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第5話:ガンダム、行きます!(その2)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、月を発ち地球へ向かうキッカたちに成り行き宇宙に上がったアルセス一党と対峙する様をお送りすることと、今回のサブタイトルを象徴する、キッカの発進に対しては往年のガンダムファンの方を意識した演出も用意しております。
ひとまずはこういったところですので、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第5話:ガンダム、行きます!
その1
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
月のグラナダを発ったTW、ここから先は地球の周回軌道に乗り、地球圏へと降下するのだ。もちろん作戦行動中ということもあり第二種戦闘態勢を取っている。
「ここから先、何事もなければいいけれど」
「とはいえ、何事か起きなきゃ張り合いもないってところかな」
「それもあるけどね。でも」
キッカとノックスのやり取りにトーレスも軽く割って入る。これまでのキッカたちの態度にひとまず先輩面で応えつつあったのだ。
「それでもこちらの備えは万全だろう」
「まあ、そんなところですが」
そこにオペレーターの曹長が余計なことと思いつつも告げる。
「・・・あの、大佐、間もなく、旧グリプス2宙域付近にさしかかりますが・・・・・」
「あ、うん、ありがとう・・・・・」
キッカも気付いたように静かに応える。
それから間もなく、正面モニターに向かって背筋を伸ばし、静かに目を閉じる。それに倣い誰もがそれぞれに黙祷を捧げる。
ややあって、キッカは心の中でつぶやく。
「・・・私は、まだまだ大丈夫だよ、カツ・・・・・」
その時であった、艦内の警報が鳴り響いたのは。
「に、二時の方向に未確認物体を確認・・・・・」
「・・・・・」
「た、大佐・・・・・」
曹長を思い測ってのことだろう、キッカは静かに頷く。
「今までテロリストの動向は地球を中心に展開されてたけど、ここにきて宇宙にも活動を広げてきたのかしら、だとしたら」
「・・・おそらくはこれから宇宙戦を想定してのテスト操縦と訓練が目的だろう。いずれにしてもラプラスやフェネクスのような大規模なものじゃない、そうだろう」
「ええ、そうね。いずれにしてもここは調査等の必要があるわね」
ノックスとのやり取りでキッカも決意を固める。こうして部隊の次の任務が定まった。
「出立早々出撃か、しかも宇宙戦ときたもんだ」
「もうちょっと休めると思ったのになあ」
「しょうがないよ、こうなったらやるしかないからね」
出撃の報せを受け、ノーマルスーツに着替え、MSドックへと向かうギルダスたち。そこにはクムとライエルも準備を済ませていた。
「はっ、大尉とクム少尉」
「ええ、大佐や先ぱ、ノックス中佐の許可は得ています」
「ここは全機での出撃でいいでしょう」
と、ライエルとクムが応える。一方ブリッジでも、
「敵の戦力が分からない場合は持てる最大限の戦力で当たるべし」
「初歩的な戦術論だな」
と、ノックスの述懐にトーレスが応える。すると、
「それじゃ、私も出るわね」とキッカも切り出す。
「お、おい、キッカ」
トーレスが軽く驚いて応えんとする。
「最大限の戦力だったら、私も出なきゃだめでしょ。それにあのMSの性能も確かめたいからね」
といって、ブリッジを去るキッカ。ノックスとトーレスは肩をすくめる。
戻ってブリッジ、ギルダスたちはかのリ・ガズィで出撃せんとしていた。かつてのゼータをもとに変形機能の簡略化を目指したこのMS、それを限りなくかつてのゼータに近づかんとし、いつしかそのゼータをも超えんとしていた。たしかに全盛期のカミーユのゼータには遠く及ばないとギルダスたちも踏んでいたが。
一方クムが乗り込むのはかつての反乱でシャアが乗り込んだサザビー。ニナによっていくらかの改良が施されていたいわくつきのMSでもあった。そういえば事変で活躍したシナンジュと比べたらいささか劣っているとはクムも思っていたのだが。
ライエルが駆るのはかつての戦役でカミーユのゼータと死闘を繰り広げたジO、カミーユの提案もあり、ニナが10年の歳月をかけて再現したもので、その性能はシロッコが開発したそれに限りなく近い~機体のシミュレートを通じて~ものである。
そしてあと1機のMS、Hiνプラス、アムロのνガンダムを大幅に改良した機体でもあるが、幾分武装関連で調整が必要なところもあったが。
ともかくもこれらの中ニュープラスを除いた5機がまず発進するのだ。
まずはギルダスたちリ・ガズィが発進する。
「俺たちも、自分で何とか出来ますが、なるべく見守って下さいね、カツ=コバヤシさん」
とギルダスが心の中でつぶやき、3機が続けざまに発進し、続いてクム、そしてライエルがそれぞれ発進する。
ややあってキッカがドッグに現れる。
「ニュープラスは出せる」
キッカがメカニックに呼び掛ける。
「あ、はい、出せますが、まだファンネルの調整が」
「サーベルとライフルは使えるならそれでいいわ」
と、ニュープラスに乗り込もうとしたのだが。
「あっ、大佐、ノーマルスーツを着ていただかないんですか?」
「あ、ええ、一日でも早く宇宙に慣れたいからね」
それは全くの建前で、ただ面倒くさかっただけである。たしかにコックピット内で予備のノーマルスーツがあるのだが。
こうしてニュープラスに乗り込んだキッカ。正面モニターから機体の状況をチェックし、異常なしと確認した上で、カタパルトデッキに足を運ぶ。
カタパルトに機体が運ばれる中、キッカはかつての想いを呼び起こされた。それはア・バオア・クーからの脱出の際、アムロの脱出において自分たちが導いたことによるものだった。
「はい、ちょい右!」
「そう、ちょい右!」
「はい。そこでまっすぐ」
ニュープラスはカタパルトに配置される。そこでかつてのカウントダウンが反芻される。
「5・4・3・2・1・・・」
そしてキッカも目をまっすぐ向ける。
「ゼロ!」
そのカウントに応えてか、キッカも発進を告げる。
「キッカ=コバヤシ、ガンダム、行きます!」
こうしてニュープラスは発進する。機体制御が成されているとはいえ、キッカに多少のGがかかる。その重圧に耐えつつも高揚感を覚えるのだった。
一方クムたちも件の一団に近づきつつある、対してその一団、アルセス一党も近づきつつある者たちに気が付いていた。
「だんだんと近づいていくな」
「これってまさか、連邦軍かな」
「だろうな、もはや連邦に敵対しているのは俺たちを含むテロリストだけだからな」
「いかがいたしますか」
「たしかに逃げるには早いな、敵の動向及び性能を推し図ってでも遅くはない」
アルセスが告げ、皆がそれに応ずる。
「目標確認、数は3、いや5機っす」
レトーの索敵に応じ、アルセスが告げる。
「そうか、では、散開!」
と、各々が周囲に散らばる。対して一方のライエルたちも、
「大尉、相手方も散開しました」
「それならこちらも各自当たりましょう」
「了解!」
ということでライエル、クム、ギルダスたちが各自当たることになる。
遅れてキッカもニュープラスを駆っていく。後方のTWは視界から消えて程なく、わずかな心細さも覚えていた。
「勇んで飛び出したけど、宇宙に一人だけいるのはさすがに心細いわね、でも大丈夫かな、クム、ライエル、それに・・・みんな・・・・・」
その時、ギルダスたち3人の名前を少し忘れたのを本気で後悔した。
「あの3人、名前を思えないままに死んでいっちゃ、やはりダメだよね・・・・・」
その意味で自分も生き延びなければならず、クムたちも生き延びてほしいと本気で願わずにはいられなかった。
しかしややあって、ニュープラスの電探に反応があり、それが徐々に近づき、視界からも確認されていった。その機体の青さはあたかも遠い日に見た感もあった。
まずはその機体がキッカとすれ違う。続いて振り返りざまに抜いたビームサーベルを合わせる。ハロを通じて相手の機体の情報がサブモニターに映し出される。外形はガーベラ・テトラ、秘匿された戦役と呼ばれたデラーズ戦役で投入されたMSで、おそらく現代の技術を投入し、幾分か性能を上げたものだろう。
何回かのつば競り合いのあと間合いを取ってから。敵の機体から通信が入る。
「・・・キッカ=コバヤシ大佐ですね」
「あなたは・・・・・?」
「アルセス=ハモン=ラル、かのランバ=ラルの息子といった方が早いか」
「ランバ=ラルの、息子・・・・・」
ランバ=ラル、キッカにとっては知らぬ名ではなかった。連邦の戦史教科書はもちろん、遠き日の記憶にも刻まれた名でもあった。今キッカの目の前にいるのはそのランバ=ラルの息子を名乗る男だった。

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