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銀英伝オリジナル・真ヴァーリモント氏放浪記(その6・最終回)

さまざまな人の思惑とともにヴァーリモント白書が刊行されて後も、帝国内外では様ざっまな事件が起こる。

皇帝行幸における襲撃事件に端を発したミッターマイヤー、ロイエンタールの双璧の争乱。

「まさかロイエンタール元帥が謀反を引き起こすとは、彼なりの思惑があれ、これもまた裏に何かありそうだ」

「これはかのヤン提督の事件とも関連があるかもしれませんが」

この時点でもはや監視員も進んでヴァーリモントの事業に協力を惜しまなくなった。はじめ利害の一致もあるが、ことに民政省の保護を陰ながら受けているのも大きいだろう。

続いてユリアン率いるイゼルローン軍との軍事衝突をはじめ新領土各地で頻発する動乱。

「やはり事を構えんとするのか、ミンツ中尉。しかしあまりにも急すぎやしないか」

「やはり、共和主義者との迎合、いえ、民主主義への捨て石になるつもりでしょうか」

ハーゼもまた、彼の事業を通じて、民主主義、ひいては人民のための政治について深く考えるようになる。

そして迎えたオーベルシュタイン元帥のハイネセン出向における旧同盟高官及び軍首脳の大量収監事件、いわゆる“オーベルシュタインの草刈り”事件。

「大変です、先生」

「どうしたね、ハーゼ君」

「ハイネセンにおいて旧同盟の元官僚が多数収監されているとのことです」

「そうか、いよいよ来るべき時が来たようだ。今まで旧同盟の官僚で帝国に恭順の意を示したものは幾人か召し抱えられたと聞く。その反面、恭順ならざるものをこの際に排除せんとするか、いや・・・・・」

ヴァーリモントはやや考えつつも一つの考えに思い立つ。

「もしかすれば、これはイゼルローンに揺さぶりをかけ、大きな譲歩を取ることを目的とするか。その反面、いずれかの路を進むか決めかねている市民は、いずれに形であれ皇帝への忠誠を示し、帝国の支配を享受するだろう。いずれにしても彼らには些細なることだろうが」

その後に彼ら、ハイネセン市民には些細ならざる災難が降りかかるものだが。それはさておきヴァーリモント本人にも何かしらの影響が訪れるのは必定だろうと踏んでいるのだが。

「ことなんてどう転ぶか分からないからな、ここはケスラー総監とブラッケ閣下の良識に委ねて待つとしよう」

こうして当面は機をうかがうべく傍観を決めることとなる。

そしてその機は、ほどなく一台の地上車がヴァーリモント邸を訪れたことから始まる。

「やはり、来たようです」

地上車から数人の兵士が降り、続いて一人の官僚が降りてきた。

「やはり来たか、おそらくこの私に用があろうが」

「ど、どうしましょう、先生」

軽い動揺を覚えるハーゼに、ヴァーリモントが言いつける。

「見苦しい様を見せてはならないハーゼ君。君も帝国の人民なれば政府も無碍にはしないだろう。たしかに私は純粋な人民ではないだろうが」

そして傍らの娘を呼び出し、そっと腕で抱きしめる。

「お父さんはちょっと出かけてくるから、それまでお母様とモーリッツお兄様の言うことをよく聞くのだよ」

「はい、お父様」

おそらく幼い娘は今回の事態を理解していないのだが。

その二人のやり取りの間、その官僚、民生尚書ブラッケが兵士たちに武装を解くよう指示し、いよいよ屋内へと足を踏み入れる。

テレーズの招きで彼の自室へと足を踏み入れるブラッケらに、ヴァーリモントは敬礼で迎え入れる。

「元自由惑星同盟少尉、フランツ・ヴァーリモントです」

「銀河帝国民生尚書、カール・ブラッケです」

一礼で応えるブラッケは、あらためてヴァーリモントに首都星フェザーンへと赴くように要請する。

「御意のままに、ですが、妻と娘、そしてそこにいるモーリッツ・フォン・ハーゼ君はそもそも帝国の人民、彼らに対しての生活の保障を・・・・・」

「いえ、できれば少尉どのと同じく彼らも赴いてもらいたいのです。その報がこれから卿のお仕事もしやすいでしょうから」

「なんと、そうなのですか」

驚きとともに安堵の表情を見せる続いてハーゼの方に向けて告げる。

「それにハーゼ君、卿の不遇は陛下から告げられたところです。私のはからいで政府の職に就くよう取り計らいますが」

「ありがたい仰せですが、今は小なりといえど先生のもとで帝国の人民のために働けることに喜びを覚えております。申し訳ありませんが」

「そうですか、これはお節介が過ぎたようでしたな」

お互い軽い笑みを浮かべて言葉を交わす。

こうしてヴァーリモント一家とハーゼ、そして今やお目付け役となった監視員の一行はフェザーンへと赴き、そこで民政省の預かりとなる。

送迎用の巡航艦にてフェザーンへの途上、ヴァーリモントはこれからの行動について思いを致す。

「これからが本当の勝負だ。ブラッケ尚書閣下の招きで民政省の預かりとなるはいい。その先皇帝陛下はともかく、軍務尚書との政治上の駆け引きもしなければならない。かの御仁は人民を国家の計に組みこまんためにも利用せんとするだろう。俺は小なりとそれを制しなければならない。これは今まで以上の事業となすだろう、そして俺自身の命も。いやそれこそが本望ではないか。ともすれば帝国の政治が皇帝のみではなく人民の手に委ねられれば。俺自身がその一助となれば」

「・・・お父様、また考え事・・・・・」

そこに娘が寄り添ってきた。

「ああ、新しいお仕事についてちょっと考えていたんだ。大丈夫だよ、あまり無茶は、しないさ」

娘を傍らに抱き寄せ、テレーズとハーゼらに見守られつつ、ヴァーリモントはしっかり前を見据える。その先に遥かフェザーンがあるかのごとく。

 

その後民政省の一室に仕事場を構えつつ、帝国人民のために力を尽くすヴァーリモント。今後オーベルシュタインとの衝突が予想されたが、皇帝崩御に前後して彼もまた退場することとなり、また他の提督、官僚も彼に好意的なこともあり、後に民政次官にまで栄達する。

そして後世、彼はローエングラム王朝における“最初の帝国人民”ユリアンと並ぶ“民主主義中興の祖”と呼ばれ、永くその名が刻まれることとなる。

 

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