小説・聖闘士星矢VSセーラームーン(その13)
第6話:異変
その朝、いつもとは違って早起きのうさぎはキッチンへと足を運ぶ、しかし誰もいない。
「あれ、ママ、パパ、進悟、誰もいない、どうしたのだろう」
やがてちびうさも起きてきたが同じ反応を顕わしてからうさぎに問う。
「まさかあたしたちだけ起きてるのかなあ。もう朝なのに・・・・・」
うさぎが表を見やると、空は一面の曇天。否、雲にしてはあまりにも黒すぎるそれに日差しが遮られ、あたかも夜が続いている感がしていたのだ。
「まさか、こんな朝なのに、ほんとどうしたのだろう、パパとママはいったい」
気になって両親の寝室へと向かううさぎ。
「パパ、ママ、どうしたの、ねえ起きてよ」
両親は寝室で寝入っていて、うさぎがいくらゆすっても一向に起きない。やがてちびうさも入ってくる。
「ねえうさぎ、進悟も全然起きないの、いったいどうしたというの」
「そんなの分かんないよ、いったいどうしたらいいの」
その時、玄関からノックの音がする。ひとまずそこに向かう二人。そこにはレイが巫女姿の出で立ちだった。
「ああ、レイちゃん、今家じゅう大変なの」
「やはりね、実はうちもおじいちゃんと雄一郎が大変なの」
「まさか、寝たまま起きてこないんじゃ」
「ええ、だからあんたの所に行って確かめようとしたんだけど」
「それじゃあ、今起きてるのは」
「おそらく、私たちだけね」
レイの懸念に一抹の不安を抱きつつ。うさぎたちは家を後にする。
その不安通りに街じゅうがまるで眠っているかのごとき静けさだった。十番街広場にてはすでに亜美たちが集まっていた。
「ああ、亜美ちゃんたち」
「あっ、うさぎちゃん、今街じゅうが大変なことになっているの」
「来ると思って今まで待っていたの」
「でもいったいどうしちゃったんだろう、また新たな妖魔の仕業じゃ」
「そんな生易しい連中ではないな」
亜美、まこと、美奈子がそれぞれ疑問を呈する中、一人の長身の男が割って入ろうとした。
「そうやくそちらも出そろったみたいだな。たしかにただならぬ異変。しかしここでの手がかりはない、ひとまず城戸邸に向かうがいい」
「あ、あなたは、誰」
「うむ、俺は敵ではない、一応はな」
その長身の男ラダマンティスの言にひとまず従い、うさぎたちは城戸邸に向かう。
「さて俺も準備をせねばな、しかしなんだこの胸騒ぎは」
城戸邸に向かったうさぎたち。しかし門は明けられたままだった。
「星矢さんを頼ってここまで来たけど、入ってもいいのかな」
「なに言ってんの、そのために来たんでしょう」
とレイにたしなめられつつも、うさぎたちは城戸邸の門をくぐり、先に訪れた屋敷の中、そこには一人の大男、辰巳が力なく立っていた。
「辰巳さん」
「・・・ああ、君たちか、待っていたよ。この奥に、星矢たちがいる。詳しい話は、あいつに聞いてくれ・・・・・」
そう言って辰巳は崩れ落ちる。亜美が駆け寄ろうとするが、
「俺は大丈夫だ、今は構ってくれるな・・・・・」
と、そのまま気を失う。なぜかうさぎとちびうさが拝もうとするも、レイにまたたしなめられる。
「まだ死んでいないでしょ」
「ともかく星矢さんのところへ」
不安ではやる気持ちを抑えつつも、屋敷の奥へと進むうさぎたち。そこには星矢たち4人が待ち構えていた。
「星矢さん」
「ああ、まっていたよ、うさぎさんたち」
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コメント
グレイテスト・エクリプス
でしょうか?
「ハーデス編」を思い出します。
『星矢』シリーズの中でも一番好きです。ストーリーの中で一番のクライマックスですよね。
ちなみに、
グレイテスト・エクリプス=永遠日食
と言いますが、
"日食"といえば、
『セーラームーン』シリーズの第4部「デッドムーン編」の最初(原作)に出てきましたね。
"エリシオン"もありましたね。
次の更新が待ち遠しいです。
どんな展開になるのでしょうか?
ワクワクドキドキです。
投稿: 廣本万里絵 | 2018年9月28日 (金) 08時59分