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小説・聖闘士星矢VSセーラームーン(その11)

第4話:来たる脅威

閉園したグラードアイランドの遊園地、そこに一人の女性が訪れていた。その出で立ちは背の高い男性にも見えるが、ともかくその女性、天王はるか。

「何かをお探しかな、お嬢さん」

そこにスーツ姿の男、ジェミニのカノンが歩み寄る。

「いや、別に、ここで人を待っている」

「うむ、かくいう俺もそうだ、ミス・ハルカ、いやセーラーウラヌス」

はるかも軽く懸念の意を示すが、ほぼ同じくはるかには二人の女性、海王みちると冥王せつなが、カノンには冥闘士ラダマンティス、そしてアスガルドの神闘士(ゴッドウォリアー)ゼータ星アルコルのバドが近付いてきた。

「こういうのは偶然じゃないのは分かるけれど、やはり同じ懸念があるというのか」

「あながち無関係というわけではないからな。たとえば君たちのプリンセスとやらと、我らが女神アテナとの巡り合わせがそうだ」

「そしてそれらのお膳立ては大地の女神が立てたものだがな」

はるかとカノンの話にラダマンティスが割って入る。詳しい話は割愛するが、以前カノンとラダマンティスの対戦にて相打ちとならんとしたところを、ハーデスとは敵対関係にあり、長じてアテナと同じオリンポスの神々の中でも数少ない人類擁護派の一柱たる大地の女神が救い出し、以後世界の動向を見守るために動いていたのだ。

一方アルコルのバド、彼が神闘士の生き残りとしてアスガルドの復興をそこの統治者ヒルダに要請されるも謝絶し、放浪の旅に出るも大地の女神の説諭で世界の動向を探ることを担うに至る。ちなみに現在アスガルドは神闘士の2軍というべきゴッドウォリアー・ツヴァイが守護を担っているとか。

ともかくも外惑星三戦士と元敵対闘士を交えたカノンが対面し、そこに一人の女性が訪れる。

「ご足労感謝いたします。大地母神デメテル」

「いえ、私がこの地に赴いたのも必然なれば、あなた方が集うたのもまた必然。それはひとえに来たる脅威のため、あなた方が対すべき脅威なれば、神といえど私の力はたかが知れるも、せめてあなた方に路を示しましょう」

デメテルの言にまずせつなが応える。

「きたるべき脅威、それは天から来るもの。あなた方神々よりはるか昔、旧き神々とその眷属。すべてはこの地球を再び彼らの者にせんとするがために」

せつなの応えにデメテルも静かに頷く。

「そうです、再びこの地球に舞い戻り、かつての中世のごとく人々を恐怖で支配せんとするために」

そこにラダマンティスが割って入る。

「たしかに先の戦でも我らも心ならず加担してしまった。まあその落とし前というわけではないが、あいつらに協力するのも俺はやぶさかではない。しかしあんたらはどうか」

言葉を運ぶうちに視線ははるかたちに移る。しばらくの沈黙に続き、バドが口を開く。

「自分たちは自分たちの役目がある、そんなところか」

「・・・そんな、ところだな、たしかにボクらの役目、あの娘たちにも背負わせるわけには行かなかったが、なにせ彼女はお節介でね」

「それは彼らも同様だろう、今まで己を捨てこの地上のために闘ってきたのだ、かくいう俺も彼らに拳を向け対立したが、彼らの熱き魂、何よりアテナの愛が俺の心を解き放ったのだ」

「それは、私たちも同様ですね」とカノンの言にみちるが応える。

「そうだ、彼女たちはともかく、あの偉大なる後輩、愛すべき未熟者たちの力にも、まず俺はならねばならぬ。ひいてはこれも地上のために」

「では、あなた方はあなた方のできうる限りのことを今は成すことにしましょう」

デメテルの言に頷きつつ、一同はこの場を離れる。そして残されたのはデメテル一人だったのだが。

「ひとまずはこういったところですが、エンデミオン」

と高台の足場に立つタキシード仮面、地球の騎士エンデミオンにデメテルは語り掛ける。その言葉に応えるかのごとく、彼は頷きつつ姿を消す。

「ともかくも、我らは来たる脅威に備えることにいたしましょう」

そしてデメテルも去り、あたりは静寂に包まれるのだった。

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コメント

ほたるちゃんはどうしたのかな?

投稿: 廣本万里絵 | 2018年7月25日 (水) 15時34分

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