたミウのもと、キッカとクムが向かいの席に落ち着いた。それ自体は珍しいことではなかったが、東京での一件で父コウの動向を聞き、それについて話すことがあるだろうとミウも踏んでいた。
はじめは何気なく食事をとっていた三人だったが、ふとキッカが、
「ところでミウ、先日“あの人”からお父さんのことを聞いたけれど。もしよければ知ってる限りでいいからお父さんとのこと、教えてくれないかしら」
キッカも軽く問い合わせるつもりだった。ミウもそれを承知していたがやはり相手が相手なので、ここは少し息を合わせて応えることにする。
「・・・はい、あの戦役のことは大佐もご存じのはずなのであえて申すまでもないですが。戦役を通じて父はあるジオン軍将校の人と対立し続けたのです。あと、その将校の、ガトー中佐は・・・昔、母と付き合っていたのです。その縁からか、しばらく落ち着いてからお父さんもガトー中佐の落とし前の為に・・・・・」
ミウの告白にキッカが少し考えるようなそぶりを見せ、ミウも告白を止める。
「・・・あ、あの、すこし気まずいことをお話したでしょうか」
「・・・うん、聞いちゃいけないことも聞いたかもしれないから」
「でも、コウさんの気持ちも分かるかもしれません。コウさんにとっても戦争は終わっていないようでしたから」
そんな二人の心情をはかってか、クムもコウについての感慨を述べんとする。それにはキッカもうなずき、
「うん、いずれコウさんにも会わなければいけないわね。もちろん任務の範囲内でできる限りだけど」
「はい、ありがとうございます」
「今更だけど、私も仲間として力になるわ、困ったことがあれば私たちに相談して」
ということで話を切り上げてから食事を済ませ、前々からの心配事をいくらか解きほぐされたミウだった。
その一方でトーレスも食堂の外でたたずみながらその会話を聞き入って軽くうなずきながらその場を後にする。ひとまずはウラキ家の事情なだけに自身の胸に閉じておくことにするのだが。
そんなトーレスもブリッジに上がると、先ほどとは別の事案を切り出した。
「周囲に変わったことはなかったかな」
さしあたりブリッジ内での広言の形で問いかけ、それを承知してかノックスが応える。
「今のところは、なにも」
「しかし予断は許さないってところかな」
「もうすぐキッカも戻ってくると思いますから、そこから作戦を立てるのもいいでしょう・・・・・」
その時である、突如ブリッジのオペレーターがとある反応を緊張気にノックスに伝える。
「中佐、10時の方向に機体反応が。なにかを追っている様子です」
「うむ、何を追っているかが問題だな。もしかしたら“古き友”と関連があるかもしれない」
“古き友”とはもちろんキッカに関連する人物であり、その後の任務について重要な人気をもたらしてくれるだろうとも期待をしていたのだ。
「至急キッカに連絡してくれ『“古き友”来たりや』と」
ややあってキッカがブリッジに上がってきた。
「ケント、未確認機体が近付いてくるというけど」
「ああ、ほぼ一直線に当艦に近付いてくる、何かを追っているとすればその先の目標の目的が当艦なら・・・・・」
「映像、出ます!」
オペレーターが告げ、向かってくる機体が、そしてその先の航行するボートを駆る人物の顔が映った。
「・・・やっぱりカイさん」
「思った通りだ。それならばすみやかに救出しなければならないな」
そこにMSドックのライエルから連絡が入る。
「大佐、先輩、いつでも出撃できます。あとはご指示を頂ければ」
「そうか、タイミングを見計らって指示をしよう」
「今回はライエルに任せましょう、できうる限り、全力を尽くしてね」
「了解しました、エドワード=ライエル、ジO、出ます!」
と、キッカに言い渡されてライエルが発進、続いてアレンたちも発信するのだった。
件の海上では、カイが数機のMSに追われていた。
「ここまで追ってきやがったか。しかも御大層な陣容だな。奴らやっぱりただでは逃がしてくれないようだ」
ボートを操縦しながら卓上の端末に目を通す。
「思った通りだ、あれは外見ズゴックだが、中身はまるで別物、つまり最新の機体といっても差し支えないな」
カイはボートを進ませつつも、時折ズゴックが放つ魚雷を巧みにかわしつつ、右に左にと船体を操る。そんなカイの方も、船から何やらを投げ出した。それは海中に沈みつつ、ズゴックの近くで突然爆発した。お手製の閃光弾である、気休め程度だが多少の目くらましにはなるだろう。
「これで時間を稼げればいいが、何としてもキッカのもとにつかなきゃならん。おっ、あれは・・・・・」
接近してきたのはライエルのジOとアレンたちのリ・ガズイの3機だった。
「あれがジOか、かつてのシロッコの機体と、カミーユのゼータの改良版の奴か。しかしこれほどの再現とは、流石ウラキ博士だな。やはり俺を助けんとするなら、なるべく足を引っ張らいようにしないとな」
カイがそう感慨する。その物言いからグリプス戦役からカミーユやニナとはいくらか親交があったのだろう。
といった具合で、ここに追うもの、追われるもの、そして迎え入れんとするものの攻防が始まるのだった。
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