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第2話:生きるということ(その1)<機動戦士ガンダム クレイドルエンド>

さてみなさん、今回のクレイドルエンドは第2話の『生きるということ』のその1をお送りいたします。
前回の戦闘で遭難したキッカをめぐって、コバヤシ家との対面を通じてのノックスの決意を垣間見る運びとなっております。それでは、ごゆっくり。
 
ちなみに前回までのストーリーはこちらをご覧ください。
 
イントロダクション
 
第1話:ホワイトベース最後の勇者
その1
その2
その3  
それでは本編をば、あらためてごゆっくり。
 
 
山道を地上車が走る。
地上車のノックスは先日の記憶を反芻させている。キッカのアウドムラⅡが撃墜された報が伝えられるや、彼の元にブライトが訪れたのである。
「ブライト、大佐・・・・・」
「ノックス少佐、あ、いや、中佐だったな。キッカのことは聞いている。とにかくも、今こそわたしとの約束を果たす時となった」
「一体、どういうことですか?」
ブライトが指で誘い、それに応えノックスは顔を寄せる。
そこでブライトは周りを見やりつつ話を切り出す。
「・・・始めに言っておくが、キッカは、まだ生きている」
「何、ですって・・・・・?」
ブライトは唇を指で立て、小声で続ける。
「実はそのことをフラウ=コバヤシ、つまりキッカの養母から知らされたんだ。そこで君には通知という形で彼女たちに会ってもらいたい。これは恐らく、君と、そして彼女のこれからを決めることになるかもしれない」
ノックスは少し考えて応える。
「詳しく、話を・・・・・」
 
「とにかく会ってくれか、確かにな。ん・・・・・」
回想から明けたノックスの頭上、地上車の上空をプレーンが飛ぶ。自分と同じ方向へと前へ飛んでいく。
やがて地上車も一軒の丸太造りの邸宅へとたどり着く。
傍らにはさっきのプレーンが降りている。おそらくレツというキッカの義兄のものだろう。
一瞬の思案の末、意を決し地上車を降り、家に入ろうとした。
玄関にさしかかるや扉が開いた。そこには齢が11、2歳くらいの少年が現れた。
「ケント=ノックス少佐ですね、お待ちしていました」
「あ、ああ、君は・・・・・?」
「弟の、ハルキ=コバヤシです。中へどうぞ、母と義兄が待っています」
誘われるままにノックスは家へと入る。
居間には一人の女性、フラウと小柄な青年、レツが座っていた。
 
フラウ=コバヤシ、1年戦争終結後、同じクルーのハヤトと結婚し、子供たちを引き取ったという。グリプス戦役、続くネオジオン戦役にて養子のカツと夫のハヤトが相次いで戦死したと聞いている。そういえば、フラウの年齢は一番上の姉とさほど変わらないとか。比べるのは失礼と思いつつ、やはり母親の顔だなと思った。
 
レツ=コバヤシ、彼が養父、義兄亡き後このコバヤシ家を支えたのだなと、そう感じずにはいられなかった。たしか造船技師としてヨコハマで勤めているとか。
 
と二人を見て想いを致すノックスは、
「こちらです、少佐」
と、ハルキに勧められ反対側の席に座ろうとするが、
「中佐だよ、ハルキ」
ノックスの階級章に気付いたレツが正す。それにノックスは背筋をただし敬礼をする。
「これは、紹介が遅れました」
「いえいえ、こちらこそ」
レツが応え、ノックスは改めて反対側の席に腰を下ろす。
まず、フラウが話を切り出す。
「お話の前に、まずはご用件の方をお願いできますか」
「・・・そうですね、では・・・・・」
軽い咳払いの後、ノックスは再び立ち上がり、頭の中で記憶した報告文を述べる。
「先月16日に消息を絶ったキッカ=コバヤシ少佐の捜索を、本日標準時12:00をもって打ち切り、同時刻に、大佐へと昇進することと、なりました・・・・・」
「・・・つまりは、戦死扱いということですか。ロクに探しもしないで、腹立たしい限りです」
レツが胸に手を組みつつ不快をあらわにする。
「・・・申し訳、ございません・・・・・」
「あ、いえ、中佐のことを言っているのではありません」
レツはすかさず不快を解き、謝するノックスに応える。
「いえ、こうなった以上、自分も出来る限り、力添えさせてほしいのです」
「それを聞いて、安心しました。キッカのこと、よろしくお願いします」
レツが立ち上がり手を差し伸べる形をとると、ノックスもまた手を差し伸べ、ほぼ同時にややぎこちないながらも固い握手をする。
「ノックス中佐、お時間の許す限り、お話の方を」
「はっ、お言葉に甘えまして」
フラウの呼びかけにノックスは座りなおす。
「実は、キッカが遭難した時から、あの子のことをハルキが感じ始めたのです」
フラウがノックスにことのいきさつを説明するや、ノックスはハルキに向かい、
「どうやら、君もまた・・・いや・・・・・」
なぜか反射的に辺りを見回すノックス。そんなノックスにハルキは応える。
「ええ、どうやらそのようです・・・・・」
一呼吸おいてハルキは語り始める。

 

ハルキが言うには、南の島に漂着したキッカは、始めカプセルの通信機器が機能しなくなったと悟ると、調査の結果自活できるのを幸いに、やむなくここで救助を待つことにした。
そしてそれなりに南の島での生活を満喫もしていた。

 

その日もキッカは海の中を泳ぎまわっていた。
生まれたままの姿で、魚やイルカたちと一緒に。
そして泳ぎ疲れ、波にたゆたいながら浜辺で横になるキッカ。
「あれだけ汚染された地球、
空には鳥が、海には魚が、まだまだいっぱい生きている」
両手で天を仰ぎ、広げて倒す。
「みんなみんな生きている、そして私も生きている・・・・・。
生きてるって、いいなあ・・・・・」
そしてキッカの目には涙が溢れていた。
 
「・・・そういうことだったのですか」
あらためてコバヤシ邸にて、すべての事情を聞いたノックス。
「おそらくキッカは、あの時から今まで、自分の生きるべき目的と場所を探していたんでしょう」
「それを戦場にと定めて軍人の路に、ですか。常に手さぐりながらその路を歩んできた。その点は自分は及びませんね」
フラウの言にノックスも感慨深げに応える。そこでレツがノックスに言葉をかける。
「まあ今回の事態を受けて、ブライトさんから中佐のことを聞いて確信をしました。あらためて厚かましい言い分ですが、キッカのことを、よろしく、お願いします」
「ええ、自分にできることならば」
ということであらためてレツとノックスが固い握手を交わす。その夜コバヤシ邸を後にし、基地への帰途、士官学校でのブライトとの会話を思い起こす。
 
あの時、キッカと入れ替わりでブライトとの会見の場を得ることとなったノックスは、自らの学校での成績を評価され、対してノックスもブライトの実績を評する。互いに認め合い、打ち解けたところでキッカをはじめ、ホワイトベース時代の頃に話題を移す。
「・・・なるほど、そのホワイトベースのクルー全員が今ではご家族のつながりがあると」
「まあそういうことだ、だからあの子のことが心配だったのだよ。しかし君を見て確信したよ、まず君があの子に対する印象はそんなに悪いものじゃなさそうだしね」
「ええ、自分も彼女を励みにしておりましたから」
「そこで厚かましい頼みとなるのだが・・・・・」
ということで、キッカの力になるようにとブライトに頼まれたのだ。
「分かりました、自分もできる限りはいたしましょう。今は自分のことで精いっぱいなのですが」
というわけで二人は握手を交わして、その対面の結びとなった。
 
この日の訪問はノックスにとってはささやかな任務ながらも有意義に過ごすことができた。そして後日、これからの任務がてらに秘密裏にキッカの捜索を続けていくことになる。

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