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第3話:継ぐものたち(その1)<機動戦士ガンダム クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは、休暇を終えいよいよ戦いの場へと乗り出さんとするキッカ。彼女のことを語る前にまず関連する人物たちの動向をお送りする運びです。はたして彼らは後にどうかかわってくるというのか、それでは、ごゆっくり。
 
なお前回までのストーリーはひとまずここに。
イントロダクション  
第1話:ホワイトベース最後の勇者
その1 その2 その3  
第2話:生きるということ
その1 その2 その3  
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
キッカ=コバヤシ大佐生還の報せは世界中を駆け巡り、彼女に敵対する者はともかく、もともと好意を寄せるものもその報せに心を震わせた。
とあるダイナーにコーヒーを片手に端末のニュースに目を通す一人の女性。二人の男女に囲まれ、自身もサングラスで表情を隠しているが、ひとかど高貴な女性であると目に見える。
その女性もコーヒーを一口付けてから言を発する。
「ようやく、立つのですね、キッカ大佐」
 
そのダイナーに、休息を取らんと傭兵らしき一人の男が訪れる。
男の名はコウ=ウラキ。かつてのデラーズ紛争にて機密漏洩の罪を着せられ拘束されるも不起訴となり釈放されたのち復隊する。
その後半ば要注意人物としてティターンズの監視下に入る。その監視役というのがモンシア以下ティターンズに移籍したかつての仲間たちで、ともかく監視という名の保護を受け88年まで平穏に暮らしていたが、グリプス戦役のどさくさにモンシアたちとともに軍を脱走。ネオジオンの台頭後も潜伏を余儀なくされたが、戦役終結後正式に除隊。月に移住し今度こそ平穏な生活を送ることになるはずだった。
しかし、コウの脳裏には仇花となって散っていった宿敵にして友ともいえる、アナベル=ガトーの残滓がいまだくすぶっていて、93年のシャアの反乱を気に、妻子を捨てて地球へと再降下。そのまま傭兵として戦場の各地を回りつつ今に至る。
そのコウが、この日行き付けのダイナーで定期のツケの支払いのために訪れたのだ。
「やあコウさん、いらっしゃい」
ダイナーのマスターは親しげに迎え入れる。商売を抜きにした親しい仲でもあったのだ。
「マスター、まずはメシといつものやつ、それに先月から3月分の・・・・・」
「いや、それがコウさん、こちらの方が今までのツケと今後の支払いを引き受けてきたんですよ。おそらくはコウさんを雇うみたいですよ」
マスターが指し示したその人物、またかと思いつつも、コウもその人物に近付かんとする。その人物、歳は二十歳前後の女性、サングラス越しだがいまだ少女の面持ちを保っていながらも、ひとかどの威厳も感じられた。両脇のサングラスの男女、同じ年代に見えておそらくジオンの人間ではない彼ら、その一人が席を立とうとするのを制しつつ、女性はコウに向かって告げる。
「コウ=ウラキ様ですね、私どもは、アナベル=ガトー縁の者と見知りおいて頂くものとして、貴方のお力をお借りしたいのです」
「・・・・・?」
その女性に感じられる威厳を感じ入りつつコウは応える。
「俺に、何か、いえ、そういう、貴女は・・・・・」
「オードリー=バーン、まずはそう名乗らせて頂きます」
「そうですね、そういうことなら、どこか静かな場所で・・・・・」
コウの応対に対し、マスターが別室を案内して、オードリーと呼ばれた女性、両脇の男女、そしてコウが中に入っていく。
 
ところ変わってアルカディアにある“CLUB EDEN”と書かれた建物。
一見すると廃れたクラブハウス跡なのだが、これがアルセス一党がまだ不良グループだったころのクラブ跡風に偽装して建てたたまり場だった。そこにはアルセスと目付け役のジョアン。そしてジョアンとは前々から顔なじみだったろう、一人の男と交渉に当たっていた。
「それでMS1機の追加の件は間違いないんだな」
ジョアンの問いに、男も多少愛想のよい口調で応える。
「それはもう、ただ今回の件に関してて一つお頼みしたいものがありまして・・・・・」
男の依頼に聞き入ったアルセスとジョアン。しかし憮然とジョアンが応える。
「何だと、宇宙(そら)に上がって機体の性能を試せだと」
「早い話、宇宙で飛び回ればいいだけのことです。船の方も我々で手配いたしますので」
男も軽く応えるが、今の状況でただ飛び回るだけで済まされるものでもないのは予測できることだった。ここ最近テロ対策のため連邦も哨戒の目を広げていて、それに抵触しようなら戦闘もやむなしの状態にもなりかねない。
「結局我らは実験体ってことか」
ジョアンが軽く毒づく。
「これも、望むところだ」
しかし傍らのアルセスは身を乗り出して応える。
「アルセス様」
「どのみち俺たちは先に進まねばならない。どんなに回り道でも袋小路に迷ってばかりよりは幾分かマシだろう」
「それは、そうですが」
「ともかく追加のMSの件は間違いないだろう。それだけの仕事はこなすさ」
アルセスの視線は鋭い。その視線に刺されてか男の表情も引き締まる。しかし男も愛想を保ちつつ応える。
「いやはや、ありがとうございます」
「そうと決まれば早速あいつらにも連絡だ。そういえばティクバも立ち直っているだろうからな」
「はっ、そうですな」
とアルセスたちは軽い挨拶とともに部屋を後にする。
「連邦とジオンの息がかからない、新たなスペースノイドの萌芽、か。もはやラプラスの呪縛も解かれたのだ。人類が生まれ変わるには100年、十分すぎる時が過ぎたのだからな」
感慨とともに、一人残ったその男マイツァー=ブッホも部屋を後にする。
 
一方でアルセスの交渉の行方をの行方を別室で待機し、その行方を案じていたレトーとリッド、そしてティクバがいた。
そのティクバはあれから今までどうしたかというと、一党に身を置いて間もない頃は、あてがわれた部屋でじっと佇んでいたが、しばらくして“施設”でのMSのシミュレーターにての訓練にいそしむようにもなった。そのうちリッドとも訓練に付き合うようになり、ひとまずは友達付き合いの仲にもなりつつあった。
「兄貴、どうしてるかな」
「ああ、今おやっさんと一緒に難しい話をしているみたいだ。おそらく新しいMSをもらう代わりに何か面倒な仕事を押し付けてくるかもしれないぜ」
「それも、望むところだよ」
レトーの懸念に応えたのはティクバだった。
「お、おい、ティクバ」
「どのみち生き残るためには何かしなくちゃいけないからね、あの時そう誓ったんだ」
ティクバの言葉には大きな意思が込められていた。
「俺がパラオを発ったのは、その前に父さんが死んだこともあったけれど。ジンネマン艦長は敵の襲撃で死んだって言うけど、おそらくあの白い奴に撃たれたかもしれない・・・・・」
白い奴、と言ったらあのMSのことだろうとリッドたちも思った。ティクバはなお続ける。
「・・・でも、たとえそうでも俺、バナージを恨んじゃいないよ。バナージもいろいろ苦しんでたと思う。艦長や父さんもいろいろ面倒見ようとしてたんだ。今は艦長やミネバ様と一緒に混乱をおさめようとしていて、俺も本来そこで働かなきゃいけなかったんだ」
その白いMSのパイロットだろうその名を心にとどめつつ、リッドはとある懸念について問う。
「いつかそこに帰るの」
「今は帰れないよ。あそこまで世話になっちゃったからね。それにあの時の戦いだって、負けたのはたしかにくやしかったけど、あれはMSの性能はもちろん、何よりそっちの方が腕はよかったからね」
「そ、そうかなあ」
「いずれにしても、俺はもっと強くならなきゃいけない。自分のために、そして時代の役にたつために」
改めて二人に向き合うティクバ。その言葉に頷きつつ、自分たちもティクバに負けじとその意思を固めんとする。
そしてそのやり取りを階段越しに聞いていたのがアルセスだった。それを汲んでしばらく間を置こうと無言でジョアンに呼び掛け、ジョアンもそれに応える。
ややあってアルセスとジョアンがリッドたちの部屋に入っていく。
「みんな、仕事の依頼だ。一月後に宇宙に上がり、実験を兼ねた操縦訓練だ」
「そ、宇宙(そら)、いきなり大仕事だなあ」
ジョアンの切り出しにリッドは軽く驚愕する。
「もちろん敵の哨戒に気を付けての任務だ。それなりのスタッフも同行するからそう心配はない」
「・・・それなら、やってみましょうや」
と軽口ながらレトーは応じる。おそらく自分が一番踏ん切りをつかないだろうと思えばこそ、彼なりに気を引き締めんとの軽口だった。
「うむ、決まりだな。それでは我々は英気を養うことにしよう、隣り街にいい店がある。今夜は俺のおごりだ」
ジョアンの呼び掛けにリッドたちは歓声でそれに応える。傍らのアルセスも一つの想いをはせる。
「宇宙か、いよいよ巣立つ刻、かな、本当の巣立ちはまだだろうが、ともかく、俺たちの戦いもまた・・・・・」
「さあ、アルセス様も、参りましょう」
「うん、あれこれ考えるのは、後でもいいか」
と、ジョアンの呼び掛けにアルセスも応えてこの場を後にするのだった。

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