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銀英伝オリジナル・真ヴァーリモント氏放浪記(その2)

さてみなさん、今回の真ヴァーリモント氏放浪記は行事スケジュールの都合上、今週公開の運びとなりました。なお今後の記事については追って公開と相成りますのでご了承のほどをお願いいたします。それでは、ごゆっくり。

 

アムリッツァ会戦の後、皇帝フリードリヒ4世の死去に伴うローエングラム侯ラインハルトの登極に反発した貴族連合との内戦、いわゆるリップシュタット戦役。

当初の予測通り、戦いはラインハルト側の優位のまま、貴族側勢力をの本拠地ガイエスブルクにまで追い込んだ。

一方で辺境星域にてはラインハルトの腹心キルヒアイス提督が貴族側の副将リッテンハイム侯を打ち破り、平定は時間の問題となりつつあった。

ところが件の辺境惑星において一つの問題が持ち上がった。

「ガイエスブルクから籠城戦に備えての物質提供の要請とは、あくまでローエングラム侯と対せんとするためのことだが、かの御仁にその手段が通用するのか」

ここの領主たる某子爵は苦悩していた。実はその子爵はブラウンシュヴァイク公とは懇意の仲だったのだ。

「とは申されましても我が領土も物資が乏しく、少尉どののおかげで食料の生産量が上がったとはいえ。連合軍に送る物資と申されましてもなかなかには」

いつしかヴァーリモントの素性も子爵の知るところとなるが、懇意が故それは伏せていったのだ。

「しかし受けねば不忠の謗りは免れぬ。いやそれ以上に何をされるかがはかり知れぬ。あのブラウンシュヴァイク公のことだ。あの方の怖ろしさは私自よく分かっているつもりだ」

「そういえば先日も謀反を疑われ処刑された将官どのがおられたとか」

「そうだ、公を取るか、民を取るか、いずれの路も茨の路か。はたしてどうしたものか・・・・・」

一方で民衆側も貴族側の搾取に反発する声が沸き起こりつつある中、それらに対するためヴァーリモントに調停役を依頼する。はじめ自分は役不足だと固辞したが、民衆の真剣かつ切実な願いについには折れてしまった。たしかに民を喰いものにする貴族たちに対する反感もあるが、それに対するローエングラム候への反発は未だ消え去ったわけではなかった。

「・・・たしかに候は民衆側に立ち貴族連合と対している。しかし自らの野望のために、場合によっては民衆をも利用せんとする。今後もそれを成さないとはだれが保証できよう。ともかくも俺は、候の覇業に協力できるのか」

その苦悩は誰にも明かさないが、それを察しているのは、今や助手となっている青年ハーゼと最近ヴァーリモントの子供を身ごもったテレーズだった。

それぞれが対処に苦しむ中、子爵のもとに一つの報せが届いた。

「閣下、辺境警備にあたっていたシュタインメッツ提督の艦隊が当惑星に接近しつつあります」

「なんと、それであちら側は何と申している」

「はっ『我々はローエングラム候にお味方するもの、当方が候にお味方するのならば、領土を安堵する』とのことです」

「そうか、これでこの惑星は救われる。しかしそのために首を一つ差し出さねばならないな」

「か、閣下、まさか」

「私も小なりといえど門閥貴族の一員だ。それらを打倒し、人民のための国を築くのが候の大義のなすところ。そのために私の命など安いものだ」

「閣下・・・・・」

「提督にお伝えせよ、我が領土の安堵に際し、我が身柄は貴艦隊にお預けすると」

こうして子爵は一時シュタインメッツ艦隊の預かりとなった。ややあってその報は民衆側、ことにヴァーリモントにももたらされた。一宿一飯の恩義がある身でもあり、子爵の身柄を守らなければならない。

こうして子爵の投降に遅れてヴァーリモントも旗艦へと向かうのだった。

「閣下、民衆側の代表がお目通りを願いたいと申しております」

「うむ、して何の用があるというのだ」

「はっ、領主閣下には恩義があり、御助命を願いたいとのことです」

「そうか、こちらも始めからそのつもりだが、目的はそれだけではなかろう、ともかく通せ」

「はっ」

というわけでヴァーリモントはシュタインメッツと会見の場を得るに至る。シュタインメッツも彼を見るなり単なる一領民ではないことを見抜いていた。

そんなヴァーリモントもシュタインメッツを会うなり、こう切り出した。

「まずは、お人払いをお願いいたします」

その真剣な表情にシュタインメッツも副官いったん下がらせる。ともかく会見が始まりまず自らの素性を明かす。

「私は、元自由惑星同盟第七艦隊所属、フランツ・ヴァーリモント少尉。故あってこの地に落ち着き勤労に従事しているものです」

ただ者ではないと思いつつも彼の言に軽い驚きを見せつつも、シュタインメッツも軽く頷いた。

続いて先の焦土作戦においてこの地に流れ着いたいきさつに重ね、その後の会戦においてもはや恨み言をいう筋もないとも告げる。対するシュタインメッツも、ラインハルトの野望~彼の言では帝国を改革せんとする立志~をほぼ正確に述べるに至る。帝国の社会の不公正をただし、より人民のための政治を開くことこそがラインハルトのよって立つことだと。ヴァーリモントもこれには大いに感じ入ったかにみえた。

会見の後にシュタインメッツは一言問う。

「これからどうするつもりだ、小官が候に申し上げ、帰国の便宜を図ってもよいが」

「今更同盟本国に戻るつもりはありません。この星で領民の方々とともに働くのも悪くはありませんから」

「そうか・・・・・」

と、二人は軽めながら固い握手を交わす。

後にシュタインメッツは、警備のための艦艇を数隻残したのち、他星系の平定のために惑星を発っていった。当然領主もその際に解放され。ヴァーリモントとともに帰還の途に就いた。

「少尉、卿には感謝の言葉もない。この戦役が終わったら、私も一人民として卿とともに働かせてもらうよ」

「閣下がご無事に解放なされれば何よりです。これからもこの地のために働かせて頂ければ、いえ、今はこの帝国、そして同盟がこれからどうなるか、まずは腰を据えて考えていきたいと思います」

この時ヴァーリモントの脳裏に一つの思案が浮かび上がる。ひとまずはこの地にとどまることを決心したが、あらためて自分の懸念とともにラインハルトの望む未来、すなわち野心を理解したかにみえ、対して自分がこれからどうするべきかということを。

一方、星へと帰っていくシャトルを見守るシュタインメッツに、副官が問う。

「よろしいのですか、閣下」

「何がだ」

「あの少尉ももはや軍と祖国に未練はないと申しておりますが」

副官の問いに軽くうなずき、シュタインメッツは応える。

「彼の言には偽りはなかろう、帝国はもとより候に対する叛意も表わすこともない。たしかに野放しにしておくわけにもいかないが、はたしてどうしたものか」

シュタインメッツもひとまずの試案の後、次の任務のため艦橋へと戻る。

かくして辺境星域を平定した後にシュタインメッツ艦隊はキルヒアイス艦隊と合流するのだった。

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