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第4話:月で待つもの(その3)<機動戦士ガンダム・クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、かつての英雄にして義兄カツの旧友たるカミーユとの交流と、それに関わる者たちの邂逅をお送りする運びです。今更ながらも本編外伝を含めて物語としてのガンダムの歴史をなるべく連ねようとしたストーリーが組めるように目指したつもりでしたが。
ともかくこういった運びとなりましたので、それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回のストーリーはひとまずここに。
第4話:月で待つもの
その2
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
グラナダ市郊外に建つ住宅、そこがカミーユとファの家である。そこにカミーユが帰ってきた。
「お帰りなさい」
ファが迎える。それに対しおもむろに、
「今日ウォンさんとの話に先立って、フォウに、会ったよ・・・・・」
「そう・・・・・」
ファが相槌を打ち、しばらくカミーユが黙っているので続いて、
「・・・妬くと、思った?」
「いや・・・・・」
軽く顔を向けてカミーユが応える。それに対しファは微笑を浮かべつつ話を変える。
「それで、フォウは何を伝えたの?」
「・・・ああ、見つかったんだ。俺たちが捜し求めた、まさに『望まれし子』をね」
「やっぱり、そうなのね」
「それに関連するかもしれないけれど、もうすぐクムとトーレスがお客さんを連れて来るらしい」
「それも“あの人”と関係があるかしら」
「おそらくは、そうだろうな」
 
同じ頃、1台の地上車がグラナダの市街を走る。車を運転するトーレスと助手席のクム、そして後部席のキッカが乗っていた。
「おっ、見えてきたな」
トーレスがビダン邸を確認する。車が近づくと家の門が開き、車は中庭へと入っていく。
キッカ、クム、そしてトーレスがビダン邸の玄関扉の前に立つ。クムが扉をノックする。開いた扉からはファが出迎えた。
「お帰りなさい、クム、それに、トーレスも」
「・・・ただいま、帰りました」
そう、クムにとってはこの月こそが帰るべき家だったのだ。正確に言えば、本当の家はアーガマの元船医のハサン先生の家なのだが。とにかくもクムたちは第二の故郷ともいえる場所に戻ってきたのだ。
「こちらが、キッカ=コバヤシ大佐です」
クムが紹介し、キッカがファに会釈で応える。
「キッカ=コバヤシです」
「ファ・ユイリイ=ビダンです。どうぞ、主人が待っております」
ファに誘われるまま、3人は居間へと足を運ぶ。
ソファーにはカミーユが座っていた。カミーユに勧められ、3人はソファーに腰を下ろす。
「よく来たね、キッカ大佐、それにトーレスとクムも」
「お久しぶりです、カミーユさん」
「つい先ほどまでシンタもいたんだが、ちょうど君とすれ違いになってしまったよ」
「そうですか」
シンタといえばクムと一緒にクワトロ=バジーナによって宇宙に上った子で、そのままアーガマに同乗していたのだ。戦乱後にクムとともにハサン先生の養子となり、今に至っている。そういえば操船技師の資格を取るべく夜間の大学に通っていたと聞くが。
「それに、ここに来た目的はほぼ分かってるが、明日詳しく話すことにしよう。せっかくこうして会えたんだから」
「そうか、そうだな」
失望するでもなく、トーレスは半ばわざとらしく肩をすくめる。
ようやくカミーユはキッカに話を向ける。
「さてと、キッカ大佐」
カミーユの言葉にキッカは何かを思い出すかのように応える。
「あ、よろしければキッカで結構です。義兄とは友人だったと聞きましたが」
「ああ、そうだな、僕とファ、トーレスにとってカツは親友といってよかった。その義妹の君がここに来たのも何かの縁だ・・・・・」
と、その夜は思い出話を中心に親睦を深めることとなった。そして明日、改めてアナハイム本社へ向かい引き渡すモビルスーツの検討を行うことで話はまとまった。
「今度は私一人でもいいかもしれませんね」
「そうだね、募る話もまだまだあるが、もうこんな時間だ。軍の任務というのもあるだろうからここらでお開きにしよう」
「それでは、本社にて」
「ああ、まずは期待してくれ」
といったところでビダン邸を後にせんとするキッカたち。ひとまずは形式としてカミーユとトーレスが握手を交わすのだった。
 
一方グラナダのとあるダイニングバーにて二人の男がカウンターに並んで座していた。
一人は20代半ばの青年、そしてもう一人は大柄な体型の壮年の男、ガランシェール艦長のジンネマンだった。今回は私的の用で青年から一つの事柄を聞き出すに至る。
「すると、木星圏の状況は未だ厳しい状況にあるのか」
「ああ、まず太陽光の供給がままならないのを前提に、融合炉からの燃料供給でのコロニーの維持態勢も未だ開発途中だ。この状態での移住計画は、やはり」
青年の口調は重い。もともとアクシズからの住民はその木星移住者がその生活になじめず、地球で難民生活を余儀なくされているものがほとんどだ。それが近日のジオンの自治権放棄でより生活も厳しくなることは間違いはない。加えて地球圏のコロニー建造はピークに達し、その受け入れも限界に近い状態にある。その上で圏外の移住計画の強行は困難な状況になっていた。
「やはり頼りはアルテイシア様か。だからこそ近々あんたは“彼女”と会う機会があるだろう。そこであんたに頼みがある」
と、ジンネマンは二通の手紙を渡す。青年はそれを恭しく受け取る。
「ああ、受け取ったよ、何せこれは“あの娘(コ)”の頼みでもあるから。すなわち俺にとっても“あいつら”の願いでもあるからな」
「ああ、すまないな」
と軽い握手を交わし、別れもそこそこに青年はこの場を去る。残ったジンネマンはマスターにもう一杯のウイスキーを注文する。
なみなみと注がれたグラスを傾けそれに語り掛けるように独語する。
「今夜はゆっくりと飲めそうだ、マリーダ・・・・・」
ジンネマンはグラス越しに眺めた先、一人の女性の姿を見た気がした。
 
次の日、引き渡されるMSについての検討を行うべくキッカはアナハイム本社へと向かうこととなった。アレンの運転による地上車で向かうのだ。
「品定めなら資料を送ればいいのですが」
「状況が状況だからね、それに企業秘密ってのもあるから」
「はい、一般的な戦術論として、最大の戦力での抑止を行うといったところでしょうか」
アレンの述解にキッカも笑みを浮かべつつ応える。
「これも、ケントの受け売りかしら」
「そういうことになりますか」
そんなこんなで地上車は本社ビルに到着した。
「それでは、ご武運を」
「ええ、でも敵地じゃないから、ある意味ね」
と、キッカは地上車を後にする。ビルの正門前でカミーユが待ち構えていた。
「よく来たね、では早速取り掛かろうか」
本社に入る2人に、社員の一人がカミーユに告げる。
「ビダン主任」
「何かね?」
「リー会長が先ほどから・・・・・」
「ああ、すぐに済むから待たせてくれ」
「・・・そ、それが・・・・・」
社員が手を差し伸べた方向、エレベーター入口脇にウォンが立っていた。
「ウ、ウォンさん・・・・・」
「会長としてのささやかな特権ってところだ」
ウォンはキッカの方を向き、
「君がキッカ=コバヤシ大佐かね」
「は、はい・・・・・」
ウォン=リー会長はキッカにとっても苦手意識を持てる人物のようだ。苦手意識といえば、カミーユももともとウォンとは不仲であったと聞いていたが、見たところまんざらではないかなとも思った。そういえばカミーユたちの地球行きについてウォンが手を回したことは、キッカはともかくクムも最近まで知らなかったとか。
ともかくもキッカとカミーユはウォンとともにエレベーターに乗り込む。
「実は直接わたしあてにも装備の充実を要請されたのだ。君がカミーユに直接要請したのと同じようにな。今は誰かは言えないが、君の知人であることは間違いない」
「そうですか」
その誰かについてはキッカもまず推して知り得たが、それに気付いてかウォンも半ば大げさに振り向く。
「故に、ここは俺も立ち合わせてもらうぞ」
「しょうがないですね」
こうして地下の研究プラントへとたどり着いた3人を待っていたのは4人の男女だった。その一人、ジュドー=アーシタがキッカを迎える。先日木星での任務を終え地球圏へと帰還したばかりで、昨夜ジンネマンと交渉を取り付けたところだった。
「キッカ大佐ですね。自分がジュドー=アーシタだ。お養父上には大変に世話になった」
「そうですか」
握手のあと、ジュドーは一人ずつ紹介をしていく。まずは技術者らしき女性と少し幼い少女、おそらく母子だろうか。
「まずこちらがMSの研究主任のニナ・P・ウラキ博士だ」
「ウラキです、よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ・・・・・、・・・!」
もう一人の人物が目に入り、キッカは驚く。
「あなたは、フロンティア社のアルフレッド=イズルハ社長」
「はい、左様です、キッカ大佐」
「イズルハ社長には宇宙船の開発に伴う推進装置開発に尽力してもらったんだ」
「ですが、その、イズルハ社長といえば、反戦主義者として・・・・・」
「・・・そう、ですね。まあ、わたしにとっての反戦とは、ただやみくもに戦争反対を唱えるのではなく、平時においては戦争の手段を回避すべく尽力し、いざ戦争が起きればそれを出来るだけ早期に終結すべく働きかけるものと思っています」
「はい、そうですね。そういえばイズルハ社長の著作は読みました。今だ戦乱の終息は難しいものですが」
「ありがとうございます。聞けば大佐も戦乱の早期終結に向けてお力添えをしているかと。今は歩みは遅いやもしれませんが、いずれきたる平和のために僕も力を尽くしましょう」
と、キッカとアルが握手を交わす。そこにウォンが割って入る。
「さて、本題に入ろうか」
それに応えるかの如くカミーユが壁のスイッチを押し、開発されたMSが並べられたドックが開けてきた。
「これほどそろっているとは」
「所詮はただの酔狂だ。戦争はMSの性能のみで決するものではないからな」
キッカの感嘆にウォンが流して後、キッカは並べられたMS群の中から一つのMSに目が留まる。
「・・・これは・・・・・?」
「ああ、こいつはかつてのシャアの反乱でアムロ=レイ氏が開発に携わったνガンダムを独自に改良した機体だ。いわば、Hiν+(ニュープラス)ガンダム」
「これが、ν+・・・・・」
キッカはその機体をしばらく見つめていた。
 
新たなる力、ν+を手にし、宇宙へと駆けるキッカ、
だがそこに、かつての戦争の落とし子が立ちはだかる
次回、機動戦士ガンダム・クレイドルエンド『ガンダム、行きます』
君は、生き延びた先に何を見るのか?

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