小説・聖闘士星矢VSセーラームーン(その8)
第2話:第2回銀河戦争記(その6)
銀河戦争決勝戦
闘技場の静けさがこれから繰り広げられるであろう激闘を予感せずにはいられなかった。
やがて闘技場の両端にスポットライトが照らされる。平服姿の星矢とスーツ姿のカノンが立っていた。
2人は闘技場中央まで歩み寄り、ついには対峙の体を成す。
まずカノンが口を開く。
「やはりお前が勝ち残ってきたか、ペガサス星矢」
「ああ、でもみんな先よりも強くなっていたぜ」
星矢も言葉を返す。たしかにルールに縛られたとはいえ有意義な仕合だったと信じているゆえの言葉だった。
「今更俺の口から何も言うことはない、ここは純粋にお前の実力、そして信念の強さを味わってみたい。人々に、まずは観客諸君に本当の勇気と希望を教えるために」
「もちろん、そのつもりだ」
カノンが両手を上げ、頭上にジェミニのクロスが浮かび上がる。それが展開し、カノンの身を包む。続いて星矢も同じく頭上のペガサスのクロスをまとう。
「さあ、始めようか!」
お互いクロスをまとい、数メートル離れつつ構える星矢とカノン。カノンのクロスもちろん心なしか星矢のクロスも透き通る黄金に輝いたかにみえた。まずはカノンが拳を放ち星矢は大きく吹き飛ばされる。カノンが1本取ったかにみえたが表示板は何も告げない。代わりに画面には星矢が拳を防御し、ついでにその威力を後ろに飛んでしのいだ様が映し出された。
「本気を出せといったはずだぞ、星矢」
「ああ、そのつもりさ」
今度は星矢が流星拳を放ち、カノンが直立の姿勢で掌で拳を防御する。しかしカノンの足元が地面を後ろにずれ、その様にカノンも軽い笑みを浮かべる。
「まだまだ、だな」
「ああ、勝負はこれからだ」
その後、二人の拳の打ち合いが繰り広げられる。先の打ち合いはともかく、今までの仕合から単なるこけおどしではないことは誰もが思い知ったこともあり、今の二人の打ち合いが激闘の本番であることを感じずにはいられなかった。
そして貴賓席のうさぎたちも、
美奈子「すごい、まるで星と星がぶつかり合っているみたい」
まこと「ああ、下手したらこの会場ごと吹っ飛ばしかねないわ」
レイ「これが聖闘士の闘いってことなのね、でもまさに拳と拳で語り合っている」
亜美「もう理屈も何もいらない、こういったスポーツの仕合に興味ないはずなのに、私、楽しんで見守っている」
そしてうさぎは
「もうどっちが勝っても不思議じゃないけど、星矢さん、がんばって・・・・・!」
もうどれくらいの時が流れたことか、そのうちに表示板は二人とも2本のヒット判定が告げられた。しかし誰よりもこの打ち合いの帰趨は当の二人が理解していた。
「そろそろ潮時だな、俺を含めて誰もが、今ひと時楽しみたかろうが、この拳でケリをつけよう」
「そうだな、あんたの拳のすべてを受け止めてやろう、この拳で」
両名示し合わせるかのごとく、クロスを脱ぎ捨てる。ついでに下に来ていたスーツとTシャツも脱ぎ捨てたことをこの際述べてはいけないかもしれないが。
さておき最後の一発を繰り出さんと突き進み、やがてクロスカウンターが決まる。
表示板は同時ヒットが示される。もしかするとまさに1000分の、否10万分の1秒のきわどさでヒットの速さが決まっていただろうが、ともかくも勝負は引き分けが告げられた。
「これがお前の底力か、星矢」
「ああ、まだまだ闘い足りないが、今の俺のすべてを、伝えられたはずだ」
と、星矢は力尽きるようにカノンに寄り掛かる。星矢の体を受けて肩でかつぎ、観客を見上げ軽く頷いてから、闘技場を後にする。
数瞬の沈黙の中、観客は一斉に拍手と喝采で去りゆく二人を送っていく。そしてうさぎたちも心一杯に二人を見送るのだった。
こうして第2回銀河戦争は成功裏のうちに終わり、その興行収入は被災した人々のために使われたことはあえて述べるまでもない。
しかしこれらはこれからの物語のおいて序章すらなっていないのだが。
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コメント
はじめまして!
セーラームーン&聖闘士星矢ファンです。
聖闘士星矢では黄金聖闘士が大好きなので、ムウ様、カノン様だけでなく他の黄金聖闘士もたくさん登場してほしいです。
うさぎちゃんたちと黄金聖闘士の絡みも是非見たいな。
毎回更新を楽しみにしてます。
投稿: 廣本万里絵 | 2018年6月14日 (木) 09時32分