本当の面白さとは<本当は怖いドラえもん>
言うまでもなくドラえもんのキャッチコピー、というより触れ込みは「日本一のおもしろコミック」といったものだった。当然ながらも小学館にとってはもはや看板タイトルにもなっており、掲載雑誌の編集部としても大々的に売り込もうとしているのはこの文句をとっても容易に理解できる。今回もあえてその文句について意見を述べたい。
今更述べるまでもなく、ドラえもんの作品はどれをとっても面白いものがあり、つまらないものはないともいってもいい。しかしながら中にはストーリー展開上笑えないものもあるのも述べたいところ。すなわちブラックユーモアの要素もあって、それらを読み返すうちにかえって考えさせられるものもある。今回はそれらブラックユーモア、あるいはそれに近いお話を紹介して本題に入りたい。
『わらってくらそう(ゲラゲライヤホン・コミックス8巻)』
その日何か面白い話はないのかと持ち出したのび太くんだが、早々面白いお話などはないとドラえもんも返すも、その代わりに“ゲラゲライヤホン”なる道具を出して、それを耳につけると聞こえるものすべてが笑い話に聞こえてきて文字通り笑えてしまうものだった。
ところがいざ使ってみると、ママのお説教でも笑ってしまいさらに怒られてしまい、ペットが死んで悲しんでいるしずかちゃんには嫌われてしまい、挙句路ですっ転んだジャイアンにはとっちめられてしまい散々な目に遭ってしまったそうな。
『マンガ家ジャイ子(マジックおなか・コミックス24巻)』
ある日ジャイアンが妹ジャイ子のマンガを読ませて、少しでも笑わなかったらぶん殴られるといったことが相次いでいたのに対し、ドラえもんも“マジックおなか”なる道具で切り抜けようとしたのだが、ジャイ子の方も笑えない漫画が描けないなら、今度は泣ける哀しい漫画を描こうとしたのでそれを読んでいるうちに道具を使われてしまい笑ってしまい、はたしてジャイアンのさらなるイカリを買ってしまったそうな。
ドラえもんのお話の基本はあくまでギャグ、すなわちズッコケを交えた笑い話で、後にとんちの要素もまじわったけれど、ともかく面白くて楽しめる(それでいてためにもなる)お話になるように作者の藤子F先生も心を砕いたのは述べるまでもない。
先のお話、ことに前者に限って言うなれば、人間笑って暮らせればいいというわけにはやはりいえない。笑いたい時にはやはり笑い、怒れる時には怒り、泣きたい時には泣くといった、時には感情に従うことも大切である。つまりは笑ってばかりではやはりダメなのだろうというのが本当に言いたいことだろうけれど。やはり最後はギャグとズッコケでオチてしまうからこれは始末に負えないともいえる。
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