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ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(最終回)

ポセイドンの中から出てきたドラえもんたち。しかし目の前にはパトロール隊のウエキ司令が立っていた。パトロール隊のウエキ長官の息子でもある。

そのウエキ司令はドラえもんを見かけるや近付いて話しかけてくる。

司令「いやはやご苦労様だね。かねてよりドルマン一味の残党を調査した結果、アトランチスの遺産を利用して世界を征服せんとのたくらみを察知して、ここに駆け付けて彼らを拘束したのだが」

ドラミ「はい、私もお兄ちゃんのことが心配で駆け付けたのですが、私たちも捜査のお役に立てたでしょうか」

司令「もちろんだよ。いつもすまないな」

怪訝そうに話を聞いていたルウとリムにも司令が説明をする。

司令「君たちも海底人の人ですね、今回の争乱は君たちにも世話をかけたが」

ルウ「やはりドラえもんと同じく未来の方ですね。これから僕たちはどうなるんでしょう、それに兄さんは」

エル「僕なら大丈夫さ、それにこの人たちのことは今は内密にした方がよさそうだ。これから僕たちがしようとすることがまちがっていなかったら、きっと結果が出るからね」

リム「うん、そうね、エル」

司令「さて我々はここで失礼させて頂くよ、君たちも元気で」

ドラミ「はい、ありがとうございます」

こうして司令が巡視艇に乗り込んで、巡視艇は消えていく。

ややあって海底地震が起きて、城も崩れ始めてきた。

ジャイアン「うわっ、ここも崩れそうだ」

スネ夫「早く逃げた方がよさそうだよ」

しずか「ちょっと待って、エルさんが」

エルとのび太くんは傍らで座り込んだミーナに近づいていた。そもそもエレナはヨーロッパに渡ったアトランチスの末裔であるとミーナに言いつのり、彼女を利用したのだ。もっとも未来の世界の人間であるエレナたちだ。あながち嘘とは断定しがたいところがあるのだが。

いずれにしてもミーナは自分が利用されていたことに打ちひしがれていた。

ミーナ「・・・私は、どうすればいいの、すべてはアトランチスの復興のためと、おじ様をはじめアトランチスの民を裏切ってまで戦ったつもりだったのに・・・・・」

エル「その戦いも、無駄じゃないさ」

打ちひしがれたミーナに、エルが優しく語りかける。

ミーナ「でも、今の私は、おじ様たちに合わせる顔が・・・・」

のび太「大丈夫だよ、皇帝さんは今でもミーナさんのことを心配しているんだよ」

ミーナ「え、それは、本当・・・・・」

エル「だから、みんなで帰ろう」

ルウ「兄さん、のび太さん、早く早く!」

ミーナを優しく諭し、ルウにせかされるままに、エルたちも脱出するのだった。

 

後日

ネオアトランチス国内では鬼岩城の完全沈黙とミーナ王女の救出が告げられ、国民は悦びに沸き立った。

まず帰還したミーナが皇帝と再会を果たす。

ミーナ「ごめんなさい、おじ様、それに国民の皆さんにも・・・・・」

皇帝「いいんだよ、ミーナ、本当に、よかった」

ミーナが帰ってきたことを皇帝は心の底から喜んだ。

続いて鬼岩城再攻略と王女救出に力を貸したムー人のエルたちと、地上人ののび太くんたち。彼らの行動をアトランチス国民の誰もが大いにたたえ、これからは彼らと仲良くやっていけるとささやかながらも希望が芽生えたのだった。ちなみにエレナ逮捕に動いたタイムパトロールのことは当然秘密にしていたのは言うまでもないけれど。

ジャイアン「すごいな、おれたちムーだけじゃなくてアトランチスも救ったんだ」

スネ夫「でも秘密にしなきゃいけないのはしょうがないね」

バギー「ミンナ僕ノオカゲナンダヨ」

ドラミ「もう、あなたは調子に乗らないの」

皇帝「君たちのおかげで本当に世界は救われた。君たちに会えて本当によかった。このことはいつまでも忘れない」

のび太「はい、皇帝さんもミーナさんもお元気で」

ミーナ「またいつでも遊びに来てね、いつでもいいから」

のび太「うん」

こうして本当に平和が訪れたネオアトランチス帝国をドラえもんたちは後にする。これからは多くの問題も出ることだろうけれど、それらは一つ一つ解決できるだろうと誰もが期待を抱いて。

 

その後野比家にとある手紙がのび太くんあてに届けられた。実はひそかにルウがその後のことをしたためた手紙であった。

『拝啓 のび太さんへ

あれからいろんなことがありましたが、僕たちも兄さんのもとで兵士として訓練を行っております。もちろん大人になるための勉強も欠かしておりません。

それからもっといい報せがあります。アトランチスから大使が遣わされ、そのおつきの兵士にミーナさんが選ばれました。これも修行の一環ということで、皇帝に頼んでのことでした。それ以来兄さんに会うたび、時間を許す限り楽しい時を過ごしています。

最後に月並みな言葉ながら、いつの日か僕たち海底人と、のび太さんたち地上人が共に手を取り合っていける日を想いつつ。手紙の結びといたします。

それでは、お元気で ルウ』

のび太「そうか、エル君たちも結構頑張ってるんだ。それからエル君とミーナさん、結構うまくいってるみたいだね。これでめでたしってところかなあ」

とまあ、エルたちの行く末に希望を持ちながらものび太くんは眠りにつくのだった。

 

そして次の日の朝、

ドラえもん「おーい、のび太くん、今日から新学期だよ、早く起きないと遅刻しちゃうよ!」

のび太「え、わっ、もうこんな時間!」

早々に支度を済ませ登校するのび太くん。それを不安げに見送るドラえもんがいた。

ドラえもん「まったくエル君たちが頑張っているのに、のび太君は相変わらずだなあ」

のび太「早くしないと、また遅刻しちゃうよお」

こうしていつも通りのせわしない日々が続くのだった。

 

おわり

 

というわけで長年の構想を得ての『のび太の海底帝国』はこれにて最終回と相成りました。ちょうど次回作の構想を練っているところですが、その前に一つ別の作品をお送りする運びとなります。それではまたお会いしましょう。

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