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第10話:再び赤き星へ<機動戦士ガンダム・鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回はスケジュールの都合で本日オルフェンズDAWNの公開と相成りました。
そんな今回のストーリーは、成り行き自らのガンダムを手に入れたクアールと、彼女を助け仲間に加わった蒔苗のひ孫陽日がいち早く火星での不穏を解決せんとする様と、次の任務のために地球へと向かわんとする暁たち鉄血隊の様子を交えてお送りする運びです。はたしてどのような展開が待っているか乞うご期待といったところで、それでは、ごゆっくり。
あと今までのストーリーもこの場を借りて紹介したいと思いますので、ご興味があればそれらもお目通し下さい。
 
第1話:暁に立つ
 
第2話:汚名
 
第3話:世界を知れ
 
第4話:アステロイドの猫
 
第5話:テイワズの息子
 
第6話:マクギリスの遺産
 
第7話:散る命、守る命
 
第8話:鉄血の志
 
第9話:クアールのガンダム
 
以上をもとに今回のストーリーをお送りいたします。あらためてごゆっくり。
 
 
木星圏を発ち、地球圏へと臨むイサリビ、通常航行を利用して雪乃が訓練を兼ねた試験航行のため船長席に座していた。
「このデバイスもやはり新型のデバイスを組み込んでいる」と感慨深げに手動のコンソールを操作しつつ、脳波コンソールで艦内の基本操作を試す雪乃。各機関の状態をチェックし、航行上の外部の状態を確認しつつイサリビを動かしている。途中オペレーターのアドバイスを受けるもまずまずの成績だった。そんな中偶然菊千代がモニター越しで雪乃を嗜めるように話しかけ、一瞬雪乃もひるんでしまったが。
そのうち奇妙な船の残骸群を発見する。ひとまずイサリビを停止し、まずモニターで状況を確かめると、なんと先に木星圏を訪れたGHの調査船団だったのだ。念のためにライドたちが護衛にあたり、数機のMWを差し向けて調査にあたる。そしてその中で恐るべきものを発見した。特殊金属製の棒状の物体。これこそがかの“ダインスレイヴ”だったのだ。
イサリビ格納庫に持ち出されたその忌まわしき矢を前に、菊千代が重い口を上げる。
「これが“ダインスレイヴ”なら、なぜこんな禁断の兵器が」
菊千代の懸念にライドが応える。その口調もやはり重かった。
「“ダインスレイヴ”はなにもGHのトップシークレットというわけじゃない。要は硬くて長い物体を超高速で打ち出せばナノラミネートの装甲も簡単にブチ破れるといった具合だ。それを可能にするのがエイハブ・リアクターってわけだ。その特性を活かせればいくら寄せ集めだからとて」
「理論上は可能ということですか」
「そういうことだ」
「やはりこれもあの人たちと同じなのかな」
かつてのマクギリス派の人間なのかと遠巻きに暁も懸念する。とはいえこの事態をGHは捨ておくわけにはいかない。かといって直接伝える義理もなく事態の推移は彼らに任せ、自分たちは航行を続けることにする。
その際虚空を見上げるように物思いにふけるラッシュ。心の中でネコ娘クアールのことを想っているのだと踏みつつ、ひとまずは見守らんとするライドと暁だった。
しかしそれ以上に火星の状況に危惧を抱いていたのだ。
 
その懸念は的中した。まず火星のアーレス基地が攻撃を受ける。かの“ダインスレイヴ”をもってほぼ壊滅の憂き目にあう。続いて本土基地も同じくダインの斉射で壊滅する。たまたまそこに立ち寄るも襲撃で重傷を負った新江をはじめ幾人かの隊員を除いて。
さらにはGHの援助があれ、民間のロウ社運営のハーフメタル採掘施設もまた資源奪取のため、そこを制圧せんとするMS群によって被害を受ける。
そこに駆け付けたのは2機のガンダムフレームのMS、オセとフォルネウス。陽日たちが輸送船を自動航行で乗り捨てて火星本土に降下したのだ。
敵MS群に立ち向かうオセとフォルネウス。流麗な立ち回りで敵をなぎ払う陽日に対し、実は初めての重力下での戦闘で戸惑いがちなクアールも借り受けたナギナタ型のソードで立ち回る。こうして獅子奮迅の活躍で敵を退けた二人。倒された敵も最期には自爆して何者かが分からずじまい。加えて施設の被害もかなりのもので、作業員の中にも多数の犠牲者も生じてしまったのだ。
被害状況の確認のためとロウ社社長ザックとファクトリー専務ユリウスことユージンが駆けつけた。そこには被害を受け犠牲となった作業員。中にはアトラの昔の仕事仲間がその子供で暁たちと付き合っていた子をともなって夫の死を嘆いていた。
まずザックが沈痛な面持ちで遺族に詫びんとするも、そこにオセから飛び降りたクアールが駆けつけて助けられなかったことを嘆きつつ土下座で詫びる。
「クアールたちがもう少し早く来れば、本当にごめんなのだ」
「姉ちゃんが悪いんじゃないよ、暁の兄ちゃんがいないのをいいことに悪さをしたやつらのせいなんだ」と子供が気丈にクアールを励ます。
「キミたちは暁のこと知ってるのか」
「うん、父ちゃんが言ってたよ、暁のお父さんは三日月っていって火星で一番強くて怖いチンピラで、暁の兄ちゃんはクーデリア先生の後を継いでいつか火星の大親分になる人だって」
そのやり取りを聞いて、ザックはひとまず陽日になだめられているクアールを下がらせ、とある邸宅へと招き入れる。そこは温室内の庭園にて初老の婦人が佇んでいた。
その婦人は「藍那(クーデリア)の友人か」と誰何し、対して陽日が恭しく挨拶をしてからクアールを自分の友人と告げる。
そこに二人の女性、アトラとクーデリアが現れ、陽日が恭しく挨拶をし、それに伴ってぎこちないながらもクアールがそれに続く。続いてメリビット、クッキーとクラッカーが入ってきて、女性陣でのお茶会が開かれることになった。
一方で火星支部の被害を受けザックたちが重傷の新江を訪ね、今回の状況は本部が懸念した旧マクギリス派の残党が暗躍していたと告げる。
そもそもマクギリスを討ち、残党の暗躍は意に介する必要はないと踏み、それでいて監視は怠らぬように配慮したラスタルだったが、その残党たち、当時まだ幼かった石動の弟指宿が頭角を現すや~ちなみにそれと前後してトドがモンタークを離反してから、まずモンタークを中心として旧マクギリス派をひそかに再編させてから界隈の不穏分子を、まず周囲の宇宙海賊たち、続いて未だ残存しているノブリス派、さらには旧ジャスレイ派を中心とした反テイワズ・タービンズ勢力をひそかにかつ巧妙に集結させ、その戦力を蓄えていった。先のサンダルフォンらMAの襲撃もその一環だったのだ。それを踏まえてラスタルもライドたち鉄血隊にもそれらにあたらせたのだが。
そこで新江も今回の襲撃の後で次の作戦に当たらんとしていると予測し、それに関する情報を航行中の鉄血隊に連絡、ついでそのまま地球に向かわれたしと要請する。
それを受けたイサリビもひとまずは了承。ことに火星の襲撃のことも告げられ一瞬暁もアトラたちのことを気にかけたが、アトラたちへの直接の被害はなくそれについては安堵したのだが。
一方でその襲撃者たちを退けた二人の女性についての話題が持ち上がり、それについてラッシュもまた気にかけんとしていた。
変わって火星から地球へ向かうGHの輸送艦、そこには先の任務からの痛手から立ち直ろうとしたアルミリアたちが乗っていた。事情を知りその後の調査や処理をほとんどガエリオが行ったことで落ち込むも、傍らにいる女性士官がいろいろ世話を焼いて今ではようやく落ち着きを取り戻していたのだ。その火星支部出身の女性士官はマノン。あのアインの血縁であり、アインの汚名を晴らさんとGHに入隊し、彼女も俗な言い方ながら“名を上げん”としていたのだ。それを見越してかガエリオにスカウトされ、アルミリアおつきの武官としてこの度地球行きを相成ったのだ。そんな彼らにも火星支部の被害の報せはもたらされ、それについての対処を本部に告げ、その中には件の鉄血隊への期待もほのめかされているかとアルミリアは察し、それに対しての自らの無力さにもどかしさを感じずにはいられなかった。ともかくもアルミリアは暁たち鉄血隊より一足先に地球に帰還し、新たな任務を待つのみであった。
戻ってバーンスタイン邸ではクアールたちがアトラの接待でお茶会に興じていた。話題は暁たち鉄血隊のこと、そして控えめながらも旧鉄華団のことが挙げられた。彼らの熱い戦いにそれぞれ程度があれ胸を弾ませる二人だった。
そこでも地球アーブラウのタカキが下院議員に立候補することが話題となった。もともと陽日やクッキー、クラッカーの援助はアレジを通しての彼のはからいでもあった。
そんな中ユージンが現れ、イサリビら鉄血隊が今回の事態を受け火星を通過して一路地球圏へと向かう報せを告げた。
ラッシュと会えないのかと軽い落胆を覚えるクアールだが、追い付ければいいと陽日も返す。対してユージンも出立の手配を約し、先に乗り捨て回収した輸送邸に装備を整えて後に鉄血隊を追う形となるのだった。
そしてアトラが暁のことをよろしくお願いしますと告げ、陽日は恭しく、クアールは二つ返事で応える。
そしてシャトルに飛び立つ陽日とクアール。その様をアトラたち、そして駆け付けた子供たちが見送るのだった。
 
そして舞台は地球へ移る。アーブラウ首都エドモントンでは演説をするタカキを遠目に、冷ややかな表情で見守る一人の女性がいた。
 
次回・鉄血のオルフェンズDAWN
“出会いと再会と”
今こそ兄さんと閣下の、そして僕の望みがかなう時が来る。
 
一応のキャラクター設定
指宿・カミーチェ:かつてのマクギリスの腹心、石動・カミーチェの弟で、成長して旧マクギリス派を再結集させて打倒ラスタルを掲げる、というのがひとまずの目的とされている。ちなみに彼を中心とした反乱分子の取り締まりの協力をライドたち鉄血隊にラスタルは依頼したのだ。今はまだ名前だけしか挙げられないが、いずれ暁たちの前に立ちはだかることだろう。

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