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小説・聖闘士星矢VSセーラームーン(その25)

第16話:命のメッセージ
ダゴンとタキシード仮面との激闘はなおも続いている。しかしダゴンの表情に軽い動揺が現れる。
「まさか、ショブが敗れたというのか、あの小娘に」
「どうやらちびムーンはうまくいったようだ。多少不安だったが信じられてよかったな」
「くっ、だが負けたわけではない。奴にかかればもう一人の小娘も、何せあ奴は命の火を消すのが好きだからな」
「それはどうかな、君たちこそ彼女たちを甘く見ているのにも変わりはない」
こうして、二人も仕切り直しとばかりに離れて構え直す。
 
一方で紫龍たち。ただ佇んでいるかに見えるヒュプノスに誰もが構えを引き締める。
「ヒュプノスといえば、ギリシャ神話で眠りを司る神というけれど」
「それと対を成すタナトスに比べれば少し大人しい感はあるけれどね」
マーキュリー、ジュピターの感慨に少したしなめるかたちで氷河も返す。
「しかし油断はできない。奴が放つ闇のコスモはハーデスをも上回るというから」
「・・・たしかにわたしのコスモを警戒しているか。それも賢明かもしれぬ。わたしもただ無に帰するのみの死は好まぬ。ただ静かな眠り、いずれ訪れる命の終わりまでの永遠の眠りこそ・・・・・」
「どっちにしろ同じことかもしれないわね」
「どうかな、むしろ君たちは幸福かもしれない。なにせもう一人のタナトスは・・・・・」
「俺たちに恨みがあるってことだな」
「うぬぼれているわけではないが、俺たちだって今まで力を高めている」
「彼らクトゥルフの神々か、いくらか退けられただろうが、ここは真なる闇の世界。我ら闇に身を置くものに対しては、無限の力を得るに等しい。それすなわち、お前たちは我が眠りの中に陥り始めたということだ」
一瞬ヒュプノスの眼光が光ったと思えば、紫龍たちは軽い眠気に陥りはじめた。
「・・・なんだ、これはまさか」
「・・・うっ、やはり力が抜けていく」
「・・・そんな、このまま眠りに落ちたりしたら」
「・・・くそつ、油断していた、か・・・・・」
「死はすべての終わり、眠りは朝の目覚めまでのひと時。しかしここは朝の光が差し込まぬ永遠の闇。彼らが糧にする恐怖も感じず、ゆっくりと肉体が果てるまで、永遠の眠りに落ちるのだ」
ヒュプノスの業に、紫龍たちも今まさに眠りに陥らんとしていた。
「もっとも、タナトスにかかればこの程度では済まさぬが、あ奴の憎しみは計り知れぬ。あの星矢の身代わりとなった娘、いかようにやられるか・・・・・」
 
一方で星矢たちのもとに駆け付けんとしたカノンとラダマンティスも、
「くっ、俺としたことが、眠気に覆われる、というのか」
「これは、まさか、彼らが甦ったというのか。しかしここまでにしてやられるとは、ハーデス様ではないとしても、ここは闇の世界だ。彼らの力もこれほどまでに及ばんとしている、ということか」
「いずれにしても、切り抜けねばならん、うっ、だが・・・・・」
体を覆う眠気に耐えつつ、カノンたちはルルイエまで歩みを進まんとしていた。それはバドやテティスたちも同様だった。
 
そのセーラームーン、タナトスと対峙している、というより、タナトスが放つ闇のコスモにより全身の力を奪われ、続くコスモの連拳で執拗に痛めつけられる。今やセーラームーンは立っているだけで精一杯にみえた。
「これだけで終わりだと思ったら大間違いだぞ、セーラームーンとやら。先に言った通り、いずれ訪れる死を迎える前に、じっくりと苦痛と恐怖を味わってもらうぞ」
セーラームーンも真っ直ぐとタナトスを見据えんとする。
「・・・あなたは、どうして、生きているものを、命を憎むの・・・・・」
「言ったはずだ、俺たちもオリンポスの神族、そもそも不死の存在だが、肉体は滅びてもいずれは甦る。お前たち人間とはそもそも違うのだ、だが!」
タナトスの眼光に怒りがはしる。
「かつてエリシオン、ハーデス様の膝元で、俺は、敗れたのだ。ウジ虫のような人間に、神が、敗れたのだ。たとえアテナの血、神々の力を得たとしてもだ!」
タナトスの憎悪に、さしものセーラームーンも一瞬たじろいた。
「その屈辱、恥辱を、よみがえった今こそ晴らす時が来た。先にお前ごときと思ったが、お前もそれなり楽しむことができる。おお、見えるぞ、お前の家族、友人、その他近しい者たちが」
タナトスが掲げたコスモに映し出されたのは、両親や弟、そして海野となるの姿だった。
「・・・!パパ、ママ、真吾、それに海野となるちゃん・・・・・」
なるたちから光の珠、おそらく彼らの命のコスモが浮かび上がる。
「・・・・・!」
「その者たちの命が奪われる様、それを見てどのような表情を見せてくれるか・・・・・」
コスモの中から命の珠が取り出され、タナトスの目の前に浮かび上がる」
「もはやヒュプノスと対する紫龍たち、今やガタソノーアとやらと対する星矢の邪魔は入らぬ」
「・・・やめて・・・・・」
「そうだ、その絶望に沈むその表情、それが全身を覆い、沈んでいくうえで、死を迎えていく。まさにウジ虫にふさわしい死にざまだ」
そしてなるの魂をまさに握りしめんとした。
「・・・やめてーっ!」
セーラームーンの叫びとともに、胸のブローチから月の銀水晶のロットが現れ、それを両手に取ったセーラームーンは、月のプリンセス、セレニティへと変貌する。
「何、なんだと、これはまさか。そうか、お前もまた月の女神の化身だったか!?」
そしてセーラームーン、否月の女神セレニティはあらためてタナトスを見据える。
 
その異変はルルイエの周辺に、ことにヒュプノスと対峙する紫龍たちにも伝わった、否、実際タナトスと対峙しているヒュプノス自身も、タナトスと同じく闇の神々である彼の身にも月の光が差し込んでいく感じがした。それがわずかに眠りのコスモを抑える効果を産み出したのだ。
「これは、どういうことだ、タナトス」
その眠りのコスモが和らぎ、紫龍たちも眠りから放たれた感じがした。
「この光は、日の光とは違う、柔らかい月の光。それが俺たちを目覚めさせてくれるのか」
「おそらくそうかもしれない。目覚めたんだ、あの娘が」
 
一方でガタソノーアと対する星矢も、
「この光は、やはりセーラームーンが」
「おそらく、タナトスとやら、しくじったな」
構えを直しつつ、ガタソノーアもまた星矢に向き直る。
 
ルルイエ中枢でも。ことの動静を見守っていた者たちもまた、
「この光、このルルイエにも影響を及ぼすというのかな」
「・・・これは捨ておいてはいけないな」
もう一つの人影が動き出す。
「君が動き出すんだね、アザトース」
「当然だ、彼らがこれほどまでに力を付けるとは。ならばわたしが動き出さねばならぬ」
と、アザトースと呼ばれた人影も中枢の間を後にする。
そしてルルイエの奥まった一室。ここに黒い水晶に封じられた、アテナ:城戸沙織が意識を取り戻した。
「・・・ようやく、目覚めたのですね、セレニティ・・・・・」

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