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第7話:古き友来たる(その1)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、東京でとある女性との邂逅を経て、いよいよ治安維持とは別のもう一つの目的に乗り出さんとする様をお送りする運びです。そこで懐かしき人物との邂逅も待っていることでしょう。はたしてそれが何をもたらすか乞うご期待ということで、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
イントロダクション
第1話:ホワイトベース最後の勇者
(その1)
(その2)
(その3)
第2話:生きるということ
(その1)
(その2)
(その3)
第3話:継ぐものたち
(その1)
(その2)
(その3)
第4話:月で待つもの
(その1)
(その2)
(その3)
第5話:ガンダム、行きます!
(その1)
(その2)
(その3)
第6話:忘れられた地で
(その1)
(その2)
(その3)
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
通常航行中のTW、先刻から作戦行動とニュープラス等のMSの調整の打ち合わせ等を済ませ、ブリッジの司令官席でキッカは佇んでいた。というよりも任務疲れで一時の小休止を取っていたと言ってもよかったが。
そんなキッカにブリッジに上がったライエルが近付いてきた。
「・・・大佐・・・・・」
ライエルの呼びかけにキッカは反応しない。連戦の疲れが出ていると思いつつも今一度呼びかける。
「大佐!」
「・・・あ、ええと、何・・・・・」
 キッカもあわてて応える。
「はい、お疲れのところ、申しわけありません。実は先の司令からこの先の諸島で有益な情報があると持ち掛けられ、先輩とトーレス大尉との協議の上で、あとは大佐の了承を得れば」
少し落ち着きを取り戻してか、キッカもオペレーターに呼び掛ける。
「そうね、その諸島というのは・・・やはりこの辺りね」
何か思うところもあるかとライエルに読まれつつ、キッカは応える。
「さしあたりその情報の有益性はともかく、聞いてみる価値もあると思うわね」
と、情報収集のための停泊を了承する。こうしてTWは諸島近隣の海域へと停泊する。
 
その諸島の一つの漁港で、待ち構えたかの如く現地人に見えるもどこか雰囲気が違いそうな青年が立っていた。おそらく彼が情報を提供するという青年だろう。
ひとまずクムとライエルの護衛に付けその青年とコンタクトを取らんとし、そんな彼もキッカにまず話しかけてきた。
「お久しぶりです、というべきでしょうがキッカ=コバヤシ大佐」
「やはり、あなたは、ドアン氏の・・・・・」
若者の名乗りにキッカのいわゆる既視感は確信にかわった。かつての一年戦争にて当時転戦中のホワイトベースが立ち寄った孤島にて出会った元ジオン兵ククルス=ドアン。彼がかくまった子供の一人だったのだ。それはかつてジオン軍の地球侵攻作戦において被害に遭うも、当初贖罪のつもりでドアンにかくまわれ成長の末に現在に至ったのだ。過去のいきさつはともあれ、その後成長した彼は近隣の海で漁をしつつ生活の上でドアンを助けつつ、近隣の島々で周囲の情勢を入手しつつ動向をうかがっていたのだ。
その一環としてキッカたちに接触をせんとしたのだったが。
そんな若者を前に、あの時よりの想いを込めてキッカが感慨する。
「あれから20年、時代はまだ混迷の中にあって、私たちもなんとかしようとしているけど、それもままならないものね」
「それは僕らも同様ですね。しかし嘆いてばかりでは刻も動かないと“父”も言っていました」
“父”とはやはりドアンのことだろう、とキッカも得心する。
「この時代、この地球(ほし)を守るために宇宙(そら)に上がるべきだという人もいますが、僕らのようにあえて地球に残るものも必要とは思います」
「いずれにしても、この地球のために力を尽くすのが必要なのね」
と、それぞれ感慨を述べ合いつつ、いよいよ本題に入る。
「実はあれ以来、と言いましてもデラーズ戦役より後のことですが、ある人と情報を交換し合って今に至っています」
その“ある人”もまたキッカの知人だろうと、本人はともかくライエルやクムも理解はできたのだが。
「・・・失礼します」
そこに一人の人物が近付いてきた。見るからに現地人ではないその人物もキッカならずとも得心がいった。二人がその人物に気付き、まず若者がその人物に一礼をして一旦彼に話を譲る。その上でキッカが話し掛ける。
「アストライア財団の人ね」
「はい、一年戦争の後に生活の保護を持ち掛けられたところ、父が謝絶しましたが、以来最低限の援助だけは受けています」
若者の説明の後、キッカがひとまずの要件を聞く。
「ところで、私に用があるようだけれど」
「はい、会長の指示でメッセージをお送りいたします」
「ええ、承りましょう」
と、一通の親書が渡される。キッカも面には出さないが一言ずつ追うように読んでいく。やがてクムとライエルに向かい、
「分かりました。このメッセージに関しては後でケントたちにも伝えます」
続いてかのエージェントに向き直り話題を変える。
「ところで財団の状況は、やはり慌ただしいのかしら」
「大したことはない、と言い難いのですが、やはり会長の立場も立場ですので」
「ことにあの人との接触を快く思わない人たちもいるというのね」
渡された親書もまた東京でのいきさつもやはり知った上でのことだろう。
「やはりビスト財団の影響が少なくなってその傘下の組織がまとまらなくなったのが一因ね。今は生きるために力を合わせなければならないけれども」
皮肉交じりにキッカが感慨する。それにはクムも厳かに頷く。
気を取り直し、再び若者に向き直る。
「ところで“ある人”というのは“あの人”のことね」
つまりはキッカが知っている人、すなわち同じWBのクルーの一人でもある。
「はい“あの人”が言うには“会長”の身に関して重要な懸念があり、それを伝えたいということです」
やはり“あの人”すなわちカイ=シデンもキッカに直接伝えねばならない情報を持っている。すべては“彼女”たちのため、ひいてはこの世界のために。
「そうですね、私どもも力を尽くしましょう」
敬礼の後にキッカたちもこの場を後にする。それを若者たちも深々と一礼で返す。
「それではカイさんから連絡がき次第、作戦行動に移ります」
「はっ!」とクムとライエルは返す。
一方でTWからも一つの通信が入る。
「中佐、何やら通信が入っております『重要ナ情報アリ、司令官ニ伝エラレタシ』とのことですが」
その通信の真偽に関していささかの疑問を呈する余地もなく、ノックスも応える。
「やはり“あの人”か、キッカが還り次第作戦開始に移ろう。何としても接触をしなければならない」
と、ノックスの方も“作戦”を立てんとしてしたのだ。
 
話を一時先日に戻す。
一人の男が裏町を駆け抜けていく。その後で数人の男たち、手には銃器が握られていて、明らかに先の男を追っていたことは明白だった。
「やはりそうそう行かせてはくれないか。だが急がなきゃならない、キッカのためにな」
その男、カイ=シデンは裏町の先にある港へとひたすら駆け抜けていくのだ。

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