ドラえもんオリジナル特別編:のび太のサファリパーク(前編)
さてみなさん、今回のドラえもんズオリジナルは、夏休み特集というか、緊急企画というか。本家ドラえもんからのび太のサファリパークをお送りいたします。
これはかつて雑誌で掲載されながらも様々な事情でお蔵入りとなったお話をある程度の落としどころを見ながらひとまず現代風にアレンジしたものをお送りする運びです。
アフリカのジャングルを舞台にドラえもんやのび太くん、そしてしずかちゃんがどのような活躍を見せてくれるでしょうか、といったところで、それでは、ごゆっくり。
その日の空き地にて、スネ夫がまた話を切り出した。
スネ夫「先日家族みんなでサファリパークに行ってきたんだ。ライオンやヒョウ、ゴリラなんかが車に近づいて、それはもう迫力あったんだ」
ジャイアン「そいつはすげえな」
しずか「ちょっと怖そうだけど、おもしろそうね」
それに聞き入っていたみんなもそれぞれ感慨し、のび太くんもひとまずは聞き入っていたが」
しずか「ねえのび太さんもどうかしら」と、しずかちゃんが呼び掛ける。
ジャイアン「やめとけよ、のび太なんか、動物に近づいたら仰天してのびちゃうぜ」
スネ夫「ほんと、のび太なだけに」
のび太「な、なにをっ・・・・・!」
スネ夫「それじゃ今度連れて行ってやろうか」
ジャイアン「悪いけど今度のサファリパークは三人分なんだ」
スネ夫「いやいや、そこまではいかないでしょう」
のび太「なんだよ、僕だって別に行きたいと思わないよ」
スネ夫たちにはやし立てられ、のび太くんもついに意地を張ってしまい、後ずさりからついにはその場を去っていき、やがて家に差し掛かると。
「ドラえも~ん!」
と急ぎ足で家に駆けよっていく。
部屋に戻るや早速ドラえもんに頼み込む。
のび太「ドラえもん、サファリパークを出して」
ドラえもん「な、何やぶからぼうに、ちょっと落ち着いて」
ひとまずのび太くんを落ち着かせ、さっきの事情を聞いたドラえもんだったが、
ドラえもん「うん、要するにみんなをサファリパークに招待して見返してやりたいってことでしょ」
うんうんと頷くのび太くんに。ばかばかしく思いながらも一つ提案をする。
ドラえもん「要するにアフリカのジャングルで動物たちをまじかに見せればいいでしょ」
のび太「それもそうだけど、やっぱりライオンやゴリラが近づくと怖いから、怖くないように近づけられるようにならないかな」
ドラえもん「しょうがないなあ、それだったら『桃太郎印のきびだんご』があるから、それで動物たちをてなづけられるはずだよ」
のび太「それじゃ、さっそく行ってみよう」
ということで、『どこでもドア』でアフリカンジャングルに行き、ジャングル上空からきびだんごをまいていく。
ドラえもん「これで動物たちがのび太くんのいうことを聞くはずだよ」
のび太「うふふ、楽しみだなあ」
こうして後日の楽しみに期待をしながらきびだんごをまいてから家に戻るのだった。
しかしその後で空から何やらの光がジャングルに降り立ったのだ。
次の日、いつもの空き地にしずかちゃんたちを呼び寄せ、ドラえもんとのび太くんは高らかに宣言する。
のび太「ようこそ、のび太のサファリパークへ」
スネ夫「なんだ、ただの『どこでもドア』じゃない」
ジャイアン「結局ドラえもんに頼りっきりじゃないか」
ドラえもん「まあまあ、ドアの向こうはアフリカのジャングルで野生の動物たちを色々見られるよ」
しずか「その野生の動物って、いきなり襲ってきそうで危なさそうじゃない」
肝心のことがらに少し驚きながらものび太くんも返す。
のび太「も、もちろんそれについては心配はいらないよ。動物たちはみんなかわいくてかっこいいから、ね」
と、みんなをせかしつつドアの向こうに連れていく。その向こうのアフリカのジャングル。密林の間の広まったところをベースキャンプとしてここから動物たちを鑑賞するのだ。
スネ夫「それで、動物たちはどこにいるの」
のび太「うん、もうすぐ近くに寄ってくるよ」
と、勢い勇んで思い切り声を上げる。
のび太「おーいみんな、こっちへ来て!」
と声を張り上げるも、しばらくたっても動物たちは一頭も寄ってはこない。
ジャイアン「何だよ、なにも寄ってこないじゃないか」
のび太「へ、変だなあ、こんなはずはないんだけどなあ」
しずか「やっぱり動物さんたち、ちゃんときびだんごを食べなかったんじゃないの」
としずかちゃんに痛いところを突かれて、のび太くんもさらに動揺する。
スネ夫「なんだ、結局道具だよりじゃないか」
ジャイアン「ばかばかしい、帰ろ帰ろ」
のび太「あ、ちょっと待ってよ、きっとみんな来るのが遅いから」
と、ドラえもんとともにこの場を離れる。ちょうど足音も響いてくるので、さしあたりそこへと向かう。
しずか「ねえ、せっかくだからジャングルの周りを歩いて行かない。もちろん遠くには行かないように」
スネ夫「うん、しずかちゃんがそう言うなら」
ジャイアン「まったくしょうがないなあ」
一方ののび太くんたちも、うまくいかないことにドラえもんと相談し合う。
のび太「どうなってるの、ちゃんときびだんごをまいたはずだよね」
ドラえもん「それだけど、しずかちゃんの言った通り食べなかったかもしれないな。でもこの前買ったばかりだから」
その時、一頭のゾウがのっそりとあらわれる。
のび太「あっ、待ってました、でもゾウ一頭っきりかな」
ドラえもん「あ、ちょっと待って。なになに『君たちがまいた丸いものがおいしかったから君たちを追っていたらみんな食べちゃった』だって」
のび太「ええっ、結局食べたのはこのゾウだけじゃないか。これじゃあサファリパークにならないよ、どうしようドラえもん」
ドラえもん「しょうがないな、それじゃあ同じく最近買った『新型ターザンパンツ』」
と、先にも出した『ターザンパンツ』を出す。
のび太「えっ、またこのパンツ、あまり気が進まないなあ」
ドラえもん「これでも最新式なんだ」
と、しぶしぶパンツにはき替える。
のび太「なんだ、ブカブカじゃない」
ドラえもん「じきにサイズも合うよ」
と、はたしてのび太くんのサイズにパンツも合わせられる。
ドラえもん「それからはいた人のイメージに合わせていろんな動物も呼び寄せられるんだ」
のび太「なるほど、こいつは便利だ」
ドラえもん「これでたくさんの動物を呼ぶことができるよ。あとこれも」
と、もう一つ『ターザン印のロープ腕輪』を出し、のび太くんに付けてくれた。
のび太「うん、これでしずかちゃんたちに顔向けできるよ」
と、勇んでしずかちゃんたちの元に戻ろうとしていった。
ドラえもん「がんばってね、のび太くん、って、なになに!?」
さっきのゾウがドラえもんを鼻ですくい上げて背中に乗せるのだった。
ドラえもん「ああ、ありがとう、それじゃあ僕もみんなのもとに行こう」
と、ドラえもんもゾウの背中に乗ってベースキャンプに戻ることにした。
ところが、ベースキャンプにはしずかちゃんたちの姿がいなかったのだ。
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