銀英伝オリジナル・真ヴァーリモント氏放浪記(その1)
さてみなさん、今回より先にHPにて公開した『ヴァーリモント氏放浪記』を当ブログにおいてもう少し掘り下げ、一つの作品として掲載する運びとなりました。
最近新アニメ版も放映されたこともあり、旧アニメ版のオリジナルキャラたる彼について、前々から詳しいストーリーを書きたいと思ったこともあり、この企画の立ち上げと相成りました。とはいえあくまでも概要なので、ひょっとしたらもっと詳しい表現もなされるかもしれないけれど。ひとまずのご了承をお願いいたします。
まあなにはともあれ、それでは、ごゆっくり。
自由惑星同盟技術将校 フランツ=ヴァーリモント
帝国領侵攻作戦に伴う開拓事業に従事するも、その後のアムリッツァ会戦に先立つ焦土作戦によって開拓惑星を追われ、開拓事業で知り合った領主の娘テレーズ=ワーグナーとともに近隣の惑星で労働者に身をやつしていた。当然ながら素性を隠し、表向きは焦土作戦に伴う暴動で追われた一難民として。
その後のアムリッツァ会戦において同盟軍が帝国に惨敗したことに関し、帝国軍に対する憎しみも起こらず、加えてささやかに雪辱を果たしたヤン提督に際してもあまり関心がわかなかった。もっともそれ以前にヤン提督自身にはある程度の好意を持ってはいたのだが。
そんな彼自身は俗世を離れ、静かな場所で暮らしたかったのだが、生活の都合上それが許さず、テレーズの勧めでこの地に落ち着いたのだ。
はじめは流れ着いた難民ということで領民も彼をいぶかったものの、その勤勉さと誠実な人柄と何よりも付き添っていたテレーズの献身的な手助けもあって次第に打ち解けるようになった。それに伴い、彼に先立ってこの地に流れ着いた、多少目の不自由な若者と知己となり、何かと彼らの手助けをしていくようになる。
加えて領主たる某子爵は領民からは開明的な人物と慕われていて、先に流れ着いた難民の中に顔馴染みだった領主ワグナーの娘テレーズの姿を認める。かの地の焦土作戦に伴う暴動でワグナーが命を落としたことを知りえ、何とかして彼女の手助けをしたいと思い、ある日お忍びでテレーズのもとを訪れる。
「お父上のご不幸は聞き及んでおります、ここは私どもでお世話をしたいのですが」
テレーズも子爵の行為を受け止めつつ、一礼ののちにこう応えた。
「ご厚意は感謝に堪えませんが、今ここでそれに甘えますと、先に命を落とした父たちの努力を無駄にしてしまいます。それに・・・・・」
テレーズの言はひとまず途切れる。ややあって子爵の方も傍らのヴァーリモントのほうに目を移す。彼の静かに刺すがごとき視線に何やらを悟ったかのごとく彼に向かい。
「では、彼女のことは卿にお任せしよう、我々も力になりますが、よろしくお願いする」
「御意」
子爵の要請にヴァーリモントも厳かに応えた。
こうしてヴァーリモントは子爵をはじめ領民の信頼をも得て、いつしかそこの地域の顔役にもなるに至る。
しかし彼の心の奥底では、つねに故国の同盟の行く末を常に案じていた。おそらくはローエングラム候が帝国の実権を握りやがては同盟をも征服するだろう。ともすれば同盟が掲げた自由と自立の精神もまた損なわれるやもしれぬと、先の焦土作戦もありそれらの懸念が彼の脳裏にこびりついていたのだった。
そんな静かな苦悩を抱いた彼にも、帝国内での争乱の影響を受けることになるのだった。
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